仲田です。
ハーグ国際平和会議アジェンダです。
資料提供は違憲共闘会議事務局長安里さん。
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The Hague Agenda for Peace and Justice
for the 21st Century
21世紀の平和と正義をめざして
ハーグ国際平和会議アジェンダ(討議資料)
来るべき21世紀に向けての平和と正義をめざす、このハーグアジェンダは、ハ
ーグ国際平和会議組織委員会に属する72団体と平和の進展をめざすハーグ国際平
和会議に参加した何百もの組織と個人の徹底的な討議を経て生まれた。このアジ
ェンダはこのような市民社会組織と市民が、来るべき西暦2000年を迎えようとす
る今、人類が直面する問題に対する重要な挑戦を決意した事をあらわすものであ
る。
このアジェンダは以下とおりの四つの大きな要素を有する。
1.戦争の根本原因/平和文化
2.国際的な人道上の権利並びに人権に関する法律と組織
3.暴力紛争の防止、解決とその平和化
4.軍備の廃止と人類の安全保障
前文
世界は歴史上、最も血にまみれた戦争の世紀から抜け出そうとしている。21世
紀を目前にして、我々の次の世代の人々を戦争の惨禍から救う為に設立された国
連の初期の目的が実現できるような、条件を作り上げる時である。これは、この
ハーグ国際平和会議の最終日標である。懐疑論者はその目的は達成する事はでき
ないだろうと言っているが、このハーグ国際平和会議は、このような考えに挑戦
するものである。今世紀は想像もつかない程の変化を見せている。社会は今、現
在、病を救う手段並びに、貧困と飢餓を根絶する手段を持っている。20世紀はま
た、実行されれば戦争が不必要で不可能なものにする事におおいに役立つ一連の
普遍的な規範を作り上げてきた。我々は,非暴力の人々の運動による、独立と市
民的権利をめざして戦ってきた旺盛な非暴力運動の成功体験を目撃して来た。そ
して、今世紀は、民主主義国家の復活と人道主義に関することがらに対する市民
社会の役割が増えつつある事を知っている。
近年、カンボジア、ボスニア、コソボにおいて大量殺戮の発生や市民に対する、
残忍な攻撃、この地球上の多く、または全て生命を抹殺できる恐ろしい大量破壊
兵器拡散を経験している。
土着の人々は、自決権を否定され続けている。じつに多くの場合世界の国々の
政府は、紛争の防止、市民の保護、戦争の終結、植民地主義の根絶、人権の保障、
永続的な平和の条件づくり、などを達成する、責任を果たす事が出来なかったこ
とは、あきらかである。
それゆえに、このような歴史的使命と責任は、各国政府だけにゆだねることは
出来ない。このハーグ国際平和会議は来るべき21世紀の平和と正義をめざす市民
のアジェンダを提案している。
これは、基本的に新しい取組みを伴なうものであり、市民の擁護、進歩的な政
府、国際的な組織が同じ目標をめざして、ともに協力できる新しい外交政策のあ
りかたを構築するであろう。我々は、21世紀の平和文化を創造し、この世界で平
和と正義の番人にならなければならない国家組織並びに超国家組織に必要な勇気
と道徳のイマジネーションを歓迎する。
既に、決定すべき事は数多くある。市民社会は、冷戦の終結以来、勢いづいて
おり、地雷の根絶、小火器の貿易の減少、第3世界の負債の軽減、女性に対する
暴力の根絶、核兵器の廃絶、子供の権利の保護、少年兵の参戦の禁止、独立した
国際犯罪裁判所の設置を目的とする運動を展開して来た。
このような、草の根の努力は、大きな影響力を持ち始めている。それらは、成
功しつつある。その理由はそれらが一般の人々を結集させ、さまざまな分野「人
権、環境、人道的援助、軍備の廃止、持続的な発展など」を結合させているから
である。また、それらが、女性、若者、土着の人々、少数民族、障害者、その他
の弱い立場にある人々の集団を求めているからでもある。
こような運動は、統一性と団結を生んでおり、人々がお互いを批判するのでは
なくて、お互いの青葉に耳を傾ける時になしうること明示して来た。
ハーグ国際平和会議は、互いの意見を聞き、学習し、構築することを意として
いる。このような過程のなかから、新しい21世紀の平和と正義をめざす、新しい
市民のアジェンダが生まれてくるであろう。それは、極めて重要であり実現可能
な目標である。
〔テーマ〕
討議事項から具体的行動を目指すハーグ国際平和会議の内容は以下の主なテー
マから構成されている。
※過去の失敗(Traditonal failure)
戦争の防止と平和の構築に向けてのこれまでの取組みは、概して失敗に終わ
ってしまった。
この事は、コンゴの内戦、シェルリオーネ(軍事クーデターに困る)難民問
題、コソボ問題等、戦争の残忍な行為が増加の一途を辿っている現実からして
明白な事である。
民族浄化と人道に反する罪を看過する事は、国際法の精神に矛盾するもので
ある。
大国の弱い者いじめの策略は、外交政策とは言えない。貧しい人々を飢餓に
追い込む制裁に対して、彼らは連帯責任を負うものではない。
火消し隊に依る平和維持の努力は、迅速かつ十分な検討を重ね発する警告並
びに紛争防止システムにとって代わるものでは決してない。
※人類の安全保障(Human Security)
国家権力や国境に代わって、人間らしく生きる権利、並びに生活環境の整備
の観点から、安全保障を再定義する時である。
軍備に資金を使うことから人類の安全保障へ資金を使うことへと方向を変換
させ、発展を維持することは、女性、少数民族原住民を含む限界状況に晒され
ている人々の平等な参画を確固たるものにし、軍事力の行使を厳しく制限する
新しい社会秩序の構築を優先する国際社会へとつながり、世界的な集団安全保
障体制に向かって動き出す事になるであろう。
※ソフト・パワー(soft Power)
市民社会と進歩的な政府は、交渉、連帯の構築、そして対話を基調とした、
新しい外交手法を活用して、ソフト・パワー(Soft Power)への道を選択しつつ
あり、その一方で、強権や軍事力を行使し、経済を集中化させるというハード
・パワー(Hard Power)の独裁体制を拒否しつつあるという事に対して、我々は、
心から勇気付けられるものである。
※全ての人々に全ての人権を(All Human Right for All)
人権の侵害は、戦争を引き起こす根本的な原因の一つである。
政治的権利、市民的権利と同様に、経済的、社会的、文化的権利の否定も人
権の侵害に含まれる。
このような人類の基本的権利を人為的に判断されることに、もはや耐えられ
ない。
我々は、人権が普遍的かつ不可分なものであるという事を主張する。
そして、人権に関する条約の強化・実行をめざし、人権侵害を被った犠牲者
に対して救済を与える、より強固なメカニズムを要求するものである。
※力による秩序から法の力による秩序へ
(Replacing tbe Law of Force with the Force of Law)
法秩序は、現代の紛争においてややかに(?:仲田)無視されて来た。
ハーグ国際平知会議は、国際法に対する普遍的な支持とその実行性を、発展、
推進させる事を目指す。
また、国際司法裁判所のような既存の組織を活性化させ、国際犯罪裁判所の
ような新しい組織を創設する事を目指している。更に、国際法の知識や国際法
に訴える事が、個人にとって身近なものとなるような状況をつくり上げなけれ
ば成らない。
※平和の構築に向けてのイニシアチブ
(Taking the Initiative in Peace-Making)
人々が平和に積極的に関ることを主張する時代が訪れた。もし必要であれば、
平和の構築を政治家や軍事的組織の独占的管理からもぎ取る時代の到来である。
平和のイニシアチブは、戦争を始めた人々の中で交渉が行われ、最もその惨
禍を被った人々、特に女性や子供たちに犠牲を強いる形で、戦争の最終段階に
提案されることが常である。
戦争の惨禍を最も被る人々は、和平合意が策定される際に、その席に着かね
ばならないし、女性もまた代表として平等に和平合意策定の席に着かねばなら
ない。必要とあらば、市民社会は、危機管理が不可能となり、多くの生命が失
われる前に和平に向けた会議を招集すべきでもある。
この事が、迅速な警告をスローガンから現実的なものにしていくことに役立
つ。
※グローバリーゼーションの底上げ
(Bottom-Up Globalization)
経済力の驚くべき集中化とネオ・リベラル派とマクロ経済政策の無責任な押
し付けは、環境を破壊し、貧困と絶望を発生させ、対立を拡大し、戦争を誘発
させている。
ハーグ国際平和会議は、贖罪を求めて開催される予定の2000年記念祭のよう
な地域社会を基盤とした連帯や貧困の根絶、女性の経済的自立への運動を通し
て、現在進行する破壊的なグローバリーゼーションに異議申立てを行う努力を
果敢に推進する。
※国際的な意志決定の民主化
(Democratic Intenational Decision-Making)
国連とその他の多くの国々の組織は、平和へ向けて唯一、普遍的な力になり
得る可能性を持っている。しかしながら、そのような組織は、政治色の濃い、
財政的支援を受けたシニシズムをもって取り扱われている。
国際的な組織は、その組織が平和の構築に向けての潜在的可能性を顕在化で
きるのであれば、活性化、民主化され、資金の供給を受けなければならない。
特に我々は、大国の利益よりも人類の安全保障に寄与する国連安全保障理事
会を要求し、透明性と説明責任を確保し、企業の要求よりも人間的要求を取り
入れるような、国際的な財政組織の全く新しい方向づけを求めるものである。
※人道的立場に立った介入
(Humanitarian Intervention)
ハーグ国際平和会議は、市民が大量虐殺、戦争犯罪、人道に対する犯罪、並
びに国内における惨禍などに困り、人々が脅威に晒されている場合には、国連
憲章の前文に従って人道的な力の迅速かつ効果的な介入の実行を要求する。
永続的な介入という考えの確立にほとんど注意が払われていないという事は
異常である。市民社会は、新しい形の市民に依る介入を緊急事項として熟慮す
べきである。
※平和のため資金を確保し、戦争のための基金の枯渇
(Finding the Mony for Peace and Starving the Funds for war)
資源の配分が歪められることは憂慮すべき問題である。今日の紛争のほとん
どは、経済的な強欲さ、並びに金属原材料の強奪を図る目的で推し進められて
いる。一方、何十億ドルもの資金が兵器の輸出入やその他の形の軍事化に使わ
れている。同時に、各国政府が過去10年間開催された歴史的な世界会議の席上
において、実に多くの地球規模の行動計画を採択してきたにも拘わらず人類の
安全保障をめざす多くの価値ある平和への取り組みは、資金難に苦しんでいる。
優先すべき事柄が逆転している状況を変えなければならない。
大量破壊兵器の廃絶と兵器の輸出入を思い切って抑制する事に加えて、軍事
予算の飛躍的削減を目指さなければならない。
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仲田注
訳に一部不自然なところがありますが、そのままにしました。
明らかな間違いと思われるものは直してあります。
召集−>招集
連体−>連帯
「ややかに」という言葉は理解できませんでした。広辞苑にはありませんでした。
「やや−か」でいくらかという意味に使っているのか。
私の変換ミスは許して。
仲田博康
nakada_h@jca.apc.org