「君=象徴天皇を含む国民」なら、天皇は国民ではないわけだから、この国は人の上
に人をつくっていることになる。とすると、「君が代」の歌詞は違憲ってことになりは
しないかしらね。
この国では、国旗国歌の法制化が必要かどうかより、天皇が必要かどうかからやった
方が話が早いかもしれん。「見解」を見るかぎり、そこまで政府のハラは座ってないよ
うだけれど。与野党とも審議を深入りさせずアッサリいきたいようす。「日本会議」の
みなさんは落ち着かないようですが、自民党内では法制化を表明した野中さんに「天皇
式典の環境整備」説がささやかれているとのこと。
象徴天皇=現天皇かどうかはしかとはわからないけれど、天皇を参考人として招致して
も悪くないかも、一応当事者なんだし。
学校教育の中の「国旗国歌の取り扱いが変わるものではない」とこれからも職務命令
を出して国旗掲揚・君が代斉唱を「強制」していくことも表明
でも、文部省ではトウワクもある様子。
中西績介代議士「法制化されると、卒業式や入学式で日の丸掲揚と君が代斉唱の『指導
』に従わないと学校はどうなるのか」
文部省幹部「繰り返し繰り返し指導します」
中西氏「そういのを強制と言うのだろう」
(6月半ば社民党の会議で)
せっかく「対話と協調路線」で手なずけてきたのに、頭ごなしの「法制化」をドンとだ
されても、世間にうって出る元気まではでない「井のなかのかわず」。まあ私の近所の
「市民運動」でも「対話と協調」が流行しているようだから、それを一概に善し悪し言
うつもりはないけど。
埼玉県立福岡高校で教諭8人が90年3月8日、校長が翌日の卒業式に「日の丸」を掲
揚するとした方針に反対し、「日の丸掲揚反対」の印刷物を配布、放課後に行われる予
行演習をボイコットして生徒を帰宅させたとして県教委から戒告処分。処分の取り消し
を求めて訴訟。28日浦和地裁の星野雅紀裁判長は「校長の指示に従わずに、予行演習
の参加を指導しなかったのは職務専念義務違反」として請求棄却。「国旗として容認さ
れていることは公知の事実。校長が学習指導要領に基づき卒業式に掲揚することは、原
告らの内心の自由に強制を加えるものではない」(判決理由)(「河北」29日)
1991年に教科書にのった時の「日の丸の旗」の歌詞は、「白地に赤く日の丸染めて
、ああうつくしい日本の旗は」だけだったのが、日露戦争で朝鮮を「併合」後に2番に
「ああ勇ましい日本の旗は」が付け加えられたそうですが、
アジア市民も注目していることでしょう。私も日本人もやってるけど、アジアの民衆の
ひとりでもあり、地球民のひとりでもあるわけだから気持ちは同じ。アジア諸国政府も
無関心なわけではあるまい。
自民党の亀井静香元建設相は、23日新潟市内の講演で
「アジアに日本が侵略したというのは、本当か。米国、英国、フランスと戦争したので
彼らの領土で戦うのは仕方がない。それを侵略と定義するのは完全に間違っている」「
(米英仏など当時の列強は)アジアの空と海を真っ赤に血で染めて植民地にした。日本
がしたわけではない。彼らがしたことをなぜ日本が侵略したとなるのか」「慮溝橋でど
っちが一発最初に撃ったのかは決着していない」などと述べた。(「赤旗」25日)
湾岸戦争については、まだその歴史資料も明らかになっていないはずなのに
文部省が24日に発表した教科書検定では
「イラクがクウェ−トに侵攻したため」を「イラクがクウェ−トを侵略したため」と改
定(「赤旗」25日)
(公聴会を開く予定の)広島県の藤田雄山知事は28日、6月定例県議会の答弁で、「
成文化されていないことがしばしば混乱を招いており、国旗・国歌の位置づけを明確に
する観点から、法制化は望ましいと考えている」と述べた。6月11日(国会へ法案提
出)の会見では「政権が代われば、国旗・国歌が変わる可能性がある」と疑問を投げか
けていたとのこと。(「産経」29日)
30日の各紙は、紙面をさいたわりには、あまり見るものはありませんでしたが
小渕さんが何を「よくよく」考えたのか、よくよく見たけどわからない。
29日衆院本会議で
小渕首相
法制化の目的について
「ことし2月(25日の参院予算委員会)の時点では法制化を考えていないと答弁した
。しかしながらよくよく考えてみて、21世紀を迎えることを一つの契機とし、慣習法
として定着しているしている国旗国歌を成文法で明確に規定することが必要と考えた」
(25日首相答弁、28日広島高校長自殺、3月2日野中長官法制化指摘。)
「国権の最高機関である国会で慎重に審議した上で、賛同を得たい」
君が代の解釈について
@「君」はその地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇をさす(日本国憲法第
一条を重ねて引用、先の見解は「日本国および日本国民統合の象徴である天皇」)
A「代」は時間的概念から転じて国を表す意味もある
との「新」見解を表明。
(「公明に配慮し、国民主権を鮮明にした異例の修正」で政府としては、先に明らかに
した政府見解をわずか二十日間で変更するわけにもいかず、説明を補足する形にしたと
のこと)
「政府として従来と同様、日本国憲法の下で、世界の平和と繁栄のため努力することは
変わりなく、国旗国歌の法制化は軍国主義の再現などとは全く無縁のものだ」
「アジア諸国の政府から何ら懸念の表明があったとは聞いていない」
「(法制化によって)国旗国歌の正しい理解がさらに進むと考えている。国旗国歌の取
り扱いが変わるものではない」
野中広務官房長官「首相答弁が新たに統一した政府見解」(29日記者会見)
冬柴・公明幹事長「これで国民も納得すると思う。いわば解釈を丁寧にしたものだ」
「来月6日には衆院を通過させたい。無理な日程ではない」(自民・古賀誠国対委員
長)
国旗・国歌法案の主な論点と各党の主張(29日衆院本会議から「読売」30日)
君が代の解釈
自民(御法川英文氏):諸外国の国歌と比べても、平和を希求する素晴らしいもので、
最もふさわしい
自由(西村 章三氏):天皇の長寿を祈ることは日本国及び日本国民の繁栄を祈ること
だ公明(冬柴 鉄三氏):「国民全体が天皇を象徴とする新生日本国がいつまでも栄え
るように」との意味だ
民主(伊藤 英成氏):「君」には様々な解釈があり、政府解釈は深さと広がりに欠け
る社民(中西 績介氏):主権在民、平和主義をうたった日本国憲法の下でふさわしい
ものではない
共産(志位 和夫氏):「天皇の時代」が永久に続くことを願うという意味となるので
はないか
政 府(小渕 首相):「君」は主権の存する国民の総意に基づく天皇を指す
学校現場などでの強制力
自民(御法川英文氏):法案に「尊重規定」盛り込まれなかったことで学校での指導が
後退するのではないか
自由(西村 章三氏):学校、家庭、地域、社会で、その意義を伝え、教えていかなけ
ればならない
公明(冬柴 鉄三氏):良心の領域の問題であり、強制的に扱うべきものではない
民主(伊藤 英成氏):法案に対し、多くの懸念と期待を持って見ているのも、教育現
場の方々だ
社民(中西 績介氏):明らかに憲法が保障する精神的自由に抵触するものであると考
える
共産(志位 和夫氏):強制を強めれば悲劇がくりかえされ、矛盾はいっそう広がるだ
けだ
政 府(小渕 首相):入学式等で指導することは妥当なものと考える
各党の日の丸・君が代への見解(「産経」30日)
自民:どちらも国民に定着
自由:国民の心のなかに帰結している
民主:定着していることは認める
公明:定着している事実は認める
共産:憲法、歴史的経過から反対
社民:平和国家のふさわしくない
自衛隊員(34歳、北海道千歳=人口約8万8000人のうち約9800人が自衛隊員
の基地の町)「国家が自らの国旗や国歌を定めるのは当たり前。個人的には、毎朝掲揚
するなどして長い間、慣れ親しんできたから、法制化はいいことだ」と語る。(「毎日
」30日)
入隊して毎日、「国旗掲揚、国歌斉唱」して2〜3年で除隊し、排出される「予備自衛
官」には「慣れ親しんだ」歌と旗となる。ここにも「定着」の仕組みがかくれている。
「君が代」が「士気をそぐ」傾向はあるとしても。
公明
29日の衆参両院議員団会議と臨時中央幹事会で「慎重な国会審議の確保」を前提に「
法制化することを拒む特段の理由はない」などとする見解を了承
「一致結束して法案に臨む」(冬柴幹事長・臨時中央幹事会)
「今、法制化することについて、説得力がない」(衆参両院議員団会議の中に)
首相「(公明党の見解と政府解釈は)軌を一にする」(公明・冬柴幹事長への答弁)
民主
29日の常任幹事会では結論を持ち越し、今後の対応を菅代表と羽田幹事長に一任。「
賛成の結論を急いで出せば、党内の亀裂が深まりかねない」(党幹部)
党議拘束について「党の混乱を避けるという発想を取るべきではない」(鳩山由紀夫幹
事長代理)
トップバッタ−で自民党の代表質問をした御法川さんは、「もともと日の丸、君が代に
は賛成だった」方。「日の丸は江戸末期から国旗として扱われており、君が代は平安の
古今和歌集にさかのぼる」と歴史を「ひもときながら」熱弁。最後に「長年の懸案に対
する政府の英断を高く評価する」
小渕さんは、御法川さんに「礼をつくし」国対委員長室に足を運んだが、御法川さん
は別の会議に出席して不在。首相からの伝言を聞いて「せっかく訪ねてもらったのに、
う〜ん残念だっだ」と笑顔。(「さきがけ」30日)
「顔の見える関係」をまめにつくって「人気」を取り付けている小渕さんらしい「気
配り」
7月1日委員会審議入り