最近米軍の航空機事故について相次いで事故原因が公表されました。嘉手納
で危機一髪の事故があったところでもあり、御参考までにそれぞれの米軍発表
を、報道機関の一部を引用する形でまとめました。
原因は千差万別でも、結論は重力との闘いに敗北した点は同じ。いずれも死
者は出ていませんが、犠牲になるとしたら地上界に住んでいる民間人です。米
軍が安全を守っているという信念は結構ですが、そう思っている人は事故の危
険率とリスクをどう見積もっているのでしょう。数字を出して欲しいと思いま
す。
●９９年１月２１日 三沢F-16の墜落事故
原因：パイロットの操縦ミス
河北新報1999年06月05日
米軍三沢基地は５月２７日、釜石市に対して事故原因の最終報告を行った際
「パイロットの操縦ミスが原因」と断定。「高度約１０００メートルを飛行中、
現場から数キロ離れた山林で立ち木に接触、エンジンが破損して操縦不能にな
った」と説明したが、接触場所については明言を避けていた。
関係者によると、戦闘機が墜落直前に接触した地点は、釜石市橋野町と同市
甲子町との境にある岩倉山山頂近くの西側で、橋野町の墜落地点の南南西５．
５キロの地点に当たるという。
●９９年１月２０日 高地沖での岩国F/A-18の墜落事故
原因：僚機との接触
朝日新聞６月６日
米海兵隊岩国航空基地（山口県岩国市）所属のF A18戦闘攻撃機が一月二十
日、高知県夜須町沖約十㌔の土佐湾に墜落したのは、空中給油訓練中に別のFA
18と接触、機体後部が大破して飛行不能になった可能性が高いことが五日、在
日米軍関係者ら複数の証言でわかった。米軍機の空中給油訓練での接触事故は
ほとんど例がない。空中給油は日本近海で頻繁に行われており、墜落原因の公
表や再発防止策が急務だが、岩国基地報道部は朝日新聞社の取材に対し、「な
お調査中」としている。
●９８年８月２４日 F-16韓国沖での墜落事故
原因：エンジンのベアリング不良
Air Force News: 05jun99
OSAN AIR BASE, Republic of Korea (AFPN) -- The Air Force released its
findings on the cause of an F-16 aircraft accident that occurred off
the
east coast of South Korea near Kangnung Air Base, Republic of Korea,
about
6:15 p.m. Aug. 24.
The aircraft and pilot were from the 51st Fighter Wing here.
Based on evidence obtained during the investigation, the accident
investigation board president issued an opinion that the cause of the
mishap
was the failure of the No. 4 bearing in the engine. He also added
that, in
his opinion, the failure of the engine specialist to follow applicable
technical orders following discovery of debris on the magnetic chip
detector
was a contributing factor.
●９９年６月４日 嘉手納でのハリアー離陸失敗炎上事故
原因：鳥を吸い込んだ？
読売新聞６月５日
米大使館から外務省に入った連絡では、ハリアー機が走
行中、エンジン部に異物を吸い込み、エンジン部分から火が
出たという。海兵隊は事故調査委員会を設置して調査を始
めた。
特徴的なことは、これらの事故に対して米軍は事故再発防止策を明らかにし
ていないことです。反省がないだけでなく、約束も守らない。今年１月に公表
された低空飛行制限の約束は無視しているようです。
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
中国新聞５月２６日
米軍機による休日の低空飛行訓練を制限した日米合同委員会の合 意（一月）以
後も、中国山地では休日訓練が継続されていることが 二十五日、広島県のまとめ
で分かった。一、二月で計七件目撃さ れ、県は二十七日に外務省と防衛施設庁に
訓練の中止を要請する。
在日米軍の使用区域などを協議する日米合同委員会は一月十四
日、週末
と日本の祝日には低空飛行訓練を制限することで合意。米
軍の「即応態勢」
にとって不可欠な場合に限定する、との文書を交
わしている。
しかし、広島県の集計によると、合意以後も住民らが土・日曜や
祝日に
米軍機とみられる低空飛行を目撃していた。一月十五、十
六、三十一の三
日間に山県郡芸北町で計四件、二月七、十一の両日
に同町と比婆郡比和町、
双三郡君田村で計三件となっている。
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
****************************
Masahiko Aoki
青木雅彦
btree@pop06.odn.ne.jp
****************************