政府・自民党は「戦争法案」を、「地方の不安」をよそに、小渕首相の訪米前に衆院
通過をめざすとのこと。民間協力も自衛隊の米軍支援も実績を積み重ねた今となれば、
法案成立のあかつきには、すぐさま戦闘行為に入ることができる。自衛隊員はアメリカ
軍に組み込まれるだろうし。軍隊の「安全」が最優先になることはたしか。
アジア・太平洋戦争では、船員の死者が陸海軍人の死亡率を上回る6万人余。日本人
3
10万人、アジアの人々2、000万人死亡。ベトナム戦争では、31万2853人の
韓国軍兵士を派遣、4687人が死亡。
「コソボ爆撃」は「日本の周辺事態」ではないそうですが、外務省は爆撃に「理解」
を
示し、外相は、アメリカへいってどんな「約束」をしてきたものやら。少なくとも50
年先にならないとわかりませんでしょうが。
「民主主義国家」のアリバイ作りに「公聴会」を開きましたが、国会議員に、国会の
内と外でその受けとめ方の違いの大きさを少しはご理解いだだけたかどうか。
「新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」関連法案に関し、地方の意見
を聞くため、衆院日米防衛協力指針特別委員会(山崎拓委員長)は、4月14日、函館
、福井、福岡の3市で「日米防衛協力のための指針に関する特別委員会地方公聴会」を
開きました。委員長は9人の委員とともに福岡へ。この通知は1週間前に知らされ、市
民には寝耳に水。それでも傍聴人が多く集まり市民の関心の高さを示しました。
函館では、軍事演習や軍艦の寄港、福井では3月24日の「日本海事変」(「不審船
」へ武力行使)、福岡では「朝鮮半島問題」とそれぞれ地域の実情を反映した不安や疑
問が相次ぎ、法案についてのあいまいさが指摘されるなど、混迷を呈したもようです。
函館市の公聴会では各党推薦の意見陳述人6人の内、半数は法案に反対し、法案推進
を容認した陳述人も反対意見にうなずくなど、いずれにしても不明瞭な法案が地方に不
安を与えているようすがうかがえました。
また、公聴会の警備のものものしさは、政府も同法案が国民に決して快く受け入れら
れていないことを承知し、中身の後ろめたさや自信のなさを表していたといえます。
各陳述者に与えられた意見陳述時間は10分。質疑は、推薦会派によって違い、自民
・民主20分、公明改革クラブ・自由15分、共産・社民10分。その後の全体質疑3
0分。
21日には中央公聴会を開く予定。
函館で非核平和条例の実現にとりくんでいらっしゃるお一人の佐藤かのさんは、街の
平和を守りたいとして、自分のまちに軍艦が入ってくる恐怖を、政府はわかってほしい
と訴えました。
(陳述概要)
函館港は民間港でありながら、米軍艦の入港が多い。15年前に函館市が「核兵器廃
絶平和都市宣言」をして以来、軍艦の入港を歓迎することがなくなり、戦後50年の年
には市議会が全会一致で「日本国憲法の恒久平和の原則を守り、戦争を二度と繰り返さ
ないことを求める」決議をし、市民は平和憲法のもとでしあわせがあることを感じてい
る。しかし、函館は軍事的に重要とされ、今まで海峡封鎖作戦などで、アメリカ軍艦が
漁網を切断したり、空母エンタ−プライズ艦載機が連絡船を標的に演習したり、米軍機
が予告もなく空港に突然侵入し演習をしたため、旅客機の出発が遅れた事もあった。ま
た北海道の日米共同演習での、矢臼別の住民を無視する演習は目に余るものがある。そ
の矢臼別に向けて函館から丸火印の火薬を積んだトラックが並んで国道を走る。この法
案が成立すればこのようなことが日常化し、市民は協力を強いられる。すでに米軍は函
館の施設、港湾、病院など調査済みだ。
97年に「日本有事の際、米軍は数十ヵ所の使用港湾、空港を要請」しているとして
、その中に函館も上げられていた8月29日付新聞記事に驚き、大きな不安にかられた
(注:道内は小樽、苫小牧、函館、新千歳)。その数日後、9月5日空母インデペンデ
ンスが小樽に、10月3日には函館にブル−リッジが寄港した。これは新ガイドライン
の先取りと感じた市民はかつてない規模で反対に立ち上がった。子どもたちの親は事故
に巻き込まれることを心配し、停泊地点の漁民は刺し網を引き上げ休業をさせられた。
市職員は交通規制や警備で動員されるなど、市民生活に支障をきたした。そのなかで市
民の平和を必死で守ろうとした声はブル−リッジのロバ−ト艦隊司令官を「函館市民は
我々をあまり歓迎しない」と「がっかり」させた。この声が司令官を通してアメリカ市
民にも届いてほしいと願った。
ブル−リッジの寄港で、私たちはこの法案の危険性を先取りして体験した。法案が通
ったら危険が身近に迫ることを肌身に感じた函館市民は、地方自治体として平和憲法と
非核三原則を守り、核兵器廃絶平和都市宣言を一層発展させ、平和を守りたいと「非核
平和条例をつくろう」という運動が始まった。結果は、継続審議・廃案となったが、さ
らに選挙後の議会へ向けて運動が続けられている。(ここまで)
「非核条例運動」については関心が高く、各党から質問がだされました。
また佐藤さんはこの陳述の際、『あたらしい憲法のはなし』を資料として持参し、思い
を託して国会議員と公述人に配りました。公聴会終了後、「勉強します」と声をかけら
れるなど好評で、帰京する飛行機の中でもこの本のことが話題になったということです
。
<集会の案内>
憲法施行52周年
第13回 ケンポ−ってなんだ? 市民集会 '99
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函 館 か ら 平 和 を
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■新ガイドラインと非核・平和函館市民条例
講 師:新倉裕史(にいくら ひろし)さん
1948年横須賀生まれ
非核都市宣言運動ヨコスカ主宰
全国の自治体非核宣言運動の先駆的な活動家
「新ガイドライン」紙芝居を全国60箇所で上映
■報 告 「条例実現のための動きと今後の展望」
■パネル 「道南の軍事施設とその役割」
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1999.5.2(日)午後6:30〜 函館市民会館小ホ−ル
参加費:300円 高校生以下無料・託児室あります
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主催/「ケンポ−ってなんだ? 市民集会 '99」実行委員会
非核・平和函館市民条例を実現する会
連絡先:函館市宮前町26−16 「働く人の家」
電話 45−0042
賛同/函館地区連絡会 全労連・函労会議 函館地区平和運動センタ−
函館平和委員会 函館平和アクション 青年法律家協会函館支部
後援/函館市教育委員会 北海道新聞函館支社 函館新聞社 NHK函館放送局
<参考>
●日本の99年度の防衛費は、4兆9322億円、1ドル=120円で換算して、41
1億ドル、世界第2位。
この額は中国、韓国、東南アジア諸国連合(インドネシア、シンガポール、タイ、
ベ
トナム、ブルネイ、フィリッピン、マレーシア、ミヤンマー、ラオス)の合計を上回り
ます。
日本はアジアにおける軍事大国の上、今度はガイドライン法を成立させて、世界最
大
の軍事大国アメリカ(防衛費32兆円)と一緒に、日本以外の地域でも戦うというので
す。
下記資料は『軍縮』99年5月号、P.51〜52,前田寿夫氏が英国戦略研究所「ミ
リ
タリバランス」98・99より作成したもの
国 名 防衛費(ドル)
アメリカ 2,676
日本 411
イギリス 372
ロシヤ 340
フランス 304
ドイツ 258
中国 110
韓国 102
東南アジア諸国連合 146
(佐藤裕二さん提供)