8・3関電MOX燃料問題に関する公開討論会 |
品質保証軽視・安全確保欠如の姿勢に怒り コジェマ製燃料データを公開することで関電は襟を正せ! |
グリーン・アクションら市民6団体と関電の共催による公開討論会が、8月3日コミュニティープラザ大阪で行われた。参加者は約200名、報道関係者も多数取材した。 この討論会は、高浜4号炉MOX燃料使用差止裁判の判決の前日(昨年末12月16日)に関電が燃料データ不正をようやく認め使用を断念したことを受け、翌17日関電に開催を約束させていた。関電は、8ヶ月も引き延ばした後開催に応じた。 討論会で関電は、3号炉でのデータ不正が明確になっていた後でも、既に運搬途中であった4号炉には不正がないとした報告書(9/24中間報告・11/1最終報告)を出したことについて、「調査が少し不十分・・」とした。「少し不十分」・・関電の言い訳はこれである。関電自らがBNFLのデータ不正隠しに積極的に荷担した責任、品質保証データのねつ造で人々を危険にさらそうとした責任を回避し、さらには品質管理データの不正は安全性の欠如につながるという認識もなく、データ不正事件での反省・謝罪が全くないことが明らかになった。こんな関電に「原子力」を扱う資格はない、これが会場を埋めた市民の声である。 関電側から登壇した5人を代表して釈明にあたった山手原子力事業本部燃料技術グループチーフマネージャは、最初の全体説明で「調査が少し不十分で・・・社会の信頼を裏切ったことを重く受け止めている」と述べ、不正を見抜けなかったのはもっぱら調査の不十分さだけかのように強調した。 市民側を代表して訴えたグリーン・アクションのスティーブンさんは、「今回の問題は不正を積極的に隠そうとした関電の問題であり、市民を危険にさらそうとしたことに謝罪し,プルサーマル計画を廃棄せよ」と要求した。 市民側登壇者5名の1番手、美浜の会・小山は、抜取検査こそがJIS規格に則った「品質管理検査」であり、ここで不正があれば燃料の安全性が保証されないこと、データの不正隠しに関電が積極的に荷担したことをこの問題の経緯が示していること、安全性を軽視し、住民を危険にさらそうとしたことなどの罪状を次々に明らかにし、関電に突きつけた。 山手氏は「不正があると疑えば、統計的処理という方法もあったが、不正を行った者がいるかどうかに比重をおいた点が反省点」と言い訳した。住民を危険にさらそうとしたことに対しては「皆さんにひどい不安を与え,ご心配をおかけした」と一応詫びたあと、「品質管理で不正があっても人々の安全に係る問題はない」という見解かと突っ込まれると、「全数であれ,抜取であれ、測られていれば純技術的には安全は保たれる」と驚くべき安全性無視の姿勢を示した。 会場の市民から「不正なMOX燃料を使ったプルサーマルをあやうく実行されかけ命まで脅かされた私たち一般住民に謝罪して下さい」と追及。関電「環境には影響ない。不安があるので不正の燃料は使わない」。重ねて市民「抜取検査なしでも問題ないのか。不正の燃料をそのまま使用しても問題ないのか」。関電「安全性には問題がない」。これには,会場から「何のための検査なんだ」と怒りの声。市民「一般市民に謝罪しなさい。パンフレットを書き直せ」。関電「パンフレットは地元の皆様向けに書いたものでして・・・」。この地元住民をないがしろにした発言に怒りの声、野次。 BNFL社とは手を切れ、なぜ指名停止を解除したのかとの追及に対し関電は、「指名停止は解除したが契約は別問題」「新たな燃料契約は白紙」と回答。さらに「通産省のBNFL問題検討員会で『原子力分野で事業をする資格はない』と断定しているBNFLをまだ信頼するのか」との追及には「それは通産省の見解」と規制当局の評価も権威もないがしろにする始末。 英仏の再処理工場閉鎖を求めるオスパー会議の決議(6月29日)をどう受け止めているかとの追及には、「英仏が棄権しており強制されない」と述べ、日本の再処理委託により北東大西洋が放射能で汚染されていることを無視し、反省もなし。 グリーン・アクションのアイリーンさんは、関電が次に使おうとしている「コジェマ製MOX燃料にはBNFL問題での再発防止対策が反映できていない。コジェマ燃料を廃棄せよ」と追及。関電「メロックス工場は大きな商業レベルの工場なので品質管理の問題は全て克服されている」と強弁。さらに「燃料製造を開始した昨年11月のことをどうやってタイムスリップして調べるのか」「そんなに安全というのならデータを公開せよ」と追及。「我々はデータを見ることができるが、コジェマ側に所有権があるので・・」と全く反省のない発言。会場からも「今回のことを真剣に反省しているならコジェマのデータ公開は当然」などの声が次々に上がり、庄野広報部長がようやく「コジェマと公開するよう交渉したい」と発言し、山手氏も「努力する」と答えざるを得なかった。 地元・福井からの参加者は「社長や副社長が来ていないのがおかしい。パンフレットには地元住民への謝罪が入っていない」と糾弾し、高浜町議からは「高浜でも討論会を開催せよ」と要求。これには山手氏も「前向きに検討する」と回答した。 今回の不正問題は、「関電スキャンダル」であり、次のコジェマ製MOX燃料のデータ公開こそが関電の反省の試金石であることを確認し、再度討論会を開催するよう要求して終了した。 |