青森県三沢市議の伊藤裕希さん(三沢基地監視グル−プ代表)が、98年7月、離陸
中にオ−バ−ラン、炎上事故を起こした米軍三沢基地所属のF16戦闘機の事故報告書
を、同市の情報公開制度で入手。リムピ−スなどの協力を得て分析、14日発表。
報告書は英文の九百十三頁で、外務省を通して昨年十一月、青森県、三沢市などに配
布。
訓練内容は、天ヶ森対地射爆撃場での地上攻撃と、低空飛行ル−トを飛びながら中高
度に高度を上げ、爆撃上で様々な標的を攻撃するというもの。
「基地から白神山地をかすめて北海道への低空飛行訓練ル−トが恒常的に使われてい
る可能性が高い」(市議)
飛行計画では、事故機は4機編隊で三沢基地を離陸後、近くの射爆場(天ヶ森)で模
擬爆弾投下訓練(最長四十五分間、対地攻撃)を実施。青森県平内町、十和田市上空を
通り、西目屋村(白神山地の北側)山中を旋回、日本海(上空に目標2地点)に抜け、
訓練の最終目標(8ヵ所目)である北海道上の国町の大崎小学校(児童十二人)周辺へ
向かう予定。
「射爆撃場の訓練の後も低空飛行を行いたいと考えていた」「低空飛行を行い、その
後高空から爆撃訓練をする」とパイロットが報告書に明記。飛行高度については記載せ
ず。 在日米空軍司令部(横田)では、白神山地での低空飛行はしていないとしていた
。
報告書の地図(対地攻撃カ−ド)には、4カ所<1−洲根子灯台、2−大崎漁港防波
堤、3−大崎小(旧米軍兵舎)、4−旧米軍宿舎廃屋>に目標を示す番号が記されてい
た。大崎小から約100メートル離れた所に灯台があり、小学校周辺を攻撃目標に想定
。
「急降下での爆弾投下や機銃射撃の模擬訓練を計画していた可能性が高い」(市議)
檜山管内上の国町大崎地区では、3年ほど前から同様の低空飛行訓練が行われている
。 住民の話を総合すると、2機並んで南の松前町方面から山を越え、大安在浜に添っ
て飛来、洲根子岬の上空か、岬を東西にかすめるように北上。通過後は左に旋回して日
本海に出るケ−スや、右に旋回して上の国町中心方向に出るケ−スなど。
訓練は日中に多いが、夜間にも爆音が聞こえることもあり、月平均1〜2回程度飛行
。今年6、7月には数回確認。
「双眼鏡でパイロットのヘルメットがはっきり見えたから、高さ百メ−トル程度の飛行
だったろうか。とにかくすごい音だった。」(大崎小教頭)
また報告書で、F16が常備している緊急用燃料の発がん性物質「ヒドラジン」の記
述があったことが分かった。伊藤裕希市議らが基地を抱える自治体市議で構成する「リ
ムピース」(事務局・東京)に報告書の解析を依頼。
報告書には事故当日、米軍三沢基地の飛行管理者が「事故後、私たちはヒドラジンへ
の対処に悩んだ」「(通常調査では)現場にヒドラジンは漏れはなかった」と語ったこ
とや、ヒドラジンの漏れや汚染があった場合に取られる手順などを記載。
昨年11月、米軍側は三沢市に英文の報告書を提出。しかし市基地対策課は、釜石市
で1月、F16が墜落して問題が明るみに出るまで「ヒドラジンの危険性は知らなかっ
た」。
道は十六日、事実確認のため、訓練の飛行計画などを記した事故報告書を、東京事務
所を通じて外務省から入手。道は「小学校を目標としていたことが事実であれば、中止
を申し入れるなどの対応をしたい」(総合企画部)。
上の国町議会では十五日幹部が会合。米軍の訓練に抗議する意見書を提出する方向で
調整開始。十七日から始まる定例町議会に提案。
同議会は米軍三沢基地に対し、爆撃訓練と低空飛行訓練の即刻中止を求める決議を全
会一致で可決。同日午後には議会を休会にして、全議員十六人と福原賢孝町長らが三沢
に向け出発、同日夕にも同基地に対し申し入れる。
決議は、「訓練により、爆音と事故発生に対する住民の不安が増大している。十四―
十六日にも三日連続大崎小上空で訓練が確認されており、即刻訓練を中止するよう強く
要求する」。
同基地司令官と防衛施設庁・三沢防衛施設事務所に提出。在日米軍司令官、小渕恵三
首相に対しても同様の決議文を出す方向で調整する。
福原町長「住民の不安を解消し、安心して生活できるよう、町として相当な覚悟で努
力したい」(行政報告)
道教組(若山俊六委員長)と道高教組(八木靖彦委員長)は十七日、道と道教委に対
し、米軍機の低空飛行訓練の即時中止を求めるよう文書で申し入れ。
「大崎小では今年十二人の子供が学んでおり、まさに二十四の瞳(ひとみ)が標的にな
った」「地元住民はもちろんのこと、教育関係者、父母住民の激しい怒りが起こってい
る」など。日本政府や米軍に強く抗議することと、米軍の事故報告書を入手し射撃訓練
の実態を公表することも求めた。
(道新、朝日、毎日、河北 15〜17日)
「無防備・非核ネットワ−ク北海道」では、17日、米軍機低空飛行訓練に抗議し、声
明を発表、関係機関に申し入れ。
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米軍機低空飛行訓練に抗議の賛同をお願いします!
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私たち「無防備・非核ネットワ−ク北海道」は、個人から地域へ、そして地球規模で
、無防備宣言の声をあげるべく、6月19日に発足した戦争不参加の市民の会です。
戦争はもちろん、戦闘訓練そのものが人権侵害であることを今回の訓練は物語ってい
ます。
小学校を爆撃訓練の標的にしていたことに、私たちは怒りを込めて抗議します。たとえ
小学校ではなくても、爆撃してよい標的は地球上に存在しません。それはアメリカの国
においてもしかりです。しかし、とりあえず、戦闘訓練は日本から撤退してもらいまし
ょう。 私たちは思いを同じくする各地の市民のみなさんと日本政府、アメリカ政府お
よび両国の軍隊(米軍と自衛隊)、道知事、各関係方面に抗議文を出し、要請のための
交渉をしていきます。
9月17日に知事と防衛施設庁に抗議文を渡し、次の話し合いを求めます。
ご意見、ご賛同をお願いします。
「無防備・非核ネットワ−ク北海道」
連絡先 谷 百合子
FAX 011-664-0632
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米軍機の低空飛行訓練に厳重に抗議し、一切の爆撃訓練の即時中止を要求する声明
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新聞報道によれば、青森県三沢空港で炎上事故を起こした、米軍三沢基地所属のF1
6戦闘機が、こともあろうに、檜山管内上の国町の大崎小学校(山北実校長、児童12
名)など周辺施設を含む4ヵ所を目標に想定した模擬爆弾訓練を実施していたことが暴
露されました(道新9/15)。私たちは、なによりも最も平和な環境で学ぶことを保
障されるべき小学校を標的に、爆撃訓練を強行している米軍の暴挙に満身の怒りを込め
て抗議し、米軍機の一切の爆撃訓練の即時中止を厳重に要求するものであります。新聞
報道によれば、3年前から米軍機が超低空で飛来し、この地区を標的に爆撃訓練を強行
していたのです。
最近、この米軍機の事故が頻発しています。奈良県十津川山中での米空母ミッドウエ
イの電子戦機EA6Bの林業ワイヤ−切断(87.8)、岩手県山中で、三沢基地所属
のF16墜落(88.9)、愛媛県の山中での岩国FA18戦闘攻撃機墜落(89.6
)、高知県早明浦ダム湖に空母インデペンデンスのA6E攻撃機墜落(94.10)、
海兵隊岩国基地のFA18戦闘攻撃機の機体の一部落下(98.1)、岩手県釜石市の
山中での三沢基地のF16戦闘機墜落等(朝日・99.8.23)が起きています。
そもそも、この低空飛行訓練は、1)「日本の防衛」と無関係な、米軍の「海外なぐ
りこみ訓練」のためのもので、超低空で侵入した相手の防空レ−ダ−を回避して、レ−
ダ−や対空砲の標的を爆撃、破壊するためのもの。2)日本での低空飛行訓練には、そ
の空域、高度についてなんの規制もない。日本の航空法では、居住地域では300メ−
トルと決められているが、米軍機は、なんと100フイ−ト(30メ−トル)の超低空
爆撃飛行訓練を強行しています。そして、この訓練は「米軍の戦闘即応態勢を維持する
ための不可欠な訓練」と強弁し、「人口密集地域や公共の安全にかかわる他の建造物(
学校、病院)に妥当な考慮を払う」(日米合同委員会1月14日)と述べて、このよう
な「小学校を標的にする爆撃訓練」を強行してきたのです。
去る1月の岩手県釜石の米軍三沢基地のF16戦闘機の墜落事件も、釜石造船所を目
標にした急降下ミサイル攻撃訓練中に引き起こされたものです(米軍機事故報告書)。
いま日本列島は、「朝鮮有事」の名のもとに、沖縄・北海道を結び日米合同軍事演習が
強行されています。矢臼別での米海兵隊の実弾演習の強行、米第七艦隊旗艦ブル−リッ
ジの室蘭寄港、米艦調査船サムナイト、ボ−デイッチの函館港入港等、北海道は「戦争
法発動」の最前線基地化しています。北海道新聞によれば、93年のノドン発射を口実
に「日本の航空自衛隊が、日本本土から朝鮮民主主義人民共和国を空爆する極秘研究」
を行っていたことを暴露(7/13)しています。
いま、日本政府は、第九条を蔑ろにして「戦争への道」を突き進んでいますが、去る
5月、オランダのハ−グで開催された「ハ−グ平和アッピ−ル市民社会会議・参加者1
万人」は、最終日、会議中の討議をとりまとめ、「公正な世界秩序のための10の基本
原則」を採択し、その冒頭に「各国会議は日本国憲法第九条のような、政府が戦争をす
ることを禁止する決議を採択すべきである」と述べているのです。
日本政府は、「米国の暴力によるアジア支配を指示する政策を」止め「国際関係を平
和的に処理する人道法社会」の創造こそ目指すべきであります。私達は、憲法九条をも
つ主権者の名において、日米政府及び関係機関・自治体に対して
1)小学校を目標とする米軍機のこのような超低空の飛行爆撃訓練を即時中止すること
。爆撃訓練は米本土において行うべきこと。
2)米海兵隊の「矢臼別演習場での実弾演習」等一切の軍事演習は、米本土において行
うこと。
3)日米政府、関係自治体は、憲法、国連子供の権利宣言(1959年)及び「子供の
権利に関する条約」(1989年)の精神に立ち、子供に平和な環境を保障し、人類の
最高のものを与える責務を有すること。
以上のことを要求し、声明します。
1999年9月17日
無防備・非核ネットワ−ク北海道
札幌 谷 百合子
山本 玉樹