Date: Fri, 19 Nov 1999 13:04:45 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 2085] オウム2法案衆院通過
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 「被害者救済」をネタにした「ゆすり法案」拡大破防法の団体規制法案と、議
員提案の破産特例法案が11月18日衆院通過。今更の5日間のスピード審議。
 早くから違法性が指摘されながら、さしたる憲法論議もなく、政府のシナリオ
通り、年内施行の見込みとか。(野中さん「年内に法が施行できるような環境を
整えるべき」9日と)

基地移転で15年限定のはずが、実は200年だったり、政治資金規制法での改
正、安保再定義を見るだけでもこの国の5年後の「見直し」方も想像がつくとい
うもの。処分について公安審のコントロ−ルを明確にしたというけど、刺身のツ
マ程にもならないもののよう。

 「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案(仮称)」は「公共
の安全の確保に付与することを目的とするもの」とのこと。じゃあ、あなたや私
の安全はどうなるのよ、と言いたくなるし、「いやしくもこれを拡張して解釈す
るようなことがあってはならない」とか、「いやしくも〜なんたら、かんたら」
といやしい前置きをされると、先々の一言一句があやしく思えてくるのは、法律
に素人の浅はかさかしら。
 
 戦後補償もしないのに、被害者救済のための破産特別法案を国がねえ、と思っ
てたけど、これって、「アジア女性基金」の二番煎じじゃないのかなあ、国の責
任があいまいになってしまって。オウム真理教の解散より、被害者の分断の方が
早かったりして・・・、

 オウム真理教関係の記事は「破防法」の話題が出てからとみに増えましたが、
かんじんの法案のなりゆきのほうはさっぱりでした。乗せるほうもあくどいが、
乗る方も乗る方だよ、ホントに。
 

 共同通信からのピックアップと各紙から

6月22日 参院自民党がオウム対策として破防法適用を検討。
6月29日 政府は被害者救済で特別立法検討。
7月10日 11都県市がオウムの自治体施設利用不許可の方針
7月15日 政務次官会議でオウムに破防法適用をの意見。
7月16日 オウム関連施設30カ所捜索(13都道府県)
9月 7日 小渕首相が破防法改正早急に結論を出したい意向を表明。
9月 8日 政府は、無差別大量殺人団体を対象にしたオウム特別立法で同教団の活
動を規制する方針を決め、次期臨時国会に法案を提出し成立を目指すと表明。野
中広務官房長官と陣内孝雄法相が記者会見。法務省で検討した結果、対象団体を
厳重な監視下に置く「監察処分」を設け、団体への質問や立ち入り調査権、報告
義務を課すとともに違反には罰則を設ける方向。

10月 8日 全国各地でトラブルを起こしているオウム真理教の活動を規制する特別
立法を検討してきた法務省が、法案の概要を固める。施設の使用・取得禁止、加
入勧誘の規制などの処分を定めるとともに、破防法が規定する公安調査庁の弁明
手続きを省略した上で、公安審査委員会での審査を請求から2カ月程度に限定す
るなど手続きを簡略にすることで早期の規制処分を可能とした。

10月 9日  米国務省は8日、世界のテロ組織としてオウム真理教、日本赤軍、ト
ルコのクルド労働者党(PKK)など28団体を指定。オウム真理教について国
務省の報告書は、教祖が逮捕された後も勧誘、商業活動を続けており、教団の
ホームページからは反米感情がうかがえると指摘。(ワシントン共同)

10月 19日 オウム手配者に警察OB団体が600万円懸賞金
10月 22日 政府が次期臨時国会に提出するオウム真理教対策としての新たな団体
規制法の要綱案判明。今年12月に刑期を終了し出所する上祐史浩受刑者ら教団
幹部の活動再開を抑止する方策として「過去の無差別大量殺人行為時の役員など
に(教宣活動など)一定の活動をさせることの禁止」措置も盛り込まれている。

10月 24日 豊島区でオウム追放集会 千人の住民が参加
10月 27日 自民党は27日午後、オウム真理教対策特別委員会(与謝野馨委員
長)の初会合を開き、オウム対策2法案の各原案を了承。同教団の活動が各地で
活発化していることから、住民の不安解消と地下鉄サリン事件などの被害者救済
を目的としたもの。自由、公明両党との与党協議を経て、11月2日に臨時国会
に提出。

11月2日 政府は団体規制法案を閣議決定。
「(地域住民の不安を取りのぞくという大義名分があるので)正面切って反対し
にくい」(民主党幹部)が、野党各党は、法案が破防法と同様「公安審査委員会
−公安調査庁」の枠組みを規制の基本としていることを批判。
民主党は規制の主体を警察とする骨子案をまとめる。共産・社民も対案検討。

 「再発防止処分(6ヵ月以内)」の元幹部が教団内で説法などの活動を禁止す
る条項は上祐受刑者の復帰を意識したものといわれる。
 元出家信者「頭のきれる人なので、新法に反対する人権団体に協力を呼び掛け
るなど、教団存続のためにあらゆる手段をとるのではないか」
 住民「監視活動の負担が少しでも減れば」と期待するが、法案では信者が住居
だけに使っている施設は規制の対象外になる見込みで「施設の明け渡しにまでつ
ながるのか疑問」 被害者遺族「新法によって教団の情報公開が進めば」「いま
だに謝罪していない教団が、新法が制定されて、遺族にどのような姿勢を見せる
のかも注目したい」
 団体規制法案、被害者救済法案ともに、一部の法学者からは「憲法上の疑義が
ある」と指摘。[読売]

11月11日  国会審議が始まったオウム真理教対策の団体規制法案は憲法に違反す
るとして、第2東京弁護士会の葉山岳夫弁護士ら有志は反対署名活動を開始。1
000人の署名を目指す。[時事通信]

11月12日 自自公3党と民主党は、オウム真理教を取り締まる「無差別大量殺人
行為を行った団体の規制に関する法案」(団体規制法案)について、法施行5年
後に法律廃止の是非を検討する見直し規定を盛り込むことなどで大筋合意。

 このほか、4党は(1)規制対象を「過去10年以内に無差別大量殺人(破防
法の政治目的殺人)を起こした団体」とする。(2)観察処分(3年以内)を請
求する際に立ち入り検査先を特定し、事前に公安審査委員会に通告する(3)対
象団体は公安審に対し、職権による処分取り消しの発動を求めることができる―
―などの修正でも合意。
 
 一方、共産党は同日、政府の団体規制法案の対案として「サリン等による人身
被害の防止に関する法」改正案を衆院に提出。よりオウムに限定する内容。

 臼井日出男法相は衆院法務委員会で、オウム真理教を取り締まる「無差別大量
殺人行為を行った団体の規制に関する法案」(団体規制法案)について、仮にオ
ウム以外の団体が法の要件を満たす事件を起こした場合、同法を適用する考えを
示した。
 北村哲男氏(民主党)「これから先、何らかの政治目的を持って無差別大量殺
人が行われた場合、オウム以外でも当然、(適用が)想定されていると理解して
いいか」
 臼井法相「現時点で念頭にあるのはオウム真理教しかない」「新法に適合する
ものであれば、ご指摘の通りです」 [毎日・朝日]
 
 福岡宗也氏(民主)の質問
 観察処分のなかで、対象団体に対して全構成員の氏名・住所を報告する義務を
課していることについて(第2章規制措置・第5条2項)
 法相「報告は団体の危険性の程度を明らかにするためのもの。(報告義務は)
公共の安全の観点から必要かつ合理的な判断」
 報告義務が憲法で保障された結社の自由や信教の自由を侵害する可能性がある
という指摘に対し
 法相「憲法上の結社の自由、信教の自由は無制限ではなく、公共の福祉の観点
から制約を受けることがある」「構成員は危険団体と承知の上で入っているの
で、一定の制約は甘受しないといけない立場にある」[産経18日]

11月15日 与党3党は午後、国対委員長会議を開き、衆院法務委員会で審議中の
団体規制法案について、議員立法の被害者救済法案と併せて18日に衆院通過を
図る方針を確認。
 また、参院で行われる「党首討論」で、参院側から「与野党党首はすべて衆院
議員。参院は場所を提供するだけになる」との指摘があり、今後、党首討論のあ
り方を検討していくことを申し合わせた。 [時事通信・毎日]

11月16日 法務省は、オウム真理教の活動を規制するための法案の今の国会での
成立に備えて、公安調査庁や警察が教団の施設などを立ち入り検査する場合は、
第三者機関の公安審査委員会に立ち入り先と立ち入り日を事前に通報しなければ
ならないなどとした法務省令の素案をまとめた。
 公安調査庁や警察が立ち入り検査する場合には、公安調査庁長官が第三者機関
の公安審査委員会に立ち入り先や立ち入り日について事前に通報しなければなら
ない、また、立ち入り検査の結果についても、公安審査委員会に事後報告しなけ
ればならないなど。
 法務省では、与党三党と民主党の修正協議が整い、法案が成立するのを待っ
て、この省令の取りまとめを急ぐ。[NHK]

 衆院法務委員会で参考人質疑。
「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案」(団体規制法案)に
ついて
 内野正幸・筑波大教授「数年前の凶悪事件で犯人が厳しい刑罰を受けたり、巨
額な賠償をするのは当然だが、事件後の教団に対して制裁を加える場合、その悪
さ加減に見合うものにすべきだ」「観察処分で役職者だけでなく一般信者の住
所、氏名の届けを求めるのは、プライバシーの侵害、信教の自由を脅かすことに
なりかねない」「再発防止処分の要件があいまいだ」(毎日)

 千保一夫・栃木県大田原市長「法律ができて国が監視してくれれば転入届を不
受理にする必要もなくなる。法律の期限を5年程度に区切るのは反対。人権絶対
主義者の反対論は民主主義の未成熟につけ入るもので残念」(読売)
 千保市長は、オウム真理教信者が転入しようとして住民票を提出した経緯を説
明しながら、「憲法22条の『公共の福祉』に反するとして住民票の不受理を決
めた」「(法案については)無名の大衆が声を挙げた結果、法案ができたもの」
「人権を主張する勢力が唱える人権論で規制が弱められることがないように(と
要望)」(毎日)

 ジャーナリストの江川紹子さん「坂本堤弁護士事件から10年、強制捜査から
4年半たった今になって、規制を考えること自体残念だ。一にも二にもオウムに
責任があるが、私たち社会も税金面や労働法など現行法規でもっと対応できた面
がなかったのか」「(団体規制法の施行で教団の活動が見えにくくなる点を指摘
し)カルト問題には特効薬はない」「この法案で一丁上がりではない」(毎日)

 午後は「特定破産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法
案」(被害者救済法案)について、(読売)
高橋宏志・東大大学院教授(民訴法)「現在の教団の財産を、破産時の財産が流
出したと推定する規定は、同種の法がドイツにもあり違和感はない。正義・公正
の観点からも、法案は憲法29条の財産権規定に反しない」

オウム真理教破産管財人・阿部三郎弁護士「教団が財産を隠匿してきた可能性が
高いのに、現行法ではこれ以上回収できず、遺憾だった。帳簿も何もない教団が
相手では、限界がある。法案には全面的に賛成。速やかな可決を求める」

地下鉄サリン事件被害対策弁護団団長・宇都宮健児弁護士「被害者救済の立場か
ら、一歩前進と評価している。早急に制定してほしい。地下鉄サリン事件では、
被害者の家族全体が被害者だ。犯罪被害者基本法のようなものも制定すべきだ」
 

11月17日 衆議院法務委員会は、夕方、オウム真理教の活動を規制するための法
案の採決を行い、自民党、自由党、公明党・改革クラブの与党と民主党などが賛
成、共産党と社民党が反対し、法案は一部修正のうえ、可決。自民党の与謝野馨
法務委員会理事(オウム真理教対策特別委員長)と民主党ネクストキャビネット
(次の内閣)の江田五月司法担当相らが会談して修正合意。
 この法案は▽無差別大量殺人を起こした団体を対象に公安調査庁や警察が、立
ち入り検査を行うことができるようにするもので▽人に危害を加えるおそれがあ
る場合などには、寄付集めや活動拠点になる施設の取得を禁止するなど、大幅な
活動の規制を認めている。
 また、同日の委員会で、オウム真理教による一連の事件の被害者を経済的に救
済するための法案についても採決が行われ、与党と民主党、共産党などの賛成多
数で可決。
 二つの法案は、18日の衆議院本会議で可決され、参議院に送られる見通し。
 両法案は12月3日にも成立する見通しで、政府は年内施行を目指す。

今後は政府が検討しているオウム信者らの社会復帰対策の具体化が焦点となる。
 政府提出の団体規制法案は「過去10年以内に無差別大量殺人行為を犯した団
体」などが適用要件。公安調査庁長官の要請に基づき、法務省の外局である公安
審査委員会が同法案の適用の可否を判断する。適用が決まれば、公安庁職員と警
察官による施設への立ち入り検査、構成員の住所氏名などの報告義務を課す「観
察処分」と、危険が増大すれば、施設の取得、使用などを禁止する「再発防止処
分」を実施できる。(再発防止では「役職員または構成員」による「綱領に従う
指導」の禁止もできる) [NHK・毎日・共同]
 

11月18日 衆院本会議で可決。
 17日夕の採決にあたり、年1回の国会報告の際に「国会が委員会審査で
チェックする」などの付帯決議。
 修正協議のほかに、
 公安庁長官は公安捜査委員会に対し@観察処分に対し対象団体の所有・管理す
る土地・建物の資料を提供するA立ち入り検査の事前報告、結果報告する−公安
審のコントロ−ルを明確にした。(立ち入りリストを報告するだけ、公安審でそ
の妥当性を審査することはできない)
 公安審の審査は30日以内と手続きを簡易・迅速化。公安庁と警察当局が協力
して立ち入り検査を行う。実効性を担保するため再発防止処分違反や検査妨害な
どに罰則を設ける。など
 
 破産特例法案について(河北18日)

 議員提案の破産特例法案は、教団の破産管財人がオウム流出財産を取り戻すこ
とを容易にし、地下鉄サリン事件の被害者救済などに充てるのが目的。
「国が直接賠償するシステムをつくるべきだ」「対策法案だけでは不十分」の
声。
同案は教団の破産手続きで債権者への配当増額をはかるものだが、債権者になっ
ていない被害者の方が多い。宇都宮健児弁護士によると、地下鉄サリン事件で、
12人が死亡、5千人以上が重軽傷。破産手続きで債権者となっているのは11
36人。債権者でない被害者は今法案による「救済」は受けられない。「テロを
未然に防げなかった国が直接賠償するのが責務ではないか」(弁護士)
債権者も現在約二割にとどまっている配当が増額されるが今後の介護費用には到
底足りない。「被害者救済の法案といっても、加害者に民事訴訟で(賠償を)取
りなさい、救済は加害者の資力次第ですよという基本システムは変わっていな
い」「国がやらなければ、犯罪被害者は救済されない。教団の隠し財産があるの
なら国庫にいれればいい」(被害者)

 政府は十八日、オウム真理教対策となる団体規制法案と被害者救済の破産特例
法案が十二月三日に成立することを前提に両法案を、教団最高幹部の上祐史浩受
刑者が出所する同月二十九日にも施行し、年明け早々には公安調査庁長官が、団
体規制法のオウム真理教団への適用を公安審査委員会に請求する方針。
 公安審の審査は「三十日以内とするように努めなければならない」と定められ
ており、オウム真理教は早ければ二月上旬にも公安庁長官の観察処分に付される
見通し。
 法務省幹部は、十二月二十八日に刑期を終えて翌日に広島刑務所から出所する
上祐受刑者について「教団復帰と活動再開は、この条項に抵触するおそれがあ
る」と指摘。政府が十二月二十九日施行を目指す背景には、同受刑者の活動再開
を封じ込める目的と、出所による住民の不安への配慮があることを認めている。
 政府は二法案が十二月三日に成立すれば、七日に公布を閣議決定し、十日に官
報に公示して法律を公布する。この日から起算して二十日を経過した二十九日が
施行日となる。〔河北19日〕

 信徒「何の犯罪もやっていないのにこんなに責められるのは、自分たちの修業
が足りなかったんじゃないか、もっと修業しなければいけないんじゃないか、と
反省している」(朝日18日)

<オウム2法案のポイント>(河北18日より)
【団体規制法案】
一、過去一〇年以内に無差別大量殺人を行い、現在も首謀者が影響力を持つなど
の危険団体を対象とする
一、公安審査委員会は公安調査庁長官の請求で、危険と見なされる団体を観察処
分にできる
一、公安庁・警察庁長官は、その団体に報告聴取、立ち入り検査ができる
一、公安審はその団体の施設使用禁止などの再発防止処分ができる
一、公安庁長官は、関係地方自治体に立ち入り検査結果などを提供できる
一、五年ごとに施行状況を検討し、法律の廃止を含めて見直しをする

【破産特例法案】
一、オウム関係者など特別関係者が有する財産を、破産財団に組み入れるべき財
産と推定する
一、破産管財人は、団体規制法の処分で取得した必要な資料の提供を公安庁長官
に請求できる



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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