Date: Mon, 05 Jul 1999 00:33:13 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1641] 「国旗・国歌」法案衆院内閣委で審議入り
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公聴会も開かれるようですが、国民的合意があれば、法制化してもいいというものでは
ないのであって、思想信条の自由は、「国民の合意」などという条件付自由ではない。
「内心」にかかわる問題を多数決では決められない。どこかに無理がいく。そこで差別
と排除が生まれる。この種の「合意」は国民総動員の道具のひとつとして有効なだけ。

侵略の歴史に責任をもたず、「法制化」で過去を「浄化」させようとしても、真実がそ
れで消えるものではないのに。先の天皇もご用済みってところらしいが。

野中長官の「基本的に法制化が国民生活に影響を与えることはない」という「国民」は
誰のことをいってるのやら。政府のころころ変わる説明で、教育関係者も子どもたちも
私らも、今からはなはだメイワクしているんだが。教育への政治介入はこれだから困る
。たかが政治的解釈でしかないものを、それがすべてと「誤解」して育つとしたら子ど
もが不幸だ。
 

自民・自由・公明・民主4党の国会対策委員長が30日会談で、8日までに公聴会を終
え、補正予算を12日審議入り19日成立、その後国旗・国歌法案を審議、衆院を7月
下旬に通過させる方向でおおすじ合意。補正予算成立後の国旗・国歌法案の審議日程に
ついては協議せず。自自が民主に合意をはかり、その後自自が公明と合意。(「朝日」
7月1日)

「君が代」の解釈の「更新」もあくまで「公明党」に配慮しただけのもの。

さらに「国家公務員倫理関連法案の審議入りと、慎重審議を勝ち取った」(民主党国対
幹部)という形で民主の顔を立てたと自民党。実質には委員会の審査は「長くても数日
程度」(国会関係者)
「民主党がしっかりしないから自自公三党に対抗できない。こんな状況では今後も首相
の思い通りになってしまう」(社民党長老議員)(「さきがけ」2日)
 

文部省の意思というべきか、永田町の意思というべきか

文部省は「学習指導要領を変えなければいけないとは考えていない」

「国旗・国歌法が成立しても学習指導要領による学校での日の丸・君が代の指導を強め
ることはない」(有馬文相)という姿勢をとってはいるものの、自民、自由の一部から
は教育現場での指導強化を求める意見もあり、さりとて論議の前面にはたちたくない。

そこで、答弁にたった辻村哲夫・文部省初等中等教育局長は、7月6日付けで、国立近
代美術館館長に人事異動。後任は御手洗康教育助成局長。教育助成局長の後任は矢野重
典私学部長。有馬文相が6月28日内定。法案審議中に実質的な担当局長が交代すると
いう異例の人事。(「朝日」6月29日)

外務省も「迷走」

6月はじめに「日の丸・君が代問題」が再浮上した時、英文資料での君が代の説明が「
天皇の治世」(The Reign of Our Emperor)では、「不必要な誤解を呼ぶ」と資料の配
布を中止。ところが2日の衆院外務委員会で、高村外相が、この英訳を持ち出して答弁

「Ourは主権のある日本国民全体を指し、Reignは本来は君主の在位期間だが、全体とし
ては天皇の国および国民統合の象徴とする我が国の姿といった意味にとらえられる」

沼田貞昭外務報道官「政府の立場も踏まえ、改めて説明ぶりを考え、在外公館に徹底し
たい」

また在外公館に「菊の御紋章」がかかげられていることについて
外相「国章ではないが、在外公館に自国を示すなんらかの紋章を用いることが国際慣行
になっており、国際的にも広く知られている菊の御紋章を使用している」
                  (「朝日」7月3日)

7月1日の衆院内閣委での審議(2日各紙)

法制化について

野中広務官房長官
「日の丸、君が代は長い歴史認識の中で培われてきた。一時期、誤った方向に使われた
時代も経験した。戦後にとり残した問題を新世紀に引き継がないために何をなすべきか
、重く考えなければいけない」
「成文化することで国旗・国歌に誇りを持てるようにしたい。国際交流が進む中で、他
国の国旗や自らの国旗・国歌に敬意を払う教え方をしていない教育のありようを考える
と、ここで法制化するのが我々の取るべき道だ。」
「(小渕首相が一度「法制化しない」と言ったのは)事実だが、その後、広島県立世羅
高校の校長が日の丸掲揚、君が代斉唱をめぐって孤立感から自殺した。慣行となって定
着しているものの、教育現場を中心に対立や争いのもとになってきた。交渉にあたって
いる人たちは法文化の根拠がないことに苦しんできた。」
 

歴史認識について

野中広務官房長官
「当時、戦争を計画した人が日の丸・君が代をどのように利用したかは分からないが、
少なくとも君が代が戦争をし日の丸が戦争をしたとは理解し難い。」
「当時の為政者がそのような方向に持っていったと認識している。」
「(為政者の中心人物について)国権の最高機関の天皇という人もいるし、東京裁判で
処刑されたA級戦犯だったという人もいる。」
「(アジアへの侵略のシンボルであったという指摘に)戦後50年の首相談話として、
当時の、村山(富市)首相が出した談話は、過去歩んできた歩みについてアジア諸国に
多くの傷跡を残してきたことを反省している。その認識のうえに新しい世紀に対するわ
が国のあるべき姿を明確にしておくべきだろう」
「(国民的合意について)法案が成立すれば、国旗・国歌の普及、啓発に鋭意努めてい
きたい」

竹島一彦内閣内政審議室長
「(過去の法制化について)1931年に「大日本帝国国旗法案」が第59帝国議会で
議員立法で2月29日提案された。衆院で3月26日可決されたが、3月28日が議会
最終日で貴族院では審議が行われず廃案になった。法案としては提案されていないが、
74年に田中首相(当時)が法制化について国会で答弁している」

君が代・日の丸について

大森政輔・内閣法制局長
「(法案の根拠について)憲法一条は天皇の地位を規定している。この規定が直接国歌
と定めることの根拠にはならないと思うが、「君」については関連性がある。」
「直接の根拠となる条文はないが、憲法に明文の根拠がなければ法律を規定できないと
いうものではない」

竹島室長
「君が代は、日本国民の総意に基づき天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とするわが
国の末永い繁栄を祈念したものだ。歴史的には古今和歌集では「我が君」で和漢朗詠集
になって「君が代」になった。平安の昔にさかのぼると必ずしも天皇を指すとはかぎら
ない」
官房長官
「過去をあまりにも徹底的に悪くいうことによって、新しい憲法でスタ−トしたわが国
において、国旗、国歌を認めないという教育が行われた」

学校への「強制」について

官房長官
「(尊重規定がないが)法制化は長年の慣行で国民に広く定着していることをふまえて
成文法にするのが目的で、国民に何ら義務や影響はない」
「(指導要領での尊重について)尊重の義務は負わないが、教育上、文部省が子どもに
指導するのは当然だ」
「国旗、国歌の指導は国際社会で生きる日本人としての基本的、基本事項として指導さ
れていくことを期待する」

大森局長
「(教育的配慮について)一般的には従わない場合の罰則は発生しない。法律が制定さ
れると他の個別法との関係で効果は生じる。船舶法、海上保安庁、自衛隊法で国旗掲揚
の義務規定がある。海上保安庁法とか自衛隊法で言う国旗とは、この法律に基づく正式
の国旗でなければいけないという法律的な制約がかかる。学習指導要領で指導するもの
とされる「君が代」は、こういう歌詞であり、メロディ−であるということは定まるわ
けで、そういうものを指導する効果は生じる。」

辻村哲夫・文部省初等中等教育局長

(内心に立ち入らないということについて)
「いろんな指導を受けても、やはり歌いたくないという児童を無理強いして斉唱させる
ことになると、内心に立ち入らないことにかかわってくる」

(指導の基準・尺度について)
「学習指導要領に基づいて学校教育が展開される。そうした基準をさらに個別にして基
準、尺度を示すのはなかなか難しい。内心に立ち入らない、強制しないことは大変重要
なので、その趣旨は学校現場で合意を深める努力はしたい」
「繰り返し教えるのは程度の問題。一定の限度を越えて無理強いし、判断や考えかたま
で踏み込むとなると(内心の問題に)かかわるが、ていねいに教師が指導するのは許さ
れる。(国歌斉唱の際に)起立して敬意を払うよう指導するのは国際的マナ−として定
着しており、指導の一貫として行うことは内心に立ち入るものではない。」
「(法制化によって)法的根拠がより明確になると考えている。」

なるほどね、ものは言いよう「ていねいな指導」とな。間違いではない。



 
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