新任の大阪米総領事ロバート・ルーダン氏が１日広島市内で講演。その中で、
「私の任期中に神戸、広島にも米艦船が寄港できるよう希望する」と発言。波紋
を呼んでいます。ここではこの発言に対する抗議文を転載します。
ご存じのように神戸は「非核神戸方式」の採用以来四半世紀米軍艦の寄港はな
く、広島にも独立以来米軍艦は一度も寄港していません。この２港は、ガイドラ
インによる日本の民間港利用の、最終目標、いわば終着駅で、外交官が公式の場
でこの発言をしたのは重要な政治的意味があります。
軌を一にする動きとして、ル氏の親玉と言うべきフォーリー駐日米国大使は、
１１月十一日、大阪市の米総領事館で開かれた大阪府・市議、兵庫県・神戸市議
らとの懇談会の席上で「在任中に米国海軍の艦艇が神戸港に寄港することが願い」
と語っています。神戸と広島を、日本の全土基地化の「２０３高地」と位置づけ
て、一気に世論の突破を狙っています。
ル氏の発言を中国新聞２日の記事から拾うと、
「反対も出るだろうが、米軍の艦船は核兵器を積んでいない。核を理由に反対す
るのは多少時代遅れではないか」
「米国艦船が寄港して、市民に具体的な協力関係を見てもらうことも非常に重要」
「問題を起こさず迷惑もかけたくないが、日米関係を積極的なものにするため、
日本の非核三原則を守りながら各地への寄港を進めたい」
ル氏は寄港の意味として、「乗員が原爆資料館を見学するチャンス」と言います
が、それなら軍艦で来ないで、新幹線でもご利用ください。
以下は、「ピースリンク」の抗議文ですが、他にも、広島県被団協、
広島県原水協、広島県平和委員会が抗議文を提出しています。
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駐日大阪総領事
１９９９年１２月２日
ロバート・ルーダン様
アメリカ合衆国大統領
ビル・クリントン様
抗 議 文
私たちは、世界で最初に人間を殺戮の対象として核兵器が使用された広島のま
わりで、核や基地のない世界をめざして運動を進めている市民グループです。
本日の報道によると、貴方は、広島市で開かれた広島日米協会の講演会におい
て、「任期中に広島や神戸にアメリカ艦船が寄港できるよう希望する」など広島
県民としては信じられない発言をしたとのことですが、広島のまわりで平和を求
める市民として、強く抗議し、発言の撤回を求めるものです。
貴方は、「日米安全保障の協力の象徴として、具体的なものを作るべく、アメ
リカ艦船を広島港、神戸港に寄港できるよう希望する」「乗員が広島の街や原爆
資料館を見学する大きなチャンス」などと発言されたそうですが、私たちは、貴
国が投下した原爆による被害を受けた、被爆地広島周辺の市民として、強く抗議
し、絶対に容認できないことをお伝えします。アメリカ艦船のほとんどは、核兵
器搭載能力を持ち、かつ貴国は、核の有無について明らかにしないという政策を
とっており、それだけでもアメリカ艦船が、被爆地広島に入ることを認めるわけ
にはいきません。広島県内には、多くの原爆被害者やその関係者が、今なお被爆
の傷をおって暮らしています。その張本人である貴国の軍艦の広島入港を受け入
れるわけにはいかないのです。また、仮に、長崎においてすでに既成事実を作っ
ているように、核搭載能力のない軍艦を持ち込むことから始めるにしても、広島
は、世界に向けて国際平和都市を標榜しており、広島港に外国軍艦の寄港を認め
るわけにはいきません。
折しも、1997年9月、新ガイドラインが策定され、今年、 5月にはその前半にあ
たる周辺事態法が成立し、日本列島全体が貴国の兵たん基地として差し出される
法的体系が整いつつあるときです。小樽への空母「インディペンデンス」の寄港
に象徴されるように、これを相前後して、呉はもちろん、境港、博多、鹿児島と
頻繁に艦船を持ち込んで、既成事実をつくり、また市民や自治体の反応をうかが
ってきています。貴方の発言は、その法の適用に例外を許さない、広島と言えど
も例外ではないぞと言う強いメッセージなのでしょう。
しかし、半世紀以上にわたって、私たちは自らの意志で、戦争を担うことをし
てこなかったという輝かしい歴史を持っています。法律ができ、「周辺事態」と
いう戦争状態になったときにおいても、私たちは、民間の港湾や空港を貴国の戦
争のために差し出すという選択をする意志はありません。
貴国は、このところ、自国の利害を優先するあまり、人類が向かおうとする道
を汚す選択を続けています。ＣＴＢＴ包括的核実験禁止条約の批准を否決し、臨
界前核実験をくり返しています。さらに力尽くで相手を押しつぶしていく政策を
推進するべく、依然として軍隊を海外に派兵し続けています。そのような国の同
盟国として、軍事的な一端を担うことを、私たちは望みません。以上より、貴方
の発言を撤回することを含め、以下の点を強く求めます。仮に撤回しないとすれ
ば、自治体行政を先頭にして、貴国の暴挙を阻止していくために尽力することを
強く宣言するものです。
そこで、以下要請します。
１）被爆地であり国際平和都市である広島に「友好・協力の象徴」として貴国艦船を
寄港させたいという発言を撤回すること。
２）「周辺事態」への地ならしとして執拗にくり返される貴国軍隊による民間港湾・
空港の使用を中止すること。
入れるな核艦船！飛ばすな核攻撃機！
ピースリンク広島・呉・岩国 （２９団体）
アジアに学ぶ会 岩国市職労平和研究所
カソリック正義と平和広島協議会 共育・共生を進める広島連絡会議
呉教育労働者研究会
呉YWCA79女たちから
8.5広島集会世話人会 芸南火電阻止連絡協議会
原水爆禁止広島県協議会(広島県原水禁) 原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会
公害をなくす三原市民連絡会
在日韓国青年同盟広島県本部
更紗の会
市民運動交流センター福山
従軍慰安婦問題を考える会・広島
ストップ・ザ・戦争への道!ひろしま講
座
広島YWCA
差別は許さん!私たちは行動する会
全国水平運動研究会
電磁波問題を考える会
トマホークの配備を許すな呉市民の会
東チモール問題を考える会
広島キリスト者平和の会
広島地区連帯労働組合
広島平和と生活を結ぶ会
日本キリスト教団西分区牧師会
ピースサイクル広島ネットワーク
除虫菊の会
憲法九条の会ヒロシマ
連絡先：トマホークの配備を許すな！呉市民の会 世話人 湯浅一郎
呉市幸町３−１ 呉ＹＷＣＡ気付 0823-21-2414
広島キリスト者平和の会
世話人 久保田十一郎
安芸郡府中町柳ケ丘９−４
082-281-9837
岩国市職労平和研究所 代表 田村順玄
岩国市今津町１−１４−５１ 0849-22-1611
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青木雅彦
Aoki Masahiko
btree@pop06.odn.ne.jp
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