橘です。いくつかの会議室/メーリングリストに重複投稿します。
ソフトウェア会社アシストの経営者・ビル・トッテンさんのサイトには、日
米関係の分析を含む重要な論文が掲載されることがあります。
昨日、日本政策研究所所長のチャルマーズ・ジョンソン著「信頼性を失った
東アジア安全保障問題に対する米国諜報部」という論文が掲載されましたが、
そのリードの中でトッテンさんはこう書いています。
米国が北朝鮮や中国からの脅威を意図的に煽っているのは、日米防衛ガイ
ドラインを単なる言葉だけではなく実質的なものにするためではないか、
つまり戦争を起こして日本をそれに巻き込もうとしているためではないか。
これはNATOに対する米国の影響力を高めるために、ユーゴに空爆を行った
のとまったく同じ理由によるものです。
この言葉が示すように、たいへん注目すべき内容だと思います。北朝鮮のロ
ケット打ち上げを「テポドンミサイル」としてその脅威を宣伝し、アメリカ
のスターウォーズ計画に日本からの資金提供を引き出した経緯を含む、朝鮮
半島情勢に関係する部分の記述のみ、抜粋引用します。
http://www.billtotten.com/japanese/ow1/00293.html
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こうした人騒がせな情報は朝鮮半島の軍事情勢に関してはよくあることで
ある。例えば1997年9月、米国、韓国、中国、北朝鮮は、45年前に締結され
た朝鮮戦争の休戦協定を和平条約に変更する四者協議を行う予定になってい
た。(略)米国は事前に、北朝鮮がミサイルの配備および輸出を中止すれば、
経済制裁を一部解除すると示唆した。
しかし、交渉直前の1997年8月22日、駐エジプト北朝鮮大使が米国に亡命
した。彼は北朝鮮による中東へのミサイル売却において主要な役割を果たし
ていた人物である。(略)
しかし、1997年9月8日号の『ニューズウィーク』誌は、この元大使はかね
てからCIAに雇われていたと記している。また、今回の事件は亡命というよ
りも、むしろCIAが大使がスパイであったことを暴露したに過ぎないと情報
筋は結んでいる。その報復として北朝鮮は予定されていた会談への出席を拒
否した。(略)
1年後、米国が北朝鮮との国交正常化を失敗させたことに対して、北朝鮮
が不満を募らせていると報道される中で、1998年8月17日付け『ニューヨー
クタイムズ』紙の一面に、デイビッド・E・サンジャーによる「北朝鮮が核
兵器工場建設とCIAが発表」と題した記事が掲載された。(略)
1992〜1994年まで国防総省の北朝鮮部局の局長を務めた後、韓国のアジア
財団の代表になった C・ケネス・キノネスは、恐らく米国人で最も頻繁に訪
朝している人物である。その彼が次のように記している。「この話は北朝鮮
ではなく、米国を中心に出てきたものである。これは米国情報当局に関連す
るものであって北朝鮮の核計画とは関係ない。(略)(1998年10月5日、
Northeast Asia Peace and Security Network、<www.nautilus.org>)」。
しかし、オルブライト国務長官は、核施設疑惑は大きな脅威であると主張し
続け、米国が望む場所、時間に査察を行う権利を要求し続けた。
核兵器工場疑惑に関する記事が掲載されてから2週間後、(略)1998年8月
31日、北朝鮮が2段ロケット式(後に3段ロケット式に訂正された)ミサイル
を日本上空を越えて日本海沖に発射したと米国は発表した。
9月12日、前言撤回が始まった。北朝鮮は、建国50周年の祝賀として人工
衛星を打上げるために3段式ロケットを利用したことが明らかになった。
(略)北朝鮮外務省は、「北朝鮮が日米の人工衛星の打上げを非難したこと
はない。そうした衛星が北朝鮮の偵察に利用されていることを我々はよく知
っている」ときっぱりと述べた。(略)
しかし、米国は北朝鮮のミサイル能力の脅威について繰り返し言及し、ま
た、これみよがしに、B-52、B-2爆撃機をグアムに飛ばした。そしてこの騒
動によって1998年9月20日、国防省と兵器産業は最も望んでいたこと、米国
のスターウォーズ戦略防衛構想への日本の資金的、技術的援助をとりつける
ことに成功したのである。
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以上です。
橘 雅彦