Mime-Version: 1.0
Date: Fri, 12 Nov 1999 13:02:41 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: Urata Ryuji <yufukiri@fat.coara.or.jp>
Subject: [keystone 2065] 日出生台での米軍NBC訓練、施設局への再質問回答
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 2065
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org
 

10月21日に出していた日出生台演習場でのNBC(核、生物、化学兵器に
対応する)訓練に関する福岡防衛施設局への再質問に対して
11月5日に返事が返って来ました。

(以下、こちらからの質問と防衛施設局回答を併記しています)

(1)米軍が日出生台でおこなった「NBC訓練」というのは、いったいどのよ
うな訓練なのですか。
 装備内容、使用した薬品、物質、その量、日出生台でNBC訓練をおこ
なった日、その日数を教えて下さい。

(2)上記質問でNBC訓練の過程でなんらかの化学物質をもし用いるのだとと
すれば、その物質を使用することによる毒性などの環境への影響の心配
はないのですか。

>  米軍は、核や生物、化学兵器による攻撃を受けた場合を想定し、これか
>  ら身を守るための防護服を着用して通常の訓練を実施したものである。
>  これは動きが制限される分厚い防護服を着用し、かかる状態での通常訓
>  練に慣れることが目的であり、ご指摘のような薬品類や化学物質を一切
>  使用するものではなく、従って演習場付近における地域社会の安全にな
>  んら影響を与えるものではない、とのことである。日出生台演習場でこ
>  のような訓練を行った日数等については、運用の詳細に関わるものであ
>  り、承知していない。このような訓練はあくまでもこれまで実施してき
>  た155ミリ榴弾砲による実弾射撃訓練の一環として行われたものである。
>  なお演習場の使用にあたっては、米軍は安全面の観点から、自衛隊より
>  とられている措置に従い訓練を実施している。
 
 
 

(3)FAXでいただいた回答、「Dについて」で
「上記訓練は、155ミリ榴弾砲による実弾射撃訓練の一環として行われる
ものであり、特に問題はないと考えている」と回答されていますが、NBC
訓練が「155ミリ榴弾砲による実弾射撃訓練の一環」と福岡防衛施設局が
判断した根拠はなんですか。

(4)平成9年6月30日に、大分県及び日出生台演習場の地元3町が福岡防衛
施設局に対して提出した「訓練内容、治安・安全対策等に関する要求
書」の第項「訓練内容」の1において、「移転実施される訓練は、これ
まで沖縄県道104号線越えで行われてきた155ミリ榴弾砲の射撃訓練のみ
とし、それ以外の訓練はいかなることがあっても実施せず、訓練が拡大
されることのないこと」としています。
  しかし、今回の「NBC訓練」のように155ミリ榴弾砲の実弾砲撃演習
とリンクするかたちで、様々な訓練がおこなわれることは、結果とし
て、今後、米軍演習がなし崩し的に拡大してしまうのではないかと私た
ちは心配をしています。
  福岡防衛施設局としては、米軍が行う様々な付随訓練が、「155ミリ
榴弾砲による実弾射撃訓練の一環」であるかどうかの判断の基準をどこ
に置いているのですか。この基準を明確に説明してください。

>  実弾射撃訓練の中で、核・生物・化学兵器による攻撃を受けた場合を想
>  定し、防護服を着用して通常の射撃訓練を実施したものであることか
>  ら、155ミリ榴弾砲による実弾射撃訓練の一環と考えられる。なお、米軍
>  の情報として、同訓練はキャンプハンセンでの104号線越え実弾射撃訓練
>  においても、通常の射撃訓練の一環として実施していたと考えられる。
 

(質問)キャンプハンセンでNBC訓練がおこなわれていたことは、今回こ
の問題が浮上するまで沖縄でさえあきらかにされていなかったというこ
とは知っていますか。

> (福岡防衛施設局)それは承知しておりません。

(5)今回のように、NBC訓練を米軍がおこなっていながら、それを公表しな
かった態度、その情報を隠す米軍の姿勢は、上記質問Cで触れた大分県
と地元3町からの要求書を受けている福岡防衛施設局としても、このよ
うな要求書に応えていくために、非常に困るのではないかと思います。
今回のように事後に、それも他で明らかにされ、こちらから確認をして
初めて、NBC訓練を行っていたことを認めたというような米軍の連絡体
制、その情報非公開姿勢についてどう考えていますか。

>  通常の訓練の一環であり、特に問題があるとは考えていない。
>  (答えになっていないので、再度質問すると)
>  米軍は、「通常の訓練の一環」であるということなので、特にそういっ
>  た「隠していた」というわけではなく、福岡防衛施設局としては特に問
>  題があるとは考えていない。
 

(質問)ということは「米軍が通常の訓練の一環だ」と判断したものに
ついては、今後も公表されないということですか。
 
> (福岡防衛施設局) 「はい」
 
 

(6)また今回の回答において「上記(NBC)訓練は、155ミリ榴弾砲による
実弾射撃訓練の一環」とされているわけですが、このような演習は、自
衛隊においても、「155ミリ榴弾砲による実弾射撃訓練の一環」として、
実施されているのですか。

>  自衛隊においても、同種の訓練が行われているものと承知している。
>  日出生台でも。
 

==================================================================
と、言うように、福岡防衛施設局の回答では、
NBC訓練について、米軍から受けた説明として

> 薬品類や化学物質を一切使用するものではなく、従って演習場付近における
> 地域社会の安全になんら影響を与えるものではない

としているわけですが、先日ある軍事問題の専門家にこの件で質問したところ、
NBC訓練が防御の訓練としておこなわれるときには、薬品を使って
防護服などの汚染を洗浄する訓練をおこなうのではないかと
聞きました。
 

これに関連して、つい最近まで行われていた米韓合同軍事演習における
化学兵器対処訓練を伝える読売新聞記事では、やはり洗浄訓練を
おこなったようです。
 

> ◆米韓両軍が合同演習、化学兵器を想定 (読売10月29日22:44)
>
>        【釜山29日=白川義和】米軍と韓国軍による毎年恒例の
>       合同軍事演習「フォール・イーグル」の化学兵器対処訓練が
>       二十九日、釜山港内の米陸軍輸送部隊施設で行われ、記
>       者団に公開された。今回の訓練に関する米軍のマニュアル
>       では、在韓米軍に対するテロリストや敵対行為の脅威は現
>       時点では低いと評価する一方、「本訓練の相当部分は、化
>       学兵器による攻撃能力を持つ北朝鮮の長距離ミサイル攻撃
>       を想定したものである」と明記している。
>
>        訓練は、輸送艦が停泊中の港湾が、化学兵器を搭載した
>       ミサイルの攻撃を受け、港湾周辺が汚染されたとの想定で、
>       朝から夕方まで行われた。米韓両軍の兵士らは、すばやく
>       防毒マスクと防毒服を装着し、解毒剤噴射で汚染物資を洗
>       い落とした。同時に、輸送艦からは、敵からの攻撃にもかか
>       わらず、両軍部隊が、積み荷のトラックやコンテナを遅滞なく
>       陸揚げしていくという内容。
 

どうも米軍の回答を鵜呑みにはできないと思います。
関連情報をお持ちの方はぜひおしえて下さい。

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    浦田龍次(うらたりゅうじ) Ryuji Urata   
    〔e-mail〕 yufukiri@fat.coara.or.jp
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