(from 『オルタナティブ運動情報メーリングリスト』 改行位置等若干変更)
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Date: Wed, 10 Feb 1999 08:46:10 +0900
From: 和田 喜太郎 <YRX00535@nifty.ne.jp>
Subject: [aml 11038] 地位協定を斬る!関西集会
題名:地位協定を斬る!関西集会
和田です。
先日2月7日、エルおおさか(大阪府立労働センター)で約100人が参加し、“米
軍人・軍属による事件被害者を支える会”主催による、「地位協定を斬る!関西集会」
が開催されました。頻発する米兵らの事故・犯罪に対し、これまでの「被害者の会」か
ら「被害者を支える会」へと全国的にネットを広げようとするものです。以下は集会の
概要と呼びかけ文および「特別立法案」などです。
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◆特別講演:『日米地位協定を問う』・中北龍太郎さん(弁護士・被害者訴訟代理人)
◆基地報告:『岩国基地被害の実態』・岡原隆光さん(岩国市職員組合書記長)
◆裁判報告:沖縄から・喜屋武 靖さん(米兵による事故でお母さんを失う)
◆裁判報告:関西から・海老原大祐さん(米兵による事故で息子さんを失う)
中北さんは、ドイツ地位協定との落差、特例措置による日本各地の米軍の無法行為な
ど地位協定の全般的な問題点を指摘。岡原さんは、海兵隊基地建設を積極的にすすめる
市側の米軍犯罪など対策の怠慢を指摘。喜屋武さん、海老原さんは、「SACO日米合
意」はあったものの、実態は少しも変わっていない問題点などを指摘。
このあと、「支える会」事務局から、全国的にネットを広げる意義と「特別立法」実
現のための署名を広げるなどを訴える。
団体アピールでは、「異議アリ!思いやり予算・関西」から、抜き打ち結審に対する
抗議行動の提起。「ひびけ沖縄のこころ関西連絡会」からは、3月28日の大集会取り
組みについて協力の訴え。「教えられなかった戦争・沖縄編」や「MABUI」など沖
縄を題材とした映画の関西上映のアピールなどがあった。
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《「被害者をささえる会」からの提起》
日本に駐留する米兵の引き起こす事件・事故の多発が大きな社会問題になっています
。特に沖縄では米兵によるひき逃げ事件が連続して発生するなど、人権意識のない凶悪
な犯罪も頻発しています。
私たち「米軍人・軍属による事件被害者の会」及び「被害者をささえる会」は、米兵
による事件・事故被害者の掘りおこしと支援、そして被害者を適正かつ迅速に救済する
システムの確立を求めて活動を続けてきました。
1996年4月の「被害者の会」結成以来、私たちは沖縄で4件もの訴訟を提訴し、
うち3件はすでに勝訴するなど、これまで泣き寝入りを強いられてきた沖縄の現実を大
きく変えてきました。何よりも被害者自らが発するメッセージは、全国に共感と支援の
輪を大きく広げました。
◆SACO合意は被害補償の問題を解決したか
このような被害者のたたかいに対し、日米両政府はSACO(沖縄に関する日米特別
行動委員会)最終報告による地位協定の運用上改善で決着をはかろうとしました。その
内容は、米国政府による慰謝料支払いの手続きを迅速に処理することを約束し、新たに
日本政府による無利子の融資制度の導入、米国政府の支払いが判決額に満たない場合は
、日本政府がその差額を必要に応じて負担するなどとなっています。
日米両政府は、SACO合意によってすベての問題が解決したかのように言っていま
すが、それは一定の前進であるとはいえ、被害者・遺族にとっては不十分な被害補慣制
度と言わねばなりません。なぜなら、現行の地位協定では、米兵らの公務中の事件・事
故は日本政府が賠償責任を負うとする一方、公務外であったり、米兵の家族が起こした
場合には基本的に個人の責任とされるからです。公務外については、恩恵的措置として
の「見舞い金」支払い制度が規定されていますが、それは何ら公的な被害補償制度と呼
べるものではありません。しかも米兵の家族が引き起こした事件の被害補償については
、この「見舞い金」支払い制度さえ除外されているのです。SACO合意についてもそ
の運用はあいまいで、被害者が権利として補償を受けられるよう明確に規定すベきです
。
◆新たな「損害賠償法」の制定にむけて
私たちは被害者・遺族を適正かつ迅速に救済するためには、SACO合意だけではあ
まりにも不十分であり、国の責任による新たな「損害賠償法」の制定がどうしても必要
だと考えています。しかも米兵による事件・事故のあまりの多さを考えると、法案の制
定は早急に実現されなければなりません。
そこで私たちは、被害者の掘りおこしと支援とともに、この「損害賠償法」の制定を
求める運動をこれからの活動の柱にすえ、全国的な署名を大々的に行っていくことにな
りました。しかし世論を全国で盛り上げるには、被害者のたたかいを文字通り被害者だ
けのたたかいにするのではなく、いかに支援の輪を広げていくのかが問われていると思
います。 そこで私たちは、昨年末に被害者を支援する全国ネットワークとしての「被
害者をささえる会」を結成し、またこれまで沖縄だけだった事務局を、関西にも開設す
るなどしてきました。まだまだ小さな会ですが、表に出てくることのできない数多くの
被害者の人たちが勇気づけられるような、そんな活動をめざしています。
ぜひみなさんのあたたかいご支援で「損害賠償法」を制定させ、不条理な地位脇定を
変えていく大きなうねりをつくりだしていきましよう。
◆「被害者をささえる会」の活動にぜひご参加ください
1.被害者の裁判をご支援ください。96年6月に北中城村で飲酒運転の米兵にぶっつ
けられて亡くなった儀保マリさんの遺族が、昨年6に米兵を相手取り、損害賠償を求
めて提訴しました。ぜひこれからの裁判へのご支援をお願いします。
2.「損害賠償法」制定のための署名活動にご協力ください。地域で、職場で、一人で
も多くの賛同者を集めて署名を成功させましよう。
3.まだ会員でない方は、ぜひ会員になってください。年会費は二千円(会報購読料を
含む)で誰でも入会できます。お知り合いの方々にもおすすめください。会の運営ス
タッフも募集しています。
【連絡先】「米軍人・軍属による事件被害者を支える会」
関西事務局:TEL&FAX 0727-93-7992・兵庫県川西市鼓が滝3−18−17・隅田賢
:TEL&FAX 075-464-1576・内藤辰郎
【郵便振替】071740−2−60639
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【参考】「損害賠償法」制定を求める署名用紙呼びかけ文
私たちは日本に駐留する米兵の事件・事故被害者を救済するための『損害賠償法』の制
定を求めます
日本に駐留する米兵等の引き起こす事件・事故の目に余る数の多さと、その被害者に
対する不条理な補償実態は、国民の命と生活を脅かすものとして今や大きな社会問題と
なっています。
特に問題とされていた米兵等による「公務外」不法行為に対する補償問題は一九九六
年一二月、「沖縄に関する日米特別行動委員会」(SACO)最終報告において、戦後
ようやくにして次のような地位協定運用上の改善を見ることが出来ました。
一、米国政府による慰謝料(見舞い金)支払い手続きの改善・迅速処理
二、日本政府による無利子の融資制度導入
三、米国政府による支払いが裁判所の確定判決による額に満たない場合、日本政府は
必要に応じてその差額を埋めるため、請求者に対し支払いを行うよう努力する
しかし、次のように依然として被害者補償制度としては不十分であり、基本的問題点は
解消されていません。
◎ 今回(SACO)による日本政府の被害者への補償はあくまで「裁量的措置」とし
ての「見舞金」であり、被害者は権利として補償を受けることはできません。現に裁
判所の確定判決結果に基づく損害遅延金は支払われていません。被害者が権利として
補償を受けられるよう明確に規定することが求められます。
◎ 米国政府による恩恵的且つ好意的慰謝料(見舞金)支払いは依然として低額である
ばかりか、その対象に軍人・軍属等の「家族」による不法行為は除外されており、現
段階では何らその公的補償制度は存在しないのです。
このような例からも、被害者を適正に且つ迅速に救済するためには国の責任による新
たな「損害賠償法」の制定が必要不可欠となります。よって、私たちは次の法案制定
が一日も早く実現することを要望します。
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『日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の構成員等による損害賠償法』
−−−これは米兵等の公務中不法行為だけでなく、公務外不法行為およびそれらの家族
の不法行為についても日本国が損害賠償責任を負う新たな法案です。−−−
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◆以下は省略します。「支える会」入会および、署名用紙等の請求などは連絡先に問
い合わせてください。
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『日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の構成員等による損害賠償法』案
(目的)
第1条 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約基づ
き、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下、合衆国軍隊という)の構成員、
軍属、若しくは被用者による公務執行中に行われたものでない不法行為又はこれら
の者の家族による不法行為によって、被害を受けた場合における損害賠償制度を確
立することにより、被害者の保護を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この法律で、合衆国軍隊の「構成員」、「軍属」、「家族」とは、日本国とア
メリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び
に日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下、日米地位協定という)第
一条に定めるものをいう。
2.この法律で、合衆国軍隊の「被用者」とは、合衆国の被用者(日本国民である
被用者又は通常日本国に居住する被用者を除く)で日米地位協定第14条1項によ
り日本国の法令に服するものをいう。
(損害賠償責任)
第3条 国は、合衆国軍隊の構成員、軍属、若しくは被用者による公務執行中に行われ
たものでない不法行為又はこれらの者の家族による不法行為により損害が生じたと
きは、その損害を賠償する責に任ずる。
(民法の適用)
第4条 合衆国軍隊の構成員、軍属、若しく被用者による公務執行中に行われたのでな
い不法行為から生ずる損害賠償責任については、前条の規定によるほか、民法の規
定による。
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99/02/10 和田喜太郎 <YRX00535@nifty.ne.jp>