(創刊:2001年8月18日)
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★メディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃
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                       メール・ニュース vol.16(8) 発行:2004年3月21日
                           登録者数:394人
                             http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html
■もくじ■
1.[イベント情報]        NHK裁判・裁判報告集会    <3/24東京 >

2.[ 緊|急|特|報 ]    えっ、いつの間に「サイバー犯罪条約」が?
                              板垣竜太(メキキ・ネット事務局)

3.[メディア・ウォッチ]  広報支援部隊の作り方――イラク編
                              鈴木香織(メキキ・ネット事務局)

[1]****************************************************[イベント情報 ]

●NHK裁判・第一審判決
 2004年3月24日(水) 午前10時 東京地裁103号法廷

           当日は傍聴券交付の予定です。
           抽選の場合、午前9時30分に申込が締切られますので、
           それまでに地裁にお越し下さい。

●NHK裁判・第一審判決を受けての報告集会
 日時:2004年3月24日(水) 午後6:30
 会場:東京芸術劇場 5F 大会議室
     (池袋駅下車、南通路2b出口上がる、または池袋駅西口より徒歩2分)
 参加費700円

◆プログラム◆
原告報告
判決を受けて・・ NHK裁判弁護団
特別講演・・・・「判決を受けて・NHKの体質とこの裁判」
                 川崎泰資さん(椙山女学園大学教授/元NHK政治部)

 来る3月24日、いよいよNHK裁判に判決が言い渡されます。2001年7月に提訴し
て以来、約2年間の審理を経て昨年7月に結審したNHK裁判は、過去に類の無い
「信頼利益の侵害」と「説明義務違反」を柱に、被告NHK、NEP21、ドキュメンタ
リー・ジャパンの責任を問い続けた裁判でした。どのような判決が下されるのか、
大いに注目されます。

 番組改竄は、日本社会に「慰安婦」問題を取り上げることへのタブーの空気が
強まっていく中で起きたものです。事件の背景に何があったのか、真相と責任を
明らかにしようとするこの裁判は、普遍的な報道の自由、表現の自由とは何かを
も問いかけるものでした。裁判では外部圧力と共に上部圧力があったことが明ら
かになりましたが、一方、私たちはNHKが構造的に権力に支配されてきた歴史を
知りました。

 報告集会では、「NHKと権力の関係は、60年代は権力と対峙した後『妥協』か
ら『屈服』へ、そして70年代には『屈服』から『服従』へと向かい、80年代には
『服従から迎合』へと推移していった。」と NHKと政治の関係を告発してきた川
崎泰資さん(椙山女学園大学教授/元NHK政治部)に判決を分析していただき、NHK
の体質とメディアの責任について話していただきます。[*]

  司法はいかなる審判を下すのか、そして判決をどう読むか。
 多くの皆様に裁判傍聴に駆けつけていただき、夜の報告集会に結集していただ
きますよう、心からお願いいたします。

VAWW-NETジャパン事務局
TEL/FAX 03-3818-5903   E-mail vaww-net-japan@jca.apc.org

[*] 川崎泰資さんの著書『NHKと政治』(朝日文庫 2000年)は「知られざる
NHKの政治史」の入門書としてお薦めです。(編集子)

[2]****************************************************[ 緊 急 特 報 ]

            ■ えっ、いつの間に「サイバー犯罪条約」が? ■
       ───────────────―――───―───────
                                  板垣竜太(メキキ・ネット事務局)

 管見のかぎり全く報道に接していないのですが、いま「サイバー犯罪条約」が
批准されようとしています。3月16日(火)の夕方にとつぜん、「サイバー犯罪に
関する条約の締結について承認を求めるの件」という議案が衆議院外務委員会に
かけられました。18日の外務委員会でこれへの質疑がなされました。民主党の末
松議員、共産党の赤嶺議員、社民党の東門議員が質問に立ちましたが、明確な反
対の立場表明はなく(衆議院TV http://www.shugiintv.go.jp/top.cfm で映像が
みられます)、26日(金)には採決されることで合意にいたったといわれます。

 サイバー犯罪条約は、欧州評議会で2001年に協定されたものですが、まだ批准
した国はアルバニア、クロアチア、エストニア、ハンガリーのわずか4ヵ国で、
発効に必要な5ヵ国に達していません。それだけ、この条約を批准するまで各国
は慎重な対応をしているということなのですが、日本は十分な議論なくやたらに
焦っているわけです。

 もしこの条約が本当に動きはじめたらどうなるでしょうか?サイバー犯罪とし
ては、違法アクセス、違法傍受(盗聴)、データ妨害などの行為の他、内容面で児
童ポルノや著作権侵害を含むものなどがあげられています。この犯罪の規定が曖
昧で、たとえばサイバーデモのように特定のホームページがダウンするような意
思表示の仕方がありますが、こうしたものも「犯罪」の対象になり得ます。

 より問題なのは、捜査の手続きです。たとえば犯罪に関連したデータが隠滅さ
れるおそれがある場合、データの応急保全を求めることができるとあります(16
条)。コンピュータのデータはいつでも簡単に消去可能ですから、ほとんど全て
の場合、令状抜きでこのような強制捜査ができてしまうことを意味しています。
また、捜査機関が必要な場合は、データそのものを捜索・押収できるだけでなく、
コンピュータ・データをリアルタイムで収集・傍受したりすることができるよう
になります。これは捜査機関の情報収集能力を肥大化させる一方で、通信の秘密
やプライバシーなどの基本的な権利に対する重大な脅威となることは明らかです。

 こうした根本的な議論がなされないまま、国会で議論が進んでいることを憂慮
します。またマスメディアも、なぜ沈黙しているのか理解に苦しみます。いま起
きているのはなし崩し的な監視権力の肥大です。どうやったらこれを食い止めら
れるのか、私たちは自らの問題として考える必要があります。

[3]***********************************************[メディア・ウォッチ]

       ■ 広報支援部隊(註:変換ミスではありません)の作り方 ■
       ───────────────―――───―───────
                                  鈴木香織(メキキ・ネット事務局)

                         【 】引用 《 》出典    日付はすべて日本時間

 防衛庁とメディアの間で3月11日、「イラク取材ルール」が合意されました。
【防衛庁は、メディア問題での記者会との交渉過程を途中経過で報道しないでほ
しいと強く要請した《『創』4月号「イラク取材で報道規制に屈した大手メディ
ア」浅野健一・同志社大学教授》】、つまり「大本営発表の取材ルール」です。
これまでの流れを整理しました。

去年11月【防衛庁に常駐する報道各社でつくる防衛記者会が、イラク取材にでき
るだけ対応するよう、防衛庁に要望《朝日1/17》】し、12月に【防衛庁は、現地
でのフリーフィングや宿営地への立ち入りなど、可能な限り取材に応じたいとの
基本姿勢を示した。《同》】

1月8日午後、【陸上自衛隊朝霞駐屯地で、イラク現地での取材を予定する報道陣
に前例の無い体験訓練《朝日1/9》】【防衛庁記者クラブ加盟の報道機関に所属
する、新聞社やテレビ局の記者・カメラマンの諸氏…その数、104人。…雑誌な
ど記者クラブ以外の取材陣は1人も参加できなかった。それどころか訓練の取材
すら許されなかったのである。《週刊新潮1/22》】 8日夕方【(テレビのニュー
スで知った)福田官房長官が石破長官に『絶対、同行取材なんかさせるな!』と
激怒《週刊文春1/22》】8日深夜【防衛庁が自粛要請の会合開催を知らせてきた
《東京1/10》】

9日、石破防衛庁長官は【新聞、通信、放送各社の報道責任者に対し、派遣の日
程や隊員の安全にかかわる報道を自粛し、現地取材を極力控えるよう申し入れた
《東京1/10》】【首相、官房長官『要請問題なし』《同》】この日の夕方、陸自
先遣隊に派遣命令。

13日午後、防衛庁の【北原厳男官房長が会見し、「1月19日以降の陸海空幕僚長
の会見中止」を通告《週刊文春1/29》】【理由は、a:会見が多すぎる、b:会見見
直しを検討してきた、c:情報のリーク。リークはむしろ文民官僚。《 JAPAN
TIMES 1/16》】現地取材問題で【新聞・放送・通信など報道機関21社で構成する
在京社会部長会と、政治部長会は、防衛庁に再考するよう申し入れた。《朝日
1/14》】

14日夜【防衛庁、定例会見廃止を撤回。1月中めどに協議を提案しつつも北原官房
長は、廃止の意向には変わりが無いとし「可及的速やかに結論を出すためにも、
目標を設定したい」《スポニチ1/15》】

16日、先遣隊がクウェートに出発。イラク入りは下旬とされた。

19日【在京社会部長会は防衛記者会を通じて、防衛庁に取材ルール作りなどを申
し入れた。申し入れは…1月13日付けの在京社会部長会と政治部長会の要請につ
いて防衛庁の見解を示すことなど《朝日1/20》】19日午後4時ごろ、先遣隊が米
陸軍キャンプ・バージニアを出発。【国境付近で長時間待っていた日本の報道陣
に対し、米兵が「先遣隊は駐車場に必ず立ち寄る。インタビューはできないが、
撮影は可能だ」と誘導。連れられた先の駐車場にはピーター・ブロム少佐が現れ、
報道陣に「質問は」と呼びかけた。少佐の説明で、ようやく先遣隊がオランダ軍
の警護のもとサマワに向かうとわかった。《朝日1/21》】

20日、先遣隊はサマワ市に入りオランダ軍の宿営地キャンプ・スミティに到着。
【「防衛庁だまし討ち態勢」イラク到着の第一報は、オランダ軍少佐の携帯電話
に共同通信の記者が電話したところ、唐突にもたらされたものだった「We are
in Iraq now.(われわれは今、イラクにいる)」。隊員の安全確保を逃げ口上に、
派遣先のサマワに到着するまで一切情報を公にしない方針。防衛庁職員に、取材
を受けたら通知するよう秘密裏に文書で通知。断った場合も含む《スポニチ
1/20》】 20日【制服組(軍人)は内局を飛び越して、クウェートの日本人記者
たちに、《自衛隊の統制に従って行動します》と明記した誓約書を書かせていた。
《『創』4月号》】

22日【「防衛庁 記者締め出すドアに5000万円」庁内の防衛、運用、調査担当の
部署のある、すべてのフロアに、自由に出入りできないようインターホン付きの
ドアを2月中に設置する方針《朝日1/23》】【危険招く取材「行なわない」新聞
協会・民放連《同》】

30日【イラク取材暫定立ち入り証 米従軍取材より制約も《朝日2/1》】【要請
だけでは報道を動かせぬとわかった政府・防衛庁が、記者証という取り引き材料
を使って報道管制に一歩を踏み出したといえそうだ。《週刊金曜日2/13》】

3月11日【イラク取材ルール合意 防衛庁と新聞協会など 宿営地、立入証交付。
34面に合意文章抜粋など《朝日3/12》】【この申し合わせは、報道の自由、安全
の確保をいかに両立させるか念頭に先月六日、新聞協会、民放連合同の下部組織
として「イラク取材問題小委員会」を設置し、防衛庁と七回の協議を重ね、まと
められた。《東京3/12》】

....テレビを点けてごらん。ほら、自衛隊の宣伝が。

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 宛先 mekikinet-owner@egroups.co.jp 
                      (16号編集担当・鈴木香織)

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│発行= 2004年3月21日                                              │
│発行所=メキキ・ネット事務局                                      │
│ ホームページ: http://www.jca.apc.org/mekiki/index.html         │
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