Date: Thu, 09 Sep 1999 23:40:43 +0900
From: Masahiko Aoki <btree@pop06.odn.ne.jp>
To: aml@jca.ax.apc.org, keystone@jca.ax.apc.org
Subject: [keystone 1862] 国防長官、東チモールとコソボの違い
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X-Sequence: keystone 1862
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

 誰もがどうしてもこれは聞きたいと思ってるんだけど、相手の当惑する顔を
見るのが辛くて口にできない質問ってありますよね。例えば、来日したクリン
トン大統領に「モニカさんのことなんですけど、奥さんにどない言うてあやま
らはったんですか。私やったらよう許さんけど」と尋ねた大阪の主婦の発言は、
天声人語は絶賛していましたが、場内は一瞬緊張、司会の筑紫哲也氏などは目
が泳いでました。

 この「それを聞いちゃぁおしめぇよ」発言が昨日の国防総省での長官記者会
見で出されました。会見に臨んだ長官、冒頭の質問で東チモール問題を出され
たのに対し、「誰かV-22(次期戦闘機)の質問はないかね?」と明らかに触れ
たくない様子。記者団も気を使ってか、平和維持軍の投入の可能性はとか「周
辺」的な質問が続いていたこところに、ある記者が遂に「本丸」へ。「コソボ
には介入したのに東チモールにしないのはなぜ?国防長官としてどういう線引
きをしているのか?」と。そのやり取りを引用すると、
Q: Mr. Secretary, how do you draw the line between where you
 intervene? Why Kosovo and not East Timor?  As the Secretary of
 Defense, how do you make that kind of determination?
Secretary Cohen:  As I've indicated before, the United States cannot
  be and should not be viewed as the policeman of the world.  We act
  where it's in our national interest to act.  That's where we can act
  effectively, certainly in conjunction with allies, or alone if
  necessary if it's in our vital interests.  But in this particular
  case it's incumbent upon the Indonesian government in the first
  instance and the international community acting through the United
  Nations secondly, if that's not possible.  But we have to be
  selective where we commit our forces, and under the circumstances
  this is not an area that we're prepared to commit our forces to.

 アメリカは世界の警察官ではない。我々が介入するのは、我々の国益にかな
う場合だけだ。治安維持の責任はインドネシア政府が負っている。その次の責
任は国連と国際社会だ。ここ東チモールは我々の軍を投入すべき場所ではない。
 ・・というのが、しどろもどろな長官の答えの要旨ですが、やはりコソボと
はまず論理が違っています。複数の「基準」を設けているということを告白し
ています。もっと分かりやすく言えば、気にいらん奴・逆らう奴はボコボコに
するが、仲間の悪事には目をつぶるということです(そう、神奈川県警みたい
に)。みんながまだ記憶しているコソボへの「人道的爆撃」の直後だけに、論
理の立て方に苦慮しているのがよく分かります。

 この長官の記者会見
Media Availability at Tilt-rotor Day with
Secretary of Defense William S. Cohen
Wednesday, September 8, 1999
全文は、
http://www.defenselink.mil/news/#BRIEFINGS
からたどれます。またこの前日に行われたベーコン報道官の会見
DoD News Briefing
Tuesday, September 7, 1999 - 1:45 p.m.
Mr. Kenneth H. Bacon, ASD PA
の方が、情報量があり(9割方東チモール問題)、軍事介入に対するアメリカ
の態度がよく分かります。これも上記URLからたどることができます。

 アメリカはいつになく、当事者政府と国際社会や国連を「立てて」いて
(「とてもとてもアメリカの出る幕じゃありません」)ずるいのですが、一方
で介入するとなるとこれはもう「周辺事態」になってしまい、施行間もない
「事態法」により日本人も「協力」を強制されるわけで、これはこれで大変な
ことです。いずれにしても日本がアメリカを差し置いて行動する可能性は皆無
なので、日本がどうするか見極めるには、まず国防総省や国務省の高官の発言
を注意深く追う必要があります。

 ここまで書いていたら、ZNetからの更新のお知らせで、東チモール問題の特集
が、
http://www.zmag.org/CrisesCurEvts/Timor/timor_index.htm
にできたと。以下のような論説があるようですが、上で述べたことと恐らく一番
関係の深いのが、
Sept. 8, 1999
Inhumanitarian Nonintervention
Ed Herman for ZNet
という皮肉な題名のエッセイ。もちろんコソボでのhumanitarian interventionを
当て擦ったもの。

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Recent Essays
U.S Complicity in East Timor
Allan Nairn in The Nation
Will the U.S. Commit to Timor?
Scott Burchill for ZNat
Nairn & Chomsky on Timor
Democracy Now
Inhumanitarian Nonintervention
Ed Herman for ZNet
Jakarta's Godfathers
John Pilger for The Guardian
E Timor: Towards Rwanda
Scott Burchill for ZNet
Timor Coverage from British Guardian
Australian News Reporting
Urgent Report from Timor
John Miller of War Resisters League
Why Americans Should Care
Noam Chomsky for MoJo online
FAIR Report on East Timor
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     Masahiko Aoki
     青木雅彦
     btree@pop06.odn.ne.jp
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