ようやく凌ぎやすくなってきました。お元気ですか。シンポジウムのお知らせです。
周辺事態法から盗聴法、国民総背番号制から日の丸君が代法まで、日本を根本か
ら変質させる悪法がひとまとめにつくられ、改憲への動きが始動した今日の状況にど
う立ち向かうかをじっくり考えるときにきていると思います。
ピープルズ・プラン研究所ではそのため下記のようなシンポジウムを 9月
18・ 19日に開きます。
このシンポには香港のフェミニスト・活動家・研究者であるラオ・キンチ(劉健芝)さん、
メキシコでコミュニテイ・カレンシー(地域のお金)の運動などオルタナティヴ
なシステムつくりを進めているルイス・ロペツエッラさんもゲストスピーカーと
して来日、出席されます。
ぜひお誘いあわせの上おこし下さい。
ピープルズ・プラン研究所
シンポジウム/総会
1999年9月18日・19日
日本列島社会・第三の選択
軍隊のいらない安全保障・ゼロ成長で豊かに生きる
21世紀をむかえる私たちが今日の状況をどうとらえ、どのような展望を開くのか、議論を起こすべき時期がきていると感じられます。日本では、新ガイドライン、周辺事態法、盗聴法、日の丸・君が代法制化から有事立法また憲法明文改訂へと、「戦争のできる国家」へと日本国家の性格の改変が一気に進められています。それに抵抗しつつ、私たちは何を提起するのか。米国の一方的な軍事支配を後ろ盾に世界は「グローバリゼーション」の名のもとに資本の無制限な自由の下に組み敷かれつつあります。それに抵抗しつつ、私たちは何を提起するのか。さまざまな分野で活動しながら、この大きい問題を正面にすえて議論し共同で探る時期が来ています。私たちは「オルタナティブ」を必要としているのです。「私たち」とはこの状況に危機感をもち、考え、行動しようとする人びとのことです。
今日の特徴は、あたかも他に選択肢がないかのように、すべての人びとに二者択一が押し付けられているところにあります。NATOのユーゴ爆撃支持かミロシェビッチの「民族浄化」支持か、国家の統制か市場の無制限の支配か、日米ガイドラインか自前軍事力か、「自己責任」による社会保障の市場化か福祉国家のパターナリズムか。どちらを選んでも罠にかかります。私たちはこの二者択一の強制を拒否し、第三の選択を探り当てたいと思います。「オルタナティブ」とは第三の選択のことにほかなりません。資本の選択、国家の選択でない、民衆の選択です。
このシンポジウムは、活動者と研究者が共同で、第三の選択としての「オルタナティブ」を考える開かれた場として企画しました。ぜひ議論に加わって下さい。
ピープルズ・プラン研究所
シンポジウム/総会
日本列島社会・第三の選択
軍隊のいらない安全保障・ゼロ成長で豊かに生きる
【日程】1999年9月18日(土)・19日(日)
【会場】明治学院大学白金校舎
【料金】前売り1,200円/当日1,500円
【問い合わせ】ピープルズ・プラン研究所 tel.03-5273-8362
新宿区大久保2-4-15-3F〒169-0072 e-mail:ppsg@jca.apc.org
9月18日◎シンポジウム
13:30〜15:00 全体集会 本館1253教室
あいさつ 武藤一羊
基調報告 花崎皋平
コメント 丸山真人
高里鈴代
ゲスト・スピーチ ルイス・ロペッツェラ
ラオ・キンチ13:30〜15:00 全体集会 本館1253教室
(休憩)
15:30〜18:00 分散会
I.ナショナリズムと非軍事化・国家に関わる領域 本館1556教室
ダグラス・ラミス/テッサ・モリス・スズキ/松井やより/武藤一羊
II.グローバル化と循環経済システム 本館1253教室
金子勝/秋山眞兄/疋田美津子/奥山玲子
III.市場化と社会的連帯 本館1557教室
川本隆史/金井淑子/山本勝美/中野聡/井上朱美
(夕食休憩)
19:00〜21:00 総括討論 本館1253教室
22:00〜24:00 懇親会(会場近くの飲食可能な場所にて)
9月19日◎総会
9:30〜12:30 ピープルズ・プラン研究所年次総会 本館1357教室
●『ピープルズ・プラン研究 vol.2-no.3』「シンポジウム特集」に当日に向けた議論のポイントが掲載されます。ぜひご一読のうえ積極的にご参加ください。購入ご希望の方はPP研事務所へ!
●また、8月29日(日)午後3時から早稲田奉仕園会館地下1階食堂にて、「プレ・シンポジウム(事前公開討論会)」を開催します。(参加ご希望の方は事前にお電話ください。)
●9月18日の宿泊の手配をご希望の方は、9月4日までに電話・e-mailまたは裏表紙の申込書を郵送してお申し込みください。
【発言者紹介】*印は予定です。
●全体集会
花崎皋平(はなさきこうへい)
民族、性、階級、自然との関係に共生の道を探る、運動する思想家。「PP研」共同代表。『生きる場の哲学』など著書多数。
丸山真人(まるやままこと)
開かれた地域主義と生命系に根ざした〈広義の経済学〉の探求を続ける。東京大学教員。
高里鈴代(たかさとすずよ)
2回のピースキャラバンで軍隊の問題をアメリカ市民に直接訴える。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表。那覇市議。
ルイス・ロペツェーラ・メンデス
メキシコの市民団体「民衆の発展を促す(PDP)」代表。さまざまな草の根のグループとともに社会活動を続け、コミュニティ貨幣の実験にも取り組む。
ラオ・キンチ(劉健芝)
中国本土の農村女性自立プロジェクトを組織。アジアの研究者ネットワークARENA共同代表。香港嶺南(りんなん)大学教員比較文化研究。
分散会I
ダグラス・ラミス
政治思想史の研究者として開発や国家の暴力を鋭く批判する。著書に『ラディカル・デモクラシー』など。津田塾大学教員。
テッサ・モリス・スズキ
日本史研究者。「国民」とは何かを近現代史の国際比較から照射する。オーストラリア国立大学太平洋アジア研究所教員。
松井やより(まついやより)
アジアの女性運動を結んで20余年。フリージャーナリスト。「アジア女性資料センター」代表。『女たちがつくるアジア』など著書多数。
武藤一羊(むとういちよう)
アジアを軸に「下からの」国際関係とその思想の構築をめざす。「PP研」共同代表。近刊『戦後日本国家という問題』など著書多数。
分散会II
金子勝(かねこまさる)
市場万能主義の経済学を批判し、新たな座標軸を模索している。著書に『市場と制度の経済学』など。法政大学教員。
秋山眞兄(あきやまなおえ)
農業支援や貿易を通じてフィリピン民衆と連帯するNGOの老舗、「日本ネグロス・キャンペーン委員会」事務局長。数学教師。
疋田美津子(ひきたみつこ)
山形県置賜郡白鷹町農民。地域の生産物を通じて消費者との「顔の見える」関係づくりをめざす。「置賜をひらく女たちの会」。
奥山玲子(おくやまれいこ)
「川崎・ごみを考える市民連絡会」会員。落葉の堆肥化に取り組み、循環型社会をめざす活動を進める。『川崎発ごみを出さない燃やさない市民プラン』にも執筆。
分散会III
川本隆史(かわもとたかし)
正義とケアの両立を求めて、社会理論のネットワーキングを続ける。著書に『現代論理学の冒険』など。東北大学教員。
金井淑子(かないよしこ)
「課題としての家族」に注目する、日本フェミニズムの大切な論客。著書に『ポスト・モダン・フェミニズム』など。横浜国立大学教員。
山本勝美(やまもとかつみ)
相談経験とデータ分析によって家族、福祉、公的保険の問題に切り込む。「同僚はみんな女性」の男性心理カウンセラー。
中野聡(なかのさとし)
10数年の日雇い労働者支援運動歴をもつ物理学研究者。反戦反基地運動にも貢献。「山谷労働者福祉会館活動委員会」。
井上朱美(いのうえあけみ)
「No!寝たきりキャンペーン委員会」代表。市民の連帯にもとづく介護のあり方をめざして活動中。共著書に『介護保険と暮らしのデザイン』
武藤一羊 Muto, Ichiyo