Date: Wed, 14 Jul 1999 22:08:20 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1684] <秋田県>掲揚・斉唱で暴言
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秋田県秋田市で6月26日に行われた同市中学校総合体育大会(市教委と市中学校体育
連盟共催)の開会式で、来賓の秋田市体育協会会長(69歳、自民党元県議)が「来賓
としての祝辞の前に注意しておきます」「国旗掲揚と国歌斉唱の際、起立しない人がい
た。起立しないのは国旗・国歌に対して礼を欠いている。(会場から)出ていってもら
いたい」と起立しない観客らを手で指し示しながら発言。会場から数人が退席。
開会式には市内の中学生約1万人(内選手約4000人)、教員約500人、保護者等
200人以上が参加。
 「国旗掲揚、君が代斉唱」の案内の後、司会者がスタンドの全員に脱帽と起立を促し
、日の丸掲揚、君が代斉唱。

 7月13日共産党秋田地区委員会が、秋田市教育委員会と秋田市中学校体育連盟に対
し、「日の丸、君が代は国会で法制化を審議中の重大な問題だ。良心の自由の問題であ
り、教育の場で強制するのはおかしい」「市教委としてきちんと対応をとるよう」、会
長の謝罪と発言の撤回、再発防止への対策などを申し入れ。両者とも「教育長に報告し
、申し入れを検討する。後日回答するようにしたい」とした。
 同地区委員会は14日、市体育協会に対しても同申し入れをする予定。

会長「体協幹部と検討する」
教育次長「(市教委との)共通認識ではない。大きな事態となり、非常に困惑している
。」
秋田地区委員長「精神的自由を侵害した。仮に法案が通っても、教育の場などで強制さ
れることがあってはならない」
県教職員組合書記長「ふさわしくない発言であり、再発のないよう、市教委と中体連に
求めた」

会長もこうなっては引くに引かれず
「(個人的意見だが)開会式に出席する以上、国旗・国歌に礼を尽くすのは当たり前。
掲揚、斉唱は敬虔な気持ちで行われるべきだ」「公私の区別をはっきりさせず、退席ま
で求めたのは不適切だったかもしれないが、来賓として注意しただけ。子どもに言った
のではない。公人としての発言ではないので、発言を謝罪も撤回もするつもりはない。

セレモニ−の途中で退席を求めたことについて善し悪しを検討したいとした。

   (7月14日「秋田さきがけ」「河北」「朝日」「毎日」「読売」「赤旗」)

 現在県内では大方の表現が「国旗掲揚、君が代斉唱」のようです。 

 もっとも「困惑」しているのは教育委員会。
教育長が、「強制はしない」と表明した後であり、教組との間でも、国旗を国のシンボ
ルと位置付けることで双方がある程度暗黙の合意ができているとの姿勢をとっており、
体育系とはいえ、毎年あいさつしている会長から、よもやこのような「暴言」がでよう
とは予想しなかった。教組でも改めて教委の姿勢を確認し、体協会長も「軽率であった
」と関係者におもむいて釈明。と、ことは「穏便」にと内々に収めたのですが、今回の
告発で県民にも明らかになった。

自民党勢力が強い当県で、ことを構えるには、教組には他の労組同様、体力的にも躊躇
があり、教委としても、その意思が自民党の意思に左右されるとはいえ、ここを明確に
すれば県民の「共通認識」とのはざまで苦境に立たされることは、百も承知ですから、
身内で了解しあった。

というところかと。

 このような従来からの事情で、当県では「職務命令」を出すこともなく、「穏便」に
そして確実に、教育の場に「日の丸・君が代」が「定着」。
 教育現場をコンランさせたくないと言う子どもたちへの配慮の結果。

 「内心の自由」に踏み込むような事態を予想させた今回の「暴言」は、県民にも危機
感を持たせるきっかけになったと思います。
 行事で日の丸を掲げ、君が代が流れるのが当たり前という環境に子どもたちを置くこ
とになったのは、教育関係者の姿勢ばかりではなく、「日の丸・君が代」について、県
内の市民運動体をはじめ、市民、保護者にも問題意識が薄く、その対応を教育現場にの
みまかせてしまって、孤立させてきたことにもその責任があります。

 また、うたわない自由は今までどおり認められるにしても、「起立」如何をどう判断
するかも今後の課題です。
 政府が「日の丸・君が代」に対して一方的に一定の解釈を示したのですから、受ける
側もそれに対して明確な姿勢を示さざるを得ない立場も増えます。起立の問題も規律の
問題とからんでかなり難しくなるかも知れません。

 今回の報道は、やや共産党に花を持たせた感はありますが、マスコミが問題提起でき
ない以上、仕方ないでしょう。

 ここでもっとも留意しなければならないのは、この問題発言当事者が、いわゆる「タ
カ派」的立場にたったものではないということです。 
 唐突にみえる政府の法案提出ではあっても、一部の勢力では前々から取り組まれてい
た問題であり、政府の意思表明によって、それを背景に「普通の国民」に今までの常識
を踏み外した肩に力の入った発言をさせたのです。今後このような「草の根右翼」が、
潜在意識に目覚め、あちこちに芽を出すであろうことを予感させる点で、具体的なケ−
スと言えます。

 天皇の即位記念日に、町内会長あたりが「みなさん、日の丸を掲げましょう。日本国
民の義務ですよ」とかって日の丸の旗を配ってまわるかもしれませんですね。



 
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