Date: Wed, 01 Dec 1999 01:10:54 +0900
From: Aoki Masahiko <btree@pop06.odn.ne.jp>
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Subject: [keystone 2140] Re: 原潜入港もうすぐ1千回
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On Sun, 28 Nov 1999 17:23:44 +0900
加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp> さんwrote:

>「平和新聞」11月25日より(転載してもしかられないと思うけど)
>
> 横須賀では空母「インディペンデンス」を原子力空母に交替させるための増強計画が
>進められている。
> 

>年   横須賀  佐世保   沖縄     合計
>   (1955年 米軍世界初の原子力潜水艦「ノーチラス」を進水)
>   (1960年 ベトナム戦争 〜1975年)
>1964                 1                     1   
>   (佐世保に11月12日「シードゴラン」初入港)
>1965                 6                     6
>合計      632      156       207       995

 数字だけではイマイチぴんと来ないこともあるので、この表をグラフ化しまし
た。グラフの面積に比例して事故に巻き込まれる可能性も高まると考えねばなり
ません。
http://www2.odn.ne.jp/btree/misc/gensen.html
をご覧ください(やや重いのはご勘弁ください)。80年代後半から、別次元の
展開が始まり、90年代後半からはまた新たな時代に入っていることが直感的に
分かると思います。まもなく1000回というのは驚きです。1000回記念の
式典とか行われるのでしょうか。
 これは寄港回数ですが、どなたか停泊日数の完全な数字や、入港原潜の全リス
トをお持ちのかたは提供していただけないでしょうか。

 年表を見ると、原潜初入港の時には大きな反対集会があったが、今は平穏です。
ベタ記事にもならない。2000年を待たずに恙無く1000回を迎えようとし
ているのですが、米海軍の前に少し暗雲が。太平洋米軍の非公式機関紙Stars &
Stripes( S & S)紙の最新号に
http://www.pstripes.com/edtu.html
こういう記事が載りました。
Tuesday, November 30, 1999
Japan port cities wary of
U.S. nuclear warships
 日本の原潜を迎えている軍港がJCO事故の後、原子炉事故を心配しているという
報道です。とりわけ事故マニュアルを作ろうとしている横須賀市の動きを詳しく
伝えています。
  S & Sの記事によると、横須賀市がマニュアルの作成に取りかかったのが、
今年の4月。横須賀市は、来年3月までにこのマニュアルをまとめたいとしてい
るようです。横須賀市の基地対策課によると、米軍はこのマニュアル作りに協力
する。そしてこの12月に会合を持つというのです。

 しかしこの「協力(help)」というのが我々のイメージとは違うようです。とい
うのもこの S & Sの記事で、横須賀の海軍スポークスマンは「事故の心配は全く
ない。43年間の原潜の歴史で事故は一度もなかった」と説明しているからです。
 ここで言う事故とはたぶんメルトダウンのことを言っているのでしょう。これ
までに明らかになっただけでも多くの事故を起こしています。例えば潜水艦の事
故だけを集めたページ(民間人作成)
http://freeweb.pdq.net/GStitz/Peace.htm
などを見ても分かります。しかも米軍は潜水艦の事故は徹底的にdisinfomation作
戦で、航空機の場合と違い事故報告書が公表されることはほとんどありません。
原子炉の重大事故も本当になかったのか、とにかく海の藻くずと消えた原潜の存
在は確認されていますが。
 そもそも、そんなに安全な原子炉の設計をしているのなら、そのノウハウを商
業用原子炉の設計者に教えてやればいいはず。

  S & Sは日本の商業紙と比べても「公平」で、反対派の声もちゃんとインタビ
ューして載せるのです(最近では名護の反対派市議の生活と意見を詳しく記事に
していました)。横須賀の活動家は「事故マニュアルを作るという横須賀市の動
きに力づけられている」と伝えています。
 しかし、解せないのが、なぜマニュアルを作るのが横須賀市だけなのかという
ことです。停泊地は横須賀でも、原子炉事故の時の風向きによっては、東京都の
例えば旧江戸城跡地が「千代に八千代に」横須賀よりも汚染されることがあり得
るからです。すべては風まかせですが、政府はどこ吹く風といった様子。

 あの石原都知事さえ問題にしてないようですが、横田よりも急がなければなら
ないのに、ひょっとしたら気が付いていないのかも。横須賀市基地対策課による
と、最近は年間200日くらい原潜が滞在している。「東京に原発を!」の願い?
は、今3分の2だけ成就されているわけです。そして現在のヨコスカ母港のキティー
ホークの後釜は原子力空母だとみられている(通常型は退役していくからです)。
首都圏に原発がまもなく「新設」されるということです。

 原発の場合は必ず「公開ヒアリング」が行われる。通過儀礼、既成事実作りで
はありますが、原発ができることを知らない住民はいなくなるわけです。これが
「動く原発」になると全く無視されるというのは筋が通りません。法的根拠云々
は後回しにして、原子力艦船の入港の是非を問うレファレンダムを実施すべきで
しょう。例えば首都圏の場合、神奈川、東京、千葉を含むと有権者は1000万
人を超えるでしょう。大掛かりですが質問は賛成反対の2択で、「やむを得ない」
はなしにすれば単純です。
 法的拘束力のないものに米軍が従うかという疑問を投げる人もありますが、神
戸市議会の「非核証明書」提出は拘束力のない議会決議ですが、米軍は4半世紀
これを遵守しています。

 それにしても、米原子力艦船の入港をチェックする動きについての最も詳しい
ものは、米軍の準機関紙でようやく知ることができるとは、日本のマスコミはど
うなっているのか。確かにスポーツ紙、生活情報紙としては充実してきています
が、本当にあらゆる障害を乗り越えて伝えなければならないことがあるというの
がジャーナリズムの基本ではないでしょうか。
 

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   青木雅彦
  Aoki Masahiko
btree@pop06.odn.ne.jp
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