Date: Sun, 21 Mar 1999 22:09:51 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1209] 秋田県藤里町低空飛行中止意見書
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 近ごろ、秋田県と青森県にまたがる世界遺産地の白神山地上空での低空飛行被害の実
態が明らかになりました。低空飛行訓練の恐怖は長い間県民を苦しめ続けています。し
かしいまもって秋田県ではその被害の実態調査も十分していません。

 今回も低空飛行の証言がされ、F16の可能性が高いにもかかわらず、「相手が特定
できない」として、3月8日、米軍三沢基地の司令官へ直接要請もできず、施設局に言
い含められて、仙台防衛施設局三沢防衛施設事務所長を通じて米軍などに「特段のご配
慮」を要請したのみです。

 前日までは、三沢基地あてに直接請求することで関係機関が合意し、第35戦闘航空
司令官あて文書まで用意していたとのことです。同基地公報部に、「白神山地世界遺産
地域連絡会議」事務局が面会を依頼、公報部では「相談のうえ、なるべく早く回答する
が、通常は防衛施設局経由だ」と回答。

 知事は8日午後の記者会見では「安保論とは、私は特別リンクは何もしてないと思う
んですがね。ただ、あそこで低空飛行をして、世界遺産である白神山地とイヌワシなど
に対して、生態的に影響を及ぼすということに対して、それはこのようなことが事実だ
とすれば遺憾だと思いますね。それに対して事情をお聞きするなり、それは取り止めて
下さいというお願いをするのは筋だと思いますから、そういうことで相手が確定できる
かできないか分からないですけれども、3月の8日に三沢基地宛に直接要請することで
ですね、関係機関とは合意をしておると。」としていました。(県HP)

 この問題は国会でも取り上げられ、11日の参院国土環境委員会で真鍋賢二環境庁長
官は「(低空飛行の戦闘機の所属が)米軍か自衛隊か確認を急ぐ」とした上で、「環境
上、やらなければならないことは順守していただく。この点について環境庁としてもき
ぜんとした態度で臨む」と語り、15日の参院外交・防衛委員会で、高村外相は「(在
日米軍が)当該地域(白神山地)の上空では飛行訓練はおこなっておらず、通過地点と
して上空を飛行しているのみ。千五百メ−トル以上の高度で飛行している」と回答して
きたと答弁する一方で、「百五十メ−トル以下で飛んでいることは、わが国航空法の尊
重義務に違反している。そういう疑問が呈された以上、(米軍に)問い合せたい」とし
、「低空飛行訓練はしないようにという趣旨で懸念は(米側に)伝えていきたい」と答
えています。

 その後、秋田県側に続いて青森県側でも低空飛行している戦闘機の写真が撮影されて
いたことがわかり(昨年2月26日「青森イヌワシ調査会」、撮影時に飛行したのは4
機、別の日にも4機目撃、同写真については、運輸省の航空専門家が「F16で間違い
ない。機体下部の吸気口部分が出っ張って、尾翼が一つで形も同じ。主翼の形も同じ」
と証言。防衛専門家も「F16に非常に似ており、間違いない」)、日本野鳥の会は1
8日、この写真を添付し、外務省と環境庁に、飛行訓練による騒音が「絶滅が危惧され
ているイヌワシ、クマタカなどへの影響が心配される」として、低空飛行訓練を行わな
いよう米軍などに申し入れてほしいとする要望書(@戦闘機の低空飛行訓練を行わない
ように防衛庁と米軍関係機関に申し入れることA遺産地域と周辺を対象に航空機やスノ
−モ−ビルの騒音などに関する環境実態調査を行うこと)を提出しました。(「読売」
「赤旗」「河北新報」などより)

 そして、白神山地のある秋田県藤里町議会では、賛成議員を含む6名の議員提案で、
「F16戦闘機の低空飛行中止を求める意見書」を全会一致で可決し、政府関係省庁へ
提出しました。

 本来なれば、県が調査に基づき、自ら政府関係機関へおもむき、自衛隊機であれ、米
軍機であれ、低空飛行訓練の中止を求めている全県民の意思に従い、行政の責務として
低空飛行訓練の停止を要請すべきことです。

 
また「赤旗」(3月21日東北版)によると、
1月21日、岩手県釜石市にF16が墜落炎上しましたが、その1週間後には、訓練を
再開しました。三沢基地司令官は、釜石市「周辺」での訓練は「当面行わない」として
いましたが、その四十数キロ先の、陸中海岸国立公園内にある、陸前高田市の広田半島
上空で十九日午後、F16と思われる戦闘機が、激しく低空飛行訓練を繰り返し、「暴
走」していたことが、住人によって記録されました。高度が百メートル以下のように見
えたときもあり、すさまじい爆音で家全体が揺れるほどだったとのこと。

 低空飛行訓練の急増は、イラク攻撃のためです。
 三沢市の米軍三沢基地は八日、第三五戦闘航空団の第一四飛行隊所属のF16戦闘機
八機と整備隊、補給隊の隊員約百五十人が、イラク南方監視作戦支援のため十一日に中
東へ出発すると発表しました。
 第一四飛行隊は中東で約五十日間、任務に当たるということです。米軍三沢基地から
イラクへの展開は平成八年七月、九年四月、十年四月に続いて四回目。(「河北新報」
99.3.9)

  8機のF-16が3月13日に南部飛行禁止区域の「パトロール」を行うために三沢を
出発とのことでしたが([aml 11519][keystone 1198]参照)、観察者らによると、3月
17日には、F1、F4、T4が、4機編隊でそれぞれ、4〜5回飛び、F16も4機
編隊で4回ほど離陸。装備は、次回でかけることになっている13FSはみなハームを
装着、14FSはTER(トリプル・エンジェクター・ラック3個所に爆弾を吊るせるラ
ック)をつけた地上攻撃装備とのこと。13FSの猛烈な訓練はイラクへの準備という
ことです。

以下、意見書

        F16戦闘機の低空飛行中止を求める意見書

 私たちの藤里町を含む秋田、青森両県にまたがる白神山地はユネスコの世界自然遺産
にも登録され、イヌワシ、クマゲラなどが生息するなど貴重な生態系を有する世界一の
ブナ原生林として注目を集めています。
 ところが、近年、この白神山地とその周辺で米軍三沢基地のF16とみられる戦闘機
の低空飛行が繰り返されていることが、同山地の自然保全を担当する何人もの巡視員に
よって目撃されております。
 とくに私たちの町の素波里ダムをめがけ、ものすごい轟音での超低空飛行に身の危険
を感じた巡視員もおります。
 去る1月には岩手県の山中にF16戦闘機が墜落・炎上するという事故がありました
が、万一白神山地とその周辺に墜落すれば、私たちが誇る世界自然遺産に重大な被害を
もたらすことはもちろん、町民生活にも重大な影響を及ぼし、登山、行楽客に不安を与
えることが懸念されます。
 さらに、「戦闘機の低空飛行が目撃されるようになってから、イヌワシの姿を見てい
ない」と指摘する巡視員もおります。
 とくに11月から翌年6月までは環境庁がレッドデ−タ−ブックで絶滅危惧種に指定
されているイヌワシなどの繁殖期であり、その期間の低空飛行は貴重な野性生物を絶滅
に追い込む危険性が大きいことが明白となっています。
 つきましては、白神山地とその周辺の上空で戦闘機の低空飛行を行わないこと。とく
に営巣期には、低空飛行をいっさい禁止することを町民の総意のもとに、強く要請いた
します。

 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出します。

 平成11年3月19日

内閣総理大臣 様
外務大臣   様
自治大臣   様
環境庁長官  様
防衛庁長官  様
 

                 秋田県山本郡藤里町議会議長
                         小森 正雄



 
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