8月7日以前にはシュラウドのことは何も知らない
−9月17日交渉で保安院−


 9月17日4時から約1時間半、大島、北川両議員出席のもと、井元原子力保安管理課長ら3名と、主にニュークレオニクスウイーク(NW)記事に関連して福島U-3シュラウド問題で交渉。こちらはグリーン・アクション、美浜の会、ふくろうの会と東京の3グループが加わった。

■3団体からの指摘がなければ放置していた保安院の失態
 NW誌の東電のひび割れ隠蔽記事(昨年8月)について保安院は、昨年9月に東電に問い合わせたが否定されたと9月6日付けで回答した。この問い合わせはどの部署の誰がと聞くと、井元課長は「わかりません」という。ところが、遅れてきた水元課長補佐が「本人に聞いて確認した。原子力防災課の人間です」と白状。
 東電に否定されてすぐに引き下がったのは、内部告発にはシュラウドがなかったから。ではいつ知ったのか。今年8月7日以降だという。しかし、昨年誰が電話したかなど調査を始めたのは、我々3団体の質問書が出てからだと白状した。そこで市民側、「内偵調査中であったのに知り得た不正を見逃した保安院の責任は?」「それは評価委員会の評価を待っているところでして・・・」と保安院。自らの責任はまったくほおかむり。保安院は沈黙したが、調査委員会に出した時系列資料では、昨年9月のこの件には一切触れていない。これでは評価もありえない。

■東電からのヒアリングの中身を明らかにせよ
 保安院の基本姿勢は、8月7日以前にはシュラウドのことは何も知らなかった。だから無実だというもの。ところが、今年春に東電からヒアリングを4回、6回と行っているが内容が何も書かれていない。これについては議員から質問が出て、ヒアリングの詳細を明らかにするよう要求。さらに、今年5月以降にGEとのやりとりがぷっつりと途絶えている点も不自然であるとして調査するように要求した。保安院は「検討します」とだけ答えた。

■シュラウドの安全評価の問題
 東電はシュラウドのリング部以外にもひび割れを見つけておきながらこれを隠蔽し、SUS316Lではリング部にのみ発生するとのでっちあげの評価を行っていた。これは問題だったと保安院は認めたが、その報告を鵜呑みにして、リング部だけの点検指示を出した誤りは認めようとしない。しかし、今後リング部以外の点検指示を出すことはあり得ると述べた。
 ひび割れがあっても問題ないとする東電と保安院の安全評価については、ひび割れが1年間で11mmずつ進展することが前提となっているが、現に柏崎刈羽原発3号機で確認されたひび割れは、9年間で最大230mmにも達し、評価の前提が崩れていることを指摘した。保安院は外国の資料に基づいてやっていると繰り返したが、我々は事実の方を重視するよう要求した。

■維持基準の導入を画策する委員会の解散を要求
 市民側は、今年2月からこの問題を審議してきた「検査の在り方検討委員会」に、ひび割れを隠蔽した張本人である榎本東電副社長が入っており、このような委員会で、ひび割れがあってもそれを放置しての運転を認める議論を行っていることを批判した。そして、この委員会と、この委員会のメンバーがごっそり入っている9月13日に発足した近藤委員会の解散を要求した。
 シュラウドのひび割れを放置しての運転の可能性については、検討していないとの回答であったが、近藤委員会にしろ、佐藤委員会に報告された保安院の資料にしろ、傷ついた原発の運転を維持基準で容認する方向で事態は動いている。この危険な運転を許してはならない(阪)。



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