文中にある韓国の市民団体が「周辺事態法」などに反対して出した声明を送っ
てもらったので転送します。この原文は日本語だそうですが、漢字の中に日本で
使われてないものがあるため、日本風に変更されているそうです。
申し入れ文の中に、「日本政府と小渕首相の平和をお祈り申し上げます」とあ
るのは、儒教風の礼を尽くす伝統だと思います。私なら正直に「新ガイドライン
を推進するように人には、地獄の扉が大きく開かれております」と書いてしまう
ところですが、これは「失礼」です。
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日本国内閣総理大臣 小渕恵三殿
差し出し:韓国の9の市民団体(経実連統一協会、民主改革国民連合、民族の和解と
統一のための宗教人協議会、自主平和統一民族会議、参与連帯、平和をつくる女性の
会、韓国教会女性連合、韓国キリスト教教会協議会、韓国女性団体連合、以上9団
体)
月日:1999年4月14日
件名:日本の軍事大国化と日米防衛協定「新ガイドライン」関連法案の採択に反対す
る市民団体の立場表明
1. 小渕首相と日本政府に平和のメッセージを送り、ご挨拶申し上げます。
2. 韓国の女性団体と市民団体は去る3月19日小渕首相の訪韓にあたり、“日本
の軍事大国化と日米防衛協定「新ガイドライン」関連法案の採択に反対する集会”を
開き、声明を発表した後、日本大使館に書簡と声明書を提出しています。
3. しかし最近我々は、4月23日、日本の衆議院「ガイドライン特別委員会」の
日米防衛協定(新ガイドライン)関連法案採択に関する衝撃的なニュースを耳にし、
これに対する韓国社会と市民団体の反対の立場を改めてお伝えするところでありま
す。これに韓国社会の著名人の立場と市民の思いを集め、別添の通り声明書と署名を
お送りします。
4. さらに、日米防衛協力指針に反対する9つの市民・社会団体は、ガイドライン
関連法案を審議している日本衆議院「ガイドライン特別委員会」の法案採択と衆議院
通過に際し、日米「新ガイドライン」関連法案が示している日本の軍事大国化の危機
と朝鮮半島の平和と統一に及ぼす影響などについて説明会及び記者会見を開く予定で
す。
5. 現在韓国社会は冷戦秩序を解体し、和解と平和の時代に向かって努力をしてい
ます。朝鮮半島の平和とアジアの平和のために日米新ガイドラインである関連法案が
撤回されるよう日本政府の責任ある対応を求めます。
6. 日本政府と小渕首相の平和をお祈り申し上げます。
日本軍事大国化と日米防衛協定「新ガイドライン」関連法案採択を反対する市民団体
の立場
韓国の女性団体と市民団体は、去る3月19日小渕首相の訪韓にあたり、“日本の
軍事大国化と日米防衛協定「新ガイドライン」関連法案の採択に反対する集会”を開
き、声明を発表した後、日本大使館に書簡と声明書を提出している。しかし、最近
我々は、4月23日、日本の衆議院「ガイドライン特別委員会」の日米防衛協定(新
ガイドライン)関連法案採択に関する衝撃的なニュースを耳にし、これに対する韓国
社会と市民団体の反対の立場をここで明らかにするものである。
最近日本政府は1997年9月に確定された日米防衛協力のための指針「新ガイド
ライン」を実効化させ、有事立法体制を確立するために今年4月に開かれた国会で
「周辺事態法」、「ACSA(物品、役務相互提供協定)改定案」、「自衛隊法の一
部改定案」を通過させようとしている。この法案は周辺事態という名の下、日本の自
衛隊はもちろんのこと、自治体や民間までをも総動員し、米軍の戦闘または戦争行為
を支援するようにするためのものであり、日本国民全体に戦争を強要する有事立法の
道を開くものである。
このような日本の最近の動向は、日本の周辺地域に住む人々に非常に衝撃的なもの
である。日本軍国主義と戦争被害の悪夢を生々しく記憶しており、特に戦争の脅威を
抱いている朝鮮半島の国民にこれは恐怖のニュースである。特に日本軍“慰安婦”に
された女性たちの苦痛を徹底して無視したまま、戦後処理補償問題も解決していない
日本が、再び戦争体制を確立するだけでなく、北朝鮮のロケット発射をきっかけに日
米全域ミサイル防衛構想共同研究計画を立て、偵察衛星導入を急ぎ、軍事大国化の道
を再構築することは、過去アジアを踏みにじった侵略者である日本の姿を再現するも
のであり、これは断固として見過ごすことはできない。
第一に、日本の軍事大国化の企てを絶対反対する。
日米同盟体制と日本のこのような軍事大国化の企ては、北朝鮮の強行体制を煽り、中
国の再武装を刺激し、いつでも朝鮮半島に戦争を引き起こすことができ、東北アジア
全般に軍備競争を促すという点から絶対に否定されなければならない。日本の軍事大
国化の企ては冷戦時代の緊張が続く朝鮮半島や紛争潜在地域、台湾海峡を取り囲む東
北アジア地域と全世界に、新たな戦争の脅威と緊張を及ぼすであろう。これは築かれ
つつある南北間の和解、協力の気流を塞ぎ止め、朝鮮半島の平和と統一に対する希望
を遠のかせてしまうことは明らかだ。
第二に、日本は新ガイドラインの関連法立法化を撤回し、平和憲法を遵守せよ。
日本は新ガイドライン関連法の立法化と軍事大国化が、戦争放棄を保障している日本
の平和憲法を違反するという点から、この度の新ガイドライン関連法立法化を撤回す
るのが妥当である。今、日本の安保と平和のために日本政府がしなくてはならないこ
とは、日本の平和憲法の精神に従って軍事化や戦争準備の代わりに対話と協力に基づ
いた平和の外交政策を打ち立て、過去の戦争に対しての謙虚な省察とともに、アジア
の戦争被害者に対して戦後補償処理を徹底して行うことだ。
今日人類は戦争と血に染まった歴史の半世紀を送り、新しい千年を目前にしてい
る。我々市民は、新しく幕を開ける千年が“戦争のない平和の世紀”となるよう心か
ら願っている。このために我々市民は、これ以上、外交、軍事問題を各国の政府だけ
に任せておかないであろうし、戦争を防ぎ平和を実現することに強力なパートナーと
しての役割を遂行するであろう。
以上の理由で我々は新ガイドラインである関連法法制化に反対し、以下の事項を強
力に要求する。
一、 日本政府は朝鮮半島とアジア及び全世界に新たな戦争の脅威と緊張を引き起こ
す軍事大国化の企てを即刻中止せよ。
一、 日本政府は国会に上程している「周辺事態法」等新ガイドライン関連法案を即
時撤回し、日本を軍事化する「有事立法」の企てを中止せよ。
一、 日本政府は北朝鮮と国交正常化を図り、アメリカは北朝鮮と平和条約を採択
し、戦争準備の代わりに朝鮮半島の緊張を緩和し、アジアの平和を定着させる平和政
策に転換せ
よ。
上の要求事項が貫徹されない場合、韓国社会の市民団体の組織的な反対運動を持続
的に強力展開するつもりであり、国際社会に積極的に世論を働きかけるつもりだ。
1999年4月14日
参加団体:経実連統一協会、民主改革国民連合、民族の和解と統一のための宗教人協
議会、自主平和統一民族会議、参与連帯、平和をつくる女性の会、韓国教会女性連
合、韓国キリスト教教会協議会、韓国女性団体連合、以上9団体
−−−−−転載ここまで−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
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Masahiko Aoki
青木雅彦
btree@pop11.odn.ne.jp
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