東電MOX裁判もいよいよクライマックス 第4回審尋報告(11月26日福島地方裁判所) ふくろうの会 阪上 武 |
東電MOX裁判もいよいよクライマックス!12月26日には証人尋問が行われ、マスコミも入れた公開で行うことに。証人は、イギリスからお招きする元ストックホルム平和研究所所長のバーナビーさんと美浜の会の小山さんの2人。証言内容は、バーナビーさんがベルゴ社の製造能力、検査能力、品質管理能力についての問題点とMOX使用の危険性、それと小山さんが不合格ゼロ問題等となっている。 さらに次々回は、1月30日に決まった。これで最後になる可能性が大きく、その場合には、2ないし3月中には判決に当たる決定が下ることになると思われる。 裁判所に、差止の決定を出してもらうためにも、「データを出せ、さもなくば装荷を認めないぞ」との声を福島県内外であげていこう。 ■反論を迫られた東電 私たちは、「東電のMOX燃料の検査において、不合格ゼロであったのは不正な操作なしにはありえない」と主張してきまた。これに対し東京電力は9月14日に提出した答弁書において、私たちの主張を「BNFL社での不正をあてはめただけの憶測」と決めつけて反論を放棄した。しかし9月18日の第2回裁判において、私たちは具体的に反論するように求め、裁判所もこれに同調したことから、東電は具体的な反論を書くことを承知せざるを得なくなった。 ■証拠がない東電の反論 10月27日の3回目の裁判で、東電はその反論を出してきた。その中で東電は、ベルゴ社の不良率を1%や0.15%とする前提では、不合格ゼロがありえないという私たちの指摘を認めた。その上で、ベルゴ社の不良率がそれよりもさらに小さく、製造能力がBNFL社に比べ格段に優れ、製品が高品質であるという主張をしている。今では具体的な争点はこの点に絞られてきた。しかしこれについて東電が挙げた理由は、いずれも具体性に欠け、しかも証拠はないに等しい。証拠を示さないので、論理展開も「不正はなく、不合格ゼロは不自然ではない。なぜならベルゴ社はBNFL社よりも優秀だからだ。それが証拠に、不合格がゼロであった。」という堂々巡りとなっている。 ■データ非開示の姿勢を徹底して批判 第4回審尋を前に、私たちは、東電側の準備書面と陳述書に対する反論となる書面を11月24日に提出した。私たちの主張は、東電の反論には証拠がないことを指摘した上で、不正の有無の確認にはデータ開示が不可欠で、どのようなデータをどのように分析すべきかまでも懇切丁寧に述べたものになっている。 ■第4回審尋 11月28日の第4回審尋ではまず、裁判長が提出書面を確認した上で、東電側に反論を出すのかを確認。東電は「もちろん反論を書面で出す」と答えた。 続けて裁判長は私たちの書面を指し示しながら以下の4点について東電に釈明を求めた。 @ 立会検査の詳しい状況 A 製造前確認試験の内容と結果 B レーザー自動計測装置の測定精度 C 全数計測時の平均値と標準偏差のデータの存否と入手の可能性 四点目は、東電がベルゴ社は保存していないと述べていたデータで、裁判長は「せめて標準偏差と平均値だけでもでないのか」と聞いたのだが、東電は「レーザー計測は製造工程なのでベルゴ社の社内情報だ」と相変わらずの態度。 これらの点について東電は書面で回答すると約束した。 私たちはさらに、 ・4ミクロン刻みのデータでは不正の判断ができないので、元となる1ミクロン刻みのデータの開示が是非とも必要である。 ・200分の1も優秀といいながら証拠を示さないのはおかしい ・委託加工なので、品質に問題があれば報告を求める権利がある。注文主の権利を行使して断られたのか、それともこの権利を行使していないのか。ベルゴになめられている。 ・原子力学会倫理規定案では、公衆の安心のために必要な情報は守秘義務があっても公表すべきで、その際に守秘義務違反を問うてはならない、とある。これが世の流れである。 ・われわれ県民の命に関わる情報だ。 としてデータの開示を強く要求した。「(データを出すことが)唯一の実証方法ではない」とデータ開示を渋る東電に対し、裁判長は東電に対し、情報公開の問題について次の書面で意見を明確に述べるよう求めた。 |