国体の開かれる熊本からの報告です。
熊本県議会で
「国旗・国歌の法制化とその尊重規定の制定を求める意見書」が採択される
去る6月25日に閉会した熊本県議会の本会議で「日本会議熊本県本部」(会長:中
山義崇・君が淵学園理事長)から提出されていた上記請願(6月10日受理、紹介議員
3名)が自民党などの賛成多数で採択されました。5月22日に開かれた「日本会議熊
本県本部」の総会で国旗国歌法案の推進が重点政策としてあげられていたことから、6
月議会に提出してくることが予想されていました。
しかし私たちの側の監視活動と体制の弱さから、逆請願の準備が間に合わず、21日
の委員会審議で県民クラブ2名の委員の反対にもかかわらず、自民党の賛成多数で可決
してしまいました。政府が見送った「尊重規定」までも要求していることは重大です。
日本会議地方本部の組織化がもっとも進んでいると言われる熊本では46名の県議のう
ち自民党を中心に30名の県議を組織していると豪語しています。今後他の地方議会で
も「尊重規定」を求める請願が出てくることが予想されます。
今回採択されたのはそれだけではありません。「日本海不審船事件」を口実にした「
有事における主体的な行動が可能な法整備を求める意見書」も採択しています。
現在こうした右派からの攻撃に対して団体、個人を問わず法制化阻止に向けて闘う体
制を作るために奮闘中です。以上
子どもたちの人権と平和を守る熊本県民の会−教科書に真実を−
(事務局)田中信幸
国旗・国歌の法制化とその尊重規定の制定を求める意見書
国旗・国歌は世界のいずれの国にもあり、国家の大切な象徴とされる。我が国におい
ても慣習化し、多くのアンケ−ト調査でも国民の大多数が賛成の意思表示をしている。
本県の学校においては、多くの方々の御尽力により、入学式や卒業式の行事において
、国旗「日の丸」の掲揚、国歌「君が代」の斉唱は完全に実施されているが、未だ不完
全と思える都道府県において余計な混乱を引き起こしており、ゆゆしき事態と言える。
現在、政府においては、現国会に国旗・国歌法案を上程しているものの、他の法案と
の兼ね合いからか、遅々として審議が進まず、成立がおぼつかないのが実情である。こ
のまま推移し不成立ということになれば、正常化の動きに水を差すことになり、一部の
反対派勢力を勢いづかせることにもなりかねない。そこで、当法案の早期成立を図る必
要がある。その実現に向け、各県においても、幅広い分野の協力を得、さまざまな方策
、手段をもって法案成立のバックアップのために行動努力すべきである。
国旗・国歌の法制化は、二十一世紀に向けますます国際化する世界で、将来の担い手
である青少年が我が国に対する誇りを持ち、ひいては他国の国旗・国歌を尊重する国際
感覚を養う上で重要かつ大切な課題である。この意味からも法案の成立が優先であるも
のの、国旗・国歌に対する尊重規定が盛り込まれるよう強く要望する。
右、地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。
平成十一年六月二十五日
熊本県議会議長 島津勇典
内閣総理大臣 小渕恵三 殿
内閣官房長官 野中広務 殿
有事における主体的な行動が可能な法整備を求める意見書
本年三月二十四日午前零時五十分、政府は、数日前から我が国の領海を侵犯していた
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の工作船と見られる不審船に対処するため、海上に
おける警備行動(自衛隊法第八二条)を発令し、海上自衛隊の艦船、航空機が工作船を
追跡、停船させるための行動をとったにもかかわらず、工作船は追尾を振り切り、結果
的に取り逃がすことになったことは周知の事実である。
今回の北朝鮮工作船は、三月二十一日から我が国の領海内で不審な電波を出す等、日
本に対する破壊活動を公然と行っていたのであり、日本の主権を侵害する国際法上の違
反行為である。北朝鮮は、定期的に我が国への不法侵入を繰り返しており、再び今回の
ような事件が生ずるおそれも少なくない。
ところで、政府・与党の今回の事態の認識については、今の日本の憲法解釈、防衛の
精神から、これが限界であるとの発言もあるなど、日本の安全保障、危機管理体制への
疑問を投げかけている。今回の海上における警備行動の発令は、あくまで警察権の延長
線上にあるため、海上自衛隊の護衛艦が行う武器の使用については法的制約があり、法
制面での整備の必要があるが、政府においては未だ十分な検討がなされていないことは
、海に囲まれた我が国の安全保障上極めてゆゆしき事態であるとともに、看過できない
事実であり、本県議会は、北朝鮮の行為は極めて許しがたいものと認識するものである
。
よって、政府におかれても、断固とした対応をとり、北朝鮮のこのような行為を繰り
返すことのないよう、主権国家として適切な外交を展開し、かつ、国際法にのっとり自
衛権として対処できるよう、海上自衛隊と海上保安庁の連携活動をもさらに緊密にする
ための体制づくり及び訓練などの危機管理体制を確立するとともに、事態に応じた適切
な対応を可能とするための法整備をされるよう強く要望する。
右、地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。
平成十一年六月二十五日
熊本県議会議長 島津勇典
内閣総理大臣 小渕 恵三 殿
外 務 大臣 高村 正彦 殿
運 輸 大臣 川崎 二郎 殿
防衛庁 長官 野呂田芳成 殿
−ここまで−
「有事における主体的な行動が可能な法整備を求める意見書」は、自民(37)と公明
(3)によって議員提案され、起立多数で採択されたものです。
自公連携が国会を先取ってなされたようです。
自民党の山崎拓前政調会長が27日、フジテレビに出演し、有事法制について「民主
党だって賛成すると思う」という見方を示し「安全保障の問題は、どの政党が政権をと
っても対応できるよう幅広い支持を取り付けることが賢明だ」と述べたとのこと。(「
毎日」6月28日)
日本会議熊本県本部は98年6月5日成立。
副会長にテレビ熊本社長、商工会議所会頭、前熊本市長らが就任。代表委員にも銀行頭
取など各界各層の代表100名近くが就任。代表委員は全員が正会員。設立大会第二部
レセプションには、福島譲二知事も出席して挨拶。設立準備段階から会員拡大事業に取
り組み、日本会議地方本部の中で最大の組織率を誇り、本部からも表彰される支部とな
っています。同県の会員拡大目標の730名(全国目標5万名)を全国で最初に突破し
たことも自慢の一つにあげています。自民党を中心に同会議の協力会員となっている県
議会議員も少なくないでしょう。
「国旗・国歌法案」について、
政府は、石垣一夫議員(公明)の質問主意書に対する答弁書の中で、君が代の歌詞を
切り離して楽曲だけを国歌とする可能性を否定。また新し国歌制定を議論する可能性に
ついても否定的。
広島県議会・自民党議員団の新田篤実会長は、24日、首相官邸を訪ね、野中広務官
房長官に法案の早期成立を要請。その後、記者団に「議論があるからこそ法制化した方
がいい。その方が逡巡がない」などと語り、教育現場での「混乱」を抑えるために法制
化が必要との認識を示した。(「毎日」6月28日)