Date: Wed, 24 Feb 1999 00:21:04 +0900
From: 加賀谷いそみ  <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 1118] 秋田県知事へ質問書
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 3日に周辺事態法案の「周辺事態」の際に自治体に求めた「協力10項目」が公表さ
れて、もうすぐ1ヵ月になろうとしているのに、当県では、知事も議会もうんともすん
ともありません。考えてるんだかどうかもわかりません。知事一人で武器を運んで済む
ようなことではなかろうに。
 気が気ではないので、知事の姿勢が知りたくて、「公開質問書」を提出しました。
 もし「国の決めることだから」なんて、逃げ口上を言ったら承知しないわ。
 その前に、返事をするかどうかではあるが・・・ ねばってみる。

 これは、在宅で一人でできる運動の一つです。出かけられなければ、連絡先と、サイ
ンと押印をすれば、郵送でもできます。あとは、見届けるまで目を離さなければいいだ
けです。
 ちょっと周りにも「宣伝」してみます。
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               公開質問書

秋田県知事 寺田典城 様

 アジア・太平洋戦争以後、この地球上では、各地で80を超える紛争が続き、いまだ
に多くの市民が戦下の恐怖に怯えるなか、日本に住むわたしたちは、直接武力を交える
ことなく、曲がりなりにもこの50余年、非戦平和憲法のもとで、おだやかなうちに子
どもたちを育て、世界の市民と交流を続けています。

 しかし、1997年9月に日米間で、「新しい日米防衛協力のための指針(新ガイド
ライン」が合意され、その関連法案として、「戦争法案」とも呼ばれる「周辺事態に際
してわが国の平和及び安全を確保するための措置に関する法案(周辺事態法案)」など
三法案が、98年5月国会に提出されました。今国会においては、衆議院に2月16日
、「日米防衛協力のための特別委員会」が設置され、これから本格的な審議がなされる
ところです。そしてこれに先立ち、日本政府は、「一般的な協力義務としては協力する
のが当然」(野呂田防衛庁長官、国会答弁)として、同法案に規定されている「周辺事
態」の際、地方自治体や民間に求め、依頼する、米軍への協力10項目を、2月3日付
で策定し、公表しました(以下、同文書を政府文書と呼びます)。

 この政府文書は、協力の内容はそれらに限られず、「事態ごとに異なる」とまで述べ
ています。これは、自治体や民間への、「後方支援」という名目での米軍への戦争協力
の強要であるとして、市民の間から、疑問や不安、反発の声があがっています。

 いままでも、日本の各地で、日米安保条約のもとで、基地被害が頻発し、低空飛行訓
練、核搭載可能な軍艦の民間港への寄港などが強行され、さらに昨今では「戦争法案」
の先取りとも受け取れる、度重なる日米共同演習によって、私たちは無法の恐怖にさら
されています。これらの人権侵害は、秋田県内においても例外ではありません。

 県内での低空飛行訓練に対する恐怖は言うまでもありませんが、88年と89年には
、墜落事故をたびたび起こしている三沢基地所属の核搭載可能攻撃機F16戦闘機が、
秋田空港に、墜落事故一歩手前の緊急着陸をしています。また新秋田空港には、87年
にF16の救難支援を任務とするといわれる航空自衛隊秋田救難隊が設置されました。
そして98年、航空会社の路線削減による合理化が進むなかで開港した大館能代空港は
、三沢基地に近く、地理的利便性からも、その軍事空港化を懸念する声が早くからあが
っていたものです。

 秋田港や船川港には、自衛隊の掃海艇などが、演習のためにちょくちょく寄港してい
ますが、97年、小樽港に空母インディペンデンスが寄港した際には、船川港から民間
業者所有の台船2隻が、不本意ではあったようですが、接岸の支援のために小樽へ向か
いました。

 秋田県沖では、81年に日米共同演習の一環として、海上自衛隊の潜水艦、護衛艦、
掃海艇などが演習を行った際、演習期間中、操業が規制された上、漁網が破られるなど
、関係漁協が、約1千万円の損害をこうむったにもかかわらず、十分な補償はされませ
んでした。

 98年の、日米共同統合演習及び海上自衛隊の演習の時には、県農政部の再三の要請
にもかかわらず、防衛庁は演習域の公表を拒否し、漁業関係者は、またもや不安のまま
操業を強いられました。

 また、男鹿市には、これからの軍事の最重要施設と位置付けられ、戦時には一番先に
狙われて攻撃目標とされる航空機およびミサイルの情報収集基地、男鹿レ−ダ−基地(
航空自衛隊第33警戒群加茂分屯地)があります。さらに、在日米軍作戦センタ−と一
体化して、日米統合指揮通信・情報システムのネットワ−ク化を目指すIDDN(防衛
統合デジタル通信網)の建設が、87年度から全国で進められていますが、本県でも近
くIDDN無人中継所が、五城目町など数ヶ所で建設されようとしています。

 これほど多岐にわたって県内の陸海空で軍事行動が行われながら、秋田県が行政とし
て十分な安全対策を講じてきたとは言いがたく、政府がこのたび自治体や民間に具体的
な戦争協力を新たに求めてきたことに対して、市民の不安がつのるのは当然のことです

 県議会と全市町村議会は、95年までに「非核平和宣言」と「F16ならびに三沢の
航空自衛隊のF1戦闘機の低空飛行の中止を求める決議」(県議会では、88年9月末
に総務企画委員会が「米軍機の低空飛行の中止についての要望」を議決し、県議会議長
らが、外務省や防衛庁に申し入れをした)を採択しました。非核平和を願い、不戦の意
思をはっきりと示したのです。そして今回の「周辺事態法案」に対しては、すでに県内
14市町村議会が「新ガイドラインに基づく有事立法体制づくりに反対する意見書」を
政府に提出し、他の多くの議会で継続審議されています。それらの市町村議会は、戦争
協力を拒否する態度を明らかにしたのです。

 自治体の最大の責務は、住民及び滞在者の安全を守ることであり、自治体はその独立
性が保障されています。いかに政府の要請であろうと、地方自治権を無視し、住民に不
利益を与えるようなものを受け入れることは、決してあってはなりません。それは市民
の人権を自治体が奪い、独立した自治権を自ら崩壊させることです。

 秋田県政は、14市町村議会の良心的な決議と、多くの市民の非戦平和を願う思いを
尊重し、戦争協力への拒否の姿勢を明確にし、主体的に自治体の平和的生存権を行使す
べきと考えます。平和憲法に基づき、私たちは、戦争への協力を拒否する権利がありま
す。そして自治体の長には、その権利を守る責務があると思います。

 今回政府が示した、自治体および民間への戦争協力の要請・依頼は、住民の生存権と
人権を侵すものであり、私たちの生活のすべてにかかわる問題です。
 つきましては、今回の政府が「求め、依頼する10項目」について、貴行政が県民に
対し、内容を十分説明することと、それに対する自治体の長としての明確な態度表明を
求めます。
 97年9月29日の閣議で「ガイドラインの実効性の確保」が確認された後、自治大
臣官房国際室長が各都道府県総務部長あてに、資料として「新ガイドライン」「ガイド
ライン見直し共同コミュニケ」「9・29閣議決定文書」を配布したとのことですので
、概要はご存じのことと思いますが、県行政において不明な点は、すみやかに政府関係
機関に問い合せ、しかと回答を得るよう強く要請します。以下に質問を列挙します。
 なお回答は、1999年 3月10日までにお願い申し上げます。
 

1、政府文書にある「建物、設備などの安全を確保するための許認可」は、本県の場合
、具体的に何を指しているのか、お答えください。

2、秋田空港の建設に当たって、当時の小畑知事は、「新空港は自衛隊の演習・訓練に
は絶対使用させない」と公文書で確約しました。秋田県は「非核平和宣言」を発してい
ますが、寺田知事は、県の管理する空港及び港湾の米軍による使用を拒否する姿勢を明
確にする意思はありますか。

3、政府文書は国以外の者、すなわち企業や私たち市民にも、「協力」を求めています
が、政府の言う「人員及び物資の輸送」には、武器・弾薬も含まれています。また病院
への「協力」を求められた場合、入院患者が病院から追い出されることも考えられます
。これらは市民生活を直接脅かすものであり、事故もありえます。市民の安全を守る自
治体の長として、要請あるいは依頼される「協力」の内容を政府に問い合わせ、より詳
細な説明を県民に行う必要があると思いますが、そうする意思はおありでしょうか。

4、「周辺事態法案」が、自治体と民間に対して、戦争への「協力」を求めていること
、しかもそれは強制性をともなったものであることが、すでに明らかになりました。寺
田知事は、地方自治法の「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び
福祉を保持する」(地方自治法第2条・第3項・1)の規定と自治体の独立性に基づき
、自治体の長として、政府に「周辺事態法案」の撤回を求める姿勢を鮮明にすべきであ
ると考えますが、いかがでしょうか。

1999年2月23日
                                    〒
                  秋田県男鹿市****
                    加賀谷 いそみ
                    TEL:**********

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《資料》 政府文書(文中の法案は「周辺事態法案」)

 国が国以外の者に対して求め、または依頼する協力の内容については、事態ごとに 
異なるものであり、あらかじめ具体的に確定される性格のものではなく、以下のもの 
に限られないが、例えば次のような例が想定される。

1 地方公共団体の長に対して求める協力項目例(法案第9条第1項)

 ○地方公共団体の管理する港湾の施設の使用
 ○地方公共団体の管理する空港の施設の使用
 ○建物、設備などの安全を確保するための許認可

2 国以外の者に対して依頼する協力項目例(法案第9条第2項)

 (1)民間に対して依頼する協力項目例
 ○人員及び物資の輸送に関する民間運送事業者の協力
 ○廃棄物の処理に関する関係事業者の協力
 ○民間病院への患者の受け入れ
 ○民間企業の有する物品、施設の貸与

 (2)地方公共団体に対して依頼する協力項目例
 ○人員及び物資の輸送に関する地方公共団体の協力
 ○地方公共団体による給水
 ○公立病院への患者の受け入れ

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報道関係のみなさま

 2月23日、寺田知事に、政府が自治体に示した「周辺事態法案」の「後方支援」に
関する「協力」についての態度を明らかにしていただきたく、質問書を提出しました。

 今、国会で何が審議され、自治体に何が起ころうとしているのかは、皆さんがよくご
存じのことと思いますが、新ガイドラインに基づく関連法案の「周辺事態法案」のなか
の「後方支援」について、野呂田防衛庁長官が「一般的な協力義務としては協力するの
は当然で、常識」と言い放ち、政府は、「周辺事態」の際、地方自治体や民間に求め、
依頼する、米軍への協力10項目を、2月3日付で、策定、公表しました。

 これで政府は、私たちに直接「戦争協力」を求めていることが、明らかになりました
。しかし、市民はその具体的な内容もわからず、その安全を守るべき首長の姿勢もわか
らないまま、根拠の乏しい戦争への危機感をあおるような世論のなかで、とまどってい
ます。 その中で、今回の国会の動きに、疑問や不安をもっている市民は多く、この「
戦争法案」の撤回を求めて、各地でさまざまな取り組みがされています。

 政府の言う「協力」に、医療関係者、行政職員、民間企業従事者の方々は、もし強制
をもともなう「後方支援」という名で、「動員」された場合、いったい具体的にどんな
内容の労働を課せられるのか、不安をもっていると思います。昼夜を問わず「協力」を
要請されるかも知れません。不本意な労働を強いられるかも知れません。また病院から
米軍のために、患者さんを追い出したり、生命にもかかわる事故がともなう武器や弾薬
を運ぶ危険な仕事を押しつけられるなど、市民が市民に加害行為をせざるを得ない場合
もあるかも知れません。船や飛行機に武器や弾薬を積んで運ばされたとき、目的がなん
であれ、何も憎しみをもっていない相手国の市民に恐怖を与えないといえるでしょうか
。そしてなんらかの理由で攻撃されることもありえるのではないでしょうか。その時船
員は、侵略者の側にたたされます。そのとき、私たちの人権はことごとく奪われます。

 私たちは、今また過去の戦時体制時の恐怖をうけなければならないのでしょうか。
 日本に住む私たちは、戦争を放棄した平和憲法のもとで、直接武力で脅されたり、脅
したりすることなく、暮らすことができました。決して十分な幸せではありませんが、
侵略の歴史をもつこの国で唯一世界の市民との友好の絆を持ち得るのは、私たちが、武
力を行使して、人を殺さなかったからではなかったでしょうか。
 武器を持たない者に、世界の市民は銃を向けるでしょうか。

 これらの法案で政府は「国民を守る」といいますが、世界の市民から「日本は武力を
持つべき」という声を皆さんは聞いたことがありますか。私は、国外へは出たことはあ
りませんが、NGOのニュ−スレタ−などを読む機会はあります。そのなかで、なぜ原
爆を受けた国が核攻撃を支持するのか、私たちがあなたの国を武力でおどしたことがあ
るのか、などと問われ、大変つらい思いをしたという訴えはありますが、戦力を持たな
いずるい国だなどと言われたというのは、いまだかつて目にしたことはありません。

  むしろ、日本は50余年間、戦闘に巻き込まれることなくおだやかに暮らしていると
いう厳然たる事実を踏まえて、武力のもとでの「平和維持」を国是としてアメリカに住
む市民も、海兵隊が犯罪を侵す前に祖国につれ戻そうとしたり、日本に住む市民ととも
に「憲法9条」を世界に広めようとよびかけています。
 いま、報道人として、今の国の動きを伝えることは大事ですが、その動きに対して庶
民がどう受けとめているかを伝えることも大切だと思います。

 今回政府が求めている「協力」を、自治体はどう受けとめているか、目の前に政府文
書が公表されたにもかかわらず、今だに意思表示をしていないことに、不安をもってい
るのは私ばかりではないと思います。
 今国会の政府の動きに憂慮している、各所の労働者の思いにも、目を向けて共有して
くださるよう切に願っています。
  1999年2月24日
                   
                     加賀谷 いそみ
                     T/F  ********



 
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