Date: Sun, 26 Dec 1999 01:50:08 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 2207] チェチェン難民
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ジャーナリズムに見捨てられた難民が数ある中でも、チェチェン難民はその最たる
人々に含まれるのではないかと思います。
1994年〜1996年のチェチェン紛争では、ロシア側六千人、チェチェン側十
万人の犠牲があったと言われ、犠牲者の多くは民間人でした。ロシア軍に逮捕され
たまま、いまだに行方不明の人もいます。

300年にもわたるロシアの支配とチェチェンとの不幸な関係を、「イスラム国家
建設の独立闘争」などで片づけるのは乱暴ですが、今回の紛争は、八月にチェチェ
ンのイスラム武装勢力が隣のダゲスタン共和国に侵攻、イスラム国家の樹立を宣言
したのがきっかけとされています。それをどこが仕組んだかは分かりません。チェ
チェンの唯一合法的な政府のマスハドフ政権は関与を否定し、テロ行為を批判して
います。

そして寺沢潤世さんのお話では、ダゲスタンで武力衝突があった時に、チェチェン
の国際人権委員会がリーダーとなって、紛争を平和的に解決するために、グロズヌ
イからダゲスタンの国境に向けて平和行進がありました。それに呼応してダゲスタ
ンの民衆もマカチカラからチェチェン国境に向けて平和行進を行いました。それを
支持する署名だけでも三千名ぐらい集まり、それをマスハドフ大統領も支持しまし
た。しかしこのダゲスタン問題を平和的に解決しようとする一般民衆の非暴力の行
動を、ロシアの報道も世界の報道も一行たりとも報道しませんでした。

チェチェン国内でも15万人が住居を失い、イングーシ(34万人)では20万人の難
民が凍りつくような状況で生活しているという情報があります。難民が暮らす地域
はロシアでも最も貧しいところです。国境を越えた人々は財産のすべてを失い、生
きてたどり着くことだけで幸運なのです。老人や病人、子どもたちなど動けなくて
残された人々は、空腹と寒さの中で無差別攻撃にさらされています。

先の紛争時との大きな違いは、民族紛争あるいは宗教紛争というイメージを濃く
し、愛国心のもとで、ロシア内の反戦意識が抹殺されていることです。

 96年に偽りの「和平合意」で紛争が終わったとき、チェチェンの国土と市民の
生活機能はすべて破壊されていました。しかし、ロシアは国際援助団体がチェチェ
ンに入ることを妨害し、復興の手だてを奪い、世論操作・情報操作を駆使して国際
社会から、チェチェンを孤立させ続けてきたといいます。そこに犯罪者が送り込ま
れ、武装集団が生まれ、追い詰められる中で宗教も先鋭化していきました。武器が
どこから持ち込まれたかは分かりません。

これらは日本軍が中国の地を侵略し、生活手段のすべてを奪い、人間の生活を不可
能にさせ、日本人に同化させようとした残虐行為を思い起こさせます。
ロシア政府はチェチェンからの避難民を移民(migrants)とし、難民(refugees)と
表していません。
 
 延べにして、数百人の外国人やロシア人が、犯罪者たちに誘拐されたために、外
国人はほとんどチェチェンに入ることができず、停戦直後に、国際赤十字の職員た
ちが機関銃で襲われて殺さた後は、国際NGOは全部手を引きました。これらが、だ
れの手でなされたかは不明のままです。
 
 ヨーロッパ各国は、この紛争は決して武力では解決されないとして、ロシアに対
し、人道的支援団体を受け入れ、カフカスの何十万人にも上る難民の支援に当たら
せるよう、またチェチェンでの軍事行動の規模を縮小するよう、繰り返し求めてい
ます。しかし、これとてもいつ、「正義の戦争」のベースにすり替えられるか分か
りません。各国家は自国の「国益」の観点から判断しているだけあり、チェチェン
市民の人権を尊重しているのではないからです。

 ひるがえってこの国の政府は、またもや高みの見物をきめこんでいます。そのう
ちこの地球からつまみ出されるんではないかと思います。そしてその裏でなにをた
くらんでいるかわかったものではありません。「地域紛争」に住民虐殺の最大のス
ポンサーの役を果たし、ティモールでは、人権侵害に荷担してひんしゅくをかい、
その上PKO派遣の実績をつくって自衛隊員を兵隊に仕立て、侵略・支配の機会を
窺っています。

 チェチェン紛争の真実は、30年、50年先を待たなければ知ることはできない
でしょうが、今明らかなことは、チェチェン市民が生命と財産を奪われ、餓えと寒
さと病気に苦しんでいること、市民はだれ一人戦争を望んでいないこと、すべての
人が生まれ育った地で主権を持って暮らす権利があること、戦争で利益を得ようと
している者のために、武器を持たされたロシア兵やテロ集団が虐殺と無駄死にを強
要されていること、そのような人間を生んで育てようとした親はひとりもいないと
いうことです。

 身近な世界人権宣言や子どもの権利条約などに照らしただけでも、国益のための
「正当な」武力行使もその黙認も人権を侵害する不当行為です。

情報が錯綜する部分もありますが
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ロシアの下院(定数四五○)は五月十五日、チェチェン紛争の責任などエリツィン
大統領に対する五つの訴追項目について弾劾手続き開始が妥当かどうか採決、いず
れも賛成票が可決に必要な定数の三分の二(三百票)に達せず否決。【モスクワ5
月15日共同】

 タス通信によると、ロシア連邦ダゲスタン共和国の村を、チェチェン共和国から
7日に越境してきた約2000人の武装勢力が占拠、ロシア側が武装勢力をミサイ
ル攻撃し、激しい交戦となった。武装勢力側に死傷者が出たとの情報もある。イン
タファクス通信は、
ロシア側が8日、総攻撃の実施を決定したと伝えている。【モスクワ8月8日共
同】  

 インタファクス通信によると、ロシア・チェチェン共和国のマスハドフ大統領は
15日、隣接するダゲスタン共和国の村を占拠するチェチェンのイスラム系武装勢
力とロシア連邦側部隊の間で戦闘が激化しているため、16日午前零時(日本時間
同5時)からチェチェン共和国内への1カ月間の非常事態導入を宣言した。ロシア
側が13日に武装勢力集結地点のチェチェン領内を空爆【モスクワ8月15日共
同】

 ロシアのルシャイロ内相は13日のロシア独立テレビで、同日モスクワ南部で起
きた住宅爆破テロは、ロシアからの独立を掲げるチェチェン共和国のイスラム武装
勢力の犯行と断定。モスクワのルシコフ市長は、住宅爆破テロに関連し2人を拘束
して取り調べ中と述べたが、具体的な言及を避けた。【モスクワ9月14日共同】

 モスクワなどの連続住宅爆破事件で、米国とロシアが捜査官派遣など捜査協力に
乗り出すことが十八日、明らかになった。国内治安体制の立て直しを急ぐロシア
と、同勢力への対策を狙う米国の利害が一致した結果とみられる。【モスクワ9月
18日共同】

 インタファクス通信などによると、ロシア連邦軍は24日、ロシアからの独立を
主張するチェチェン共和国の首都グロズヌイの工業地域などへの空爆攻撃を激化。
グロズヌイへの本格的空爆は1994−96年のチェチェン独立紛争以来。プチン
首相は24日、強硬方針を確認。【モスクワ9月24日共同】

 フランス・アンフォ放送によると、ロシア南部チェチェン共和国の北西部で1
日、ロシア連邦軍とチェチェン武装勢力が戦闘、連邦軍に10人の死者が出た。武
装勢力の被害は不明。初の本格的な地上戦。同放送によると、約100人の連邦軍
部隊が、共和国国境から20キロ入ったナウルスカヤ地区で武装勢力と交戦。【共
同10月2日(パリ共同)】
 
 ロシアのエリツィン政権は12日までに、チェチェン共和国に対しガス、電気の
供給停止による本格的な経済封鎖に踏み切った。隣のイングーシ共和国への避難民
やグルジアへの難民は15万5000人に達し、「チェチェン武装勢力だけが敵」
との連邦政府の公式見解とは裏腹に、市民生活も破壊され始めた。食料や薬の不足
に苦しむ避難民は厳しい冬に向け、不安を募らせている。【モスクワ10月12日
共同】
 
 ロシア南部チェチェン共和国で攻撃を続けるロシア連邦政府軍は三十日、チェ
チェン各地で激しい空爆、砲撃を行った。この日の空爆は首都グロズヌイでも行わ
れ、四日連続。二十九日には西側メディアが、ロシア空軍機が、共和国西部のサマ
シキ付近で避難民の車列を空爆、数十人の死者が出たと報じたが、ロシア軍側は空
爆したのは、武器を積んだチェチェン武装勢力の車列だったとして「誤爆説」を全
面否定。【モスクワ10月30日共同】

ロシア軍が攻撃を続けるチェチェン情勢をめぐり、ロシア軍当局者が共和国全土の
制圧方針を初めて明確にした。制圧を目指す時期については触れなかったが、軍が
戦域を拡大させれば戦闘の一層の激化が予想され、米国など西側の反発も高まりそ
うだ。【モスクワ共同11月3日】
 
 アナン国連事務総長は十三日、ロシアのプチン首相とチェチェン情勢について約
二十分間電話会談し、緒方貞子国連難民高等弁務官のロシア訪問を受け入れて避難
民への人道援助について協議するよう要請、首相はこの提案に同意。また事務総長
はロシア軍の軍事作戦で多くの民間人が被害を受けていることに懸念を表明。十八
日からイスタンブールで開催される欧州安保協力機構(OSCE)首脳会議でも
チェチェン紛争の人道問題について首相と個別に協議するよう提案。【モスクワ共
同11月13日】

ロシアは先月イスタンブールで開かれたOSCE首脳会議でチェチェン問題に関す
る視察団の派遣に合意したものの、受け入れ時期は先送りしていたが、ロシアのイ
ワノフ外相は4日、チェチェン共和国への視察団派遣を求めている全欧安保協力機
構(OSCE)のボッレベック議長(ノルウェー外相)に対し、今月14日と15
日に北カフカスを訪問するよう提案したことを明らかにした。
ただしイワノフ外相はボッレベック議長の訪問先を「北カフカス」とだけ指定して
おり、実際にチェチェン入りを認めるかどうかについては言及していない。
 [毎日新聞12月5日【モスクワ5日】]

 ロシアのイワノフ外相は四日、チェチェン情勢に関して欧州安保協力機構(OS
CE)が求めている議長国ノルウェーのボッレベック外相らの北カフカス地域視察
の日程として、十四、十五両日を提案したと表明。タス通信などが、モスクワ市営
TVセンターの番組で述べた発言として伝えた。オスロ発のロイター通信による
と、ボッレベック外相もロシア側提案について「満足している」と述べた。【モス
クワ12月5日共同】

ロシア軍はチェチェンの首都グロズヌイの住民に対し、5日間のうちに退去する
か、さもなくば完全攻撃の対象となる、と通告。
ロシア軍が空からビラを撒き、
「連邦軍司令部は最後のチャンスを与える。12月11日まではPervomaiskoye村への
安全な通路が確保される」
「グロズヌイに残る者はすべてテロリスト、反逆者(bandits)と見なし、砲撃と
空爆によって壊滅する」
さらにビラは、グロズヌイを去る者には住居、食糧、医療、そして「最も大切なも
のとして生命」の保証が与えられるとしている。
チェチェン当局によると、約5万人がまだグロズヌイに残っているという。
しかしロシア側はこの数字を否定し、グロズヌイはほぼ完全に独立派戦闘員に占拠
されているとしている。
ロシア軍Valery Manilov司令官によれば、残っているグロズヌイ住民は1000名に満
たず、彼らは「人間の盾」として留まらせられているという。
ロシアの軍事行動開始から10週間が経ち、約22万人のチェチェン人が祖国を逃れて
いる。
ロシアの最後通告は、グロズヌイを出られずにいる市民が餓死する恐れがあると人
権監視員が警告したときに発せられた。
Human Rights Watchによると、グロズヌイ周辺で続く激しい戦闘のため、食糧はほ
とんど尽きているという。
「状況は非常に危機的だ。2、3日、2、3週間のうちに餓死する恐れがある」と
Marie Struthersスポークスウーマンは語った。
「食糧事情および人道的状況は悲惨なもので、グロズヌイは食糧が尽きてしまう。
ほとんどパンもない状況だ。水道からの飲料水を得るため、4〜5kmも歩かねばなら
ないという報告もある」
Human Rights Watchはさらに、グロズヌイを出ようとする人々が絶えず攻撃の脅威
にさらされているという。
チェチェンのマスハードフ大統領によれば、チェチェン戦闘員らはロシア軍を山岳
部でのゲリラ戦へ引き込むつもりだという。 [1999/12/06 - BBC News]

 ロシアのエリツィン大統領は9日、江沢民・中国国家主席との非公式首脳会談の
ため、2日間の日程で中国を訪問。中国外務省の章啓月副報道局長によると、首脳
会談ではロシア連邦軍の攻撃が続くチェチェン共和国情勢も議題に上る予定。江主
席は、チェチェン紛争をめぐり西側諸国がロシアを批判していることを踏まえ、ロ
シア政府に対する「理解と支持」を表明する見通し。「世界の多極化」の推進で一
致する両国が、米国の「一極支配」をけん制し、新たな国際秩序を模索するとみら
れる。【北京12月7日共同】

 ロシア軍がチェチェン共和国の首都グロズヌイの住民に、11日までに退去を求
める最後通告を出したことに対して、欧米諸国が”反ロシア包囲網”
国際通貨基金(IMF)が7日、対露融資の延期を決定、北大西洋条約機構(NA
TO)のロバートソン事務総長とクリントン米大統領の会談で、民間人への攻撃を
避けるよう警告。ロシアのルシャイロ内相は住民の脱出期限を11日以降に延長す
る方針を示唆するなど、ロシア側に再検討する動き。
 【ワシントン12月7日】 

北大西洋条約機構(NATO)のロバートソン事務総長は、チェチェンでのロシア
の軍事行動を「不器用」と表現し、多数の民間人を巻き込む攻撃は「不適切であり
容認できない」との見解を改めて示し、ロシア軍が、グロズヌイ住民にとって「退
去か死か」を意味する最後通告を突き付けたのは、「ロシア側の事情がどうであろ
うと、受け入れがたい」と強調。
 一方で総長は、チェチェンに関してNATOはいかなる軍事行動も検討しておら
ず、「我々が彼ら(ロシア)に送るのは、敵対ではなく建設的忠告のメッセージ
だ」とロシアの立場に配慮。現在の軍事作戦を改めなければ国際的立場が悪化する
と強調し「ロシアが賢明な忠告に耳を傾けるよう希望する」と語った。

 クリントン大統領は会談後、チェチェン情勢への言及は避けたが、6日の演説で
は、最後通告に基づいてロシアが民間人を巻き込む攻撃に出た場合、「大きな代
償」を支払うことになると警告。
 この発言に関連して、ホワイトハウスのロックハート報道官は8日、現時点での
対露支援の見直しには消極的な見方を示し、「究極的には米国の安全保障上の利害
に基づいて判断する」と述べた。
 [毎日新聞12月8日]
 
 ヘルシンキの欧州連合(EU)首脳会議は10日、ロシア連邦軍によるチェチェ
ン共和国の市民への砲撃や、首都グロズヌイからの退去を命じた最後通告を非難
し、ロシアに対して政治的解決を求める宣言を発表した。宣言は、最後通告を実行
に移さず、市民への無差別攻撃などを停止するよう要求、ロシアが応じなければ、
EUの対ロシア共通戦略を再検討するとしている。しかし、本格的な経済制裁など
実効性のある措置は宣言に盛り込まれず【12月11日ヘルシンキ共同】

ロシアの軍事専門通信社「軍事情報」が、現地の情報筋として、ロシア軍の戦車部
隊がグロズヌイで、武装勢力の反撃を受け、約50人のロシア兵士が死亡したと伝
えた(最初に伝えたとされている)。
 この報道を受け、ロイター、APなど外国通信社が一斉にグロズヌイの衝突を伝
え、特に、ロイターのグロズヌイ特派員はロシア軍部隊が首都中心部のミヌートゥ
カ地区に突入し、戦車など十数両が破壊され、「私は100人以上の死体を見た」
と報道した。
 しかし、この報道に対し、セルゲーエフ国防相は16日、「(ロシア軍の)突入
はなかったし、今後もあり得ない」と否定し、「誰がこのニセ情報を流したのか、
知る必要がある」と反論した。
 また、マニーロフ参謀本部第1次長も「ロシア軍部隊の首都グロズヌイへの夜間
突入はなかった」と明言し、「これは情報ではなく、虚報である」と非難する発言
を行った。
 同次長は、グロズヌイの中心部への戦車部隊の導入はなく、また戦車部隊への攻
撃の事実もないと説明し、「グロズヌイおよび他の都市の解放にあたっては、大量
爆撃および突入攻撃はあり得ないし、今後もそのような軍事作戦は考えていない」
と付け加えた。
 また、北カフカス軍管区第58軍司令部は、15日夜から16日にかけてはグロ
ズヌイ近郊で、一部部隊が移動を行ったにすぎないと説明している。
 最初に衝突情報を流した「軍事情報」社は「われわれは首都突入のニュースを流
した事実はない」と述べ、「完全包囲されているグロズヌイの近郊で衝突事件が
あったとの情報を流しただけ」と説明、さらに、この情報は現地現司令部筋は否定
していると付け加えた。                  [毎日新聞12月
16日]

13日の衆院沖縄・北方問題特別委員会で
河野外相「ここ一両日の動きは、われわれにとって極めて、心配な状況だ」「(日
本政府の対応は)テロに対しては毅然とした対応が必要だが、一方で、人権問題も
ないがしろにできない。ロシア当局に適切な判断をして欲しい」
政府筋「人権を国家主権よりおもく見る立場からロシアの侵攻を非難する欧米各国
と、国家主権を重視してロシアを完全に支持する中国のはざまで、中間的なスタン
スをとっている」
外務省筋「(北方領土問題があり)チェチェン問題でロシアを刺激したくない」
外務省幹部「(日本は来年1月からサミットの議長国になる)仮に一般市民の犠牲
が大きくなるなど、事態が深刻化した場合は、日本政府の姿勢は『心配』だけにと
どまっていられないのではないか」
             [読売新聞12月14日]

 主要8カ国(G8)外相会議出席のためベルリンを訪問中の河野洋平外相は16
日夜(日本時間17日未明)、ロシアのイワノフ外相と市内のホテルで会談した。
 河野外相は、ロシア軍の進攻で緊迫するチェチェン共和国情勢に関連し、多数の
犠牲者や避難民が出ている状況に対して「報道で見る限り、人道的観点から心配せ
ざるを得ない状況になっている」との懸念を伝え、「一般市民の被害がないよう一
刻も早い政治解決を期待している」と述べた。

 イワノフ外相は「チェチェンのテロリストは重装備の戦闘員。テロリストによる
犠牲者に比べれば、ロシア軍の進攻による犠牲者の数は少ない」と当面は攻勢を緩
める考えのないことを強調。「チェチェンに住むのはロシア国民であり、今後も住
み続ける国民を守るのはロシア政府の義務だ」と述べた。
[毎日新聞12月17日【ベルリン16日】]

 タス通信によると、ロシア南部チェチェン共和国の首都グロズヌイの包囲を続け
る連邦軍のクワシニン参謀総長は十九日、連邦軍側が共和国のマスハドフ大統領側
の代表団と初めて会談したと言明。「首都の解放は数日中」とする連邦軍は、首都
制圧作戦の最終段階を前に、チェチェン側との交渉でイスラム武装勢力の降伏と住
民の脱出などについて要求を突き付けたものとみられる。【モスクワ12月19日
共同】

インタファクス通信によると、ロシア連邦軍が包囲しているチェチェン共和国の首
都グロズヌイの南部近郊で21日、包囲網の突破を試みた武装勢力とロシア軍が交
戦。武力勢力の兵士約60人と、ロシア兵8人が死亡。ロシア軍によると武装勢力
側は総勢250〜300人。
ロシア軍は今月4日首都包囲を宣言。

 英BBC放送は、20日、チェチェン共和国で、住民41人が連邦軍兵士に虐殺され
たとする地元住民の具体的な証言を初めて報道。虐殺現場は連邦軍が包囲している
首都グロズヌイから数キロ南西の村アルハンユルトで、連邦軍が大規模な空爆で村
を破壊した後、兵士らが住宅に残留する住民の首を切断したり、避難所となってい
た地下室に手榴弾などで次々と虐殺していったとした。
 インタファクス通信によると、連邦軍当局者は「いつものデマか、挑発行為」と
強く否定。
[さきがけ【モスクワ21日共同】、朝日【モスクワ20日AFP時事】12月2
2日]

 ロシア検察庁カフカス支部は21日、チェチェン共和国ナウルス地区ミケンスカ
ヤ村で、ロシア系住民34人がチェチェン人兵士に射殺されたと告発、尋問のた
め、マスハードフ・チェチェン大統領に出頭を求めた。  
 これに対し、モスクワ駐在のユスポフ・チェチェン共和国代表は、マスハドフ代
表は事件に関与しておらず、検察庁の尋問に応じることはないと語っている。
[毎日新聞 12月23日【モスクワ21日】]

  米輸出入銀行は21日、(当面の間)ロシアのチュメニ石油会社に対する総額
5億ドルの新規融資の凍結すると発表。オルブライト米国務長官が「融資を承認し
ないことが、米国の国益に合致し、対ロシアを進めることになる」と書簡で異例の
介入をした結果、同役員が決定。
国務省「ロシアの商取引の不透明さや法の不備が、凍結を求めた理由」
ロックハート米大統領報道官「ロシア側は今回の決定をチェチェン問題と絡めて受
け取るべきではない」
[朝日新聞12月23日【ワシントン21日】]
 
  タス通信によると、ロシア連邦軍司令部筋は25日未明から首都掃討の本格的
作戦が開始されたと説明。
 また同筋は、この作戦は武装勢力と直接対決する総攻撃ではなく武装勢力をから
めとる作戦で、数日中にマスハードフ・チェチェン共和国大統領の住居にロシア国
旗がひるがえると説明している。
 一方、インタファクス通信によると、チェチェン共和国側のイスマイロフ副司令
官は、首都南部のチェルノレチエ地区で衝突があったほか東部のハンカラ地区から
も連邦軍が進出するなど各地で激しい戦闘が繰り広げられ、絶え間ない砲撃を受け
ていると語った。連邦軍が煙幕を張って装甲車部隊などを進出させ、チェチェン側
は苦戦で多数の死傷者が出たと認めている。
 チェチェン側はチェチェン総攻撃の開始と見ているが、現在行われている戦闘は
チェチェン武装勢力側の根拠地と防衛能力の偵察である可能もある。
[毎日新聞12月25日【モスクワ25日】]



 
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