オウム国賠 |
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皆さん、こんにちは。オウム国賠の原告信者団です(元信者含む)。私たちはこの度、警察による不当ガサ等に対して、東京地裁に国賠を起こしました。
オウム真理教に対するガサというと、「当然必要なことだ、警察にはどんどんやってほしい」という方もいるかもしれません。しかし、一連の“オウム事件”の捜査が正式に終結したはずの96年3月以降も、全国の信者の住居等で、毎日のように不当な家宅捜索が繰り返されていたことを皆さんはご存じでしょうか。
住民登録の場所が現実と違っているとか、免許証の記載が違っているとか、業務用カッターナイフを持っていたとかいう些細な「事件」で家宅捜索が繰り返され、しかも「事件」とは全く関係のない信者宅までが広くガサの対象とされていきました。その結果、96年6月22日から97年7月15日までの間だけでも、少なくとも、
・捜索を受けた信者住居等 のべ171カ所
・押収された物 パソコンのべ218台/ハードディスクのべ156台/フロッピーディスクのべ6000枚
というガサが行なわれたのです。教団施設から追われ、社会に溶け込んで自活していかなければならない信者にとって、ガサを受けることは大きな痛手です。
近隣からの白眼視、取引先・就職先との亀裂、大家からの退去要求、生計を立てるために必要な道具の押収……などなど、信者の生活にダイレクトに悪影響が生じます。また、ガサの際に警官から暴行を受けて、肉体的・精神的にひどいショックを得ることも、たびたびでした。
さらに、押収されてやっと返ってきたパソコンが壊れていて動かない、というケースもあります。パソコンを使った仕事で自活をしている信者には、やりきれない仕打ちです。
一連の事件が起きたことだけでも大変な驚きであり、苦悩していた一般信者らは、その後の警察による違法・不当であからさまな生活破壊という追い打ちによって、2度のショックを受けたわけです。いつなんどき警察からまた無法な生活破壊を被るかと思うと、気が気でなりませんでした。
そんなとき、教団とは無関係の人権運動家の方々によって構成されている「オウム裁判対策協議会」から信者に対して、「国賠を起こして警察や国の責任を追及しませんか」という提案が寄せられました。そこで、私たち信者有志が集まって原告となり、97年8月8日、オウム裁判対策協議会が紹介して下さった横浜弁護士会の梅澤幸二郎弁護士らを代理人として、東京地裁に国家賠償請求を提起したのです。また10月2日にも、さらに1件提訴しました。提訴した事件は合計9件。以下にその概要を示します。
この裁判を通じて、少しでも警察や裁判所などの権力のあり方を世に問うことができればと思います。
【なお、アレフ(旧オウム真理教)のホームページの中の「裁判・事件・人権救済」のコーナーもご覧ください。私たち原告の体験談も載っており、事件のことがよくわかるようになっています】
オウム国賠 提訴事件一覧
*以下の事件1〜9の原告代理人は、梅澤幸二郎弁護士他1名です。
*すべて一審で係争中です。
事件その1 傷害・脅迫容疑デッチ上げ不当ガサ事件
●原告 潟Aレフ(信者経営の会社)
●被告 愛知県・国
●事件の概要(傷害容疑デッチ上げ不当ガサ事件) 兄弟喧嘩で兄の信者が弟の信者を殴ったことを指して、愛知県警が「傷害」とし、96年6月27日、喧嘩とは全く関係のない潟Aレフ名古屋支店にガサをかけ、大量の名簿類を押収したというものである。警察は、「大丈夫だ」という弟の意思に反して、弟を無理やり病院に連れていくなどしており、名古屋支店にガサをかけるための口実を強引に作り上げたことが明白である。
●事件の概要(脅迫容疑デッチ上げ不当ガサ事件) 潟Aレフ名古屋支店に突然来なくなった信者を心配して家の前まで訪ねていった女性信者2名が、その信者の父親から一方的な暴行を受けたのにもかかわらず、なぜか自分たちが父親に「脅迫」を行なった犯人とされ、97年5月16日、愛知県警によるガサを受けたというものである。
●提訴の内容 97年8月8日に東京地裁に提訴。違法な令状請求と捜索差押を行なった愛知県警(愛知県)と、その令状を発付した裁判官(国)の責任を追及し、損害の賠償を求めている。
事件その2 犯人隠避容疑デッチ上げ不当ガサ&暴行事件
●原告 O.A.(元出家信者)・S.M.
●被告 東京都・国
●事件の概要 96年11月14日、オウム真理教逃走信者・Y.Z.が逮捕される直前に、原告Oが逃走信者の逃走を支援しているとして、警視庁によってガサを受けたというものである。しかし原告Oは、逃走支援には一切関与しておらず、全くの濡れ衣である。さらに同月19日、原告Oの友人であるというだけの理由でガサを受けた原告Sは、何ら抵抗していないのにもかかわらず、捜査官によって殴る蹴るの甚だしい暴行を受けた。
●提訴の内容 97年8月8日に東京地裁に提訴。違法な令状請求と捜索差押を行ない、かつ暴行を行なった警視庁(東京都)と、その令状を発付した裁判官(国)の責任を追及し、損害の賠償を求めている。
事件その3 殺人未遂容疑こじつけ不当ガサ事件
●原告 A.N.
●被告 埼玉県・国
●事件の概要 元在家信者が警官に切りつけたとされる事件の捜査と称して、埼玉県警が、96年9月24日、事件とは全く関係のないことが明らかな教団阿佐ヶ谷道場にガサを行ない、関係のない物を押収した。原告Aはその際、私物を押収された。
●提訴の内容 97年8月8日に東京地裁に提訴。違法な令状請求と捜索差押を行なった埼玉県警(埼玉県)と、その令状を発付した裁判官(国)の責任を追及し、損害の賠償を求めている。
事件その4 北沢署“商売道具”不当押収事件
●原告 N.K.
●被告 東京都・国
●事件の概要 信者の虚偽住民登録に関する捜査と称して、警視庁が、96年10月22日、事件とは全く関係のない原告Nの住居を捜索し、デザイナーである原告の仕事に必要不可欠なグラフィックデザイン用パソコン類を押収したものである。原告は被疑者とされた信者の名前を聞いたことがあるくらいで、面識はなく、当然被疑事実とは全く無関係である。
●提訴内容 97年8月8日に東京地裁に提訴。違法な令状請求と捜索差押を行なった警視庁(東京都)と、その令状を発付した裁判官(国)の責任を追及し、損害の賠償を求めている。
事件その5 光が丘署“商売道具”不当押収事件
●原告 H.T.・M.Y.(両名とも元出家信者)
●被告 東京都・国
●事件の概要 元出家信者の虚偽住民登録に関する捜査と称して、警視庁が、96年11月1日、被疑事実とは無関係の原告HとMの住居を捜索し、両名の自活のために必要な原稿執筆用のパソコン類を押収して、原告らの生活に重大な悪影響を与えた。
●提訴内容 97年8月8日に東京地裁に提訴。違法な令状請求と捜索差押を行なった警視庁(東京都)と、その令状を発付した裁判官(国)の責任を追及し、損害の賠償を求めている。
事件その6 西新井署住民票容疑濫用不当ガサ事件
●原告 T.T.・U.Y.
●被告 東京都・国
●事件の概要 警視庁西新井署が、96年10月11日、信者Mの虚偽住民登録に関する捜査と称して、被疑事実とは全く無関係の原告Tの住居を捜索した。同署は、この信者Mに関する被疑事実を濫用して、被疑事実とは明らかに無関係な信者宅多数を捜索しており、その足は遠く名古屋にまで及んでいるほどである。また同年9月11日には、同じく警視庁西新井署の指示によって、原告Uの住居が、同人の留守中に捜索を受け、被疑事実と無関係な物が押収された。
●提訴内容 97年8月8日に東京地裁に提訴。違法な令状請求と捜索差押を行なった警視庁(東京都)と、その令状を発付した裁判官(国)の責任を追及し、損害の賠償を求めている。
事件その7 ガサ警官暴行傷害事件
●原告 I.Y.
●被告 東京都
●事件の概要 96年9月24日、捜索に来た警視庁の機動隊員が、違法な捜索に抗議した無抵抗の原告Iに対して暴行を加え、出血をともなう傷害を負わせた。
●提訴内容 97年8月8日に東京地裁に提訴。暴行を行なった警視庁(東京都)の責任を追及し、損害の賠償を求めている。
事件その8 検問警官暴行事件
●原告 O.K.
●被告 東京都
●事件の概要 97年2月8日、原告Oが、住居の前で検問を行なっていた警視庁警察官から暴行を受けた上、「人殺し!」などと罵倒された。
●提訴内容 97年8月8日に東京地裁に提訴。暴行を行なった警視庁(東京都)の責任を追及し、損害の賠償を求めている。
事件その9 オウムHP潰し不当ガサ事件
●原告 M.K.
●被告 東京都・国
●事件の概要 農水省のホームページ上の公開掲示板にオウム真理教を中傷するイタズラ書きがなされた事件について、オウム真理教信者の犯行である疑いがあるとして、警視庁が、97年9月15日、電子計算機損壊等業務妨害容疑に基づき、オウム真理教のホームページに関係する場所と物に対してガサを強行した。その狙いが、オウム真理教のホームページ潰しにあったことは間違いなく、インターネットにおける言論の自由に対する重大な侵害である。原告Mは、このガサによってその所有物等を押収された。
●提訴の内容 97年10月2日に提訴。違法な令状請求と捜索差押を行なった警視庁(東京都)と、その令状を発付した裁判官(国)の責任を追及し、損害の賠償を求めている。
番外編 公妨デッチ上げ不当逮捕事件
上にご紹介した一連の不当ガサ国賠以外にも、実は信者が個人的に頑張っている国賠がもう1件あります。実はこの国賠は、「人権110番」の千代丸健二氏が支援して下さっているのですが、関連情報としてここでご紹介させていただきます。
●原告 Y.Y.
●被告 東京都他2名
●事件の概要 96年8月7日、東京都江東区の路上で、警視庁の公安警察官が信者・Yさんに暴行を加え路上に転倒させた。Yさんは路面で後頭部を強打し一時意識不明になり、その後しばらく後遺症に悩まされ続けるほどの傷害を負ったのだが、その警察官はYさんが路上に倒れるのと同時に自分も転倒して、あたかも自分がYさんに転倒させられたかのように偽装。すかさず同僚の公安警察官がYさんを「公務執行妨害の現行犯」としてデッチ上げ逮捕した。いわゆる「転び公妨」である。Yさんはその後警視庁城東警察署に勾留されたが、偶然にも一部始終をビデオ撮影していたフリージャーナリストがそのビデオを検察庁に提出したため、Yさんの無実が証明され、急きょ釈放された。なお、事件の詳細やYさんらの体験談は、■オウム真理教のホームページ■の「AUM6 裁判」のコーナーに、「公妨デッチ上げ不当逮捕事件 国賠訴訟、ただいま進行中!」として掲載されているので、ぜひご覧のほどを!
●提訴の内容 96年11月19日に提訴。違法なデッチ上げ逮捕と暴行・傷害行為に対する損害の賠償を東京都と2人の公安警察官に求めている。
※お問い合わせ先 オウム裁判対策協議会 TEL:03-3431-1183 FAX:03-3431-5955