AWACS(空中警戒管制機)は早々と配備したものの、「空中給油機導入」は、
モッタリマケタリ(共通語では出したり引っ込めたり、かな)した末、安全保障会議の
開催を中止。それに合わせて報道も「迷走」
あきらめたわけではありませんが、日本の「後方支援」を期待している米軍も残念がっ
ていることでしょう。
「滞空時間が延びる」ったって、リモコンで操作するわけじゃなし。パイロットの身
が持たないって。何で必要なのかも、何で不要なのかもわからないで「議論」するから
コワイ。
政府は十日、空中給油機を導入する方針を固め、与党側との最終調整。
空中給油機は戦闘機の滞空時間、航続距離を大きく延ばすことから「他国領土の攻撃
を可能とし専守防衛を逸脱する」(野党幹部)との批判が根強く、来年の通常国会で予
算案審議の焦点になるのは必至で、中国など周辺諸国が反発する可能性もある。
防衛庁は来年度予算案への必要経費計上を目指し、八月下旬の安保会議で「今年中に
結論を出したい」と検討を要請。政府部内、与党側との折衝で(1)滞空時間が延びる
ことで戦闘機が空中で敵機を待ち受ける空中警戒待機(CAP)作戦が可能となる
(2)訓練の離着陸が減り騒音対策になる(3)輸送機としても活用できる―と説明し
てきた。
政府は自民党が十日の国防関係三部会で導入を決議したことなどから「安保会議決定
の環境は整った」(防衛庁幹部)と判断。
防衛庁は当面、四機体制を目指しており、二○○一年度以降も順次発注。一機目を二
○○三年度に導入し訓練を経て二○○五年度以降に実戦配備する計画。
ただ自民、公明両党の一部に慎重論があり、給油機経費を盛り込んだ防衛費の閣議決
定をめぐってなお流動的要素もある。
(共同12月10日)
防衛庁は10日、2000年度予算案で空中給油機能付きの大型輸送機(空中給油機)の導
入経費を要求する方針。14日にも開く安全保障会議(議長・小渕恵三首相)で了承を得
る。同庁は来年度から1機ずつ、4機の導入を予定。1機分の経費は約200億円。与党内
には「専守防衛を国是とする日本に空中給油機は必要ない」と導入を疑問視する向きも
あり。
現行の中期防衛力整備計画(96-2000年度)は「空中給油機能に関する検討を行い、結
論を得、対処する」と明記。
(日経12月10日)
政府は10日、防衛庁が来年度予算の概算要求を見送った空中給油機について、今月
14日に安全保障会議を開いて1機分の追加要求を了承することを決めた。空中給油機
は、1機の価格が200億円を超えるため、代わりに9機分1133億円を概算要求し
ている支援戦闘機F2の機数を7機に減らす方針。 (毎日12月10日)
自民、公明、自由の与党三党は九日、国会内で政策責任者会議を開き、航空自衛隊へ
の空中給油機の導入について協議。空中給油機については防衛庁が二〇〇〇年度予算案
に導入費用を追加要求する方向で調整を進めているが、公明党が慎重な姿勢を示したた
め結論を出せず、週明けに改めて協議することになった。自民党は十日の国防関係部会
で来年度予算での導入を決議し、首相官邸や大蔵省に申し入れをする予定。
公明党「党内での同意が得られていない」
自民党の亀井政調会長「空中給油機がなぜ必要なのか分からない」。背景には、空中給
油機について「戦闘機の行動範囲が広がり、専守防衛の理念に反する」との反対意見が
根強いことがある。
空中給油機の導入は政府の安全保障会議で最終決定することになっており、早ければ
十四日にも安全保障会議が開かれる見通しだが、与党協議の状況次第で開催時期がずれ
込む可能性も強い。
自民党は十日の国防関係部会で、二〇〇〇年度予算案に航空自衛隊への空中給油機導
入を盛り込むよう政府に求める決議を行った。「国の安全を確保する上で、空中給油機
の導入をこれ以上遅らせることはできない」。政府は十四日にも安全保障会議を開催
し、結論を出す方針。
(読売12月10日)
瓦防衛庁長官は13日、自民党の亀井政務調査会長と会談し、空中給油機を導入すれ
ば、戦闘機などの空中での待機時間を延ばすことができ、燃料の節約や基地周辺の騒音
の低減にもつながるなどと説明したうえで、14日開かれる予定の政府の安全保障会議
で、防衛庁として、来年度予算案に空中給油機の導入経費を追加要求する方針を示す考
えを伝え、理解を求めた。
これに対して、亀井政調会長は、与党内には導入に否定的な意見もあることを伝え、
慎重な対応を求めた。[1999-12-13-12:19]
防衛庁の江間事務次官は、記者会見で、ほかの航空機に空中で給油できる機能を持つ
空中給油機の来年度からの導入に向けて、政府・与党内の理解が得られるよう全力をあ
げたいという考えを示した。「政府全体の検討を踏まえて対応することになるが、防衛
庁としては、できるだけ理解を得るべく引き続き努力していきたい」
[1999-12-13-17:05]
青木官房長官は、午後の記者会見で、「与党三党が合意できなければいけない問題
だ」「与党三党がきっちり合意できなければいけない問題だ。与党間の合意が得られな
ければ、予算措置を取ることは難しく、今、それを見守っているところだ」
[1999-12-13-18:05]
社民党の伊藤副党首らは13日、松谷官房副長官と会い、防衛庁が、空中給油機の導入
を求めていることについて「専守防衛を逸脱することは明らかだ」として、導入しない
よう申し入れ。
松谷官房副長官は「申し入れの内容は、小渕総理大臣に伝えたい」[1999-12-13-19:21]
(NHK全国ニュース12月13日)
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1999年12月13日
小 渕 恵 三 殿
社会民主党
党首 土井 たか子
空中給油機導入に反対する申し入れ
政府は、明日の安全保障会議で、空中給油機の導入を決定しようとしていると、
伝えられている。いうまでもなく、空中給油機の導入問題は、1960年代後半
から何度も国会で議論され、その結論として1973年、F4戦闘機の導入に際
して、田中角栄首相(当時)の決断として、4月10日の国会で(1)空中給油はし
ない、(2)空中給油機は持たない、(3)空中給油機の訓練・演習もしない、と明言
した。そして直ちに、日本が保有するファントム128機から空中給油装置が撤
去されたのである。
そもそも、空中給油機を導入すれば、対地攻撃能力のある戦闘機が、周辺国の
基地まで攻撃する事が可能となり、他国、とりわけアジア近隣諸国に侵略的、攻
撃的な脅威を与えることになる。
わが国の防衛政策の基本方針である「専守防衛」を逸脱することは明白であり、
周辺国の反発や、警戒感を強める事は必至である。あらゆる角度から見ても、こ
れまでの内閣の方針をくつがえして、今、空中給油機を導入する必要は全くない。
社会民主党は、明日の安全保障会議で、空中給油機の導入を決定することを取
り止めるよう、強く申し入れる。
以上
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で、自自公の墜落を回避したか、給油機導入が失速
公明党は13日、導入に反対する方針を決定。これを受けて政府は14日に予定してい
た安全保障会議の開催を中止。自民党内でも亀井政調会長や野中幹事長代理が導入に疑
問を呈しており、来年度予算への計上は見送られる方向となった。
公明党「(導入は)専守防衛の国是に反しないとは言い切れない」
亀井政調会長「政府と与党が対立する構図になるのは良くない」
(毎日12月14日)
こちらは決裂しても連立政権の合意には含まれていないので、連立離脱には絡めないと
のこと
日米防衛指針関連法で原案から削除され、自自公三党で別の立法措置をとることになっ
ていた「船舶検査活動」をめぐる与党協議が決裂。
安全保障プロジェクトチーム座長・久間章生元防衛庁長官「当分の間は削除前の法案通
り、船舶検査の実施を周辺事態に限定する」趣旨の船舶活動法案の制定の提案に自由党
が一三日までに受け入れない方針を固めた。
座長案は国連決議がなくても対象船舶の同意があれば船舶検査が実施できる内容で、警
告射撃は盛り込まれていない。自由は国連決議を実施条件とする条文の削除や警告射撃
を要求。
(毎日12月14日)
なにがどうなろうと軍事費はばっちり確保
0.5%程度の削減では、円高なので、日本の軍事費の水準は国際的にはかえって上昇する
とのこと
大蔵省は2000年度予算案で、防衛費と政府開発援助(ODA)予算を99年度当初予算
の水準から減額する方向で最終調整。防衛費、ODA予算ともに99年度当初比0.2-0.5%
程度の削減を目指す。景気に直結しない分野の歳出を極力削り込むことに。
防衛庁は2000年度予算案の防衛関係費が3年連続でマイナスになれば「自衛隊の士気に
かかわる」(幹部)と反発、「前年度並み以上」にと巻き返しを狙っている。正面装備
の抑制に関しても、中期防衛力整備計画(96-2000年度)の達成が不可能になるとして抵
抗。
防衛庁は一般物件費を8月の段階で9527億円としていたが、円高要因などを考慮して8
0
億円程度を削減する予定。一般物件費は99年度までの3年間で560億円を削減しているた
め「これ以上の削減は業務の運営に支障をきたす」
(日経12月12日)
アメリカでは景気のよい企業へ人材が流れて兵隊が集まらず、日本では不景気で自衛隊
募集に黒山の人だかり。
なのにいまだ「思いやり予算」はフリーパス。
米政府は「同盟国の中で最も気前のよい国」と満足げ
(1997年の在日米軍駐留費の日本側の負担は全体の75%−米国防総省)
防衛施設庁は2000年度概算要求に、二千七百五十七億円(99年度予算額は二千七
百五十六億円)
「思いやり予算」は78年4月から、日米地位協定の枠内で、法定福利費(社会保険料
の事業主負担金等)を負担。条約上の義務ではなく、米国が財政赤字で苦しんでいるか
らと「思いやりの気持ち」(金丸信防衛庁長官=当時)で支援。
87年度から従業員のボーナスなどについても日本側が2分の1を負担。91年度から
は従業員の給与や米軍人が使用する光熱費の全額を日本側が負担。
米国が財政黒字に転換した後も、99年度予算で「思いやり予算」に加えて、施設の借
料、基地周辺対策費など合わせて約6千億円を駐留経費として支出。
外務省OB「米国も、財政事情がよくなったから思いやり予算は遠慮したい、とは言わ
ない。日本側から言い出すべき課題だ」
(秋田さきがけ「杉」欄12月13日)
大蔵省は来年度の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を数十億円規模で削減する方
針(14日)。
対象の具体的候補として米軍横田基地の滑走路修繕費など計12施設約110億円分を
防衛施設庁に提示。
防衛庁幹部「財政赤字の免罪符(を得たい)」
防衛施設庁「米軍普天間飛行場の移設問題などを抱えている時に米側を刺激したくな
い」
大蔵省「不況と巨額の財政赤字(国債発行残高334兆円)に悩む日本が、好景気・財
政黒字の米国のための負担する必要があるのか」「日米安保体制への国民の理解と協力
を得るためにも削減は必要」
日本側の経費負担を定めた現行の特別協定は来年度で切れる。光熱費・水道料金・人件
費などは協定に対象だが、米軍の家族住宅などを日本政府が建設する提供施設整備は対
象外。
来年度概算要求は総額2620億円(契約ベース。光熱費・水道料金の全額298億
円、日本人従業員の人件費のほぼ全額1494億円など)
(毎日12月15日)
1兆円とも言われる普天間移設経費、沖縄北部振興に100億円、というのはどうなん
でしょうね。
日本政府の米軍への「思いやり」は、「囚人が看守を雇っているようなもの(朝日)」
だそうですが、すべての「誤解」は日本人の「軍事音痴」からきているようです。
八二年四月、当時のワインバーガー米国防長官は米上院歳出委員会で「海兵隊で日本を
守る必要があるのか」との質問に対し、「沖縄の海兵隊は日本を守るためにいるのでは
なく、西太平洋・インド洋へ展開するために配置している」(朝日12月14日)