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Date: Tue, 30 Mar 1999 08:01:04 +0900
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Subject: [keystone 1250] 思いやり予算訴訟(東京)第5回口頭弁論
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 3月23日に東京地裁で開かれた「異議あり!「思いやり予算」違憲訴訟(東京)
」第5回口頭弁論の報告です。既に報告([aml 11626]、[keystone 1246])がありま
したが、関西訴訟は昨日(3月29日)大阪地裁で棄却判決がでました。

asahi.comの記事から引用:
http://iij.asahi.com/flash/fnational.html#fnational_529
=========================== 引用ここから ==========================
在日米軍「思いやり予算」違憲訴訟の税金賠償請求を棄却

 (前略)

水上敏裁判長は「税金の徴収と国費の支出は法的根拠や手続きが異なり、原告らが駐
留経費の支払いのための国費の支出負担を強いられたとは言えない」と述べた。

 (中略)

「仮に支出が違憲であっても原告らの具体的な財産権を侵害したとは言えず、違憲か
どうかを判断するまでもなく返還請求は理由がない」と述べた。

 (後略)
=========================== ここまで ==========================

 しかし、こんな説得力のない判決を出すために彼らは働いているのかね??この人
達の人件費返還訴訟も必要だな〜。

 さて、東京訴訟では、準備書面(7)を提出し、労務費についての実態に迫りまし
た。さらに、前回に続き、公開されている文書をもとに「思いやり予算」の検証を行
い、証拠(甲第127号証)として提出しました。

 少々長くなりますが、準備書面(7)の全文(表を除く)を以下に転載します。マ
ニキュアリスト・スロットマシン修理工などの労務費も我々の税金から支出されてい
て、何で財産権が侵害されていないのか、不思議ですね〜。

 準備書面(7)と甲第127号証はホームページに掲載する予定です。

  なお、次回第6回口頭弁論は、5月18日、1時から東京地裁713号法廷で。

=====================================================================
 

平成一〇年(ワ)・第五三八八号、同一〇九一九号損害賠債請求事件

            準備書面(七)

原告 青崎百合雄
   他一二三名

被告 国
 一九九九(平成一一)年三月二三日

右原告ら訴訟代理人弁護士 内田 雅敏
同            根本 孔衛
同            床井  茂
同            中野比登志
同            矢花 公平
 
 

東京地方裁判所民事第三八部 御中

         記

第一、「思いやり予算」と労務費について。

一、いわゆる「思いやり予算」の中で、労務費がどのように支出さ
れているかにつき、次のとおり主張する。

二、原告準備書面(二)において主張したとおり、米軍基地で働く
労務者は地位協定一二条四項により、アメリカ側が任務を遂行す
るために必要な労働力を日本政府を通して充足する方式をとって
いる。身分は「国の雇用者」である。在日米軍が直接の使用者と
して従業員の監督・指導及び職業訓練を行い、日本政府側は、法
律上の雇用主の立場で採用・退職などの人事措置、福利厚生・給
与支給に関する事務を受け持つ、という日米共同作業による労務
管理方式である。

 給与(労務費)は右協定二四条により基地の「維持的経費」で
あるからアメリカ側の負担となるが、その額は人事院勧告をベー
スに防衛施設庁と全駐労の団体交渉によって決まることになる。

 その内容は、米軍基地に働く従業員の基本給や諸手当及び福利
厚生費等の諸経費を指す。その諸手当の種類は、別紙のとおりで
ある。

三、ところが一九七七年の給与改定交渉でアメリカ側は団体交渉の
結果を受け人れなかった。そこで、同年一二月二二日第三八〇回
日米合同委員会は、当時の金丸防衛庁長官の裁断により、アメリ
カの要求を受け入れて、地位協定の枠内で次の合意に達した。

(1)法定福利費(社会保倹の事業主負担金)、(2)任意福利費(褒
賞費・制服など)、管理費(渉外労務管理事務所の人件費)など
を日本側の負担とする。その額約六一億八七〇〇万円。

 これがそもそもの「思いやり予算」の原点であり、これ以降「
思いやり予算」という奇妙な経費が増大していくことになる。

三、翌七八年一二月第四〇四回日米合同委員会で、日本は「地位協
定二四条の下での最大限の措置しとして新たに、(1)格差給、(2)語
学手当、(3)退職手当の一部及び施設整備(隊舎・住宅建設)など
の負担を受け入れた。七九年度予算は、一三九億六四〇〇万円、
同年度における「提供施設整備費」として一四〇億二四〇〇万円
、合計二七九億八八〇〇万円となった。前年度北較で約四・五倍
である。

 これ以後「思いやり予算」は増大の一途を辿ることになる。

四、一九七八年以降の「思いやり予算」は、別表一、のとおりに推
移する。

 その中での労務費のみでも、一九九五年度以降一四〇〇億円台
で推移する。一九七八年度と比較すると約二三倍もの膨大な費用
負担となって膨れ上がってきた。

 九五年度予算のうち、労務費の思いやり予算に占める割合は、
五二%、九六年度は五三%、九七年度は五三%、九八年度は五八
%となる。

五、九八年三月二六日の参議院予算委員会で吉川春子参議院議員の
質問と政府側の答弁は、次のとおりである。

 吉川議員は、ハウスキーピングマネジャー、ランドリー、ドラ
イクリーニング、レクリエーション専門職などの職務内容を質し
ながら、
「何種類の業務がありますか。」
「合わせまして一千四百七十二の職種がこざいます。」
「〈資料)六ページのダイエットコックというのは何ですか。」
「いろいろ資料がありますので、申しわけこざいません。」
「マニキュアリスト、靴磨き、スロットマシン修理工、これは何
ですか。」
「マニキュアリストでございますけれども、これは美容院などの
客の要望に応じまして爪の清掃等マニキュアを行うという者でご
ざいます。」
橋本総理は、
「私は、実はこの中を初めて議員の資料で拝見しました。そして
例えぱ十ぺージにドライクリーニング工があり、ドライクリーニ
ング検査員があり、八ページにランドリーまたはドライクリーニ
ングマネジャー、ランドリーまたはドライクリーニング監督、何
となく似たものがあちこちにあるものですから―――大体このリ
スト、どういう形で……」と絶句、
 防衛施設庁の政府委員は、
「アメリカ社会というのは大変なマニュアル社会でございまして、
あらゆる職業を大変詳細に細分化いたしまして、また、戦後長い
歴史のある米軍との関係でございますので」
と釈明につとめたが、答弁になっていない。

六、思いやり予算による負担が始まった七八年の駐留軍従業員数は
全国で二万一〇一七人であったが、九八年三月末には二四、二〇
三人に増加した。九四年から九八年までの従業員数の増加は、別
表二、のとおりである。

 今日本側は、全労務費を引き受けている。増員まで受け入れて
いる。ところが、その従業員の実質的採用権は、アメリカ側が握
っている。にもかかわらずアメリカ側の主張する「職業を大変詳
細に細分化」された労働慣行をそのまま受け入れ、口も挟もうと
しない。
 

第二、ここで、「潮」一九九八年一〇月号「在日米軍基地の研究」
(「前田哲男と本誌特別取材班」執筆)よりの記事を紹介したい。

「米軍基地で働いて一〇年以上になります。現在の雇用形態は沖
縄が完全に米軍に統治された時代の継続で来ていて、根本的に不
公平な内容になっているものと思われます。日本国籍の従業員の
全給料、全手当、年金等すべて日本政府の支給になっております。
そればかりでなく、米軍基地内外、米軍・軍属の光熱費、上水、
下水、一〇億円もする新築建物もすべて日本政府がまかなってお
ります。

 八〇〇〇人基地従業員のための施設は、わたしの知っているか
ぎり基地内に一つもありません。正式に休憩する場所もありませ
ん。基地内の施設に日本人従業員のためのものは一つもないとい
ってもいいでしょう。基本的に日本政府が造る建物は、米軍の要
請に基づいて建設されるものですので、ひとつも日本人従業員の
ための建物がないということは、米軍は日本人従業員などまった
く眼中にないほど無神経なのか、また日本政府は基地内で働く日
本人のための施設を作るとかの意図がなく、日本人はどうでもい
いとしか考えていないのでしょう。」

 更に不正労働についても、
「最近では軍での就職を希望する人たちが多く、五〇人の採用に
たいして五〇〇人の応募があったと聞いています。日本人米軍従
業員の採用は次のようです。人員の募集は米軍側人事課からの要
請をうけて県の労務管理事務所が窓口になって日本人を募集しま
す。県の労務管埋事務所で資格条件にあう人たち五ないし六人が
一人の採用にたいして選抜されて米側の雇用課に紹介されます。
その次からのステップは日本国、県の関与できない範囲になりま
す。紹介をうけた人たちは、米軍の雇用課から面接の日時と場所
の指定を受け、米軍基地内で面接を受けることになります。そこ
で、面接官(米軍人あるいは米国籍の民間人)と面接し、その面
接官の全権限で、採用・不採用が決まります。

 いったん採用になっても、六ヶ月の試用期間中に米人の意思一
つで解雇することもできます。普通だと労働基準監督署に訴え、
監督署は職場に立ち入る権限が法律で認められていると思います
が、米軍にたいしては、日本の監督署が立ち入る権限はありませ
ん。

 すべては、直属の米人の意思一つで、生死が決まるようなもの
です。

 その(採用の)際に純然たる日本人でない人たち(例として直
前まで外国籍を有していた人たち)が、何らかの方法で日本国籍
を取得して大量に採用されている実情もあります。それは、例え
ば、面接前までアメリカ国籍を有している場合で、米国人として
米国政府に直接採用されるのが大変難しいという場合で、待遇が
日本人として採用されたほうが有利だし、沖縄に長期滞在できる
とかいう理由などからです。

 くりかえしますが、彼らの駐留費の多くはわれわれの税金から
出ているのです。極端なはなし、自分を解雇する権限をもつ人の
生活の多くを、解雇される側の者がみるというありえないことが
あるという話です。」と言う。(電子メール「沖縄基地従業員か
らの手紙」)。

 この手紙ほど「思いやり予算」の実態を明らかにしているもの
はないであろう。

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 http://www.jca.ax.apc.org/peace-st/no-omoi-t/
<「思いやり予算」違憲訴訟・東京>

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