(創刊:2001年8月18日) ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓ ★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛ メール・ニュース vol.4(1) 発行:2001年12月6日 登録者数:242人 http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html 《↑HPが引越ししました。ご注意を!》 みなさんお久しぶりです! 定期的、とまではなかなかいっていないメキキの メール・ニュースですが、きちんと継続はしているのでご安心を!! 「安心」といえば、9.11以降、「危機管理」はもとより、炭疽菌や狂牛病といっ たバイオハザード、インターネット上ではウイルスの嵐が吹き荒れ、「セキュリ ティ」が時代のキーワードになりつつあるようで、何とも息苦しい限りです。原 因と解決策がはっきりしないだけに、過剰な疑心暗鬼が蔓延し、セキュリティと いう名のもとに「しめつけ」と「管理」がどんどん進行しつつあるようで…。こ んな状況だからこそマスメディアや政府の発表に依存しない自前のネットワーク をどう確保するかが重要だと思えます。 さて、今回はNHK第2回裁判口頭弁論の報告と「9・11事件報道を考えるジャー ナリスト・シンポジウム」パネリスト決定のお知らせです。 NHK第2回裁判口頭弁論の様子は、韓国から帰国後いまだ日本文化になじめない でいる(?)板垣竜太さんに報告してもらいます。 ちなみに、やはり裁判を傍聴したメキキ・ネットの事務局メンバーの一人は、 審理が10分強で終わって拍子抜けした後、烈火のように怒って、「1時間半か けて裁判所までやってきてこれで終わり? 馬鹿にすんじゃないわよ。もっとや りなさいよ!!」と、裁判長に詰め寄ったと詰め寄らなかったとか…(実際には 詰め寄ってなどいないそうです。念のため)。 《もくじ》 〈今回送信分〉 1.NHK第2回裁判口頭弁論(2001年11月28日)傍聴記 板垣竜太 2.「9・11事件報道を考えるジャーナリスト・シンポジウム」開催 (於東京ウィメンズプラザ 2001年12月22日 18:00-)のお知らせ パネリストが決定しました! *メルマガvol.4(2)では、基調講演者&パネリストの 9.11事件に関する論考などを紹介する予定です。 3.[情報欄](最近の出来事、イベント情報、編集後記) 〈今後の送信予定〉 ◆「9・11事件報道を考えるジャーナリスト・シンポジウム」 の基調講演者&パネリストの紹介を予定しています。 ◆[投稿] 9.11以後のU.S.A.〔仮題〕 米山リサさん(カリフォルニア・サンディエゴ在住)の投稿です。 ──────────────────────────────────── 【1.NHK第2回裁判口頭弁論(2001年11月28日)傍聴記】 東京地裁は特別警戒態勢で、入り口では所持品検査をしていました。物珍しい ので、「特別警戒態勢」と書かれた看板をデジカメで撮影したところ、警備員が 飛んできました。「君!撮っちゃだめだよ。今の削除して!」「え、だって、こ こ建物の外じゃないですか。撮ったのも看板だけです」と答えると、小さな案内 板を指差し「いやそこに敷地内での撮影は不可って書いてある。」そんなの見え ないよと思いながらも、しぶしぶ「あれ、どうやって画像消去するんだっけな?」 などと言いながらごまかそうとしていると、「じゃぁ、こっちに来て」と連れて 行こうとするので、まずいと思い、「じゃぁ消しますよ、ほらいいですか」と確 認させつつ削除しました。連行されれば面白かったかもしれませんが、傍聴でき なかったら本末転倒なのでやめました。最初っから嫌な雰囲気でした。 余計な話はさておき、この日は大法廷だったため、一般の傍聴券は75枚発行さ れ、今回は抽選無しで入れました。帰り際に整理券を配っていた人に「傍聴券は 何枚出ました?」と聞いたところ、六十数名ということで、実際かなり傍聴席は 埋まったという感じでした。NHK側の弁護団は男ばかりの真っ黒、VAWW側は傍聴 席を含めて女性が多いという、まさにこの訴訟の性格を示すような光景でした。 で、裁判自体は10分強といったところした。何やら意味不明の言葉が裁判官と 弁護士との間で交わされ、ぽかんと聞いていました。その場で何が起こったのか を理解したのは、準備書面の写しをもらい弁護団の説明を聞いた後でのことです。 これは要するに法律用語の問題というよりは、双方の準備書面が手元にあること を前提に法廷でのやりとりがなされているので、何の脈絡も知らずに聞くと誰で もちんぷんかんぷんになってしまうのです。というわけで、以下、後から頭で再 構成した内容を説明します。 飯田弁護士の説明をそのまま書くと、裁判の展開には三段階があります。 1.主張:双方が準備書面を持ち寄って主張しあい、裁判の争点を詰めていく。 この過程では基本的に今日のような地味なやりとりが続く。 2.証拠調べ:出てきた争点に基づき証拠調べを行う。証人喚問のようなドラマ チックなことが起こるのはこの段階。 3.言い渡し:これに基づき裁判官が判決を言い渡す。 しばらくはこの「1.主張」のやりとりが続き、判決にいたるまでは1〜2年 はかかるだろうとのことです。 「主張」の段階では法廷での駆け引きよりは、文書合戦といった感じですので、 準備書面に基づき以下説明します。双方の準備書面については、以下のページに アップロードしましたので、参考にしてください。 http://www.jca.apc.org/mekiki/nhk/index.html まず原告側の第1準備書面(11月21日付)について。このポイントは3つです (原告側の主張のポイントに「V」、被告側のそれに「N」印をつけました)。 [V1] 前回、NHKは答弁書において、制作・編集過程については、「原告らの権利 になんらの影響を与えず、審理する必要のない」といって認否を拒否するという 逃げの一手を打ってきました。そこで原告は、具体的な事実に対して権利侵害を 問うているのだから、事実の認否・答弁をしないというのは争点整理の回避であ り訴訟代理人としてけしからん、また認否そのものをおこなわないのならば、民 事訴訟法(179条)により「自白」が成立し「不要証事実」となる、とのことでし た。 *****************《「自白」についての説明と独白》****************** 民事訴訟法第179条は「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著 な事実は、証明することを要しない」としています。さらにこの「自白」に は「擬制自白」というものも含まれまして、それは同法第159条に定めら れています。曰く、「当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争 うことを明かにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。」 つまり、あまりしらばっくれてると、罪(というか、当該の事実)を認め たとみなしちゃうよ、ということ。さらに、その場合相手側(今回は原告) に立証責任がない、と。あまりにひどいしらばっくれによって審理が滞るこ とを防ぐ意味もある条文だと思います。署名事務局のNHKとの交渉にも、 これが適用されればなあ・・・ (河野真太郎) ******************************************************************** [V2] 次に被告から釈明を求められた点についての答弁です。特に被告三者間の 関係についてですが、要するに当初VAWWに番組の企画を説明したのは、DJの行為 であるとともに、NHKとNEP21の「代行行為」である、したがって共同不法行為が 成立している、というのが趣旨でした。 [V3] そして一般論としてではなく具体的事実に即して、表現の自由、編集の自 由の保障の意義、その保障の範囲、限界を主張すべきだ、と被告に要求しました。 次に被告側第1準備書面(11月28日付)。「被告」としては「日本放送協会」 とその代理人の弁護士名13人分だけが書かれており、被告三者共同のものではな くNHKの準備書面であることが分かります。内容は原告第1準備書面を踏まえたも のです。 [N1] まず上記の[V1]に対する反論です。まったく減らず口です。要するにVAWW と直接関係があるとNHKが判断したこと以外は一切しゃべらんぞというわけです。 つまり、原告がNHKに対して認否を求めている事実は、「被告ら内部の作業」 (NHK、NEP21、DJ間でのやりとり)、または「被告らと第三者との間でのやりと り」(NHK−DJによる取材のことか?)に関することであって、したがってそれは 「原告らにはなんらの関係がないとともに原告らの権利発生とも全く関連するも のではない」。だから、事実問題についての審理は、2000年10月24日のDJによる 企画説明、何らかの約束の内容とその有無、放送内容との齟齬が発生したかどう かに限るのであって、その他の制作・編集過程については審理の対象外である、 としています。 [N2] 次に[V2]への反論です。当初の企画内容の証拠として提出された番組提案 票(2000年10月24日)は、DJとNEPがNHKに提案した内容ではあるが、これをNHK とNEPの代行行為であるというのは飛躍である。番組提案票というのは取材過程 で順次変化していく流動的なもので、それが番組構成を最後まで規定・拘束する ものではない、としています。 この準備書面を前提として、法廷で簡単なやりとりがありました。VAWW側が被 告がたとえば外形的な事実(右翼の攻撃等)についても認否しないのか、と問う たのに対して、それは事実の主張なので認否があってもよい、原告らと関係ある と思われる部分は認否する、と答え、裁判長ももう少し認否があってもよいので はないかというような感じで促すという一コマがあったりもしました。 とにかくNHKは必要最低限のこと、いや必要最低限のことすら認否しない態度 を貫こうとしています。「報道・放送の自由」の確保というお題目を盾に、自ら の責任が無いことを具体的に証明することすら回避しています。さらに辛うじて 主張している内容においても、NHK内では企画内容が当初から変わっていないと いうフィクションを作り上げるために、DJに責任を押しつけようとしている態度 が明白です。NHKのこの過剰防衛は、私には逆にNHKの弱腰を示すもののように思 われ、ますます「公共放送」という看板を空疎なものにしているのではないかと 感じた次第。 (板垣竜太) ──────────────────────────────────── 【2.「9・11事件報道を考えるジャーナリスト・シンポジウム」開催 (2001年12月22日)のお知らせ】 ☆パネリスト決定!☆ 私たちは今、恐るべき権力の暴走に直面しています。 2001年9月11日の破局的事態を、合衆国政府は「テロリズム」と呼び、 捏造された「敵」に対する「報復」を誓い、「戦争」へとなだれ込みました。一 方、日本では十分な議論もないまま実質的な改憲に値するような立法が行われ、 「戦争支援」に乗り出しました。メディアが何故このような暴走を止めることが できないのか、そして受け手はメディアとそれが供給する情報にどう対面すべき なのか。それが今ほどに深刻に問われている時はないでしょう。 右傾化する日本社会における「メディアの危機」に抗することを設立趣旨に謳 うメキキ・ネットは、この「危機」に際してシンポジウムを開きます。題名の通 りジャーナリストのみなさんと市民が場を共にして、「事件」報道がはらむ問題 を大いに議論する会にしたいと考えています。 メディアに関わるみなさん、現在の報道に疑問を持つ市民のみなさん、ぜひご 参加ください。 《基調講演》 太田昌国さん(現代企画室) 《パネリスト》 山田聡さん(『ダカーポ』編集部) 遠藤大輔さん(ビデオ・ジャーナリスト・ユニオン) 石山永一郎さん(共同通信外信部) 境分万純さん(フリージャーナリスト) ◆前回のメールニュースで、パネリストとして明珍美紀さん◆ ◇のお名前を挙げましたが、御都合が悪く参加いただけない◇ ◆ことになりました。ここに訂正いたします。 ◆ 《質疑応答・討論》 当日はできるだけ討論の時間を取り、フロアのみなさんからも議論を提 起していただきたいと思います。 ◇日時:2001年12月22日(土) 18:00開場 18:15開始 お早めにお越し下さい ◇会場:東京ウィメンズプラザ大ホール 位置:東京都渋谷区神宮前5−53−67 JR山手線・東急東横線・京王井の頭線:渋谷駅下車徒歩12分 営団地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線:表参道下車徒歩7分 都バス(茶81系統・渋88系統):渋谷駅からバス4分 「青山学院前」バス停下車徒歩2分 東京ウィメンズプラザのホームページは下記のとおりです。 http://www.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/ ◇参加費 500円 ◇問い合わせ先 メキキ・ネット(メディアの危機を訴える市民ネットワーク)事務局 ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp FAX: 020-4666-7325 ──────────────────────────────────── 3.[情報欄](最近の出来事、イベント情報、編集後記) ◎ホームページが引越ししました。ブックマークの変更などよろしくお願いしま す。 旧) http://www.jca.apc.org/~lee/mekiki/index.html ↓ 新)http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html ◎次回のNHK裁判 日時:2002年1月30日、13:30〜 *奇しくも「改竄1周年」に開かれることになりました…。 場所:大法廷 ← おって正確な情報をお知らせします。 ◎編集後記 アフガニスタンについて書かれた書物で、誇張でなく、読んで心のふるえた 書物を紹介します。 モフセン・マフマルバフ『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥 辱のあまり崩れ落ちたのだ』(現代企画室、2001年、1300円) *同題名の抄訳が『現代思想臨時増刊 これは戦争か』にも載っています。 たとえ極東の島国で生活していようと、現在のアフガニスタンの惨状を生んだ 責任から免れるものではないと痛感させられました。 ただ、この極東の島国でできることは何なのか? 何をはじめればいいのか? なかなかその展望がはっきり見えてこないだけに、ありきたりですが、粘り強く 考え、行動することが何より今大切なのだと思います。 いかな非道もその非道を組み上げた不条理な構造の中で断罪 されるべきものである。 非道も狂気も安穏な日常の乗積であることにかわりはない。 奥歯に信条が饐える。めまいにゆらぐ沈黙の詩。 金時鐘「二つの狂気」 ◎みなさんからの御意見・御感想、なにより投稿をお待ちしています! (vol.4 編集担当=李孝徳) ◇──────────────────────────────────◇ │発行= 2001年12月5日発行所=メキキ・ネット事務局 │ │ │ │ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html │ │ 電子メール: mekikinet-owner@egroups.co.jp │ │ FAX: 020-4666-7325 │ ◇──────────────────────────────────◇ |