沖縄の後藤です。
昨日のシンポジウムの「要請決議文」です。
実際に提出する際は、若干の訂正があります。
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新沖縄県立平和祈念資料館問題緊急シンポジウム
▼要請決議
本日、わたしたちは、来年三月オープン予定の県立平和祈念資料館の常設展示問題
についての緊急シンポジウムを開催しました。
新しい県立平和祈念資料館の展示内容が、県民に明らかにされないまますすめられ
ていることに疑問を感じて、情報の公開を求めていた矢先、マスコミによってあきら
かにされた内容は、わたしたち沖縄県民の願いと期待を裏切る衝撃的なものでありま
す。
わたしたちは、沖縄戦の真実を伝え、県民の平和創造活動の公の施設として建設さ
れるはずの県立平和祈念資料館が、行政の思惑と独断によって「改ざん」され歪めら
れようとしたことを絶対に容認することはできません。また、すでに八重山の平和祈
念館では、県の指示によって展示内容が変更されていたことに県政への不信感を感じ
ています。
沖縄戦については、戦争の悲惨とその本質を解明するものとして、多くの調査研究
が行われてきており、我が国の平和研究の基礎ともなっています。また、沖縄戦の教
訓は、ヒロシマ・ナガサキとともに、平和の原点として、平和学習の重要な課題と
なっており、そのため沖縄を訪れる人びとが年々増えています。その学習拠点となっ
てきたのがほかならぬ現在の県立平和祈念資料館であり、それを支えてきた県民をは
じめとする県政や市町村行政の真撃な平和への努力であります。
新平和祈念資料館の設立事業は、こうした努力の上に、現資料館の設立理念を引き
継ぎさらに発展させる事業としてとりくまれてきたのです。沖縄県の「『平和祈念資
料館移転改築事業』基本構想」は、「現資料館の『設立の理念』及び『展示の結びの
ことば』を前提として」「沖縄から世界にむけ、積極的平和の理念と行動を訴えてい
く」こと、「資料館の展示を通して、アジア・太平洋の民衆に対する加害の実相を痛
みをもって患い起こし、民衆の戦争被害の実態を明らかにし、さらに、戦争に反対し
平和のために力をつくした人びとの活動を誇りをもって発展させていくよう、日々の
努力を集積する」と、その考え方を述べています。そして、「平和をテーマとする博
物館、資料館で特に重要なことは独立性の確保である。新資料館が確固とした基本姿
勢を保ち続けるためには、設立主体や運営主体のあり方を慎重に検討していくことが
必要である」とも指摘してきたのです。
今度の県行政当局による「展示改ざん」問題は、こうした新平和祈念資料館の設立
理念から大きくはずれたものであることは明白です。
わたしたちは、「展示改ざん」問題について、県当局に厳重な抗議をするととも
に、その撤回と事実経過の公表を要求します。そして、その反省と教訓に立って、沖
縄戦の実相を正しく伝え、県民の平和への努力が反映される新県立平和祈念資料館を
つくるよう要請いたします。また、県立平和祈念資料館が沖縄の平和創造発信の拠点
となるよう、その展示内容は勿論のこと、館の管理運営や活動のあり方について、時
の県政の思惑に左右されない独立性と館活動の自由を保障する体制を確立できるよう
強く要望し、そのための条例制定や専門職員の配置などの体制づくりを要求するもの
であります。
沖縄県立平和祈念資料館は、沖縄県民のものであり、県民による世界への平和発信
のための資料館なのです。
1999年9月18日
新沖縄県立平和祈念資料館問題緊急シンポジウム参加者一同
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SATOSHI GOTOU
沖縄
fwgk4969@mb.infoweb.ne.jp