日本海側に米艦船の泊り地として、境港が「候補」として入っているのがわ
かったのが7月、周辺事態法が成立したのが8月、そして10月、日本海の民
間港へ米駆逐艦が入港を強行。県は「政府間で結ぶ日米地位協定に基づく今回
の入港に自治体の権限は及ばない」として「静観」の構え。
経過から考えても、戦争法関連法の成立で、「周辺事態」が起こったとき、
日本政府は地方自治体に、米軍への「後方支援」のための「協力を要請」でき
るようになったから、それに備えて、「通常入港」で泊り地を確保−というの
が普通の受けとめ方ではないかと思うのだが。「地位協定」で自治体の責務を
ごまかせる問題ではないのであって。予想されたことなのに無為無策のまま、
その日をむかえた鳥取県であった。
後程現地から問題提起があろうかと思いますが、鳥取発のニュ−スを参考に
とりあえずのお知らせ。(朝日新聞10月2・15・16・18日、日本海新
聞10月15日・18日。一部秋田さきがけ10月17日)
神奈川県横須賀港を母港とする米第7艦隊所属の駆逐艦「クッシング」(満載
排水量九、二五〇トン、全長一七一・六b、全幅一六・八b)が18日午前、
鳥取県の港湾都市・境港市の境港昭和南1号岸壁に、休養・補給を目的とする
「通常入港」。同日午前8時過ぎに入港、21日午前8時過ぎに出航で72時
間停泊予定。
1 乗組員ら270人が上陸。「通常入港」したついでに老人ホ−ムなども「親
善」訪問。
十九、二十の両日は一般市民向け見学会を計画。見学時間は両日とも午前九
時―正午、午後一時―同四時の二回。
アメリカ総領事館報道部によると、見学に事前申し込みはいらない。米艦が
各港に入港した際は、親善のため出来るだけ見学会を設定しているという。
境港は全国屈指の漁港として知られ、艦船入港前日の十七日には日本海の海
産物を一堂に集めた恒例の「第17回境港水産まつり」(境港水産振興協会主
催、新日本海新聞社など後援)が、境港市昭和町の県営魚市場周辺で盛大に開
かれ、約八万人の買い物客でにぎわった。
また一昨年の「夢みなと博」では環日本海交流を掲げ、環日本海圏域での自
治体外交を推進。97年11月、大連、青島などを結ぶ中国航路を開設。しか
し98年10月、秋田港、境港がル−トからはずれ、現在は秋田、苫小牧、新
潟、境港と中国南部の上海、福州、泉州、アモイを結ぶ航路の国際定期コンテ
ナ船が寄港。これも近く「航路の再編成」の周期短縮で秋田港や福州、泉州な
どを取り止め。秋田港寄港は今月23日が最後。太平洋側にも寄港していた
が、貨物量の伸悩みで9月以降は八戸、日立、清水の寄港を取り止めている。
県などによると、クッシングの入港は、在日米海軍司令部から海上保安庁を通
じ九月三十日夕に文書で通告があった。地元(島根・鳥取)の境港管理組合
(管理者・片山善博鳥取県知事)は、普段は木材チップなどの荷揚げに使用し
ている水深一三bの4万トン級の接岸が可能な岸壁に接岸できることを確認し
たうえ、十月一日に「受け入れ」を海上保安庁に伝えた。
同港は米空母艦隊などの泊地として福井県敦賀港とともに候補に入っているこ
とが七月に明らかになっているが、「あくまで日米地位協定(五条)に基づく
もので、(新ガイドライン関連法とは)無関係と認識している」「境港への米
艦船入港は初めてで、どういう手続きがあり、バ−スを確保できるのか手間が
かかったため(一日まで発表が遅れた)」(土木部長)
片山知事「(地位協定は)一種の治外法権」「もっと地元の意向を尊重でき
る対応について政府に検討を要請したい」
境港市長「米駆逐艦の入港は初めてのことで、八月二十五日に周辺事態安全
確保法が施行されているだけに、市民に『誤解』が生じないことを願ってい
る」「今後米艦船が頻繁に入港して市民が不安を感じる事態になれば、港湾管
理者である知事に善処を申し入れたい」
境港港湾施設条例第三条では、港湾施設を使用しようとする者は港湾管理委
員会の許可を受けなければならないと定められているが、日米地位協定はこの
条例の制約を受けないとの判断から「受け入れざるを得ない」(県港湾課)
クッシングは八月二〜六日には京都府舞鶴港に入港。府港湾事務所が港湾条
例で定めた入港届を二度にわたって求めたが応じず。
地元には「なし崩し的な軍港化」を心配する声もあり、鳥取、島根両県の社
民党系平和団体や市民グループは入港前日の十七日から抗議集会やデモ。県へ
入港を拒否するよう申し入れなど。
「米軍艦船境港入港反対市民集会実行委員会」加藤和徳委員長(県平和セン
ター理事長)「これまで一度も来なかった境港に、今なぜ来る必要があるの
か。ガイドライン関連法の成立と併せ、日本を戦争へと導く動きだ。戦争に導
く行動を決して許してはならない」
「ピースリンク広島・呉・岩国」湯浅一郎世話人「自治体が持っている港湾の
管理権を行使すべき」「米軍は自治体や住民の反応を見るのが一つの狙い」