島川です。
浦田さん、ご苦労さまでした。
こういう試みが「住民」のことを彼らに意識させることになり、「占領軍」的
傲慢さへの牽制に若干でもつながると思います。
上原さんの校正にプラス・アルファです。
At 6:30 PM +0900 99.2.25, Ryuji Urata さんwrote:
> 私が言ったのは、我々が使っている流弾砲の弾が、自衛隊が使っているものよりも
> 小さい弾を使っているという事だ。
>
> (K)ここしばらく(数年)は、同じ大きさの流弾砲弾をつかう予定だ。しかし
> 海兵隊が新しい大きさの弾を作ったら、今後それを使うことになると思う。
「榴弾砲」ですね。
「流弾」は目標を外れてあさってのほうへ飛んだ「流れ弾」のことで、「流弾砲
大隊」では演習場周辺は全滅します。(^^;
大砲には「カノン砲」と「榴弾砲」の2種があります。カノンは「直射弾道」で
砲弾を直線的に飛ばすもの。榴弾砲は「曲射弾道」が描けるものということです。
つまり、山の裏側にいる敵をカノン砲では射てないが、榴弾砲なら大きな放物線
弾道を描くことによって山の稜線の向こう側にいる敵もある程度射てるというも
のであります。旧陸軍も「加農(カノン)砲」と「榴弾砲」の2種を装備してい
ました。陸軍砲兵の主力は稜線越えの「榴弾砲」ですね。
それと、つまんないことですが、大隊長クラスなら「司令官」より「指揮官」の
ほうが、またはそのまま「大隊長」「砲兵隊長」が常用的でしょう。「司令官」
は将官に使うのが旧来の用法です。旧陸軍の場合では「戦略単位」の「師団」を
複数指揮する者、軍司令官以上ということになります。旧海軍では戦隊指揮官の
少将が「司令官」で、駆逐隊や航空隊指揮官の大佐は「司令」、戦隊を束ねる艦
隊の指揮官(中・大将)は「司令長官」と呼び分けていました。米陸軍だと軍団・
軍という単位が該当しますが今は師団数を減らしているので、師団の上級司令部
は軍(第8軍など)・戦域軍(太平洋軍など)でその長が「司令官」ということ
ですね。ただし、いわゆる連隊、旅団、師団というような伝統的編制の場合です。
基地司令官などという場合は階級には関係ないでしょう。
また、MEUなんかも連隊扱いで指揮官は大佐ですから上の原則からすれば指揮官
とか部隊長とか表記したほうが順当なのでしょうが、司令官でもいいのじゃない
かと思います。こういうのは、今の日本語に厳密な定訳があるわけでもないので
なかなかメンドなものです。また、海兵隊に特徴的なように、MEUや、(MEU自体
がそうである)タスク・フォース*など第二次大戦の陸軍的常識でははかれない
編制になっているわけですから。
ついでに---
*任務部隊:連隊とか旧来の編制を単位とするものではない、任務に合わせた臨
時の混成編成部隊というのが元の意味でしょうが、海兵隊や海軍なんかはこれ
がむしろ通常の戦闘単位になっていて中身は交替などで入れ替わる。中東の第
5艦隊などは各艦隊からの派遣寄せ集めで「固有」「健制」のものでない、「
任務部隊」ですね。戦域軍である中央軍そのものがそうです。
旧来の「海兵師団」とか「所属艦隊」というのは人やフネにとっては軍政的な
分類(人事や給料計算とか)になりつつあって、軍令(作戦指揮系統)的には
各所から抽出した部隊で編成する「任務部隊」が単位になっていますね。例え
ば、MEUは陸上部門は海兵師団から、航空部門は海兵航空隊から抽出するわけ
です。また、海軍の場合だと、第3艦隊「所属」のAという軍艦が本土西海岸
を出ると日付変更線までは第3艦隊の作戦指揮下にありますがこれを越えると
第7艦隊の指揮下に入り、中東海域に入れば第5艦隊の作戦指揮を受ける、と
いう具合で、昔のように固定した所属艦船から成る第なんとか艦隊がまとまっ
て動くという形ではなくなっています。
梅林宏道さんの古典的大労作・名著である『沖縄の米軍』ではMEUは臨時編制の
部隊であるとされてあまり大きな扱いをされていませんが、ポスト冷戦の米軍
は全体として機動・遊撃戦的な「投入」部隊の性格を強めていますから、「任
務部隊」であるMEU+ARGなどが戦争の基本単位=戦略単位になるわけです。
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島川雅史 mshmkw@tama.or.jp
mshmkw@jca.ax.apc.org
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