Date: Mon,  1 Nov 1999 09:47:46 +0900
From: 加賀谷いそみ <QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 2028] 国旗・国歌法成立後
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 国会では、100円ショップで買い物をするように手軽に次々と法案を出して
いますが、一つとして満足なものはなく、面と向かって問われると返答に窮する
粗悪品ばかり。それらを重ねてしけば、何とか目が詰まって使えるだろうと「自
転車操業」的知恵ぐり。

  将来にはゴミと化する法ばかりですが、既に異臭を放ち始めました。
  子どもたちをそんなヘドロの中で育てるわけにはいきません。

国もよほど天皇在位10年行事の「定着」度が心配らしく、また文部省も「教育
基本法」改悪の下地づくりにやっきとなってか、まずしつこいこと。その広告費
はいかほどの額になりましょうか。

「日の丸・君が代」普及に血道をあげているやからも、ご用済みのあかつきには
ポイ捨てにされるのがオチでしょうが、いじらしいというか、いじましいという
のか、「忠誠」ぶりも見事です。

既報、取り落としもありますが、目に付いたものだけでも

−8月9日 国旗・国歌法成立、13日公布、施行−
 

 8月25日、長崎県諫早市内で行われた町村議会議長会主催の研修会(対象は
県内村議会議長・副議長・常任委員長ら)で、中川八洋・筑波大教授が「衰退す
る日本―国家再生の道を探る」と題して講演。「日の丸・君が代(の法制化)に
反対した者は非国民」と発言。(その他暴言多岐で抗議殺到)
                                (長崎8月28日)
 

  広島県教育委員会が8月27日に行った教員採用第二次試験の面接で、
「(あなたの考えは結構ですから)(先ごろ法律で決まりましたが)日本の公務
員として国旗・国歌を子どもたちにどう教えますか」と受験生に質問
 同教育委・教職員課課長「面接は生きたやりとりであり、どんな質問が出たかは
把握していないし、公開できない」「もしそのような質問があったとすれば、学
習指導要領の理解度を問うためだろう。受験生の思想・信条に関する質問は採用
試験では原則として禁止している」
文部省地方課「コメントできない。どの教委で実施したかを把握する立場にな
い」
              (朝日10月2日)
 

  9月9日、広島県府中市9月定例市議会で市長が「私も(国旗国歌には)適
宜、適切に取り組みたい。君が代には歌詞に問題があると私も認識している」と
した発言に自民議員が「市民に対して大きな誤解を招く」と反発。議会が空転。
市長の発言は特に訂正はなし。
            (産経9月10日)
 

  9月14日、香川県高松市議会で山口教育長が「教師と児童・生徒は学習指
導要領に基づいて指導することになっており、教師と児童、生徒には(君が代
を)歌わない自由はないものと考える」と答弁。
これに関し増田昌三市長は同月24日の会見で「(答弁は)斉唱を強制するもの
ではなく、問題はない」と教育長の罷免は考えていないと表明。
市長「(報道で)教育長の答弁に賛成だという意見が全然出てこないのが不思議
だ」
            (産経9月25日)
 

  石原慎太郎・東京都知事が9月22日の都議会本会議で靖国神社公式参拝
(来年の8月15日)を表明。
 知事「遺族の方々から請われ、(知事の参拝が)お役に立つなり、満足してい
ただけるなら、喜んで参ります」
「おそらく(前例は)ないのではないか」(東京都知事室)
「(鈴木俊一元知事時代に全国知事会の代表として、年2回の例大祭に榊(さか
き)料が奉納されたことはあったが)くわしく調べないとわからないが、おそら
く前例はないのではないか」(靖国神社広報課)
               (産経9月23日)
 

  9月26日、大相撲千秋楽で優勝した武蔵丸横綱にNHKアナウンサ−がイ
ンタビュ−。「武蔵丸関、君が代を歌うようお願いしたいですね」
武蔵丸「今、一生懸命やっています」
視聴者から「不快」などと抗議の電話が30本余。
アナウンサ−「軽率?そうとられても仕方がないです。公報部に話してあります
ので詳しいことは、そちらに聞いてください」
公報部「インタビュ−は時間が限られているとはいえ、言葉足らずで唐突な印象
を与えてしまった。申し訳ございません。君が代を強制したわけではない」
有田芳生さん(ジャ−ナリスト)「歌うようお願いすれば、反発できない状況下
の質問で、デリカシ−がなさすぎる。人のこころがわかっていない人の質問
だ。」「NHKの一日の放送終了後、国旗と国歌を流す局の体制を象徴するよう
な質問だったといえる」
          (東京スポ−ツ9月29日)
 

  野中広務官房長官(当時)は9月27日の政府与党連絡会議で天皇の在位十
周年記念式典が行われる11月12日に各政府機関で国旗を掲揚するほか、地方
自治体や私立学校を含む学校、民間企業にも国旗を掲揚するよう協力を要請する
方針を表明
              (産経9月28日)
 

  28日、政府は「協力要請」を閣議決定
@地方公共団体には自治省を通じて通知する。
A全国の学校へは文部省から各都道府県教育委員会を通じて要請する
B全国の会社には所管省庁や経済団体を通じて要請する
C一般家庭には新聞やテレビを通じて広報する
など(古川貞二郎官房副長官−当時)
                (朝日9月28日)
 

  9月30日の岐阜県議会本会議で梶原拓知事が「国旗・国歌を尊敬できない
人は、日本国籍を返上していただきたい」と発言。
本会議最終日の10月7日、発言を取り消し。会議録から削除。
副知事「国旗・国歌法に尊重規定はなく、国籍法にも返上規定はない。法的にで
きないことを言った知事の発言は空振り」
知事「県民のみなさんの外国における生命、生活、安全を守る立場から、今後も
国旗・国歌の問題は県民のみなさんに大いに論議していただきたい」
     (朝日10月1日、7日)
 

  自民党では法制化後、国旗掲揚を呼びかけるポスタ−十数万枚作製、全国の
党掲示板に張り、十月からは党本部の売店で旗を販売。
千葉県連旭支部では9月中旬、支部の全党員の自宅に「日の丸セット」を配布。
630セット(日の丸の旗、さお、金色の玉)で約200万円(党費)。
提案者も持っていなかったが「国会見学や講演会に党費を使うよりも、よほど有
意義。私もこれから生きている限り揚げていく」
 旭市長「(掲揚の)号令をかけるつもりはない」「旭市に行けば祝日にはどこ
の家にも国旗が立っているということであれば、やはり法制化の意味があるだろ
う」
 自民市議「この辺りに日の丸に反対の人はいない。となり近所が旗を揚げれ
ば、自分だけ揚げないのは恥ずかしいと思うのが日本民族。最初は党員630世
帯でも、いつか日本国中に広がってほしい」
                 (朝日10月19日)
 

  「日の丸・君が代50問50答」(歴史教育者協議会編・大月書店)の執筆
者11人(現職の社会科教師ら)に9月中旬から右翼団体を名乗る脅迫状
「貴下は国旗・国歌を甚だしく冒涜する一文を執筆しているが、日本国民にある
まじきものである」「教師を辞職すべきである」
執筆者の一人「ひきょうで卑劣。こうしたことが再三繰り返されれば、発言や執
筆活動を自制する動きが出てこないとも限らない。狙いもそこだろう。性急な法
制化が彼らを勢いづかせている面もあるのではないか」
                 (朝日10月19日)
 

  9月下旬、広島県呉市広警察署が、管内の公立小・中学校で開かれた運動会
についてついて、「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱を実施したかどうかを、各教
育委員会に問い合わせ、各教委が実施状況を回答。
              (井上澄夫さん資料より)
 

  9月29日、自自公3党会談、政策調整
合意点の中に「首相直属の『教育改革国民会議』(仮称)を設置し、教育基本問
題を検討、法整備を進める」
同会議のねらいは「学校制度、学術研究体制を含めた教育の基本問題を幅広く検
討し、教育の規制緩和のための法整備などの教育改革を進める」
教育基本法の「見直し」は、もともと自由党や自民党の一部に基本法に対して
「愛国心教育、日本の歴史・伝統の尊重や道徳教育の規定がない」との批判があ
り、国旗国歌法の制定などでこうした主張に拍車がかかった。
                   (朝日9月30日)
 

  10月1日、東京都の都功労者顕彰式で「君が代」斉唱。招待された地域自
治振興功労者の自治会長が斉唱の際退席。事前に国歌斉唱と式典後の記念撮影で
の日の丸掲揚の取りやめを求めていた。
自治会長「戦時中の隣組の反省から出発した自治会活動だが、表彰式での君が代
斉唱はその理念に反する」
 都知事「『思想信条にかかわるものではない』と説明したが、退席したいとい
う人を引き止めるわけにはいかない。式の進行の妨げにならない限り、淡々と進
めるしかない」
                        (朝日10月2日)

(都知事は9月21日「(国旗国歌は)日本国民のアィデンティティ−の証やき
ずなとして重要」と、執務室に国旗を掲揚していることを明らかにし、都の主催
行事も国旗の掲揚と国歌斉唱に努めていくとしていた)
 

  10月2日、広島県立安西高校(広島市)で、「創立20周年記念行事」
で、「卒業式・入学式・入学式以外は、国旗(掲揚)・国歌(斉唱)を実施しな
い」とした慣行を破って、式典の壇上に三脚で国旗掲揚。
同校PTA会長(記念行事実行委員長)「国旗国歌法が成立したことを配慮し、
実施した」
                   (井上澄夫さん資料より)
 

  10月5日、野中広務さんが官房長官としての最後の記者会見で「もし国
旗・国歌法案が継続審議や廃案になっていたら、政治家を辞める決断をしてい
た」「二十一世紀に積み残してきた課題の解決に今後も尽くしたい」
              (朝日10月6日)
 

  小渕再改造内閣の新閣僚が10月5日、記者会見
中曽根弘文分相・科学技術庁長官「日本の教育は総点検する時期で、教育革命と
の認識で取り組みたい。教育改革国民会議で結論が出たら、文部省も法整備で具
体化に努力する。教育基本法も大いに議論する時期にきている」
               (河北10月6日)
 

  深谷隆司通産相が初の記者会見で日の丸設置
「年来の主張が法制化で実現されたのだから、自分が会見する席では具体的な形
で表したい」
与謝野前通産相は設置せず。
             (河北10月6日)
 

  10月上旬、文部省は、小、中、高校の社会科と音楽の教科書を出している
出版社の編集者を別々に呼び、「訂正」を打診。
▽「日の丸」を「日章旗」にできないか ▽習慣でなく法として制定されたこと
を説明できないか ▽君が代の解釈を説明できないか−など
「君が代の由来や歌詞について理解を求める首相談話などを踏まえて判断してほ
しい」
出版社の大半が「訂正」を検討。「小学校の段階で、正確な法律用語で教える必
要はない」としたのは大阪府の1社だけ。
              (朝日10月23日)
 

  10月8日、公正取引委員会が、小中高校の教科書の編修をめぐり、業界団
体の社団法人「教科書協会」(教科書会社55社加盟)が教科書のページ数など
を規制しているのは、各社の活動を規制しているとして、独占禁止法違反(事業
者団体の禁止行為)で排除勧告。
 協会事務局「過当な競争を防ぎ、教科書の水準を加盟各社で一定に保つため
(文部省や公取委に)理解を求めてきた。今回の勧告を厳粛に受け止め、今後の
対応を検討したい」
 斉藤次郎さん(教育評論家)「文部省が自分で制限を加えると格好が悪いの
で、業界団体にやらせたのではないか。教科書に関わる人の関心は業界の都合だ
けで、だれも子どものことなんか考えていないと言うことだ」
          (読売10月9日)
 

  文部省は13日までに国旗国歌法制化を受けて、「一層適切な指導」を行う
よう小学校新学習指導要領に解説書(教員向け指導手引き)。
小学校6年社会科「『日章旗』が国旗であり『君が代』が国歌であることが広く
国民の認識として定着していることを踏まえて、法律により定められている」と
明記。
新指導要領の基づく2001年度から使われる教科書の検定は12月から始まる
予定。
        (河北10月14日)
 

  文部省は18日までに日の丸・君が代の指導に関する特集記事を9ペ−ジに
わたって掲載した広報紙(全12ペ−ジ)を約17万部作成。全国のすべての小
中高や大学、教育委員会に配布。既に都道府県教育委員会に通知配布されるなど
したものと同様の内容。
「各学校教育現場の教職員に広く通知するのが目的」(文部省)
・新指導要領の解説・日の丸、君が代の由来・戦後の指導要領の取り扱いの変
遷・前通常国会での審議状況・今春の卒業式、入学式での掲揚斉唱の実施率−な

            (秋田さきがけ10月19日)
 

  19日、日教組の定例中央委員会での「日の丸・君が代」対応
運動方針「話し合いを基本として、学校現場での対立や混乱を増幅させないよう
な取り組み、文部省や教育委員会、学校関係者と交渉、協議する」
川上委員長は子どもたちへの学習や教育委員会などとの交渉に活用する独自の資
料集を作成することを表明
「法制化で子どもたちへの指導が強まるのは明らかだ。行政・管理職が力で指導
を強め、職場の混乱が増幅しないとも限らない」「(日の丸・君が代について)
由来や歴史的認識をしっかり子どもたちに教えることが大切」
          (河北10月20日)
 

  島根大学では開学50周年記念式典で日の丸掲揚について、6日の部局長会
議(各学部長や学部代表で構成)で掲揚せずと決めたが、文部省から「国旗・国
歌法成立以後、50周年式典で日の丸を揚げない大学は島根大学だけ」(学長)
と指摘を受け、12日緊急部局長会議を開き、掲揚することに方向転換。
 学長「決定の手続きについて批判があったが、最終的には一任を得た。今後軽
率な行動をとらぬよう気をつけたい」「文部省の圧力と見られたようだが、掲揚
はかねてから考えていたこと」「国立大学の独立行政法人化が浮上し、予算的に
厳しい状況のなか、地方の大学が生きていくためには地域からどれだけ支援を得
られるかが重要な問題」「国旗・国歌法成立後、掲揚しないのは積極的な主張を
持つことになり、不本意。地元の出席者の誤解を避けたかった」
 評議員の一人「個人的には日の丸を揚げることには反対だが、式典が地域に大
学をPRする大事な機会なのは確か。学長の判断を尊重し、協力したい」
            (朝日10月19日)
 

  新潟大学は、10月14日の大学運営会議(学長、副学長2名、事務局長)
で学校内などに日の丸を常時掲揚し、入学式などほとんどの行事で日の丸掲揚と
君が代斉唱の実施を決定。
 19日付けの各部局長あてに出された学長通知で、「国旗の保全のため」混乱
が生じた場合は警察の出動を要請するとした。
 同大教職員組合「学内討論もなく、憲法に保障された大学の自治を自ら放棄す
るもの」として通知の撤回を要求
 大学総務課「(官憲の出動要請については)国有財産の維持・保全のためとい
うことで、法律に反対する人を排除するという趣旨ではない」
             (毎日10月29日、朝日30日)
 

  自民党は21日までに、靖国神社のあり方を検討する懇談会の設置を断念。
前官房長官が8月、神社の特殊法人化、東京裁判A級戦犯の分祀などをあげた
が、神社本庁や靖国神社が反発。
綿貫民輔・自民党神道政治連盟議員懇談会会長「懇談会を作ってもこの問題に結
論をだすのは難しい」
               (産経10月22日)
 

  25日、広島県立学校校長会議で県教委が、学校行事での国旗国歌の実施推
進を改めて要請。校長協議会が会議後校長協会と広島高教組の間に結ばれていた
国旗国歌に関する協定書の無効を初めて公表。
協定書は@日の丸は三脚での会場設置を基本とし、双方が努力するA君が代は歌
詞の解釈をめぐって議論があり、新たな混乱は回避する方向で努力するB校長、
教職員が力を合わせて、教育内容の形成などに努力する−
県教育長「広島県の教育は一歩一歩前進している」「これらの文書は現在では全
く意味を持たない。今後も学習指導要領に沿った国旗国歌の実施を着実に進めて
もらいたい」
協議会会長「協定書を結ぶ以前の状況になっていると考えてもらいたい」
                  (産経10月26日)
 

  広島県立世羅高校で、校長が自殺した当時、県高教組の分会長を務めていた
教諭が「電話で『殺す』などと執拗な脅迫をうけた」として、11月1日、容疑
者不明で広島地検福山支部に脅迫容疑で告訴。7/23,9/3,9/7現在の
勤務校に同一人物とみられる電話。
                         (朝日10月31日)
 

  「新しい歴史教科書をつくる会」秋田県支部では来年度に使用される小学校
教科書の採択資料となった教科用図書調査研究報告書の公開を求めたが、非公開
とした。県行政改革推進課は26日までに、同会藤原信悦県支部長に、非公開の
理由説明書を送った。
@公開すると、教科書発行者が教科書採択関係者らに、営利に根ざした不当な圧
力などをかける A安心して教科用図書の調査研究が進められ公正な採択が行われ
るよう、選定審議会委員らに公開しないことを約束している−ため
同支部長は「公開しないと言う約束による非公開では、情報公開は骨抜きにな
る」などとして、説明書に対する意見書を県公文書公開審査会に提出する予定。
         (産経10月27日)



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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