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〈練馬からの報告〉
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▽発信者=「練馬での日米共同演習の中止を求める緊急アピール運動」事務局
▽発信時=1999年1月31日
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1、日米共同演習「ヤマサクラ35」の中止を求める署名が、
ついに4000名を越えました!!
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全国の仲間のみなさん、私たちが呼びかけた、「緊急アピール」への賛同署名運
動は、おかげさまで大きく広がりました。第二次の署名集約期限を1月24日とさ
せていただき、集計作業に入りましたが、1月28日深夜判明した署名総数は、第
一次の2049名を上回り、2100名でした。第一次と第二次の署名総数は、4
149名になりました。第二次集約分の署名は、1月29日の午後、防衛庁長官と
外務大臣に届けられました。
日米共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ35」は、1月21日に始まり、同月2
4日には、練馬区側と埼玉県側で抗議デモが行われました。第一次の署名集約期限
は1月10日で、集まった署名は、同月12日に防衛庁と外務省に提出されました
が、その後も署名は、続々と練馬区の内外から寄せられ、ついに4000名を越え
たのです。練馬区内在住者の署名総数は1448名、区外の全国から寄せられた署
名の総数は2701名でした。
署名運動にご協力いただいた全国の仲間のみなさんに、「緊急アピール運動」事務
局は、深い感謝を表明します。
署名は沖縄から北海道まで、文字通り、全国から寄せられました。署名用紙がF
AX送信や郵送によって広がっていき、まさに連鎖反応が起きていったのだと思い
ます。東京都23区の西の端から発せられたアピールが大きな反響を呼び、1カ月
で4149名も集まったことは、全国の各地に現在の政治状況を憂慮する人びとが
存在し、抵抗の意思を強くもっていることを如実に示したと思います。この思いを
お互いにつなげあい、「新ガイドライン」関連法案を廃案に追い込む巨大な力にし
ようではありませんか。
署名の最終集約は1月30日で、寄せられた署名は防衛庁と外務省に必ず届けま
す。「緊急アピール運動」は、2月10日に総括会議を開いて解散する予定ですが
、私たち事務局一同はそれぞれ、全国の仲間とともに、「新ガイドライン」関連法
案の阻止のために、今後も力を尽くします。ともにがんばろうではありませんか。
たたかいは始まったばかりです。
(なお、1月30日を最終集約期限としましたので、同日までに寄せられた署名は
、ただちに提出します。)
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2、「ヤマサクラ35」について新たに判明したこと
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1月28日付『朝雲』(自衛隊の準広報紙)の記事「“1都10県に敵侵攻”、衛
星で米本土とも連接、朝霞でYS35」によって、次の事実が判明しました。
(原文は縦書き。引用の際、数字はそのまま漢数字とします。なお、*以下は、発
信者の解説です。)
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●「ヤマサクラ35」は1月21日に始まり、同月「二十四日に訓練の一部が報道
陣に公開された」。
*『朝雲』の記事に添付された写真のキャプションは、「仮想敵の侵攻状況など
スクリーンにうつし出されるさまざまな情報をもとに、演習の進行を調整する日米
共同統裁会議」となっています。その様子は、NHKのテレビニュースでも放映さ
れましたが、「仮想敵」はどこの国の軍隊か、どのような想定の演習かなど肝心の
点は、報道されませんでした。
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●演習は「三十一日まで」。「三十日にはプレイバックをもとに研究会が開かれ、
三十一日、全日程を終了する。」
*東京都や同練馬区に対し、陸上自衛隊は、演習期間を「平成11年1月21日
(木)〜1月30日(土)(10日間)」と伝えたのですが(98年11月5日付
の陸幕広報室の文書、「お知らせ」)、記事のとおりであるとするなら、ウソをつ
いたことになります。あるいは少なくとも、不正確な情報を伝えたことになります
。なお98年11月19日付『朝雲』も「来年(*1999年)一月二十一日から
同三十日まで」と報じていました。
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●同演習は、「昭和五十七年から毎年二回、米国と日本で交互に行われている。」
*この点は、すでに明らかになっていたことですが、「ヤマサクラ1」は82年の
2月に日本(東富士・滝ケ原駐屯地〔静岡県御殿場市〕)で行われ、「ヤマサクラ
2」は、ハワイ・オアフ島米陸軍第25師団演習場で行われました。
最近の例(97年度)では、97年6月にハワイで、98年に北海道の東千歳駐
屯地と旭川駐屯地で実施されています(1998年版『防衛白書』)。なお、コー
ドネームについている奇数は日本での演習、偶数は米国での演習を意味します。
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●同演習に動員された日米の陸軍の部隊
「日本側は益田兼弘東方(*東部方面〔隊〕の意)総監を統裁官に、東方総監部、
一、四、一〇、一二各師団と、空挺団、一施団、東方航空隊から約二千人」
「米側はジョセフ・R・インジ在日米陸軍司令官を統裁官に、ワシントン州フォー
トルイスの第一軍団司令部、座間の第三一〇戦域支援コマンド司令部から約千百人
」
*一=第1師団(東部方面隊)、四=第4師団(西部方面隊、福岡県春日市)、
一〇=第10師団(中部方面隊、名古屋市守山区)、一二=東部方面隊(群馬県北
群馬郡榛東〔しんとう〕村)、空挺団=第1空挺団(船橋市)〔と思われる〕、一
施団(第1施設団、東京都練馬区)
[参照資料、防衛庁編『防衛白書』(1998年版)、防衛研究会編『防衛庁・自
衛隊』、かや書房・1990年刊]
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●演習内容の区分と日程
「演習ではコンピューターによるシミュレーションシステムを使用」した。
「二十一〜二十四日の四日間は機能別訓練」
「二十五〜三十日の六日間は総合訓練」
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●機能別訓練
「機動、火力、情報、兵たん、人事の各機能ごとに、コンピューターの操作方法な
どを演練」
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●総合訓練
一、「有事に各部隊がどのような行動を選択するかをシミュレートするもので、今
回は東方が管轄する一都十県に仮想敵が上陸、侵攻してきたという想定で行われた
。」
*1月12日、「緊急アピール」の呼びかけ人代表団が防衛庁を訪問した際、対応
した係官は、演習が想定する事態については「言えない」と繰り返しました。しか
し東部方面隊が管轄する一都十県(東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千
葉県、神奈川県、山梨県、静岡県、長野県、新潟県)に「仮想敵が上陸、侵攻して
きた」という想定の下に「ヤマサクラ35」は行われたことが、これでわかりまし
た。
この「仮想敵」が朝鮮民主主義人民共和国の軍であることは、95年10月29
日付『朝日新聞』の記事と現在の東アジアの情勢から判断して、まずまちがいない
と思われます。(なお、自衛隊が1993年末から94年春にかけて、朝鮮民主主
義人民共和国と韓国が戦闘状態に入った場合の対応研究を極秘に実施していたとい
う事実が、大塚智彦著『アジアの中の自衛隊』(東洋経済新報社、95年刊)で暴
露されています。)
二、「日米共同統裁会議で決定された作戦をもとに、各機能が具体的な行動をコン
ピューター上で実践」
「各機能の行動はテクニカルコントローラーに集められ、総合的にどのような状
況になったかがプレイバックされる仕組み」
「このシミュレーションは衛星を介してフォートルイスにも送られ、米国本土の
行動も含めた総合的な指揮所演習が実現した。」
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●1月24日に行われた記者会見での日米の統裁官の発言
◎益田総監
《それぞれの戦術技量の向上を図り、戦術面などの相互理解と意思疎通を促進して
インターオペラビリティー(相互運用性)を向上させておくことは、日米安全保障
体制の信頼性と抑止効果の維持向上に役立つ》
◎インジ司令官
《方面隊、軍団レベルの演習は、場所の確保や経費の面から実動演習が難しく、指
揮所演習という形態をとらざるを得ない》
《今回は特に、有事における兵たん機能強化に焦点を当てたい》
*益田総監の発言は、「ヤマサクラ35」が日米共同の軍事行動(戦争)の予行演
習であることを鮮明にし、インジ司令官の発言は、同演習が実動演習の代替機能を
負っていること、また、現在国会に上程されている「日米物品役務相互提供協定(
ACSA)」改悪法案を先取りした演習であることを明らかにしています。
この『朝雲』の記事は、「ヤマサクラ35」の輪郭を示しています。同演習は、「
朝鮮有事(第二次朝鮮戦争)」を前提とし、関東甲信越地方(と静岡県)に北朝鮮
軍が上陸、侵攻するという想定のもとに、米国本土とも結んで行われるものだった
のです。一口に言えば、「周辺事態法案」など「新ガイドライン」関連法案の内容
を先取りする、日米共同戦争の予行演習だったのです。
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3、全国のみなさんへの「緊急アピール運動」事務局の報告は、保坂展人衆議院議
員が政府に提出した「質問主意書」への回答書(2月2日に出る予定です)の内容
を紹介するニュースを最終回とします。
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