『超明快訳で読み解く 日米新ガイドライン』
小林秀之、西沢優、新ガイドライン研究会
日本評論社刊 1999年1月15日 ISBN4-535-51174-8
1800円+税
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はしがき
第1部 本書の趣旨――新ガイドラインの政府訳はなぜ誤訳なのか
1 本書が出来るまでの経緯
2 誤訳ではないかと思われる重要箇所
3 本書の読者へ
第2部 新ガイドライン――政府訳、英文、超明快訳、解説
00 ガイドライン「見直し」の経過
01 「平時」から共同で戦争準備
02 関連国内法の整備を前提に
03 米有事増援部隊への支援を約束
04 対外軍事諜報作戦も共同で
05 「双務的」共同作戦体制へ
06 消えた「不法行為対処」の表現
07 周辺事態は日本攻撃に直結
08 米軍と自衛隊は統合的戦力を発揮
09 自衛隊は米軍の海上兵站線防衛に主責任をもつ
10 ゲリラ対策が初登場
11 「双務的作戦」の指揮・統制・通信・情報体制
12 兵站支援には私企業の資産も使用
13 「メンテナンス」は「整備」にとどまらない
14 「周辺地域における事態」をめぐる混乱
15 対処はどちらの政府でも始められる
16 「一線を画される」海域は実体不明
17 邦人救出には自衛隊が単独対処4
18 米軍は日本の民間空港・港湾も使用
19 「後方地域支援」は政治的な新語
20 「運用面における協力」は「共同作戦」
21 日米共同作戦の司令塔「包括的メカニズム」
22 周辺有事の共同作戦体制の構築
23 米軍と連動する戦争準備体制6
24 交戦現則の制定で合意
25 双務的調整センターを新設
26 適切な見直し
27 別表
解説
A 戦闘地域と後方地域
B 「一線」論を克服した周辺事態法案
C 諜報収集と機雷掃海
D 「包括的メカニズム」とは
E デフコンと防空警戒区分
F 日米共通の「防衛準備態勢制度I導入へ
G 「交戦現則」はどうなっているか
H 共通の「交戦親則」の作成へ
I 「双務的調整メカニズム」とは
関連法改正案と解説
周辺事態法案
自衛隊法改正案
日米物品役務相互提供協定(ACSA)改正案(要綱)
関連法改正案解説
おわりに
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目次でお分かりのように、ガイドラインの政府訳、英文、超明快訳(英文を普通に訳
したもの)、解説からなっています。いかに政府訳が意図的に訳されているかがよく
わかります。傑作。必読書。
logisticsを「兵站」ではなく、「後方」などと訳の分からぬ訳し方です。
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例:
英文
Medical Services
The two Goverments will support each other in the area of medical
services
such as medical treatment and transportation of casualties.
政府訳
衛生
日米両国政府は、衛生の分野において、傷病者の治療及び後送等の相互支援を行う。
超明快訳
医療
両国政府は、傷病兵の治療と輸送のような医療業務の分野において、互いに支援す
る。
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casualtiesは傷病兵(超明快訳)や傷病者(政府訳)よりは「負傷者」が良いと思
うが、Medical Servicesはどう転んでも「衛生」ではなく、「医療」だよな。なんで
、負傷者の治療や移送が「衛生」なんだよ、バカたれ。transportationを後送(政府
訳)と訳すのは、まったくもって意図的なすりかえ。後方とか後送とか、前面に出ず
に後ろで手伝うという風にしたい意図が見え見え。しっかし、姑息だよな。
なお、日本語版は外務省のホームページにあります。
・日米防衛協力のための指針の見直しの終了
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hosho/nichibei/boei2/index.html
英語版は、米国防総省のDefenseLINKに。
COMPLETION OF THE REVIEW OF THE GUIDELINES FOR U.S.-JAPAN DEFENSE COOPERATION
http://www.defenselink.mil/news/Sep1997/b09231997_bt50797b.html
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MARUYAMA K. kaymaru@jca.ax.apc.org
2GO GREEN
http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/2GG_JCANET.html