Date: Wed,  8 Dec 1999 10:40:01 +0900
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Subject: [keystone 2159] 地方自治法の住民及び滞在者
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 11月6日、秋田市郊外の松林のナンバーのない車の中から、一部ミイラ化し
た男性の遺体が発見された。死後2か月ほどたっていると見られ、車には95年
8月付の給油領収書が残っていることからそれ以降に捨てられたもよう。車内に
は、ペットポトル10本余、スポーツ新聞の切れ端(確認できた最新日付は8月
23日)。車の屋根の上には、トレーナーなどの古着。車の周りにはなべと10
個ほどの食器。運転席のドアの前には約30センチ四方のコンクリート製タイ
ル。その脇には広口の茶色いガラス瓶が置かれ、砂が詰められ線香の燃えかすが
何本も残っていた。

 秋田署は、司法解剖などの結果、病死と断定。
 「行旅病人及行旅死亡人取扱法」により、発見地の秋田市が遺体を引き取り、
9日秋田市の斎場で火葬。職員が火葬に立ち会った後、遺骨を寺に一時保管して
もらい、毎年8月の供養祭に、市の霊園がある平和公園に移す。埋葬費用はひつ
ぎ代などをあわせ1体につき約10万円。秋田市では毎年だいたい2体分を予算
化。秋田市で埋葬した遺体は1941年からこれまで93体。

 法律では、遺体の発見状況などを官報に載せて広く身元を探すことになってい
るが「こちらで取り扱った遺体の身元が分かることは99%ない」(市担当者)
              (朝日11月23日)

 各地に車を住まいとする孤独な野宿者が出てきているようです。
この男性が秋田に生まれた人なのかどうかわかりません。どんな思いで車の中で
亡くなったのかもわかりません。だれの記憶にも留まらず滞在し亡くなりまし
た。しかし少なくとも2か月ほど前、幾日かはわかりませんが、秋田県に滞在し
ましたし、死者として2か月「滞在」しました。

 先には「死ぬ前にふるさとを見たい」と都会からお金もないままタクシーで
「帰郷」した老人がいました。入院しましたが「厄介者扱い」されたようでし
た。しかしまだ入院しているとしたら、秋田県に滞在する一人です。
 

 10月末、独り暮らしの女性が、自宅の庭先で自殺。関係者によると彼女は、
数年前重い病気にかかり、勤め先を辞めた。後遺症で両足が不自由になり、一人
での外出が難しくなった。週に2度ほどホームヘルパーの世話を受け、昨年秋に
は自宅の中まで送り迎えしてくれるホームヘルパーの資格を持ったタクシーの運
転手に出会い、外出ができるようになった。この様子がビデオに残っていて、そ
の中で彼女は「ここまでしてもらっていいのかしら、悪いなあという気持ちでし
た」「ショッピングも楽しくなった。ただ見ているだけでも」と語っている。
ワープロの練習にも熱心で、将来の生活への希望を持っているように見えた。

 しかし少しずつ生きる気力を失っていく。その一つが「ヘルパーさんがもうき
てくれないかもしれない」という不安だった。夏を過ぎたあたりから、周囲の人
に「介護保険中心になったら、ヘルパーさんがきてくれないかも知れない」「自
分は生きていても意味がない」などと漏らすようになり、10月末もヘルパーが
きたが、冬物の衣類を出し入れする気力を失っていた。

 来年4月から介護保険制度が開始される。県はホームヘルパーの必要数を21
00人としているが、10月末現在で983人しか確保していない。『制度の仕
組みが複雑でもあることから』「従来のサービスが受けられなくなるのではない
か」との不安を持つ高齢者や障害者は少なくない。
                    (朝日11月3日)

 お年寄りと「介護保険」の話をする機会が増えましたが、「制度の仕組み」を
聞かれてあまり楽観的なウソもつけず、さりとて悲観的な「現実」もあからさま
に語るにしのび難くと苦しいところです。

 年寄りのふところに手を差し込んで、シルバー産業で経済効果をねらっている
ふうですが、高額所得者ならいざ知らず、わたしの周りの「並」の人々は、年金
暮らしが始まるとお布施や交際費にも事欠くというのが普通です。たまに、「軍
人恩給」を受けている一部の人が、病院や施設をたらい回しをされるのがいやだ
からと病人に家政婦を雇って世話をしている例もありますが、月に35万をこえ
る出費の見通しも数年で、「金の切れ目が命の切れ目」であることにはさしたる
違いはありません。

 県警のまとめでは、今年の10月末までの秋田県の自殺者は448人。最多の
昨年同時期より40人増(1998年472人、1995年412人)。60歳
以上の自殺者が半数。

 県警生活安全企画課では、自殺にいたった理由を分析しているが「実際は複数
の要素が結びついているとみられ、理由を一つだけに断定することはほとんどで
きない」が、あえて分類した理由の中では病苦が最も多い。しかし遺族は「死な
なくてはいけないほどの病気ではなかったのに」(朝日11月26日)

 自治体も「救済措置」がありながら、伝えずにおいて「あまり使われない制度
だからやめよう」というずるいところがありますが、
 「敬老祝い金」を廃止するなど、福祉予算がじり貧するなかで、自治体が住民
及び滞在者の安全、健康及び福祉を守ろうとしても、「国民意識」を高めた「住
民」が「私たちでさえ、まともな福祉を受けられないのに、『よそもの』の世話
まですることはない」と「差別する」側に回ることも十分考えられましょう。
 

 別府市議会(定数三十三、欠員一)では、九月二十九日、本会議場への国旗掲
揚を決め、十二月三日、定例議会の開会に先立って「国旗・市旗設置式」を行
い、議場に国旗と市旗を掲げ、君が代を斉唱。県内ではじめて。市議は「出席」
(自民党、市民の声クラブ・計十九人)、「欠席」(社会民主クラブ、共産党・
計七人)、「個人の判断」(公明党・四人)など。市執行部から、井上信幸市長
ら約二十人が出席。
 「議場での国歌斉唱は聞いたことがない」(全国市議会議長会)
                                (大分合同新聞 99/12/3)
 

自治体は住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を守るのが仕事ですが、地方分権
一括法から「滞在者」の単語が消えました。

 地方分権一括法が2000年4月に施行されれば、地方公共の秩序の維持(治
安)と住民の健康及び福祉の保持(管理)が「国家としての存立にかかわる事
務」として国にゆだねられることになるでしょうから(改変自治法第1条第2項
のA)、国が「住民」なるものをどう解釈して、憲法のいうところの「すべての
生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努め」、
「住民に身近な行政」をゆだねられた自治体がどう解釈して「国と対等な関係」
を保っていくか気になるところです。

 自治体は、一括法施行に向けての、条例、規則などの改変や市町村合併の押し
つけ、行革の陣地取りのいざこざなどにてんてこ舞いで、そんなことまでに思い
をはせる余裕などないようですが。

わたしがカイシャクするに、最近の政府は、中央省庁改革法と地方分権一括法で
効率的な小さな政府に「革命的改革」して、盗聴法あたりを使って「人種、信
条、性別、社会的身分又は門地」を調べ、住民基本台帳法を「発展」させて、I
Dパスポートをに持たせて「国民」を選別し、第二破防法その他もろもろを参考
にしながら台帳でブラックリストされているかどうか検索して、「国民」にふさ
わしい「住民」かどうかをより分けておけば、「有事立法」もつくりやすいし、
憲法を「国家の安全」を保障する大日本帝国憲法もどきに改憲することだってで
きるようになるわけですわね、やろうと思えば、これから。
で、集めた情報はどっかにそっくりもっていかれると。
 

 わたしの御先祖はその昔、「蝦夷」に分類されていたでしょうから、最近「日
本人」に組み込まれた部類であんまり大きな顔はできませんが、わたしは日本国
籍を持ち、戸籍法に従って出生届を出し、婚姻届も出し、住民票もすぐ手に入り
ますし、保険証で身元を証明できます。のせいか、あまり苦労しないでも当たり
前のように「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会
的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」
はずだと思っていたんですが、こういうのを「錯覚」というんですね。

 
現地方自治法第2条第3項には自治体の事務22項が例示されていますが
地方分権一括法で「一 地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康
及び福祉を保持する」以下全項が消え
「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行
政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」とくくり、
現自治法にある「住民及び滞在者」から「滞在者」がなくなり「安全、健康」を
削除。
 そして国は「地方公共団体との間で『適切』に役割を分担」し、「国と地方公
共団体との間の基本的関係を確立」し「地方公共団体の『健全な』発達を保障」
しました。
 

以下一部
====================
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律
  地方自治法の一部改正

第1条の2を第1条の3とし、
第1条の次に次の1条を加える。
 
第1条の2  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地
域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
 
 2   国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会にお
ける国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい
国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な
規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施
その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限
り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割
を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつ
て、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければなら
ない。
 

第2条第2項を次のように改める。
 2   普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又は
これに基づく政令により処理することとされるものを処理する。

(参考 現自治法第2条A:普通地方公共団体は、その公共事務及び法律又はこ
れに基づく政令により普通地方公共団体に属するものの外、その区域内における
その他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。)



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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