「非核・平和函館市民条例を実現する会」では、2月12日の議案提出予定を前に、
15日に条例案をほぼ固め、『函館新聞』(16日)に案文が掲載されました。
17日午前10時から中島町の函館教育会館で賛同人会議を開き(賛同人の一部を含
む関係者約20人出席)、39人の賛同人による賛同人アピ−ルを採択し、賛同人名を
公表しました。賛同人には、大学教授、弁護士、宗教者、労組、市民団体などが名を連
ね、最終的には50人の賛同人を目標としています。
当日 確認された今後のスケジュ−ルとしては
今月31日に署名を集約。目標3万筆。
2月12日に同条例案を議会に提案
同月下旬開会予定の定例会市議会で可決をめざす。
などです。
函館市では、1984年8月6日核兵器廃絶平和都市宣言をしたとき、その実効性あ
る措置として神戸方式の採用を要求しましたが、外務省の圧力に屈して、米国艦船だけ
からは非核証明書をとらないという函館方式を採用した経緯があります。
その後、1997年のインディペンデンス入港、ブル−リッジ寄港などと続く中で市
民関心が高まり、多彩な反対運動が繰り広げられ、市民が力を合わせたたたかいは、つ
いにブル−リッジの艦長に「われわれは歓迎されていない」とガッカリさせるにいたり
(『毎日』97・10・4)、平和への大きなエネルギ−となりました。
今、函館市民の世界平和への思いは、非核証明のない軍艦の入港拒否を23年も続け
ている神戸の運動に学び、これに続く高知県のたたかいに学び、ふるさとの街にも神戸
方式をの声となり、切実な願いとなっています。
同会では、1998年12月4日の発足会のあと、条例案についての学習会を重ね、
北大法学部の神原勝教授などのアドバイスで、1994年に市議会で全一致で決議され
た「核兵器廃絶平和都市宣言」をすべて盛り込み、「宣言の決意を発展させ、市民の創
意として条例を制定する」と表現、神戸市のケ−スをさらに発展させた条文化となりま
した。
同時に正月早々から、署名運動が始まりました。市民の関心は高く、1時間足らずで
、200筆を越えるなど、メンバ−が驚くほどの反応の良さを感じているとのことです
。
この背景にあるは、市民が道内の港への度重なる軍艦の入港を目の前にし、その軍港
化への不安と、政府が今期国会での強行成立を目指す新ガイドライン(日米防衛協力の
ための指針)関連法案への懸念です。
このうち周辺事態(有事)法案は、日本周辺有事の場合の米軍への後方地域支援など
を定め、地方自治体には空港・港湾の米軍への提供などに向け、国が「必要な協力を求
めることができる」としています。そして今回の自民党と自由党の連立は、より市民の
危機感を深め、同条例への関心と期待をさらに強めているようです。
函館市議会でも、世論の高まりを受けて、40名の議員の中の16名はすでに、提案
の意思を示しています。同会では賛同の窓口を広げるとともに、公明党などへの意思の
確認、関心の薄い議員への説得などに努めています。
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非核平和都市づくり条例(非核・平和函館市民条例)(案)
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(前文)
函館市民は、一九八四年八月六日、以下の核兵器廃絶平和都市宣言を行い、平和都市
函館の市民として生きようと決意した。
わたくしたち函館市民は、美しい自然を誇り、すぐれた市民性をはぐくんできた函館
を住みよい都市に発展させるため、市民とまちの理想像を市民憲章に定めています。
わたくしたちは、この理想が、世界平和の達成なくしてはありえないことを認識して
います。
わたくしたち函館市民は、核戦争の危機が叫ばれている今日、世界で唯一の被爆国の
国民として、また、平和憲法の精神からも、世界の人々とともに、再びこの地球上に被
爆の惨禍が繰り返されることのないよう、核兵器に廃絶を強く訴えるものです。
わたくしたち函館市民は、非核三原則の堅持と恒久平和の実現を願い、明るく住みよ
い幸せな市民生活を守る決意を表明し、ここに核兵器廃絶平和都市の宣言をします。
この宣言からすでに多くの歳月が経過した。しかし、核兵器の脅威はなお地球上から
消滅しないばかりか、新たな核拡散の恐怖さえひろがっている。
函館市民は、世界に開かれた国際観光都市の市民として、その総意によって、函館市
の平和の営みが世界の平和に通ずる確かな道であることをあらためて確認し、核兵器廃
絶平和都市宣言を一層発展させて、ここに非核平和行政の推進に関する基本原則を定め
る。
(目的)
第一条
この条例は、函館市の平和が世界の平和とともにあることを自覚して、平和を創造す
る市と市民の不断の努力によって、函館市を平和で安全な生活都市、国際都市に発展さ
せることを目的とする。
A 前項の目的を達成するために、市は市民とともに、日本国憲法の平和主義と国の
非核三原則並びに地方自治の本旨に則り、積極的に平和行政を推進する。
(平和行政の推進)
第二条
市は、市内のすべての地域において、核兵器の製造、配備、貯蔵、搬入、通過及び使
用を認めない。
A市は、函館港に入港、接岸するすべての外国艦艇に対し、核兵器積載の有無を質し
、核兵器不積載の証明書の提出を求める。非核証明書の提示のない艦艇の函館港への接
岸及び港湾施設の使用は認めない。
(平和事業の推進)
第三条
市は、市が保有し、管理するすべての施設、用地を平和目的のために使用するものと
し、また、市職員が行う業務に関しても同様とする。
A 市は、平和行政を執行するため、市民とともに次の事業を推進する。
一 市は、日本国憲法の平和主義、非核三原則、地方自治の意義の普及に努める。
二 市は、核兵器廃絶と恒久平和の実現に向けて、国内及び外国の都市等との交流、
提携を深める。
三 市は、教育基本法の理念に基づき、学校教育及び社会教育において、平和教育に
積極的に取り組む。
四 市は、講演会、演奏会、展示会等、核兵器廃絶と平和に関する事業を行う。
五 市は、核兵器廃絶と平和に関する情報、資料の収集、保管及び提供に努める。
六 市は、市民の自主的な非核及び平和に関する事業を積極的に支援する。
七 市は、この他、この条例の趣旨に基づいて、必要な事業を行う。
(付則)
この条例は、公布の日から施行する。
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「非核・平和函館市民条例を実現する会」
条例制定をめざすアピ−ル
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わたしたちのふるさと函館は、古くから港を諸外国に開き、経済・文化交流を深めて
きた歴史があり、現在も世界の人々との友情を深め、国際交流が盛んなまちであること
が市民の大きな誇りとなっています。そして、この函館を真の国際観光都市としてさら
に発展させていくためには、平和なまちづくりということが基盤となります。
わたしたち賛同人一同は、「非核平和函館市民条例を実現する会」より条例案の提示
を受け、検討を行った結果、「平和で安全なまち函館」をつくりだすために十分な内容
を備えたものであることを確認しました。
函館市民は、1984年8月6日に核兵器廃絶平和都市宣言を行い、平和都市函館の
市民として生きようと決意しました。この宣言からすでに多くの歳月が経過しましたが
、核兵器の脅威はなお地球上から消滅しないばかりか、新たな核拡散の恐怖さえひろが
っています。
わたしたちは、世界に開かれた国際観光都市の市民として、その総意によって、函館
市の平和の営みが世界の平和に通ずる確かな道であることをあらためて確認し、核兵器
廃絶平和都市宣言を一層発展させて、ここに非核平和行政の推進に関する基本原則を3
月定例市議会で議員立法によって成立させることをめざします。
以上のことから、わたしたちは、ここに条例制定に賛同の意を表明するとともに函館
市民、近郊在住のみなさんにこの運動への参加・協力を強く訴えます。
1999年1月17日
「非核・平和函館市民条例を実現する会」
賛同人一同
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<参考資料>1984年3月17日 参議院予算委員会
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神戸方式について立木洋議員の質問に中曽根首相の答弁
「それは地方自治の本旨に基づいて神戸の市長および市議会がとっておる一つのやり方
でありまして、それはそれとして我々はよく理解出来るところであります」。
「国は国の政策、地方自治体は地方自治体の本旨に基づいて、また自らいろいろな政策
を実行している。独立である程度やっております。それは当然なことで、国は国、地方
自治体は固有の自治権に基づいて地方行政を行う。そういう次元の違うものであるとい
うふうにご理解いただきたいと思います」。
また、立木議員の「今後もこうした要請が出てきた自治体に対しては、その自治体の立
場を尊重してやるということですね」という質問に対して、中曽根首相は「自治体は自
治体の固有の自治権がございますから、法律の範囲内において行うことについては我々
もできるだけ協力するのが筋であろうと思います」と答弁。