「つくろう平和!練馬ネットワーク」から、日米共同方面隊指揮所演習(コードネーム
=「ヤマサクラ〔YS〕35」)抗議行動のレポートと、呼びかけです。
<転載歓迎>
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1月24日・日米共同演習抗議行動のレポート
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発信者:「やめろ!日米共同演習1・24ねりま行動実行委員会」の構成団体である
「つくろう平和!練馬ネットワーク」
発信時:1999年1月26日
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《概要》
陸上自衛隊・朝霞駐屯地(東京都練馬区と埼玉県朝霞市・新座市・和光市に敷地が
広がっている)で、1月21日、日米共同方面隊指揮所演習(コードネーム=「ヤマ
サクラ〔YS〕35」)が始まりました。すでに繰り返し伝えたように、今回のこの
演習は、首都圏では初めて行なわれるものであり、これまでのデータから見て、「朝
鮮(半島)有事」を想定したものと思われます。
同演習の予定が、昨年11月半ばに発覚して以来、いくつもの反戦市民グループが、
「ヤマサクラ35」の中止を防衛庁や外務省などに要求しましたが、防衛庁と米軍
はそのような声にいっさい耳を傾けず、第二次朝鮮戦争を誘発する危険性の大きい演
習を強行したのです。
防衛庁が練馬区に伝えた情報によると、朝霞駐屯地に動員される日米の部隊は、次
のとおりです。
陸上自衛隊 守山駐屯地(名古屋)から 200名
六本木(防衛庁)から 数十名
米陸軍 在日米軍から
600名
(うち横田基地から数名)
米国から
500名
自衛隊の準広報紙である『朝雲』(98年11月19日付)は、動員数を〈陸上自
衛隊約2000名、米軍約1100名〉としています。上記の情報は、米軍の動員数
については一致していますが、陸上自衛隊については、その大部分が不明です。これ
は説明そのものが曖昧であったため、また説明を受けた練馬区側に詳細な情報を求め
る意志がなかったためでしょう。
首都の防衛と治安維持を任務とする東部方面隊が同演習に参加することと、それに
座間分屯地がかかわっていることは、先述の『朝雲』が明らかにしていますが、今の
ところ、それ以上の情報はありません。
米軍について、陸幕広報室の東京都、同練馬区への「お知らせ」は、「実施部隊:
在日米陸軍/第9戦域陸軍地域コマンド/第1軍団等」としており、また先述の『朝
雲』は、「一(ママ)軍団(ハワイ)など約千百人」と書いています。
さらに、99年1月19日付『赤旗』は、米軍について、「在日米陸軍、ワシント
ン州フォートルイスの第一軍団、ワイオミング州フォートベルモア戦域支援コマンド
など約千百人」としています。また同紙は「(1月)18日現在、(朝霞)駐屯地内
には軍用車やテントが多数並び周辺を米本土から到着した米兵が私服で歩き回ってい
ます」と報道しています。
(なおこのレポートを執筆中に、問題の演習が公開されたというニュースが流れた
と聞いたのですが、確認できていません。)
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◆1・24集会に90名が参加
「やめろ!日米共同演習1・24ねりま行動実行委員会」が主催する集会は、練馬
区の北東京生活クラブ大泉センターで開かれました。当日東京は、あいにく小雨がぱ
らつく寒い日でしたが、集会には区の内外から90名が続々参加しました。
練馬区職労の仲間が司会をつとめる会合は、予定どおり午後1時に始まり、まず高
田千枝子さん(練馬・生活者ネットワーク)が、昨年問題の演習計画が発覚して以来
の、東京都や練馬区の対応など全体の動きと、同演習の中止を求め、朝霞駐屯地の米
軍使用に反対する運動の活動報告を行ないました。
次に山内敏弘一橋大学教授が、同日の『朝日新聞』の社説が「周辺事態法案」を容
認する立場に立って容認の条件に触れていることを批判し、「新ガイドライン」関連
法案の問題点を非常にわかりやすく説明しました。そして「ヤマサクラ35」を含め
た日米共同演習が、「周辺事態戦争」を想定したものであることを指摘し、「新ガイ
ドライン」関連法案をどうあっても成立させてはならないと訴えました。
山内さんの講演についての質疑応答のあと、「1・24実行委員会」の池田五律さ
んが、「ヤマサクラ35」の性格について説明を行ない、また日米共同戦争のための
「双務的調整メカニズム」と、「新ガイドライン」にある「包括的メカニズム」につ
いて解説しました。そして最後にデモコースの説明を東京都水道労働組合(東水労)
の仲間が行ないました。
この集会には、文字どおり老若男女がつどいました。配布された資料には、山内さ
んの論文、先述の『朝日』の社説、「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)
」の全文、「双務的調整メカニズム」についてのメモなどが含まれていました。山内
さんと池田さんの話をメモする人びとも多く、落ち着いた雰囲気の中に静かな熱気が
みなぎる、実りある学習会であったと思います。
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◆朝霞駐屯地に向けて、元気印・80人のデモ
上記の集会は午後2時半に終了し、同40分からデモが始まりました。1・24行
動の名称を記した大横断幕と、「U.S.Army,Out Now!(米国陸軍は、
今すぐ出て行け!)」「Stop YS35!(『ヤマサクラ35』をやめろ!)」
と米語で記した、はなやかな横断幕が人目をひき、シュプレヒコールも天を突く勢
いでした。
朝霞駐屯地正門前では、「抗議と要求」の文書(後掲)を提出する3人の仲間たち
をグルリと囲む形でデモが立ち止まり、東水労の仲間が文書をトランジスター・メガ
フォンで朗読し、仲間たちの拍手のうちに、駐屯地の戦闘服姿の係官に手渡しました。
そしてさらに駐屯地の塀に沿って、日本語と米語のスローガンを声高らかに響かせ
ながら、デモをし、都立大泉中央公園に入り、実行委員会の仲間が簡単な挨拶をして
解散しました。
デモはまことに意気軒昂、小雨をものともしない勢いでした。東京都大田区からは
るばる参加した仲間が、「よかった。元気が出た」と率直に語ったことに、それは表
われていたと思います。
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◆全国の仲間に呼びかけます!
「ヤマサクラ35」は、1月30日までつづきます。軍事的緊張を激化させ、戦争
を挑発する、この危険な軍事演習に抗議しましょう。以下に抗議先を記します。私た
ち練馬区の反戦市民グループは、力を合わせ、演習の終了までたたかいつづけます。
「新ガイドライン」関連法案を廃案に追い込むため、ともにがんばりましょう。
●小淵恵三首相への抗議は、首相官邸の次のFAXへ 03・3508・7714
●野呂田芳成(のろた・ほうせい)防衛庁長官への抗議は、次のアドレス宛に手紙
か電報で
〒107―8513 港区赤坂9・7・45 防衛庁
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以下に、1・24行動参加者一同が提出した「抗議と要請」を掲載します。
抗 議 と 要 求
一月二一日、陸上自衛隊は、朝霞駐屯地において、米陸軍とともに「日米共同方面
隊指揮所演習」(=「ヤマサクラ35」)を始めました。私たちは、練馬区民、埼玉
県民を初めとする、全国の人びととともに、日米共同演習の強行に強く抗議し、同演
習の即時中止を要求します。
防衛庁は同演習の目的をひたすら隠していますが、私たちは、今回の演習が、朝鮮
民主主義人民共和国を仮想敵国とし、「朝鮮有事」、すなわち「第二次朝鮮戦争」を
想定したものであろうことを知っています。
日本政府が突出して、朝鮮民主主義人民共和国との軍事的対決姿勢を強めている現
在、このような演習を実施することは、明瞭な戦争挑発であり、きわめて危険な策動
と言わざるを得ません。「新ガイドライン」関連法案の審議が始まったばかりの時期
に強行された、この「ヤマサクラ35」演習は、それら法案の中身を先取りして実現
するものであり、私たちはどうあっても、これを容認することができません。
この演習をきっかけに、日本政府は、朝霞駐屯地施設の一部を米軍に「新規提供」
しました。これは、次回以降の日米共同演習のためにもなされたと公言されており、
まぎれもなく同駐屯地の日米共用基地化の第一歩です。日本政府はさらに、米軍将校
のために、東部方面総監部の部屋を提供しようとしており、これも朝霞駐屯地の日米
共用基地化に向けた策謀の一環です。
平和をつくる努力を日々つづける私たちは、強い憤りをもって、次のことを要求し
ます。
一、日本政府・防衛庁は、「日米共同方面隊指揮所演習」(=「ヤマサクラ35」)
を即時中止せよ!
一、日本政府は、朝霞駐屯地施設の米軍への提供を、いっさい止めよ!
一、陸上自衛隊は、朝霞駐屯地と練馬駐屯地を撤去し、練馬区民と埼玉県民に全敷地
を返還せよ!
一、日本政府は「新ガイドライン」承認の閣議決定を取り消せ!
一、日本政府は、「周辺事態法案」など「新ガイドライン」関連法案を取り下げよ!
一、日本政府は、米国政府に対し、安保条約の破棄をただちに通告せよ!
一九九九年一月二四日
やめろ!日米共同演習 1・24練馬行動・参加者一同
総理大臣・小淵恵三様
防衛庁長官・野呂田芳成様
陸上自衛隊東部方面総監・益田兼弘陸将様
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