Date: Tue, 21 Sep 1999 18:26:30 +0900
From: Aoki Masahiko <btree@pop06.odn.ne.jp>
To: keystone M <keystone@jca.ax.apc.org>
Subject: [keystone 1898] 事態法、基地協議会への説明(中)
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X-Sequence: keystone 1898
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

 ここから、質疑応答の記録です。
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  [意見交換、質疑応答]
○車両制限令
 問「車両制限令では、米軍・自治体の車両は適用除外であるが、市道に軍の大
型車両が通行し、市民生活に支障が出ることが予想される.その場合、国はどう
対処されるのか。
 地域の実情に応じて、住民生活に配慮した運用形態にすべきと考えるが如何か。」
(答)国としても地域の実情・住民生活の問題に配慮するのは当然。市民生活に
不当な支障が出るようなことのないよう配慮するものと考える。
 なお、車両制限令とは別問題である。車両制限令は車の重量・長さが制限を超
えた場合でも許可するかどうかといった権限であり、車が通ることによる市民生
活への支障とは別問題である。
問「適用除外である米軍や自衛隊車両の通行により、道路の破損、事故及びその
他の事態が起きた場合の責任所在はどこか。」
(答)車両制限令の規定で、適用除外になるのは保全措置を講じた場合が前提と
なっている。
問「協力依頼を受けた民間の車両は、車両制限令の適用を受けるのか。」
(答)民間車両の場合は、基本的には規制を受け、許可が必要である。この許可
について、場合によっては「協力の求め」を更に国から行うことがある。

○空港、港湾及び公共施設の使用
 問「市管理漁港は地方公共団体の管理する港湾施設となり得るのか。」
(答)全く排除するということにはならないが、典型的に想定している港湾は、
港湾法第34条において準用される第12条に基づいて、条例で定められる港湾であ
る。
問「各々の施設の条例のなかに調整すべき規定がない場合でも、施設管理者は調
整しなければならないか。
 また、仮に調整する場合でも管理者の自由裁量でよいか。
 さらに、国が行う調整は管理者からの要望を踏まえとしているが、要望するこ
とも管理者の自由裁量でよいか。」
(答)調整が条例に明記されていない場合でも、通常の管理行為の一環として行
っているものと理解している 調整すること、国に調整を要望することは、空港
管理者・港湾管理者が自らの判断で行うものと考える。国が直接民間船社に依頼
する場合も管理者の意向を踏まえて行う。
問「国が行う調整とその結果は、施設の又貸し禁止に該当しないか、また、先行
許可者への強制は伴わないのか、管理者は使用料の還付は行えないものと考える
が、如何か。」
(答)一度、民間船社にキャンセルしていただいて、米軍に許可すれば施設の又
貸しにはならない。
 使用料の還付については、実際に入港し、使用していれば料金の徴収を行う。
状況に応じて、条例の減免規定、免除規定を適用することも場合によっては考え
られる。
問「解説(案)のP9に空港管理者による調整によっても民間航空機の了解が得ら
れない場合においては、空港管理者からの要望を踏まえと記述されている。航空
会社や地域などへの影響の観点から、空港管理者として調整を取れない場合も想
定され、その場合における空港管理者からの要請を踏まえとは、どのように解釈
し、国としてはどう対応されるのか。」
(答)空港管理者と民間航空との調整状況を踏まえて、国として適切に対処する。
必要に応じて国からも調整を行う。
問「空港管理者による調整とは、補償交渉も含まれるのか。」
(答)空港管理者の行う調整は、あくまで空港管理者の判断で行われる。
問「空港管理者が国の場合において、地方自治体は、空港の管理運営の権限を有
していないことから、法第 9条の協力要請は、基本的にはないものと考えて いる
が、空港管理者としては地域への影響の観点から空港を抱える自治体に基本計画
を策定する前に意向などを確認し、尊重したうえで、空港利用の判断をすべきと
思われるが、如何お考えか。」
(答)事態の態様、緊急性の程度に応じて、地方公共団体、地元に与える影響等
も留意しながら、国としても適切に対応していくことが必要である。

○火薬庫
問「火薬庫について、自衛隊が設置し、米軍が使用することを想定しているのか。
その場合、火薬庫の施設等は、日米地位協定2−4−(b)となる のか。」
(答)通常は日米地位協定に基づく施設・区域内に設置することが考えられる。

問「火薬庫や燃料庫等の危険物の建設については、地元の反対が予想される。こ
の場合その対応は国が行うのか。」
(答)周辺事態に限らず自衛隊が施設を設置する場合と同様の対応となる。

○協力の求めがあったことを前提として権限の適切な行使
 問「前提としてとは優先して取り組むことを意味するのか。」
 問「許認可について、行政手続き条例を含む法令等に基づいて所要の通常手続
きを経るとしながらも、敢えて協力を求めるとの意図、内容は何か。」
 問「協力とは、許可条件や法定手続き以外の点について、特別な便宜供与を求
めるということか。」
(答)現行法令に基づいて適切に権限を行使することが求められる。

○協力義務の拒否
 問「協力義務に対し正当な理由がある場合は拒否できる。その判断は、当該権
限に定められた個別の法令に照らして判断される。」とあるが、地方自治体の所
管施設にかかる許認可の判断は、自治体の長の判断と考えるが如何か。
(答)権限の行使について求めがあった場合、一義的には地方公共団体の長の判
断とされる。ただし、法的にも地方自治体の専管事項となっているわけではない。
 港湾法で、自治体の対応が不平等取扱にあたる場合、運輸大臣から停止・変更
命令を行う規定がある。従って、運輸大臣の判断によって何らかの命令を行うこ
とがある。
 さらに、裁判によって司法的に争うこともある。
 判断については個別の法令に照らして判断されるものである。
 周辺事態法、基本計画が作られることによって、地方自治体の権限が侵される
ということでは全くない。
 国と自治体との権限関係は現行法令どおりに維持した上で「求め」「依頼」を
していく。

○物品の貸与規則との関係
 問「市に物品の貸与規定がない場合は貸与できないと解してよいか。「依頼」
は、通常の手続きを超えた、申請期間の延長や使用の例外、料金の特別扱い等を
意味しているのか。」
(答)通常の手続きに従って行う。

○給水
 問「通常の給水エリア内での給水と解釈してよいか。
  協力依頼は、どのくらい前にどのような方法と内容で考えているのか。」
(答)通常の給水エリアだけでなく、それ以外の地域についても可能性として排
除されているわけではない。基本計画の策定の段階でできる限り調整を行う。

○公立病院への患者の受入れ
 問「協力依頼による患者の受入れが、一般患者の診療に支障をきたすと判断し
た場合を、協力を拒否できる正当な理由と解してよいか。」
(答)正当な理由かどうかではなく、患者の受入れについては、第9条第2項の
「協力の依頼」であり、法令上の権限ではなく、自身の判断で決定される。

○し尿処理・廃棄物の処理
 問「処理能力を超える搬入が予想される場合、又は超えることとなった場合、
搬入を拒否できるか。」
(答)第9条第2項の「協力の依頼」であり、能力を超える場合は受け入れること
ができないだろうし、自身で判断をしていただければ良い。

○民間企業の有する物品、施設の貸与
 問「米軍が民間空港を一時的に利用する場合、地位協定2-4−(b)にすること
があるのか。」
(答)政府として今の段階において具体的に特定の施設の提供を考えているとい
うことはない。一時利用の場合は、地位協定5条に基づく 使用となる。

○民間の範疇
 問「例示されている民間企業に個人が所有する土地や建物は協力要請の対象と
なるのか。含まれるとした場合、民間企業との対応上の違いはあるか。」
(答)通常は企業が想定されるが、法文上では国以外の者となっており、企業に
限るわけではない。

○民間企業の有する物品、施設の貸与
 問「民間会社の専用埠頭は対象となるか。」
(答)可能性としてはあり得る。

○公務車両による輸送
 問「公務サービスを目的とした車両について協力を依頼することを想定してい
るのか。法令上、認められないのではないか,」
(答)第9条第2項に基づく人員及び物資の輸送に関する地方公共団体の協力につ
いては、地方公共団体がバス事業を営んでいる場合を想定している。公務用のバ
ス・公用車についても可能性としてはあり得る。
 例えば車両だけ侍りることもあるし、公務車両で輸送していただくことも考え
うると思う。
 もし、公務用車両を人員及び物資の輸送に使用することが法令的に難しいとい
うことがあれば教えて頂きたい。

○協力依頼の依頼先の優先度
 問「民間と地方公共団体に共通する事項について協力を依頼する場合、基本的
には地方公共団体への依頼を優先するのか。」
(答)内容にもよる。医療機関の場合、自衛隊の医療機関、国立医療機関、公立
医療機関、民間医療機関という順序が基本になる。具体的に依頼する場合は、傷
病者の状況、その他の状況を勘案して決定されるものと考えられる。

○民間への協力依頼とその調整
 問「民間への協力要請を行う場合、予め地元の地方公共団体へその内容を通知
し、意見を聴くのか。」
(答)基本的に民間への依頼は、直接、国が第9条 第2項の「協力の依頼」に基づ
いて依頼。予め地元に通知をする、意見を聴く ことは制度的な仕組みとして設け
られていないが、住民生活に影響が考えられることから、状況によっては、必要
に応じて、連絡する、調整することを考えていかなければならない。
問「民間への協力依頼に関して、依頼先の選定や調整等を地方公共団体へ依頼す
ることを想定しているか。」
(答)協力要請は、国から実施主体に直接行う。依頼先を国として把握しきれて
いない場合は、自治体に調整依穎をすることがある。
問「自治会への協力依頼として、人員の派遣や集会所の提供等依頼があれば、地
方公共団体の長を通じて依頼することとなるのか、それとも、国より直接自治会
への依頼となるのか。」
(答)想定したことがない。具体的に想定されることがあれば伺いたい。

○口頭による協力要請の確認方法
 問「口頭で行われる場合は、電話連結等を含めた依頼等の真偽確認をどのよう
に考えているか。手続きや料金等について具体的な処理の方法を明示されたい。
 また、依頼等の受理不受理も口頭による場合もあり得るか。」
(答)基本的には文書で行う。緊急の場合には、口頭で行うこともあるが要請後
速やかに文書により連絡する。
 真偽の確認は常識の範囲で確認をしていただく。依頼等の受理不受理も基本的
に文書で行う。

○第1項と第2項を分けての協力要請
 問「国から要請がある時、これは第9条第1項に基づくもの、これは第9条第2項
に基づくものと国が分類されて、地方公共団体に要請されるのか。」
(答)当然、第1項の「求め」、第2項の「依頼」を分けて要請する。

−−−−−続く−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
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   青木雅彦
 btree@pop06.odn.ne.jp
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