(創刊:2001年8月18日)
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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                       メール・ニュース vol.8(号外) 発行:2002年8月1日
                            登録者数:312人
                            http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html


 ▲▲▲▲▲米山リサさんBRO申し立ておよび記者会見のお知らせ▲▲▲▲▲
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 このたび、カリフォルニア大学準教授の米山リサさんが、NHK ETV2001「シリ
ーズ 戦争をどう裁くか」(2001年1月29日−2月1日放映)にくわえられた改変
に関して、「BRO(放送と人権等権利に関する委員会機構)」に申し立てをお
こなうことになりました。
 申し立て書は、明日の午後1時、千代田放送会館(千代田区紀尾井町1-1 TEL:
 03-3238-7401、地下鉄・南北線、半蔵門線、有楽町線「永田町」より徒歩3分)
7階でBROに提出します。残念ながら、記者会見は場所がとれなかった(それ
も今のメディアの状況を象徴するもの?)ために行いませんが、マスコミへの働
きかけは行います。時間のある方は千代田放送会館7階にご参集ください。申し
立てに関する報告などは、あらためてメルマガでお知らせします。

[申し立ての経緯]
 上記シリーズのうち、とくに第二夜の「裁かれた戦時性暴力」は、2000年12月
8日−12日に開催された女性国際戦犯法廷を紹介するという当初の企画から大き
く逸脱した番組となって放映されました。女性国際戦犯法廷の主催者名や判決内
容が削除されるのみならず、法廷に否定的な学者のインタビューが長々と挿入さ
れるなど、取材協力者や出演者の意図とはかけはなれた番組になってしまいまし
た。
 とくにスタジオ出演者であった米山リサさんの発言は、その発言意図もしくは
発言の意味そのものが不明になるほどの「編集」がくわえられました。米山さん
はほかの番組出演者や視聴者などとともに、なぜこのように不自然な改変が加え
られたのか再三にわたってNHKに釈明を求めてこられましたが、NHK側からの誠意
ある応答を得ることはできず、このたびの申し立てにいたりました。
 これまでに、この改変の背後には右翼団体による電話・ファックス・電子メー
ル・威力による抗議があったことがあきらかになっています。また、政治家の介
入があったという信憑性の高いうわさもささやかれています。もしこれらが事実
ならば、この事件はメディアの内部における、そして外部に対する自由の深刻な
危機をしるしづける事件ということになります。

[申し立ての内容]
 上記のように、米山リサさんの発言改変は発言の同一性をそこなうかたちでお
こなわれました。これは発言の「著作者」としての人格権を侵害するのみならず、
研究者としての米山さんの名誉をそこなうものでもあります。申し立ては主にこ
の二点、すなわち著作者人格権侵害と名誉権侵害を理由におこないます。また、
それにとどまらずこの事件の重要性をひろく知らしめ、なぜあのような改変が行
われたのかを明るみに出したいと考えています。

●ひとくちメモ:BRO(放送と人権など権利に関する委員会機構)とは?●

 BROは放送による人権侵害の被害を救済するため、放送局が自主的に作った
第三者機関です。一般的に言ってこのような第三者機関は、放送による人権侵害
を救済するほか、権力の介入なしで紛争を解決するという、メディアの自律性を
保持する意味あいももつものです。

 手続きは「申し立て」「委員会による審理」を経て、その結果は大まかにわけ
て「見解」もしくはより重度の「勧告」というかたちで発表されます。「見解」
および「勧告」は当該放送局に通知されるほか、記者会見、テレビスポットなど
で公表されます。くわしくは下記ホームページをご覧下さい。

  http://www.bro.gr.jp/

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[編集後記]

 私事にわたるが、放送大学の「教育の歴史」(主任は佐藤秀夫さん)という番
組に2回分だけだが出場して、「日本の植民地支配と教育」というテーマについ
てしゃべっている。
 まことにテレビの威力は恐ろしい。親やら甥っ子やらがテレビで僕の顔を見て
びっくりしたという話を聞く。旅先のホテルでふとテレビをつけた時に、じっと
り汗ばんだ顔でしゃべっている自分の姿が突然あらわれ、思わず目を背けたこと
もある。はては『産経新聞』のコラムで、放送大学で台湾についてけしからない
番組をやっていると記していただき、抗議文を送る羽目にもなった。
 いわゆる「学術書」はどんなに売れても3000部、そうした世界が当たり前
になってしまっている自分にとって、視聴率1%=100万人という話を聞いて
あらためてめまいを感じざるをえない。
 ETV2001「シリーズ 戦争をどう裁くか」の視聴率は0.5%、50万
人近くの人が、改ざんされた番組を見たことになる。その中の多くのひとは、右
翼の暴力に威嚇されたNHK上層部が、「法廷」における天皇有罪という判決も、
米山リサさんが「裁き」の重要さについて述べた発言も削除してしまったことに
気づけなかったことだろう。僕も気づけなかった。
 だからこそ、テレビでの番組の改ざんには、しっかりテレビで落とし前をつけ
てもらわねばならない。
 今度こそ自分の目をしっかり見開いて、BROが「人権」という言葉を掲げる
に値する組織なのか、見届けたいと思う。
 
8号編集担当 駒込武(京都大学教員)
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■みなさんからの御意見・御感想、なにより投稿をお待ちしています!

                     (vol.8編集担当=駒込 武)

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│発行= 2002年8月1日                                  │
│ 発行所=メキキ・ネット事務局                                    │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html        │
│ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp                    │
│ FAX: 020-4666-7325                                          │
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