米軍三沢基地では10月5日から8日まで東北と北海道地域でF16戦闘機
のシ−リ−(作戦体制運用演習)実施。7月から毎月連続。多い日で一日あた
り約70回の飛行。同基地の県への通知(9月30日)には「この演習ではパ
イロットの熟達を目的とした夜間飛行訓練を行うが、午後10時から午前6時
までは実施しない予定」「地域住民に迷惑がかからぬよう引き続き最大限の配
慮をする」
(さきがけ10月1日、東奥10月9日)
10月下旬ころからは日本海で恒例の実動演習が始まります。太平洋側の演
習は派手に宣伝しますが、日本海側でのは聞いても教えてくれません。近所に
「仮想敵国」があるからでしょうか。
三沢空港で炎上事故を起こしパイロットが死亡したF16の事故報告書から
判明した北海道上ノ国町の模擬攻撃目標などについての質問状にめずらしく
(前代未聞とのこと)「回答」がきましたが、「真偽があきらにされていな
い」として「再質問状」を提出。
「回答」から、いつからかは不明ですが、報告書の訓練に使われた地図が、
飛行訓練に恒常的に使われていることや、「特定の目標」が設定されているこ
とがはっきりしました。上ノ国町での轟音や目撃の証言をも裏付けるもので
す。
しかし、全体をみると、この「回答」は「隣人」に礼をつくしたからではな
く、三沢の戦闘航空団が軍隊への「忠誠」を改めて表明したものです。かの報
道部長もたぶん星条旗に「忠誠」を誓ったお一人でしょう。
これは、1999年1月14日付けで外務省が公表した「在日米軍による低空
飛行訓練について」と題した日米合同委員会合意、これに関する政府見解、事
故報告書に対する外務省見解などにもみられる姿勢ですが、いままで沈黙して
いた「軍隊への忠誠心」を公文書でも表明できるようになったということで
す。これらを許すと「自衛隊」は「軍隊」へ大きく近付きます。憲法九条をも
つこの国の民への「挑戦」ともいえるでしょう。
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1999年10月13日
第35戦闘航空団報道部長
クラウディア・M・フォス 様
三沢市議 伊藤裕希(印)
住所 ******
TEL/FAX **********
<再公開質問状>
あなたからの回答文を10月8日付のFAXで受けとりました。回答があっ
たことはまずもって評価します。
しかしその中身の多くは私の質問にまともに答えているとは思えません。そ
こで改めて再質問状を送りますので、お手数でも回答をお願いします。
記
(1)私は9月14日の記者会見で「学校が標的になっている可能性がある」
とは発表しましたが、「学校が標的になている」と断定した見解はのべていま
せん。改めて「発表した内容の誤り」の根拠を示してください。
(2)@のポイント3〜5がナビゲ−ションポイントであることはわかりまし
たが、問題はこのル−トがいわゆる低空飛行訓練ル−トか否かです。改めてこ
の問いに答えて下さい。
また、このル−トはいつから使用し、この間何度位使用しています
か。
A△マ−クのポイント8は「特定の目標」とのことですが、「特定の目
標」とは何を意味しますか。「攻撃目標」とはどう違うのですか。
今回の訓練は対地攻撃訓練としての資格取得訓練を予定していたこと
はあなた方も認めており、対地攻撃に関係した目標とみるのが自然だと思うの
ですが。
B1〜4の番号は「地図上に以前から記載されていたもの」ということ
ですが、以前この地図をどんな目的で作り、使用したのですか。
港の埠頭(?)についている△印(特定の目標)が何を意味するかも
あわせて答えてください。
C大切な点ですのでもう一度お聞きします。
あなた方は「地図上に以前から記載されていたもの」の中に学校があ
ることを知っていましたか。
イエスまたはノ−で端的に答えてください。
D「私共は学校を仮想目的にするような訓練は実施していない」と唱え
るだけでは説得力はありません。実施した、と疑われているのですから今回の
訓練内容を完全に明らかにすることがその疑いを晴らす第一歩だということは
広報担当者のイロハでしょう。
事故報告書の
"The entire formation of aircraft was to fly a low level navigation
route to a medium altitude attack of a target, followed by multiple
attackas on a variety of targets at the bombing range"
と整合性のある説明を求めます。
E改めて「空対地カ−ド」の鮮明な資料を提出してもらえませんか。
(3)ICAOや日本の航空規則の「厳格な遵守」と「環境保護」の件です
が、こちらの質問には何ら答えていません。改めて前回と同じ質問を繰り返し
ますので、今度はまともに答えて下さい。
以上、再質問項目をまとめましたが、釜石市内の山中に墜落したF16機が
港湾施設をモギ爆撃したこと、米海兵隊がオレンジル−トを辿りながら発電所
や変電所を攻撃する計画であったことは米軍の公式文書である「事故報告書」
に明記されています。
これらの事実が明らかになった以上、ただ「学校は標的にしない」と繰り返
すだけでは説明になりません。
今回のタ−ゲットは何だったのか、そのタ−ゲットと学校や灯台の関係はど
うだったのか、説明の核心となるべき点をはっきりさせて下さい。
去る10月11日にはテレビ朝日が昼の番組「ワイドスクランブル」で「小
学校が標的!? 追跡 米軍F16恐怖の低空飛行」と題したルポが約30分
間放映され、この件の真偽が更に注目されています。
このままでは私はもちろん、上ノ国町の住民をはじめ日本国民の多くは「納
得した。安心した」というわけにはいかないでしょう。改めて米軍側の早急な
回答を求めるものです。
平成11年10月8日
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三沢市議
伊藤裕希 様
拝啓
本年9月29日に受領いたしました貴職よりの書簡に回答させていただき
ます。三沢基地司令官ウッド准将の報道官として、貴職の質問に回答させてい
ただくことは適切であると思います。
敬具
(サイン)
第35戦闘航空団報道部長
大尉 クラウディア M.フォス
1、 貴職より、学校が標的になっていると発表されましたが、私共は学校
を仮想標的にするような訓練は実施しておりません。
2、事故調査報告書のAA−3及びAA−4頁の説明は以下の通りです。
(1) 地図に示されたポイント3から5は、今回の任務のための飛行
ルートです。それらのポイントは、操縦士が飛行を実施する際、彼らを誘導す
るのに使うナビゲーションターンポイントです。
(2) 四角のマークで示されたポイント7は、ターゲットランの開始地
点を意味します。
(3) 三角のマークで示されたポイント8は、特定の目標を意味しま
す。
(4) 1から4の番号については、意味を持つものではありません。そ
れらの番号については、地図上に以前から記載されていたもので、今回の任務
とは関連のないものです。
(5) 空対地カードは、操縦士が飛行運用の際、ナビゲーション及び訓
練データとして使用するものです。
第35戦闘航空団の実施する全ての飛行訓練は、国際民間航空期間(IC
AO)が定める国際航空基準に従い、かつ日本の航空規則を厳格に遵守して実
施されています。
私共は、飛行運用を計画する際、地域の環境保護も含め、全ての要素を考慮し
ています。
敬具
(サイン)
第35戦闘航空団報道部長
大尉 クラウディア M.フォス
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