仲田です。
「ガイドライン・周辺事態法反対運動・有志懇談会(準)」から沖縄県民への
アピールと沖縄県内の市町村・市町村議会への陳述書が出されました。
以下、本文です。
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陳 情 書
私たちは、現在国会で審議中の日米新安保ガイドライン関連法案(周辺事態
法案や自衛隊法の一部改定案)は憲法と安保の枠をこえる危険な法案であるこ
とに強い懸念をいだいています。よって私たちは、この法案が廃案になるよう、
沖縄の立場からこれを求めるものです。
私たちは、この法案が沖縄の米軍基地を固定化し、国際約にも焦点となって
いる朝鮮半島などへ、在日米軍と自衛隊が共同して出兵を行い、またそのため
の後方支援として、国だけでなく自治体や民間にまで「協力」を強制しようと
していることに強い危惧の念をもたざるをえません。新ガイドラインが、英字
紙では「戦争マニュアル」と言われることもあるように、この法案の成立によ
って、日本が再び戦争への道を進むのではないかと危惧する次第です。とくに、
沖縄そのものが従来から核戦争さえ想定している安保の要基地として全土基地
化・自由使用されており、そのことによって常に県民の生命と生活が危険にさ
らされているところから、私たちは、この法案を通してはならないとの思いを
日々強くしているところです。
昨今の国会での審議、ならびに政府側の答弁を聞くにつけ、この思いが単な
る杞憂ではないことを実感せざるをえません。むしろ政府答弁はこの新ガイド
ライン法案の危険性をますます明らかにしているように思えてなりません。政
府は、「周辺事態」は「地理的概念ではない」などとあいまいな表現を使った
うえで、他国の政変にまで軍事介入することもありうるとか、「後方支援」で
自衛隊の武器使用もありうるとか、さらにまた、これら米軍や自衛隊の戦争行
為への自治体や民間の「協力」についても、「重大な違反なら処罰される」と
も言っています。
こうした新ガイドライン法案審議の動きとあわせて考えると、現在、沖縄で
問題になっている那覇軍港の浦添移設の問題や普天間基地の県内移設の問題な
ど、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意に基づく米軍基地の県
内移設の問題は慎重に検討されるべきではないかと思う次第です。沖縄の米軍
基地は、日米安保の最大の実体であることが指摘されています。新ガイドライ
ンがこの沖縄基地を最大の要として成り立っていることから、沖縄に住み、生
きるものとして不安を感じないわけにはいきません。
あの悽惨をきわめた沖縄戦を体験した私たち沖縄県民は、「二度と戦世(い
くさゆ)をくりかえしてはならない」との思いから、戦後一貫して平和を希求
してきました。今、新ガイドライン関連法案が国会で審議され、成立すること
で、再び戦争への道が開かれることを強く憂慮せざるをえません。つきまして
は、貴自治体の意志として貴議会におきまして、現在国会で審議されている新
ガイドライン・周辺事態法案に反対の決議をあげていただき、この法案を廃案
にいたらしめるよう要請する次第であります。
右、陳情申し上げます。
一九九九年 三月 十八日
ガイドライン・周辺事態法反対運動・有志懇談会(準)
賛同人 山内徳信 宜保幸男 大田昌秀 藤田長信 池村正義 福地曠昭
栄野川安邦 新城春樹 中村文子 東門美津子 新崎盛暉 平良研一
平良修 米盛祐二 金城重明 金城陸 島田善次 仲地博 高良鉄美
佐久川政一 宮平洋 新垣進 西尾市郎 高江洲あやの 桑江テル子
仲宗根藤子 安里秀雄 石川元平 島田正博 宮良豊吉 真栄城玄徳
大城しんや 金子盛市 玉城栄祐 山城成剛 照屋貞雄 崎浜秀俊
後藤聡 当間孝太郎 山田親幸 町田宗亀 有銘政夫 崎原盛秀
城間勝
市 町 村 長 殿
市町村議会議長 殿
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戦争への道・新ガイドライン周辺事態法案等に反対するアピール
政府は今通常国会に、いわゆる「新ガイドライン(日米防衛協力の指針)・
周辺事態法案」を提出しております。小渕首相は、ことあるごとにこの法案の
今通常国会での成立の意思を述べるとともに、五月訪米・日米首脳会談までに
成立のめどを付けることをクリントン大統領との約束ごととしています。すで
にその成立にむけ特別委員会も設置され三月十二日から審議に入っています。
事態はたいへん急迫しております。また現在の国会の状況を見たとき厳しいも
のがあります。しかし、これから起ころうとしている事の恐ろしさを考えると
き、決して後ろ向きになったり締めたりする余裕は、私たちには与えられてお
りません。今ここであらん限りの声をあげて反対を叫び行動を起こさなければ、
将来に取り返しのつかないことになってしまうような強い危惧を持ちます。こ
うした思いからここに、戦争に反対し平和を願う心ある人々に「新ガイドライ
ン・周辺事態法案」反対の行動に立ち上がることを呼びかけます。
英字新聞では「WARマニュアル(戦争の手引き)」と訳されることもある
この新ガイドラインは、すでに新聞等マスコミでも報じられているとおり、日
本国憲法の平和主義の精神とは根本的にあい入れない危険な法律です。「日本
の安全のため」「周辺事態」という、どこまでも拡大解釈される言葉をもって、
自衛隊が米軍と共同で海外での戦争に参戦することを合法化するものです。こ
れは従来の安保条約の枠をも大きく質的に逸脱しており、戦争放棄をうたった
憲法の否定そのものです。さらには米軍の戦争行為への協力を、国・自治体・
民間をとわず義務付けるとしています。
「戦争をしてはならない」ということを前提にして成りたっていたこの国は、
「戦争をする」国へと変更されようとしていると断じざるをえません。
私たちは、まさに歴史の歯車が逆に回り始めたかのように感じます。数多く
の県民の命を奪いさった沖縄戦から半世紀が過ぎました。沖縄県民は、肉親の
遺骨を拾い集めることさえままならぬ廃墟の中、頼る何ものもない状況から、
自らの力をもって戦後沖縄の社会を建設し今日まで生き抜いてきました。その
心の奥底にあったものこそ、二度と戦争を起こさせてはならない、戦争の地獄
絵図を絶対に後世の人たちに強制させてはならないという固い決意でありまし
た。仲宗根政善氏の「ひめゆり塔の歌」の中に、「やすらかに ねむれとぞい
のる」という一節があります。ひめゆりの学生たちをはじめ、沖縄戦で殺され
ていった多くの県民、彼ら、彼女らは、「新ガイドライン・周辺事態法案」を
国会で通そうとしている今の日本の政治状況、また戦後半世紀を過ぎた今も米
軍基地の県内移設・統合強化を押しつけられようとしている沖縄の現実をどう
思っているでしょうか。今、彼女らは、本当に「やすらか」でしょうか。そし
て私たちは、自らの心をいつわることなく沖縄戦の死者たちに「やすらかにね
むれ」と言えるでしょうか。
県民の願いとは裏腹に戦争のにおいが戦後五十年余消えることのなかった沖
縄の現実にたいして、一九九五年の不幸な事件・少女の訴えを自らの心の痛み
として、私たちは平和を求め、現状の根本的な変更を求めて各職場から立ち上
がり、平和な社会をつくりましょう。
一九九九年 三月 十八日
ガイドライン・周辺事態法反対運動・有志懇談会(準)
賛同人 山内徳信 宜保幸男 大田昌秀 藤田長信 池村正義 福地曠昭
栄野川安邦 新城春樹 中村文子 東門美津子 新崎盛暉 平良研一
平良修 米盛祐二 金城重明 金城陸 島田善次 仲地博 高良鉄美
佐久川政一 宮平洋 新垣進 西尾市郎 高江洲あやの 桑江テル子
仲宗根藤子 安里秀雄 石川元平 島田正博 宮良豊吉 真栄城玄徳
大城しんや 金子盛市 玉城栄祐 山城成剛 照屋貞雄 崎浜秀俊
後藤聡 当間孝太郎 山田親幸 町田宗亀 有銘政夫 崎原盛秀
城間勝
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仲田博康
nakada_h@jca.ax.apc.org