ご存じのことも多いとは思いましたが、
高知県が23日、寄港する外国の軍艦の「非核証明書」を外務省に求める港湾施設管理
条例改正案と同条例要綱案を県議会に提出。
自民党は「具体的な運用を定めた要綱案は条例案と一体のもの」として、反対を決めて
いる。
条例改正案は、1997年12月に県議会が全会一致で可決した「高知県の港湾におけ
る非核平和利用に関する決議」を引用、追加したもの。(朝日99年2月24日)
<非核港湾条例改正案>
県は、港湾施設の管理に当たっては、国の基本政策である非核三原則を踏まえ、平和
で県民に親しまれるように努めるものとする。
<運用要綱案>
一、海上保安部などから外国艦船の港湾施設使用の情報を得た土木事務所長(管理者
)は直ちに県港湾課長に報告をしなければならない。
一、報告があった場合、知事は、外務省に対し、当該艦船が核兵器を積載していない
ことを証する文書の提出を文書で要請する。
一、知事は前項で得られた結果に基づき、港湾施設の使用に関し決定を行うものとす
る。
(産経2月24日)
同日橋本大二郎知事が県議会で説明した提案理由
核兵器の廃絶と世界の恒久平和は、国民の共通の願いだと思います。
こうした願いを受け止めまして、国は、非核三原則を基本政策としておりますが、高
知新港の一部開港をきっかけに(最大5万トン級の船舶も寄港できる)、港湾施設の管
理に当たりましても、この非核三原則を踏まえた対応をいたしますように、今回、港湾
施設管理条例の改正を提案いたしました。
この改正は、県民の皆様に親しまれる平和な港づくりを目指すという県の基本的な姿
勢を、条例によって明示いたしますもので、このことは大きな意義を持つものと考えて
おります。
このような姿勢に立ちまして、港湾施設を利用される外国の艦船が核兵器を積載して
いるかどうかという、県民の皆様が重大な関心を抱く問題にかんして、国に説明を求め
ていきますことは、知事として当然のことだと思いますので、議会でも十分なご議論を
いただきたいと思います。(赤旗2月24日)
議会開会前の記者会見で知事は
「アメリカの申し入れてほしいと言ってきたが、外務省などがどんな形で申し入れたか
見えてこない。だとすれば、県民の安全を守る地方の立場から、国で言い切れない部分
を明示していきたい」「非核三原則という国の基本政策を地方の立場で明示したい。国
と地方のよりよい協力関係をつくって活きたいという趣旨」(朝日2月24日)
「運用についてはしゃくし定規に考えるつもりはない」として、外務省から文書でなく
電話で回答があった場合や、明らかに核兵器を積載できない艦船の場合などには柔軟に
対応する可能性を示唆(河北2月24日)
「実効性を伴わない宣言的な条例は考えていない」としていわゆる非核証明書の提出
を
国に求める“非核高知方式(間接証明方式)”を明記した要綱案を「正案」として各会
派に示したとき、
十六日の記者会見で知事は
あくまでも非核証明を求める条例・要綱の実現にこだわったことについて、同県北部が
ル−トの一つになっている米軍機の低空飛行訓練問題を取り上げ、「日常的に平和が脅
かされるのは納得できない。国との協力関係を築いていくためには、条例化で地方の立
場をきちんとしていくことが大事だ」と説明。提案理由説明の中でも「核兵器廃絶は国
民共通の願い。港湾施設の管理にあたっても非核三原則を踏まえた対応をし、平和な港
づくりを目指す」と強調。(毎日2月23日)
日本共産党の春名直章議員は23日、衆院地方行政委員会で、高知県の非核港湾条例
制定を拒否する政府の姿勢を追及
春名氏「港湾管理権は地方自治体の固有事務であり、国は原理的に介入できない」
野田毅自治相「(港湾管理権は)施設の運用上の権限であって、政治的判断を含めた
包括的権限ではない」
春名氏「一九八四年三月の参院予算委員会で中曽根首相(当時)が、『非核神戸方式
』について『地方自治の本旨に神戸の市長および市議会がとっておるやり方で、それは
それとして良く理解できる』と答弁している」と指摘「いつから国はこの態度を変えた
のか」 野田自治相は、「中曽根答弁」は否定せず。
春名氏「(高知県が国是である非核三原則を)本気で守ろうとしている。なぜ、これ
が問題か」
野田自治相「どういう理由をつけようと、外交権に制約つけることは権限を逸脱して
いる」
春名氏「憲法九四条が『法律の範囲内で条例を制定することができる』と規定してい
る」「非核港湾条例がどの法律に違反しているのか」
野田自治相は「(どの法律に違反しているかどうかは)明示しなければならない問題
ではない」
自治省の香山総務審議官「条例をみれば法律的にただちにどの法律に違反するとはい
えない」と、法的根拠示さず。
(赤旗2月24日)
先に、小渕首相が「国が認めた外国艦船の寄港が、非核証明書の有無で妨げてはならな
い」と述べるなど、政府・自民党では「国の外交権への明白な侵害」「自治体の権限を
逸脱する」と批判していますが
関係閣僚は23日午前、閣議後会見で「外交問題は地方自治体の権限を越えている」と
、厳しく批判。また、同様の動きが他の自治体に広がっていることから、政府の考えを
地方自治体に徹底していく構え。
高村正彦外相
「悪いやつを捕まえるのはいいことだと言っても、警察官が捕まえるべきところを消
防職員がやるのはよくない」「法治国家の根源が揺らぐ」「条例が国の外交権に関与し
妨げになるのは非常に好ましくない」「(他の自治体の動きについて)非核3原則はい
いことだから、と言うが、権限のない人はやってはいけないというのが行政の第一歩だ
」
野中広務官房長官
「統一地方選などが近くなると、このような動きが出る」「国と地方の役割分担を地
方公共団体の長は厳粛に考えてほしい。いやしくも国家の防衛や外交は国の責務である
ということは地方分権を考える上での基本」「条例は宣言的で、要綱のなかに具体的な
取り扱いを示すというのは法体系上の疑問を感じる」「外交、防衛は国の責任事務であ
ることを明確にして国と地方のあり方を考えるべきだ」
野呂田芳成防衛庁長官
「安全保障、外交は国の事務。地方公共団体が国に代わってやるようなことは、私は
ふさわしくないと思う」
野田毅自治相
「内容を確認したうえでコメントする」としたうえで「考え方は国会答弁で申し上げ
てある」と述べ、地方自治体の権限は港湾管理・運営にとどまり国の判断に影響を与え
ない、との見方を示した。
(毎日2月23日)(朝日2月24日)(河北2月24日)
日本の一般港湾に入港する外国艦船は、ほとんどが米軍艦船だそうで、また
日本政府の「思いやり予算」のおかげで整備が進み、米海軍佐世保基地(長崎県佐世保
市)に入港する米原子力潜水艦の平均滞在日数がこの十年で大幅に延び、一九九八年は
、米原潜の日本の主力基地である横須賀基地(神奈川県横須賀市)を上回り、入港回数
も増えており、九七年は過去最多の二十三回を記録ったことが二十三日、佐世保市など
の資料で分かった(西日本新聞2月24日)
とのことですが
自民党内からは「(外国艦船の寄港の可能性が少なく)実害のない知事がガイドライン
論議に口をはさみたいだけ」「だめもとで出した一流のパフォ−マンス」(河北2月2
4日)という揶揄の声も
今、国は自治権に「干渉」してもいいが、自治体が政府に「口答え」するのはだめだと
か、「国防」にかかわることに市民の安全などかまっちゃいられないというようなこと
を気安くに口にしても大丈夫なのかしらん。ますます混迷、混沌としてきている国会審
議がまたまたややこしくなりそう。別にかまわんが。
まあ、閣僚が何をよまいごとを言っても、日本政府の思いやり予算のスポンサ−付きア
メリカのスポンサ−付き外務省が、「毅然」としていますのであまり差し障りはないで
しょうが、
政府としては、仮に条例改正が実現した場合でも「無効」(外務省筋)として証明書の
発行には応じない方針
ただ「非核三原則という国是に沿うものがなぜ悪いのか」という高知県の主張は「一般
の人々にとても分かりやすい」(外務省筋)ので世論の支持が広がりかねず、同様な動
きが自治体に広がれば「日米安保体制に支障が出かねない」(野中広務官房長官)のが
心配とのこと(朝日2月24日)
鹿児島や広島でも条例化の動きは広がっていますが
各地の反応として、
85年から県原水協が核廃絶を求める署名集めを始め、10年で集めた県民の半数を
超す署名をバックに96年11月、「神戸方式」による非核条例化を県に求めた、県原
水爆対策協議会事務局長の和田忠明さん(59)「ガイドライン関連法案の成立を急ぐ
政府の思惑が背景にある。条例改正案の動きがもう少し早かったら……」「県議を動か
すのは世論。選挙も近い。自民党県議の心も揺れているはず」「採決までの3週間で世
論を盛り上げたい」と高知市役所前で条例改正を支持する集会を開き、デモ行進。議案
採決の3月15日まで、街頭宣伝や署名集めを続ける。
今年1月には高知県沖、1994年10月にも同県大川村のダムに訓練機が墜落。飛行
ルートの一つ、広島県北部17町村でつくる「米軍の低空飛行の即時中止を求める県北
連絡会」は98年4月、低空飛行の中止を求める約1万5000人分の署名を外務省な
どに提出した。しかし、「政府は低空飛行の実態すら把握していない。対応策はいまだ
に示されない」「安保の壁にしり込みする自治体が多い中で、橋本大二郎知事の勇気に
敬意を表したい。高知県を批判する政府は、非核証明をしない艦艇の入港を拒否すると
日米安保上どう危険があるかを国民に明らかにすべきだ」(同連絡会長の藤原清隆・広
島県君田村長)
長崎県佐世保市では、かつて港の中ほどに停泊していた米原子力潜水艦が、91年か
ら岸壁に接岸するようになった。市を通じ国に安全性を問い合わせ、半年後に科学技術
庁から届いた回答は「米海軍の作戦、運用は関知しない」「国は国民の安全より米軍へ
の配慮を優先しているとしか思えない。高知県は国が怠ってきたことを自治体レベルで
はっきりさせようとしている。頑張ってほしい」(今川正美佐世保地区労事務局長)
米軍横須賀基地を抱え、高知県の条例改正案を取り寄せた神奈川県の宮内芳明・渉外総
務室長は「非核三原則に照らし港湾管理者として何ができるかを考えるのはもっともな
こと。『国の専権事項だからだめ』ではなく、もっと高知県と議論があっていいと思う
」と指摘。
「政府の立場も分からなくもないが、核問題については弱い立場の人を守る姿勢を示
してほしい。国民一人一人の生命が保障されない限り、国家の存立も危ぶまれる。非核
三原則がきっちり守られているか非常にあいまいなので、この際じっくり考えてもらい
たい」(大田昌秀前知事)
(毎日新聞2月23日)
23日付の朝日新聞が
朝鮮半島有事を想定して米軍の作戦行動を支援するため、在日米軍が1994年時点
で、那覇空港および那覇港湾を含め、民間の八空港、六港湾の使用(部隊の展開開始か
ら「10日以内」)や、武器・弾薬輸送のための大規模な機材、要員の確保、警備、輸
送支援などなどを日本政府に要求していて、北海道には、重火器の実弾射撃が可能な訓
練場の提供を要請しているとありましたが
野呂田防衛庁長官は、「内容について対外的に明らかにすることはアメリカとの関係も
あり、差し控えたい」が「報道に掲げられている場所だけに限定して使われるというわ
けではない。有事だから、北海道で起きるか、青森、沖縄で起きるか分からない。今の
段階でどこと特定できない」と述べ、今後、地方自治体から詳しい説明を求められた場
合、「いくらでも対処し、説明したい。限度もあるが、公共団体等で質問があれば対応
したい」と述べた。
また、長官は会見で、今国会の焦点となっているガイドライン関連法案に対し、全国
3340の地方自治体のうち、明確に「反対」もしくは「慎重に対処してもらいたい」
と意思表示しているのは、全体の2・2%であることを明らかにした。
(琉球新報2月23日)
朝鮮半島有事を想定した米軍の対日支援要求問題は23日、参院予算委員会で取り上
げられ
白浜一良氏(公明)が事実関係について確認したところ、野呂田芳成防衛庁長官は「
日米関係の種々の意見交換の中で緊急事態に際しての我が国の支援についても様々な形
で議論がおこなわれていることは事実だが、こういった対日支援要求として固まったも
のを政府として受領したものがあるわけではない」と回答。 (朝日夕刊2月23日)
なお、函館市の非核・平和函館市民条例案の扱いは、三月四日の本会議に上程し、委
員会付託とするか即決とするかの記名投票を行い、続いて条例案の採決が行われる見込
み。即決はさけるよう市民の説得が続いています。(北海道新聞2月 23日
)
3日に、1万7000人分の署名を市議会長に提出した後、現在署名も2万筆をこえ
、高知県や国会議員からのエ−ルにも励まされているとのこと。
「非核・平和函館市民条例を実現する会」では、23日緊急集会(約100名参加)
を開き、同条例作成に加わった神原勝北大教授が、神戸方式を認めない政府見解につい
て、@港湾管理は自治体の権限、A憲法の自治権の中で、自治体も国と同様に外国艦船
を巡る外交権の行使が可能、などの点を挙げ、「非核・平和条例制定に法的障害はない
」と説明。(北海道新聞2月24日)
条例制定の運動を進めてきた「実現する会」の南部貴昭事務局長は「核積載の有無を
外務省に問い合わせるだけでは、通りいっぺんの回答しかない。保有国に問い合わせる
ことで、不十分な対応が一定程度緩和されるのではないか」と話していますが、議会の
保守系会派の中には「政府が『外交は外務省や国の問題だ』と言っているし、高知県の
議論の行方も見守りたい」という空気は強い。 (朝日2月23日夕刊)
高知県に対する国の動きに対して
「実現する会」事務局長は「国の姿勢が強硬になっているが、なぜ条例制定を否定す
るのか根拠はあいまい。港湾管理権は、港湾法で定められた地方公共団体にあり、外国
艦船の受け入れでは、国はお願いする立場でしかない」「条例案を否決しようとする高
知県議会の動きは、地方分権の時代の自治体の方向性として、もう一度考えてもらいた
い」
苫小牧では「非核・平和都市条例」の制定を目指し、「大地の会」が中心になって署
名活動などを展開。同会の山川美明代表は「地方分権が叫ばれている時代に国が権限を
振りかざすのはおかしい。私たちの署名運動は、もう少しで二万人に届くが、これも国
の圧力がかかれば、つぶれされてしまうのだろうか」と懸念。
同市の鳥越忠行市長は「国の専管事項であるとするなら国の責任で核搭載の有無を明
確にし、市民の不安を解消してほしい」が「市長としては神戸方式を準用したいが、実
際には道と協議して決めることになるだろう」
(北海道新聞02月
18日 )
私の四則計算では
「確認も否定もしない」(米国)×「事前協議がない以上、核持ち込みはあり得ない」
(日本政府)=持ち込ませず(非核3原則)
の方程式は未だに解けないのでありまして、
池田幸彦自民党政調会長は「ぜひ国を信頼して」と連発されているようですが、小渕首
相に「忠誠」を誓えといわれても無理なものがあるように、おいそれとは・・・
読売2月22日の社説で
自治体の「非核港湾条例」をめざす行動は、「反基地・反安保」の動きに密接に連動し
ていて、結果的にガイドライン関連法案へ「悪」影響を及ぼし、「反安保」勢力に手を
貸すことになると「大変」懸念していたようでした。
私は、防衛ハンドブック(平成10年版)の世論調査「日本の安全を守るための方法」
で、<現状どおり日米安保体制と自衛隊で日本の安全を守る>が68.1%でだんとつ
多くて、<日米安保条約をやめ、自衛隊も縮小または廃止する>が7.7%で、政府に
とって、「反安保」勢力なんか数のうちに入らないだろうなあと思ってたんですが、そ
うでもないのかなあ、とちょっぴり意外で、ちょっぴりうれしかったりでした。
ガイドライン関連法案に、明確に「反対」もしくは「慎重に対処してもらいたい」と
意思表示しているのは、全自治体の2・2%という数字も気になる数字なものやら、ど
うってことないものやら。
さんすうは ムズカシイ