紹介 翻訳資料
「海に捨てられたプルトニウムが風に乗って大地を襲う」


 六ケ所再処理工場の運転が開始されれば、再処理工場からプルトニウムを含んだ大量の放射性廃液が沖合の海水中に放出される。
 ところが、海に捨てられたプルトニウムが濃縮され、海面から飛び出し、風に乗って陸地に逆上陸し、内陸部の人々をも襲うとしたら、一体どうだろう。
 再処理工場から海に捨てられた放射性廃液は浜辺を汚染し、魚介類、海草等を汚染する。人々は浜辺で、あるいは汚染された海産物を食べることで被曝させられる。それだけではなかったのだ。海に捨てられたプルトニウムは、海から風に乗って陸地に帰ってくる、そして人々を被曝させるのだ。
 ここに紹介する翻訳資料(原題「総説:大気を介した海から陸への放射性核種の移行」−The Transfer of Radionuclides from Sea to Land via the Air: A review)(W.A.McKay,N.J.Pattenden著,1990年)は、その危険を示している。以下に紹介しよう。
 海水中を漂う気泡には水に溶けにくい微粒子を内部に集める働きがあり、プルトニウムはその微粒子と結びつきやすい性質がある。気泡が海面ではじけて泡沫(ほうまつ)ができる。このときプルトニウムは泡沫に濃縮される。こうしてプルトニウムは日常的に海面から飛び出し、風に乗って大地を襲うのである。
 イギリスのカンブリアのセラフィールド再処理工場周辺で、スコットランド北部のドーンレイ原子力研究所周辺で、そしてイギリス海峡に面したフランス、ノルマンディーのラアーグ再処理工場の周辺で実際にそのようなプルトニウムが見つかっている。風の中に、植物の中に、土の中に、湖の底に、羊の体内にも。海岸から十数キロ離れたところでも。
 プルトニウム239の寿命は2万4千年。プルトニウムの付いた泡沫を吸い込むと、プルトニウムは体内でアルファ線を出し続け、子供たちを、人々を生涯被曝させ続けることになる。
 是非多くの人に読んでいただきたい。

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