「すべての軍艦船を平和の船に!『おおすみ』を廃船にするためのネットワ−ク」が
2月8日提出した、陸自と米軍との実働訓練について、知事の周辺事態法案に対する態
度についてなどの「公開質問書」への知事からの回答です。
相変わらずヒンジャクですが、「(周辺事態法案は)住民の暮らしと安全に直接関わ
ることも含まれている」「道内港湾への入港については、地方公共団体が、核兵器が搭
載されていないことを基本に、判断すべきもの」という認識はある様子。自治体の長と
してそれだけでは無責任。
北海道では、「公開討論会を実施する道民の会」が知事選挙立候補予定者に公開討論
会の参加を呼びかけているとのことですが、知事は渋っているとか。
【公開質問書前文】
北海道知事 堀達也様 1999年2月8日
公開質問書
おおくの民衆の強い反対にもかかわらず、1997年9月と1998年9月に、陸上
自衛隊矢臼別演習所(別海町、浜中町、厚岸町内)でアメリカ合州国軍海兵隊の実弾射
撃訓練が強行されましたが、1999年2月14日から3月1日まで、北海道大演習場
(恵庭市など)と自衛隊真駒内駐屯地で、アメリカ合州国陸軍と陸上自衛隊(日本陸軍
)との積雪寒冷地合同実働訓練が行なわれると報道されています。
今回の合同実働訓練には、日本軍側から函館に駐屯する第28普通科連隊の約600
人、アメリカ合州国軍側からオレゴン州に駐屯する1−186歩兵大隊の約360人が
参加し、さらに日本軍航空自衛隊が「近接航空支援」を実施する予定であるようです。
わたしたちは、1998年8月4日に、地方自治体の長である北海道知事に、
「アメリカ合州国海兵隊員輸送における港湾・空港の使用をふくむいっさいの協力
を拒否するだけでなく、北海道における日本軍およびアメリカ合州国軍のあらゆる軍事
演習に反対し、いっさい協力しないこと、さらに『おおすみ』などの攻撃用武器をただ
ちに廃棄することを日本政府に要求すること」
を、北海道知事に求めました。
いま、わたしたちは、このことをくりかえし道知事に求めるとともに、今回の合同実
働訓練などに関して、つぎのことを質問します。
1999年2月14日までに、回答してください。
【回答】
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企総第915号
平成11年2月26日
谷 百合子 様
北海道知事 堀 達也
公開質問書に対する回答について
1999年2月8日付けでいただいた公開質問書に対し、次のとおり回答します。
記
1、今回の合同訓練実施計画、訓練内容は、どこから、どのように北海道知事に伝達さ
れたか。
陸上自衛隊北部方面総監部及び札幌防衛施設局から、別紙「平成10年度米陸軍及び
米海兵隊との実働訓練(積雪寒冷地)の概要について」により、訓練内容の説明を受け
ております。
2、今回の合同訓練に参加するアメリカ合衆国軍は、いつ、どこから北海道のどこに到
着し、どこにいくのか。その輸送ル−ト・輸送日時・輸送方法などの全容を示していた
だきたい。
隊員・装備の移動について、「隊員については主にオレゴン州から、2月の第2週に
民間航空機を利用して新千歳空港に来道し、3月の第1週に同空港から民間航空機で離
道する。装備については、2月の第2週に民間フェリ−船で苫小牧に入港し、3月に第
1週に同港から民間フェリ−で出航する。」と北部方面総監部から聞いております。
3、今回の合同訓練に参加するアメリカ合衆国軍の武器弾薬は、アメリカ合衆国のどこ
から、いつ、北海道のどこまで、どのように運びこまれるのか。その輸送ル−ト・輸送
日時・輸送方法などの全容を示していただきたい。
もし、苫小牧港などの民間港に陸揚げされるなら、そこから、だれが、どこまで、ど
のような手段で運搬するのか。
北部方面総監部に照会したところ、「陸上自衛隊が承知する必要があるのは、部隊が
到着した以降のことであり、輸送要領については米軍が民間業者に委託していることか
らその詳細については承知していない。」との回答がありました。
4、今回の合同訓練に参加するアメリカ合衆国軍の兵員、武器弾薬の輸送に民間海港・
空港が使われようとしている。北海道知事は、アメリカ合衆国軍の軍事演習のための民
間海港・民間空港使用常習化を阻止するために今後、具体的にどのような方策をとるの
か。
米軍の構成員及び演習に使用する物資等の我が国への入国については、日米安全保障
条約並びに日米地位協定に基づいてなされているものでありますが、人員・物資の輸送
に使用される航空機・船舶の我が国の空港・港湾への入港については、それぞれの管理
者が関係法令等に基づき対応しているものであり、道としては、基本的に管理者の判断
を尊重してまいりたいと考えております。
5、今回の合同訓練にかかわっても、自然破壊・環境汚染が危惧される。
北海道知事は、今回の合同訓練実施計画、訓練内容の詳細を、どのようなものとし
て把握しているか。
このたびの共同実働演習に関して、北部方面総監部から、「演習場内での雪上訓練が
主であり、また、射撃訓練においては小火器を主体に使用すること。演習場内の着弾地
以外に着弾することはないこと、不発弾の処理も適性に行う。」と聞いております。
6、今回の合同訓練の経費・その内訳を示していただきたい。
北部方面総監部に照会したところ、「今回の合同訓練は、陸上幕僚監部計画の訓練で
あり、北部方面隊以外でも経費が配分されること及び恒常の訓練等に必要な経費等にも
組み込まれていることから、北部方面総監部が、この訓練に係る経費を特定することは
できない」との回答がありました。
7、わたしたちは、1998年8月4日の公開質問書で、1998年夏の「北方機動特
別演習」に要した経費3億4千6百万円の、具体的使用内容を質問したが、同年8月1
7日、北海道知事は、
「北部方面総監部に照会したところ、『北部方面総監部においても承知していない
。』旨の回答がありました」
という無内容・無責任な回答をおこなった。それに対してわたしたちは、同年9月19
日の公開質問書で、北部方面総監部への問い合せを、北海道知事に依頼したのではない
。文官である北海道知事は、軍官の秘密主義に追随することなく、「地方公共団体の長
」としてなすべき調査を周到におこなって、回答していただきたいと、再度求めた。だ
が、それに対する道知事の同年10月9日の回答全文は、
「防衛施設局に再度照会しましたが、『防衛施設局としても知る立場にない。』と
の回答がありました」
というものであった。北海道知事が、軍官の秘密主義を容認することなく、「知る立場
にある」者を追求し、事実を明らかにするまで最後まで努力することを、重ねて要求す
る。 道としては、これまでも北部方面総監部に照会してきたところでありますが、こ
の度再び照会したところ、「北方機動演習は、陸上幕僚監部の訓練であり、具体的使用
内容は承知していない。」旨の回答がありました。
8、わたしたちの1998年8月4日の公開質問書に対する同年8月17日の回答のな
かで、「周辺事態法案」などにかかわって、北海道知事は、
「地方公共団体の協力など・・・国からの十分な説明がないことについては危惧
を感じており・・・」
と述べていたが、1999年2月はじめに、日本政府は、「周辺事態法案」などで規定
している地方自治体の長や民間業者などに日本政府が要請する軍事協力・依頼にかんし
て想定される10項目を、関係地方自治体に、文書で例示したという。
わたしたちは、その政府文書の全文公開を求めるとともに、北海道知事が、地方自治
体の長として、いっさいの軍事協力拒否の意志を、すみやかに明快に日本政府に示すこ
とを求める。
安全保障については、国の基本的な政策に関することではありますが、新ガイドライ
ンにつきましては、住民の暮らしと安全に直接関わることも含まれていることから、渉
外関係主要都道県知事連絡協議会を通じ、適時的確な情報提供と地歩公共団体の意向を
十分に尊重するよう、国に対して要請しております。
これに対し、国は、渉外知事会に対し、内閣官房、外務省、防衛庁連名により、現在
国会で審議されている答弁内容について情報提供を行い、地方公共団体や国以外の者に
対して求め、又はは依頼することが想定される協力項目例を示しました。
しかし、詳細な内容は依然として明らかでないほか、法案の内容につきましても、修
正なども含めて国会審議が続けられているところでありますが、新ガイドラインにつき
ましては、地域の意向が十分尊重されるべきものと考えており、国会審議などの動向を
見ながら、道民の暮らしと安全に責任を持つ立場で、必要に応じて国に対して働きかけ
てまいりたいと考えております。
9、1997年9月23日の日本とアメリカ合衆国の新ガイドライン合意調印の直前に
アメリカ合衆国軍空母「インディペンデンス号」が小樽港に入った。その小樽港に、新
ガイドライン関連法案の国会審議入りを目前にして、1999年2月4日に、アメリカ
合衆国軍空母「キティホ−ク号」のバトル・グル−プに所属する誘導ミサイル型駆逐艦
「ジョン S マッケ−ン号」が入港した。わたしたちは、核搭載の疑いが濃厚なアメ
リカ合衆国軍艦船の小樽入港を、重ねて黙認した北海道知事に強く抗議する。
北海道知事は、外国軍艦船が北海道の港湾に入港しようとするさい、事前に核兵器積
載していないという証明書を提出させる条例(「非核港湾条例」)の制定を、知事とし
て積極的におこなう用意があるか。
アメリカ艦船の我が国への入港は、日米安保条約並びに日米地位協定に基づいて行わ
れるものですが、道内港湾への入港については、港湾管理者である地方公共団体が、入
出港及び接岸時の安全性、商業港としての機能への支障などを、核兵器が搭載されてい
ないことを基本に、判断すべきものと考えております。
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添付資料
○平成11.1.14付け 陸幕広報室 [お知らせ]
平成10年度米陸軍及び米海兵隊との実動訓練(積雪寒冷地)の概要について
○平成11.2.3付け 内閣官房、外務省、防衛庁連名による
周辺事態安全確保法案第9条において想定される協力項目例
======ここまで
2月26日の『朝日』によると、政府・自民党は25日、周辺事態法案に定められて
いる地方自治体に「協力」を要請する際のマニュアル作成にむけた作業に入ったとのこ
と。「正当な理由がある場合」を除き、自治体が協力を拒否できないようにする見通し
。
政府・自民党は、各地の「非核平和条例」化や、地方議会での同法案に反対や懸念を
表明する「意見書」の採択で、地方自治体からの協力が得にくくなる事態を懸念
自民党・丹波雄哉政調会長代理(25日の静岡県浜松市での講演)
「港湾使用などを政治的な判断で拒否することは許されない。国と地方団体との関
係で明確なル−ルを検討する必要がある」「正当な理由がある場合を除いては協力する
義務かある」
また3月3日の『赤旗』によると、自民党が、本部の政務調査会名で、都道府県連あ
てに「法案に対して否定的な意見書の提出等がなされている」が「誤った認識に基づく
もの」なので「各議会において適切に対処されるよう」要求し、各市町村議会について
も「徹底」するよう要請する文書を、2月25日付けで出していたことが、3月1日に
明らかになったとのこと。
市民の「協力お断わり」「軍艦は歓迎しませんからお帰りを」という意思は「正当な
理由」だと思うのだけど。私たち、政府から「命令」されるいわれはない。