2月23日、秋田県知事に新ガイドライン関連法案に対して、明確な態度を表明する
よう求め、公開質問書を提出していましたが、3月12日付けで回答をいただきました
ので、紹介します。
公文書は、ややこしくて、苦手ですが、質問に具体的に答える状況にはないとのこと
ですので、お返事の内容を少し「検討」してみて、知事にはもうちょっと態度をはっき
りさせていただきたいと思っています。
政府は、自治体からの法案についての情報提供を求める声に、十分答えていないよう
です。
知事は、政府には国民の声を謙虚に受け止めるべきとはしていても、秋田県ではすで
に14市町村議会で、憲法をふみにじるものなどとして同法案に反対の意見書を決議し
ているわけですが、県民の意図するところをもっと見定めて、「慎重に」検討したいと
のこと。
政府が軍事ありきの棄民姿勢を明らかにしているこの期に及んで、120万県民の生
命財産を守る自治体の長としての責務をはたすに、何の躊躇があろうかと思うのですが
。
いささか失礼ではありますが、戦争法案が成立してから、国と「対等な関係」で「協
力」を拒否する力量が知事ならびに県行政におありだとはとても思えませんし、法案成
立後は協力関係そのものが私たちの主権と人権を侵害するものとなるでしょうから、気
がもめるのです。
いずれにしても、もっと県民の声を行政に届ける必要は感じています。
以下、知事からの回答
--------------------------
この度は、県政運営につきまして御意見をいただき、ありがとうございました。
周辺事態法案は、周辺事態に際し、政府が地方公共団体や民間に対して協力を求める
ことができるとの規定が設けられており、その具体的内容如何によっては、住民生活や
地域経済活動に少なからぬ影響を及ぼす可能性があるため、県としても重大な関心をも
っているところであります。
県としては昨年7月に全国知事会を通じて、政府に法案の説明のほか、適宜適切な情
報提供や地方公共団体からの意見聴取とその意向の尊重を申し入れておりますが、国会
で審議中のこともあって、政府の対応は非常に慎重となっており、詳細な説明を得られ
ない状況となっております。
なお、秋田県は、昭和36年に世界の恒久平和を希求して世界連邦宣言を行ったほか
、戦後50年という節目に当たる平成7年には非核・平和宣言を行っておりますが、世
界では未だに各地で核実験が行われております。また、昨年8月31日には朝鮮民主主
義人民共和国の弾道ミサイルと見られるロケットが日本上空を通過し、県民は大きな恐
怖と怒りを覚えたところでありましたが、県としては、国交のない同国に対する抗議の
術がなく、政府に対して実効ある措置の実施と的確な情報提供を要請したところであり
、外交、防衛は、国の専管事項であることからしても、政府の協力なくしてこのような
事態への対応は困難なものとなっております。
我が国は、多くの犠牲者を出した第2次世界大戦から50余年の間平和な時代を過ご
しておりますが、周辺事態法案は、国民生活にも影響を及ぼす可能性がありますので、
平和の尊さについて国を挙げて活発な議論を行うことが大切であると考えておりますし
、また、政府は国民の声を謙虚に受け止めて対応すべきであると考えております。
私としては、こうした国民、とりわけ県民の意図するところを的確に見定めた上で、
県の非核・平和の誓いを基本としながら、外交、防衛面での「国益」と県民の生命や財
産を守るという「県益」について慎重な検討を行っていきたいと考えております。
したがいまして、現時点において加賀谷様の御質問に対して具体的にお答えできる状
況にはありませんので、私の基本的な対応方針を申し述べて回答とさせていただきます
。
平成11年3月12日
加賀谷いそみ様
秋田県知事
寺田 典城