Date: Sat, 27 Mar 1999 18:05:30 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1238] 自衛隊の武力行使を糾弾 3.26行動
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  《緊急レポート》
 
            自衛隊の武力行使を糾弾する小淵首相への申し入れ行動、
                                      3月26日、行なわれる

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    ▽報告者・井上澄夫(つくろう平和!練馬ネットワーク)
    ▽報告時・1999年3月27日

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  3月24日未明、政府が自衛隊法第82条を〈根拠〉として発動した「海上警備行
動」は、自衛隊による武力行使にほかなりません。この暴挙に抗議し、3月26日、
二つのグループが小淵首相に抗議の申し入れを行ないました。この行動を呼びかけた
のは、「沖縄の反基地闘争に連帯し、新ガイドライン・有事立法に反対する実行委員
会」(新しい反安保実V)です。

 同日午後4時半過ぎ、呼びかけに応えて集まった約30人が、衆議院議員面会所前
から首相官邸に向かいましたが、同官邸の数十メートル手前で警官隊に阻まれました
。申し入れ行動の参加者は、警官隊を通じて首相官邸側と粘り強く交渉しましたが、
官邸側は「事前の約束のないものは受け付けない。総理府を通じて受け取る」と繰り
返すばかりでした。

 そこで行動の参加者は、自衛隊の武力行使に抗議するシュプレヒコールを繰り返し
、総理府に向かいました。しかしここでも警官隊が構内に入ることを阻み、総理府側
は代表3人だけであれば庁舎入口で会うということでありましたから、上原成信さん
(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック代表)、国富健治さん(新しい反安保実V)、
井上澄夫(つくろう平和!練馬ネットワーク)の3名が構内に入りました。庁舎前で
は、国富さんが「自衛隊の武力行使に反対する申し入れ行動参加者一同」名の抗議文
を、井上が「つくろう平和!練馬ネットワーク」の抗議文を読み上げ、文書を手渡し
ました。その間、他の仲間たちは総理府前の道路で、元気よくシュプレヒコールを繰
り返しました。

  この日の行動は、小雨のぱらつく中で行なわれたのですが、とんでもない事態への
迅速な対応として、十分意義あるものであったと思います。首相官邸周辺の警備(弾
圧)は、新ガイドライン関連法案の成立を、数を頼んで強行しようとする政府の姿勢
があらわになるとともに、いよいよ強圧的になってきましたが、仲間たちはきわめて
柔軟に対応しつつ所期の目的を達成しました。
 

 新ガイドライン関連法案の早期成立に向けて追い風を吹かせようと強行された今回
の暴挙によって、〈戦後〉は終わらされ、私たちは、文字通り、新たな戦前に突入さ
せられたのであると思います。全国から、なんらかの手段(電話、FAX、電報、抗
議文の送付など)で、首相官邸などに強く抗議しようではありませんか。(なお、こ
の日の申し入れ行動の参加者は全員、午後5時半から行なわれた、衆議院議員面会所
での集会に参加しました。この集会も、参加者がどんどんつめかけ、熱気ムンムンの
雰囲気で行なわれました。)

  以下に、上述の二つの小淵首相あて抗議文を掲載します。

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    ●首相官邸 〒100―0014 千代田区永田町2・3・1
                    電 話=03・3581・0101
                    FAX=03・3581・3883
                              (「平成目安箱」、受付は平日のみ)
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〔追加情報〕

 すでにインターネットで紹介されているかもしれませんが、3月23日付『沖縄タ
イムス』『琉球新報』の朝刊に、防衛庁が、昨年12月に韓国沖合で起きた「潜水艦
侵入事件」を踏まえ、潜水艇や武装スパイ船を想定した海上自衛隊と海上保安庁の共
同対処マニュアルを作成する方針を固めた、という記事が出ています。これは、共同
通信の配信による記事と思われますが、『沖縄タイムス』と『琉球新報』は、いずれ
も一面トップで報道しています。ちなみに『タイムス』の見出しは「自衛隊と海保の
連携強化、警備マニュアル作成へ、スパイ船や北朝鮮潜水艇事件踏まえ、防衛庁、運
輸省と協議、武器使用も検討」であり、『新報』のそれは「北朝鮮潜水艇事件踏まえ
、防衛庁、海上警備基準作成へ、海自、海保の連携強化」です。

 記事は「防衛庁は3月22日までに、(中略)海上自衛隊と海上保安庁の共同対処
マニュアルを作成する方針を固めた」とのべています。一方、3月26日付『朝日新
聞』朝刊は、野呂田防衛庁長官が、「不審船」に関する情報を「3月21日深夜から
」つかんでいたと伝えています。

  とすると政府は、新たに導入するつもりの、いわゆる「領域警備」に関するマニュ
アル作りを、「海上警備行動」発令の直前にマスメディアにリークし(あえて漏らし
)、マスメディアと世論を誘導しつつ、「不審船」に対する武力行使を周到に準備し
ていたことになります。

 それらの情報が正しいなら、今回の武力行使は、マニュアルができていない段階で
の政治的決断であったことになりますが、防衛庁の意図的リークは、やはり武力行使
の雰囲気醸成措置であり、武力行使をあえて「やってしまう」ことによって、新ガイ
ドライン関連法案の成立に向けて追い風を強引に吹かせながら、次には武力行使の既
成事実をもって、さらに「領域警備」という武力行使を正当化していくという手法だ
ったのではないかと思います。

  「海上警備行動」の発令が、政府が演じた《芝居》であることはまず間違いないで
しょうが、今回の暴挙は、「周辺事態法案」などの早期成立のためだけではなく、か
なり先まで見越した悪質な策動であると感じます。私には、米軍と関わりを持たない
独自出兵の予行演習ではないかとさえ思えます。自衛隊法第82条の強引な「解釈」
によるあの軍事行動は、超法規のクーデターに等しいやり口ではないでしょうか。

 しかしいずれにせよ、今回の暴挙は、「気分はもう戦争」という雰囲気に世論を誘
導するための悪質な企みでもあり、今回の事態を「怪しい」と感じる人びとと、私た
ちがどれだけ連動できるかが問われていると思います。
                                                           (井上澄夫)
 

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    「海上警備行動」を名目とした自衛隊の公海での武力行使に抗議します。
 

 3月24日未明、小淵政権は、海上保安庁が追尾していた二隻の「不審船」に対し
て自衛隊法82条による「海上警備行動」を初めて発動し、海上自衛隊による「威嚇
攻撃」という名の武力行使を行いました。海上保安庁の巡視船や巡視艇では「能力上
、手に余る」というのが、その理由です。

 報道によれば、イージス艦のみょうこうと護衛艦はるなが計二十五回の「警告射撃
」を行い、P3C哨戒機が十二発の150キロ爆弾を投下したものの、「不審船」が
防空識別圏外に逃走したため、追尾を打ち切ったということです。

 ところで自衛隊法82条による「海上警備行動」は、「海上における生命・財産の
保護や治安の維持のため特別の必要がある場合」に発動されることになっています。
いったい今回の事態が「生命・財産の保護」や「治安の維持」にとって「特別の必要
がある場合」という規定にあてはまるものなのでしょうか。「不審船」からの射撃が
あったわけでもないし、明白な違法行為を行っていた証拠があったという話もありま
せん。

 1981年4月17日の参院安全保障特別委員会の防衛庁答弁では、「海上警備行
動」の発動要件は@「有事が近くなり」、海上における不審船舶によって「海上交通
が著しく阻害されるような場合」A「海賊的な行為」の頻発で「国民の生命、財産を
守る必要がある」時で、「海上保安庁の手に負えなくなるような事態」が生じた時だ
とされています。

 3月24日の衆院安全保障委員協議会で、この防衛庁答弁と今回の「海上警備行動
」の関係を質問した佐々木陸海議員に対して、野呂田防衛庁長官は81年の防衛庁答
弁を「正しい見解」と認めた上で、今回の措置に関して「この二隻の船舶はたいへん
悪質そのもので、日本の治安を著しくそこねる実態であり、この答弁の趣旨にかなう
」と述べました。

 私たちは、二隻の「不審船」が「たいへん悪質」であったとか、「日本の治安を著
しくそこねる実態」であったとかの具体的情報をまったく得ていません。1998年
度版「海上保安の現況」(白書)では、1997年に「我が国領海内で操業等の不法
行為を行い又は徘徊等の不審な行動をとった外国船舶八百十六隻」を確認していると
のことです。つまり、97年1年で1日平均二隻以上の「不法・不審」外国船舶がい
たことになるわけですが、今回に限って大規模な追跡を行い、海上保安庁だけで千二
百発もの威嚇射撃を行った上に、「海上警備行動」という自衛隊の武力行使を行った
理由はどこにあるのでしょうか。

 小淵首相は、この武力行使が「わが国の安全保障の意思を明示するものとして有効
だった」と語り、野呂田防衛庁長官は「断固たる国の決意を内外に示したことは、大
きな抑止力になる」と正当化しています。一方で、「不審船を取り逃がしたことは現
行法制の不備を示した」として、「有事危機管理」策の強化で自衛隊の武力行使への
制約をゆるめようというキャンペーンも始まっています。

 私たちは、今回の「海上警備行動」の発動が法的正当性を欠くものであると考え、
強く批判します。それは紛争の平和的解決をうたった憲法の趣旨を真っ向から否定す
るものであり、自衛隊法の要件すら満たしていません。まして、今回の事件を口実に
、新ガイドライン関連法案の成立を急ぎ、さらに有事諸法制の整備を準備しようとす
る動きを絶対に認めるわけにはいきません。それは自ら戦争への道を掃き清める行為
です。
 以上の観点から断固抗議を申し入れます。
                      
                                                 1999年3月26日
     内閣総理大臣小淵恵三殿

                自衛隊の武力行使に反対する申し入れ行動参加者一同
 

                     連絡先:沖縄の反基地闘争に連帯し、
                             新ガイドライン・有事立法に反対する実行委員会
                               (新しい反安保実V)
                                              住所・ 電話    (略)
 

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   自衛隊の武力行使に抗議し、
    小淵戦争内閣の即時総辞職を求める申し入れ
 

  3月23日、海上自衛隊の哨戒機と護衛艦が日本領海において発見した2隻の「不
審船」を、海上保安庁の巡視船艇が追尾、これに「みょうこう」「はるな」などの護
衛艦が随行した。そして同月24日未明、日本政府が自衛隊に出動命令を下すや、海
上自衛隊が前面に出て、2隻の「不審船」に対し、公海上で計25回の威嚇射撃を行
ない、「不審船」近辺に150キロ爆弾計12発を投下した。いうまでもなくこれは
、自衛隊による武力行使である。
 

  今回の武力行使は、自衛隊法第82条に基づく「海上警備行動」であると政府は説
明している。それは、いわゆる「防衛出動」でも「治安出動」でもなく、第82条の
「治安の維持のため特別の必要がある場合」を“根拠”とした武力行使であった。
 だが「不審船」が停船命令を無視して逃走したという事実が、なにゆえそれに該当
するのか、政府はまったく説明していない。当該「不審船」が領海内で違法な行為を
行なっていたという明白な証拠があったわけではない。「不審船」が武装していた証
拠はなく、武力で抵抗したわけでもない。海上保安庁の船艇や護衛艦が攻撃されたわ
けではないのである。
 速やかに領海外に立ち退いた船舶に対して、公海上で1300発以上もの機銃弾や
12発もの爆弾を使用する「特別の必要」がどこにあったのか。
 

  日本政府が今回、このような暴挙をあえてなした理由は、あまりにも明白である。
いわゆる「地下核施設疑惑」をめぐる、米国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と
の交渉がとりあえず妥結し、米朝間の緊張が大きくゆるんだこと、韓国の金大中政権
は「太陽政策」を基本とし、北朝鮮との軍事的対決を回避する意思を明瞭に示してい
ること。それら平和を求める人びとにとって実に好ましい事態が、新ガイドライン関
連法案の成立を急ぐ日本政府にとっては、ひたすら悪しき環境であり、同法案成立に
追い風を吹かせるため、なにがなんでも「朝鮮有事近し」の雰囲気を造り出したかっ
たのである。政府による緊張の演出・扇動。それが今回の事態の本質である。
 

  日本政府のこのような武力行使を歓迎する国が、アジア太平洋諸国にあるだろうか
。小淵首相らの念頭から、日本国憲法の基本である平和主義はとっくに消え失せてい
る。政府首脳の頭脳を支配しているのは、軍事でことを決する、武力解決思想そのも
のである。
  私たちは、政府による今回の暴挙を許さない。全身を突き抜ける憤りをもって政府
に抗議する。新ガイドライン関連法案の成立を、全力をあげて阻止する。そして、今
こそ小淵戦争内閣の即時総辞職を要求する。

    1999年3月26日
                                つくろう平和!練馬ネットワーク
                        連絡先:井上澄夫 
                                   住所 (略)

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  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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