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512 SDI00872 01/11 21:24 454 0 中東>報道に見るイラク危機 爆撃前哨戦3
513 SDI00872 01/11 21:24 454 0 中東>報道に見るイラク危機 爆撃前哨戦4
514 SDI00872 01/12 10:47 454 1 中東>報道に見るイラク危機 爆撃初日1/2
518 SDI00872 01/13 17:39 514 0 中東>報道に見るイラク危機 爆撃初日2/2
*512 SDI00872 山崎 久隆
中東>報道に見るイラク危機 爆撃前哨戦3
(13) 99/01/11 21:24 454へのコメント
引き続き10〜11月、この時期は「11月危機」と呼ばれた緊張の前後です。
10/03 08:58 共同通信 事務総長自らが仲介に イラクの査察拒否問題
10/07 11:32 朝日新聞 ◇「ミサイル、化学兵器分野は終了に近づく」と報告書◇
10/08 09:04 共同通信 イラクが査察再開で回答へ
10/08 10:31 共同通信 イラクに核開発の証拠なし 国際原子力機関
10/08 17:58 朝日新聞 ◇イラクに「核開発の兆候なし」、IAEAが安保理に報告◇
10/14 09:03 共同通信 査察再開なら緩和も 対イラクで安保理示唆
10/14 11:05 毎日新聞 <イラク>核兵器保有の証拠なし 長期監視態勢に IAEA
10/14 12:04 NHK 国連安保理 「イラクの核兵器査察は終わりに近い」
10/21 10:46 共同通信 ミサイル制御部品を売却 ロシアがイラクに
10/31 11:48 読売新聞 安保理が対イラク制裁見直しの指針
10/31 22:12 朝日新聞 ◇イラクが査察協力の停止を発表◇
10/31 23:35 読売新聞 イラク、国連査察への協力を停止
10/31 23:37 毎日新聞 <イラク>国連特別委査察協力を全面停止 革命指導評議会な
11/01 10:07 共同通信 イラクが監視活動も拒否 安保理決定に反発
11/01 11:20 朝日新聞 ◇米国防長官がイラク問題協議のため訪日を中止◇
11/01 11:32 朝日新聞 ◇国連安保理が「目に余る違反」とイラクを非難◇
11/01 12:11 共同通信 米国防長官が訪日取りやめ イラク情勢対応のため
11/01 12:40 共同通信 安保理がイラク非難声明 査察拒否の撤回を要求
11/01 18:54 朝日新聞 ◇イラク情勢悪化で米国防長官が日本訪問を中止◇
11/01 19:26 読売新聞 米国防長官、日韓訪問を中止
11/01 19:29 読売新聞 国連安保理がイラク非難声明
11/01 19:30 毎日新聞 <国連>安保理はイラクの真意をさらに探る構え
11/01 19:40 毎日新聞 <米国>イラク情勢協議で、国防長官が日韓訪問中止
11/01 20:25 朝日新聞 ◇カケで政権存続狙うイラクのフセイン大統領◇
11/01 20:29 毎日新聞 <国連>イラク査察協力拒否の決定要旨
11/02 21:07 朝日新聞 ◇「対決は望まず」とイラク副首相、査察チームを追放せず◇
11/02 21:30 読売新聞 イラク、査察拒否の背景に対米不信
11/03 14:18 読売新聞 イラクに即時対話再開要求
11/03 15:28 共同通信 米が対イラク決議案提出へ 軍事行動の構え強め圧力
11/03 18:30 朝日新聞 ◇国連安保理が米英の決議案を協議へ、イラクの査察拒否で◇
11/04 10:43 共同通信 対イラク非難決議案を協議 国連安保理、査察再開要求
11/04 16:50 NHK 普天間基地移転は代替案あれば検討 米国防次官補代理
11/06 09:16 時事通信 ◎対イラク協力再開要求決議を採択=「目に余る違反」と非難
11/06 19:24 毎日新聞 <国連>安保理 査察協力拒否でイラク非難決議採択
11/06 21:14 毎日新聞 <イラク>経済制裁全面解除にらみ 国際社会との駆け引き再
11/11 11:06 NHK 米、対イラク武力行使に備えペルシャ湾周辺の軍事力強化
11/11 19:22 共同通信 IAEA査察官も撤退へ
11/11 19:46 時事通信 ◎IAEA査察官もイラクから退去
11/11 19:59 毎日新聞 <イラク>国連特委スタッフ、残る全員が退去へ
11/11 23:08 読売新聞 国連査察官、全員イラク国外退去
11/12 00:22 朝日新聞 ◇国連査察要員全員が退去、イラクの査察拒否に対応◇
11/12 06:06 時事通信 ◎米からの「強い勧告」で退去決定=UNSCOM委員長が会
11/12 08:12 共同通信 安保理が緊急協議 イラク情勢の緊迫化
11/12 10:25 毎日新聞 <イラク危機>国連職員のバクダッド引き揚げ日程公表 国連
11/12 11:21 NHK 米 湾岸軍事力を再び増強 対イラク武力行使を準備
11/12 11:46 毎日新聞 <イラク危機>国連事務総長 フセイン大統領に査察への協力
11/12 12:35 NHK 米政府 イラク湾岸に軍用機など追加派遣
11/12 19:38 読売新聞 国連職員、緊迫のイラクから出国
11/12 20:30 朝日新聞 ◇国連職員退去完了、各国の退避勧告相次ぐ◇
11/13 00:08 朝日新聞 ◇イラクが合意守らなければ武力行使、英首相◇
11/13 10:41 毎日新聞 <米国>国防長官、イラクへの大規模空爆を示唆
11/13 10:52 NHK 外務省 イラク周辺国への渡航に「海外危険情報」
11/14 12:41 毎日新聞 <イラク危機>国連事務総長、イラク大統領に査察協力求める
11/15 03:02 朝日新聞 ◇イラク指導部、査察無条件再開受け入れ◇
11/15 03:28 読売新聞 フセイン政権、査察協力再開に無条件同意
11/15 08:37 朝日新聞 ◇イラクの査察受け入れで国連安保理が対応協議◇
11/15 13:47 朝日新聞 ◇イラクへの対応で協議難航、国連安保理◇
11/15 16:06 時事通信 ◎「イラク」で結論出ず、16日に続開=ロシアが議長声明案
11/15 16:36 共同通信 書簡評価で安保理対立 米国反対で再協議
11/15 19:33 毎日新聞 <イラク危機>国連安保理、イラク政府の「返書」の扱い巡り
11/15 19:55 毎日新聞 <イラク危機>イラク副首相が国連事務総長に送った書簡=要
11/16 00:44 読売新聞 安保理、イラク査察結論持ち越す
11/16 10:23 朝日新聞 ◇米のイラク攻撃は当面回避、査察問題で5条件◇
11/16 10:30 毎日新聞 <イラク危機>米大統領声明の要旨
11/16 10:33 読売新聞 安保理、“イラク危機”終えん声明
11/16 10:47 共同通信 安保理が受け入れ表明 査察拒否撤回のイラク書簡
11/16 11:26 毎日新聞 <国連安保理>イラク問題での声明の要旨
11/16 13:07 毎日新聞 <イラク危機>査察受け入れ 米大統領、武力行使見合わせる
11/16 20:28 毎日新聞 <イラク危機>武力行使回避を評価 野中官房長官
11/17 01:15 時事通信 ◎国連要員の復帰第1陣が到着=査察団は17日バグダッドへ
11/17 10:08 朝日新聞 ◇イラク査察、18日から再開へ◇
11/17 12:37 NHK 米、フセイン政権打倒を前面に 対決姿勢鮮明化
11/17 19:27 朝日新聞 ◇国連査察団が6日ぶりにバグダッドに帰任◇
11/17 20:45 共同通信 国連査察要員がイラク復帰 直ちに活動再開も
11/17 20:46 時事通信 ○国連査察要員86人がイラクに復帰=18日にも活動再開
11/17 20:51 毎日新聞 <イラク>UNSCOMの査察官らバグダッドに帰任 査察再
11/17 20:59 朝日新聞 ◇国連査察団がバグダッドに帰任◇
11/17 22:03 読売新聞 国連査察官らイラク到着
11/17 23:19 朝日新聞 ◇国連査察要員18日にも活動再開へ◇
11/18 12:22 毎日新聞 <日米関係>米政府、再び日本バッシング? 大統領19日来
11/18 16:44 共同通信 UNSCOMが活動再開 イラクの協力ぶりが焦点
11/18 20:14 読売新聞 国連のイラク査察活動が再開
11/18 21:44 朝日新聞 ◇国連が104日ぶりにイラク側の施設の査察を再開◇
11/19 00:24 朝日新聞 ◇イラク査察―危機は回避されたけれど◇
11/19 21:20 毎日新聞 <日米関係>米大統領「不適切な関係」の質問には不機嫌さ隠
11/19 22:22 毎日新聞 <英海軍>海中発射巡航ミサイル「トマホーク」の実用実験に
11/20 06:44 USjournal(アメリカから見た日本)クリントンの訪日は緊張をあおる
11/21 21:11 読売新聞 ロシア支援のイランの原発が来年完成予定
11/22 18:17 共同通信 北に核開発全廃を要求 在韓米軍は維持と米大統領
11/22 20:27 朝日新聞 ◇「危険な兆候が強まる」と米大統領、米軍基地で演説◇
11/23 10:00 共同通信 文書は可能な限りIAEA提出済み 要求は政治的とイラク外
11/23 10:05 朝日新聞 ◇イラク外相、米英の「無理な要求」を非難◇
11/23 13:28 毎日新聞 <イラク>米英両国の「無理な要求」を非難 サハフ外相
11/23 22:43 読売新聞 イラク情勢、再び流動化も
11/24 06:31 USjournal(社説・論説)クリントンに外交政策などあるのか?
11/25 10:14 朝日新聞 ◇イラクが国連大使など大幅な人事異動を発表◇
11/27 20:13 朝日新聞 ◇増産目指すイラク石油精製コンビナート◇
11/27 22:07 読売新聞 制裁解除の条件はフセイン政権の退陣
11/28 09:46 共同通信 VX検出はでっち上げ イラクが批判の書簡
11/28 10:06 朝日新聞 ◇「VX発見は意図的な工作」とイラク主張◇
11/28 10:11 時事通信 ◎神経ガス検出はサンプルへの細工=イラク、国連への書簡で
11/28 23:45 毎日新聞 <トルコ>軍のヘリ墜落−−クルド党が撃墜声明
11/30 10:51 読売新聞 フセイン・イラク大統領の異父弟が帰国へ
11/30 11:23 毎日新聞 <イラク>フセイン大統領異父弟バルザン氏が帰国へ 亡命説
11/30 16:40 朝日新聞 ◇制裁「包括見直し」焦点に、イラク査察問題◇
11月、イラク側が国連大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)による査察
を拒否したことから、緊張が高まりました。
イラクは10月31日に、一切の査察・監視行動を拒否、すべての協力を同日から
全面停止するとの声明を発表します。
その内容は「監視を含む特別委の全活動を停止。監視チームはいかなる活動を行う
ことも許されない。特別委の監視チームにイラク退去は求めない。特別委の監視カメ
ラや装置は現在の場所で作動し続けるが、カメラに近づくことは許されない。国際原
子力機関(IAEA)の監視活動は特別委から独立したものなら許される。」という
ものです。
これに対して国連安保理は「イラクの決定は安保理決議の目に余る違反だ」との非
難声明を発表します。
さらに11月2日、安保理はバトラー委員長の「イラクが大量破壊兵器の保有や開
発再開をしないという義務を順守しているかどうかについて、確証を得ることができ
ない」という報告を受け、アメリカイギリスが準備したイラク非難決議案の協議を3
日から始めることを決めます。
危機の前、既にIAEA(国際原子力機関)は、核兵器分野については既に具体的
な脅威は無いという報告を行っていて、UNSCOMのリチャード・バトラー委員長
もミサイル、化学兵器分野での査察が終了に近いことを認めています。イラクが「査
察拒否」を宣言するに至った経緯に、いつまでたっても解除される気配のない経済制
裁と、永遠に続くとも思われるUNSCOMの査察に業を煮やしたということでしょ
う。
アメリカは10月30日に「制裁解除のためには、大量破壊兵器廃棄だけではなく、
湾岸危機時のクウェート人捕虜の釈放などを義務づけた他の国連決議内容の完全履行
も必要」としたことや、湾岸戦争時にVXガスを兵器化していたとの疑惑を持ち出し
たことも、問題を複雑にしています。なお、VX疑惑については後にイラク側は「で
っちあげ」と反論しています。
そして11月5日に安保理はイラクに対しUNSCOMへの協力拒否決定を撤回し、
UNSCOMとIAEAへの全面協力を即時、無条件で再開するよう要求する決議を
全会一致で採択しました。この決議案はイギリスが提案したものです。決議はまた、
UNSCOMへの協力を停止するとの10月31日の決定について、イラクの大量破
壊兵器の廃棄を定めた安保理決議687号などの関連決議に対する「目に余る違反」
だと非難しています。
これが武力行使への伏線でもありまして、アメリカ・イギリスは決議に武力行使を
盛り込まなくとも、これまでの関連決議から武力行使は可能との立場を取っています。
グリーンストック・イギリス大使は決議採択後に「安保理が重大な違反があると決定
するなら、1990年のような武力行使が再び認められる」と語ったそうです。
ここから11月危機は武力行使直前まで一気に突き進みます。
アメリカは11月12日までに、湾岸地域にエンタープライズを投入(到着は23
日)し、さらにステルス爆撃機を含む129機の戦力を投入、陸軍もクウェートに3
000人を追加派兵、パトリオットミサイルなども増派します。
11月12日までにUNSCOM要因だけでなくIAEA要因もアメリカの強い要
求により、イラクを撤退、北部地域に残る要因以外は退去していき、軍事行動間近と、
緊張が走ります。
イギリスのブレア首相は12日に「イラクが国連との合意を順守しないなら、次の
方策は実力行使だ」と発言、首相は下院への報告で、イラクは数カ月以内に化学兵器
を開発・使用でき、数週間以内に生物兵器を生産できること、湾岸戦争で脅威となっ
たスカッドミサイルは数日以内に配備可能であること、核兵器開発を依然、模索して
いることなどの見方を明らかにし、さらにイラクが80年代のイラン・イラク戦争中、
あるいはクルド人制圧作戦で毒ガスを使用したことをあげて「フセイン大統領にとっ
て、大量破壊兵器は権力の象徴である。強制されなければ、同兵器を放棄することは
ない」として、武力行使が不可欠であることを主張しています。
一方、アメリカはコーエン国防長官が、イラクが査察に応じる兆候がないとしてフ
セイン大統領は「国連や米国などと、この種のゲームを続けられないことを知るべき
だ」とし、「(イラクに対する)空爆は重大なものになるだろう」と語ります。
攻撃対象とされているのはバグダッド近郊アルタジの「ミサイル研究・製造施設」、
ムサンナの「化学兵器関連施設」、ラシディヤの「核兵器関連施設」、サマラ近郊ジ
ャブル・マフルの大統領関連施設、空軍施設、大統領警護隊の本部などだと言われ、
特にバグダッドの大統領関連施設はバクダット市内にあるため、ピンポイント爆撃を
行ったとしても周辺住民に被害が及ぶのは避けられません。
11月13日に事態の打開を図るため、アナン事務総長がクリントン大統領や安保
理各国大使などと個別に会談を行います。また、安保理非公式協議ではフセイン大統
領へ送る書簡について検討を行い、イラクが査察協力を再開すれば、安保理は経済制
裁解除につながる査察の包括的見直しに入るという従来の方針を事務総長は改めて明
言したそうです。
11月14日、アメリカ軍の攻撃直前に、イラク側はアナン事務総長の書簡に応え
る形で、UNSCOMとIAEAの査察を無条件で認めることに同意しました。アジ
ズ副首相の書簡が国連に伝えたもので、「イラク指導部はUNSCOM、IAEAと
引き続き協力し、査察官の通常任務遂行を認めると決定した」という内容だそうです。
これを受けて安保理が非公式協議を続けますが、各国の見方が食い違い、協議は難
航します。拳を振り上げているアメリカとしては直前に軍事行動の回避を狙ったもの
で、無条件でも何でもないとし、ロシアが提案した「安保理は書簡に留意する」とい
う報道向けの声明も拒否。
アジズ副首相の書簡は、毎日新聞によると以下の要旨だとのこと。
----------------------------------------------------------------------------
一、8月5日と10月31日のイラクの決定の目的は国連大量破壊兵器廃棄特別委
員会(UNSCOM)と国際原子力機関(IAEA)との関係悪化のためでなく、安
保理決議687号22項(制裁解除)の実施を図るためだ。
一、包括的見直し実行手続きに関する安保理での協議は明確な構図をもたらしてな
い。
一、事務総長、エリツィン・ロシア大統領、プリマコフ同首相の書簡などに基づき、
イラク指導部はUNSCOM、IAEAへの協力再開を決定した。
一、これは米国の攻撃を恐れているからでなく、事務総長や友人たちのアピールに
対応するものだ。
一、11月13日にロシア、中国、フランスの大使に伝えた包括的見直しに関する
以下のポイント(付属文書)は見直しを実りあるものにする。
▽包括的見直しはUNSCOM、 IAEAの職務再開後、 きわめて短時間のうち
(たとえば7日後)に実行されるべきである。
▽安保理決議687号C(大量兵器廃棄)の要件を満たせば、同決議22項の実行
に備えねばならない。
▽第1段階(兵器廃棄問題)終了後、第2局面(戦争捕虜や略奪財産返還の問題)
に入る。
▽安保理はUNSCOMの構造とバトラー委員長の問題を考えるべきだ。
▽これらの事項についての保証を事務総長か安保理メンバーがイラク指導部に伝え
ねばならない。
----------------------------------------------------------------------------
アメリカ側は、この書簡の付属文書に経済制裁解除の前提となる査察の包括的見直
しを査察再開7日後にも開始すべきだと要求する主張があり「無条件の協力でない」
と反発し、14日の安保理協議は付属文書の扱いをめぐって査察受け入れは「条件付
き」と見なす米英と、「条件付きではない」と主張するロ仏中が対立、平行線をたど
ったまま終了してしまいます。その後イラク大使が「付属文書は書簡と関係ない」と
の文書を安保理に提出したことで、よく15日にクリントン大統領が記者会見で「イ
ラク政府はUNSCOMの査察拒否の決定を撤回し、無条件の査察再開に応じた」と、
軍事行動回避を宣言して、この時は軍事行動が止まりました。
クリントン大統領の声明要旨を毎日新聞から引用します。
----------------------------------------------------------------------------
一、イラクは、国連査察団への全面協力を求める国際社会の要求を受け入れること
に同意し、無条件の義務履行を約束した。
一、イラクは(査察への協力拒否を)撤回はしたが、これだけでは十分でなく、義
務を果たす必要がある。
一、イラクの義務とは、(1)国連大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)
と国際原子力機関(IAEA)により提起されたすべての問題の解決(2)あらゆる
施設への査察官の無制限な立ち入りの容認(3)すべての関連文書の提出(4)大量
破壊兵器に関するすべての国連決議の受け入れ(5)査察へ干渉しないこと――であ
る。
一、イラクが前進するための唯一の道は、世界に対する義務の完全履行で、我々は
これを確認するまで監視を続け、圧力を保ち、(武力)行動できる態勢を維持する。
一、我々は引き続きサダム・フセイン(大統領)の脅威を封じ込める。長期的に最
善の道は、国民を代表し、国民を尊重する(イラクの)新政府を通じて対処すること
だ。我々は、クルド勢力などイラク改革派との関係を深め、反政府勢力への政治的支
援を強める。
----------------------------------------------------------------------------
この際にクリントン大統領が何と言っていたかは、その後を考える上で重要です。
彼は「軍事行動を起こしていれば、フセインの大量破壊兵器とミサイルの開発に大き
な打撃を与えることができたが、それは同時に、UNSCOMの査察活動の終わりを
意味する」と言っています。その後の12月の軍事行動とこの発言の間に何があるの
かが重要です。
同時にバーガー大統領補佐官は「イラクの発言に実行が伴わなければ、別の選択肢
を考える。その時は国連安全保障理事会の決議は必要ない」と語っており、次は安保
理決議なしに武力行使に訴えるとの考えを明確にしています。
またコーエン国防長官は「湾岸駐留の米軍はすでにイラク攻撃に十分な態勢にあり、
短時間で行動できる」と述べています。
ここでもう一つ重大なのは、既にイラクのフセイン政権を打倒することを事実上宣
言していることです。これはアメリカの行動を見ていれば想像に難くないわけですが、
国際的に明言したことは注意しなければなりません。日本が湾岸でのアメリカの行動
をどこまで「支持」しているのかを考える上で、特にこのことを無視するわけにはい
きません。「日本は一体何に支持表明をしたのか」当然ながら日本政府の主観ではな
く国際的に、特にアジア・中東諸国にどういった姿で映るのかを考えねばなりません。
当然ながらこういったあからさまな政権妥当宣言に対してイラク側は内政干渉とし
た抗議声明を出し、その中で「国連憲章違反はアメリカ側」と非難しています。
15日、報道機関向けの安保理声明がようやく合意に達しました。その要旨は「安
保理メンバーは、アジズ・イラク副首相が安保理関連決議と98年2月23日のアナ
ン事務総長との覚書に従いUNSCOMとIAEAへの協力再開をするという決定を
伝えた11月14日付書簡に含まれる声明に留意し、イラクの意向に対する信頼はU
NSCOMとIAEAへの無条件で持続された協力によって打ち立てられる。UNS
COMとIAEAの報告に基づき事務総長が確認すれば包括的見直しを始める用意が
あることをメンバーは再確認した。」というものでした。また、国連による対イラク
人道支援を即時に再開することも確認されています。
YAMASAKI (SDI00872)
*513 SDI00872 山崎 久隆
中東>報道に見るイラク危機 爆撃前哨戦4
(13) 99/01/11 21:24 454へのコメント
空爆に至る半月間の流れです。
その直前にこういった駆け引きが展開されていました。
アナン事務総長は「今度危機が起きればアメリカ・イギリスは空爆に踏み切る」と
の見方を表明し、それには国連安保理の承認無しで行われるだろうとの見解を示して
います。
これは別の言い方をすれば安保理の無視ということですから、重大な発言です。国
連憲章第53条は「いかなる強制行動も、安保理の許可がなければ、地域的取り決め
に基づいてまたは地域的機関によってとられてはならない」としており、事前の安保
理の承認が無ければ武力行使はしてはならないはずだからです。これに関連しアナン
事務総長は12月8日にフランスの国会で演説した際に「国際社会によるいかなる軍
事介入も、国連安全保障理事会の承認を受けなければならない」と述べています。明
言はしていませんがイラク攻撃やNATO軍によるユーゴスラビア連邦コソボ自治州
への一方的武力行使をけん制するものと捉えられています。
アメリカやNATOが、自らの武力行使に安保理の承認を必要としないとの立場を
取っており、アナン事務総長が初めて逆の見解を明言したのだそうです。
ここでもやはり日本の立場が問題となります。国連中心主義であるというのであれ
ば、安保理決議を経ない武力行使など到底容認できるはずはないではないですか。要
するにご都合主義なわけで。そんな国がPKFだの国連軍参加だとか、何の寝言だか。
12/01 08:22 USjournal (米国国際記事)アナン、イラク空爆の可能性示唆
12/01 14:09 朝日新聞 ◇極秘文書の提出拒否問題でイラクが協力姿勢◇
12/01 21:32 時事通信 ◎大統領の異父弟が帰国の途に=イラク
12/02 08:08 共同通信 イラク、CNN報道を否定
12/03 09:28 共同通信 北朝鮮やイラクなどを糾弾 人権活動家の保護団体
12/03 09:57 共同通信 「米国こそ国連憲章違反」 イラク外相が非難
12/03 10:25 朝日新聞 ◇イラクがUNSCOM要求の極秘文書提出を拒否◇
12/03 16:19 朝日新聞 ◇イラクが国連大量破壊兵器廃棄委要求の極秘文書提出拒否◇
12/03 18:24 共同通信 査察強化の議定書署名へ 政府、北朝鮮の核疑惑で
12/04 09:26 共同通信 核査察強化署名を閣議決定 北朝鮮、イラクにも要請へ
12/04 15:20 共同通信 日本が追加議定書に署名 核査察強化でIAEAと
12/04 17:07 時事通信 ◎イラク副首相、6日にロシア訪問=国連査察や人道援助問題
12/04 19:36 共同通信 イラク副首相がロシア訪問へ 影響力回復目指すロシア
12/04 22:07 毎日新聞 <劣化ウラン弾>湾岸戦争時の健康被害で学術会議 バクダッ
12/05 00:02 読売新聞 日本、IAEA追加議定書に署名
12/05 08:58 共同通信 イラク査察文書妥協探る ロシア外相と国連のバトラー氏が会
12/05 10:51 共同通信 イラクへの売却契約を確認 ミサイル部品でルーマニア
12/05 11:06 共同通信 生物・化学兵器にも対応を 米防衛科学委会核抑止作業グルー
12/06 22:38 時事通信 ◎イラク副首相がモスクワ入り
12/07 10:59 毎日新聞 <劣化ウラン汚染>イラクが非難問題を初めて報道−−米CN
12/07 22:43 毎日新聞 <ロシア>イワノフ外相 イラクの国連査察再開を受け入れを
12/08 05:47 時事通信 ◎湾岸首脳会議が開幕=サウジ皇太子、原油価格低迷への対応
12/08 07:08 共同経済 ◎石油価格の建て直し協議 GCC首脳会議が開幕
12/08 09:44 共同通信 対イラク抜き打ち査察へ 国連が週末にも報告書
12/08 10:43 毎日新聞 <イラク危機>抜き打ち査察着手へ 経済制裁解除へ包括的見
12/08 11:08 NHK ロシア首相 国連の対イラク経済制裁の解除を支持
12/08 11:15 朝日新聞 ◇UNSCOM、イラクでの抜き打ち査察を本格化へ◇
12/08 11:31 NHK 国連、イラクへの抜き打ち査察を実施へ
12/08 15:07 読売新聞 対イラク抜き打ち査察再開意向…国連委
12/08 18:55 朝日新聞 ◇ロシア、対イラク国連制裁の早期解除を支持◇
12/08 21:20 毎日新聞 <UNSCOM>委員長 イラクでの抜き打ち査察に着手を公
12/09 10:40 朝日新聞 ◇国連事務総長がNATOなどの一方的武力行使を批判◇
12/09 11:17 毎日新聞 <イラク危機>国連特別委、国内32カ所で抜き打ち査察を開
12/09 11:40 共同通信 政権倒せば債務削減に協力 米がイラク国民に呼び掛け
12/09 21:07 時事通信 ○抜き打ち査察への協力拒否=米との危機再燃も−イラク
12/09 23:41 毎日新聞 <イラク>UNSCOM、抜き打ち査察取り止め
12/10 00:19 朝日新聞 ◇イラク、バース党本部への査察官立ち入りを拒否◇
12/10 06:31 共同経済 ◎NY原油先物市況 レンジ内の推移で小幅続落
12/10 07:00 USjournal (米国国際記事)イラク、国連査察を「挑発的」と非難
12/10 08:05 共同通信 イラクが査察を事実上拒否 危機再燃の恐れも
12/10 08:28 共同通信 合意違反と査察団を批判 イラク、安保理へ報告
12/10 08:37 共同通信 来週初めまで最終評価せず イラク査察で国連
12/10 09:45 共同通信 米、当面は事態静観 イラクへの武力行使捨てずと警告
12/10 10:26 毎日新聞 <イラク>バース党査察拒否は深刻な事態−−UNSCOM委
12/10 10:36 NHK イラクの抜き打ち査察拒否 米が警告
12/10 10:57 共同通信 ミサイル部品秘匿か イラクのバース党本部に
12/10 21:03 朝日新聞 ◇国連査察継続、イラクが立ち入り禁止決定◇
12/10 23:21 毎日新聞 <イラク危機>政権政党・バース党、事務所への査察は今後も
12/11 03:03 朝日新聞 ◇「テポドン発射、事前通告はしない」と北朝鮮代表◇
12/11 07:04 共同経済 ◎NY原油先物市況 あと反落、12年来の安値
12/11 07:53 時事通信 ◎湾岸周辺へ迎撃ミサイルなど配備=イラク攻撃準備の可能性
12/11 07:58 USjournal (米国国際記事)イラク国連査察拒否
12/11 07:58 USjournal (米国国際記事)北朝鮮と米国
12/11 08:06 共同通信 仏大統領が2月に訪米へ
12/11 08:23 朝日新聞 ◇湾岸周辺へ迎撃ミサイルなど配備、米国防総省◇
12/11 09:25 共同通信 米国防長官が懸念表明 イラクの査察妨害
12/11 10:50 朝日新聞 ◇パトリオットミサイルをイスラエルに演習のため短期配備◇
12/11 10:52 NHK コーエン米国防長官 来月中旬訪日へ
12/11 12:39 毎日新聞 <特集ワイド>「暗号」の話 米国の立場と日本の事情
12/11 19:58 読売新聞 イラクがバース党への査察を拒否
12/12 07:19 USjournal (米国国際記事)国連のイラク兵器査察
12/12 12:00 読売新聞 査察拒否ならイラク攻撃も…米国務長官
12/14 06:29 時事通信 ◎査察拒否された国連チームが退去=イラク
12/14 13:00 共同通信 国連査察員がイラク出国
12/14 21:35 毎日新聞 <パレスチナ>米大統領ガザ訪問 対米関係、大きな転機 蜜
12/15 07:10 USjournal (米国国際記事)国連イラク兵器査察チーム、引き揚げる
12/15 08:30 時事通信 ◎平和努力なければ「最悪の事態」も=国連総長
12/15 08:54 共同通信 平和解決へ努力倍加を イラク問題などで国連総長
12/16 08:59 USjournal (米国国際記事)国連のイラク兵器廃棄査察
12/16 10:08 毎日新聞 <海外の目>米とイラクの危険な関係
12/16 10:52 毎日新聞 <UNSCOM>イラク査察協力で報告書
12/16 11:05 NHK イラクの査察状況や協力姿勢を国連事務総長に報告 国連特別
12/16 12:01 時事通信 ○イラクは査察に全面協力せず=UNSCOMが報告書
12/16 12:19 共同通信 イラクは非協力と報告書 査察再開でUNSCOM
12/16 12:45 朝日新聞 ◇UNSCOMがイラクの査察報告「全面的な協力」を否定◇
12/16 16:16 時事通信 ◎国連職員らがイラクから退避開始=査察への非協力に抗議か
12/16 16:36 NHK 国連査察委、イラク非難の報告書を安保理に提出
12/16 17:26 共同通信 UNSCOM要員が出国か
12/16 17:51 毎日新聞 <UNSCOM>バトラー委員長「イラクの査察協力は不完全
12/16 18:09 時事通信 ○査察団が再びバグダッド一斉退去=「攻撃正当化」と国連報
12/16 18:40 共同通信 対イラクで米が軍事行動も 大統領らが対応協議へ
12/16 18:49 共同通信 国連要員イラクから退去 武力行使の可能性高まる
12/16 20:26 毎日新聞 <UNSCOM>査察官140人全員が退去 要員の安全確保
12/16 20:49 読売新聞 国連イラク査察団が退去
12/16 20:50 朝日新聞 ◇国連査察要員が退去、バグダッド、武力行使の危機再燃◇
12/16 22:02 朝日新聞 ◇イラク武力行使避けられない?、仏が懸念◇
12/16 22:53 時事通信 ◎仏も安保理討議を要請
12/16 23:13 時事通信 ◎IAEA査察官も退避
12/16 23:45 時事通信 ◎緊急安保理の開催を要求=イラクめぐる国連報告を批判−ロ
12/16 23:53 毎日新聞 <UNSCOM>査察官140人全員が退去 要員の安全確保
12/16 23:53 毎日新聞 <イラク情勢>安保理緊急招集 ロシア外相が意向表明
12/16 23:54 時事通信 ◎イラク情勢で緊急協議開催へ=国連安保理
12/17 00:08 時事通信 ◎十分な活動できず退避指示=バトラー委員長
12/17 00:26 時事通信 ◎米英の攻撃への対応策協議=イラク指導部
12/17 00:37 時事通信 ◎イラク攻撃、いつでも可能=米国防総省
12/17 00:45 時事通信 ◎米から国連にイラクからの退避勧告=アナン事務総長
12/17 00:45 朝日新聞 ◇国連査察要員が退去、バグダッド、武力行使の危機再燃◇
12/17 00:47 毎日新聞 <イラク情勢>空爆へ「事前警告しない」−−英外相
12/17 00:49 時事通信 ○国連査察団、バグダッドから一斉退避=イラク情勢が再び緊
12/17 00:57 時事通信 ◎湾岸米軍、大規模攻撃の態勢=「無警告」の脅しは有効=米
12/17 00:57 朝日新聞 ◇国連査察要員がバグダッド退去、武力行使の危機再燃◇
12/17 00:58 毎日新聞 <UNSCOM>査察官140人全員退去 要員の安全確保=
12/17 00:59 朝日新聞 ◇国連安保理が緊急協議へ◇
12/17 01:03 時事通信 ◎査察官出国に遺憾の意=仏外務省
12/17 01:08 朝日新聞 ◇IAEAもイラクから職員引き揚げ◇
12/17 01:14 時事通信 ◎イラク攻撃の決定はまだ=英
12/17 01:25 共同経済 ◎ロンドン外為市況 ドルの上値重く115円後
12/17 01:52 毎日新聞 <イラク情勢>国連安保理 16日に緊急協議 ロシアなどが
12/17 02:04 読売新聞 緊急安保理でイラク情勢協議
12/17 02:05 読売新聞 米、対イラク緊急協議
12/17 02:07 共同経済 ◎米金融・債券市況=午前 イラク緊迫、原油急騰で売
12/17 02:32 共同経済 ◎NY原油が急騰 米国の対イラク武力行使警
12/17 03:00 朝日新聞 ◇ホワイトハウスがイラク情勢を協議◇
12/17 06:09 時事通信 ◎対イラク武力行使に強く反対=国連安保理諸国に統一行動呼
12/17 06:18 時事通信 ◎イラク攻撃、大統領の命令待ち=ホワイトハウスは論評避け
12/17 06:19 時事通信 ◎イラク情勢で緊急協議開始=査察官退避をロシアは批判−国
12/17 06:45 共同経済 ◎NY金市況 引け際に買われ上伸
12/17 06:50 時事通信 ◎イラク攻撃、数日間の限定攻撃か=ラマダンに配慮−CNN
12/17 06:56 共同経済 ◎NY原油先物市況 イラク攻撃懸念などで急伸
12/17 06:56 共同経済 ◎NY債券市況 イラク、原油急騰、訴追延
12/17 07:02 時事通信 ◎米英の侵略阻止へ団結訴え=緊張高まるバグダッド−イラク
「査察拒否」今度これをすれば攻撃だという脅しの中で再開した11月中旬からの
UNSCOM査察。しかし12月に入ってすぐに危機が顕在化し始めます。いったい
何があったのか。実はこの間の報道をつぶさに見てもさっぱりわからないというのが
実状です。
名目らしきものはいくつかあります。
例えば「イラク与党のバース党本部に抜き打ち査察に入ろうとしたら、何を探しに
来たのかリストを出せといわれ」て引き返したとか、化学兵器関連文書の提出を求め
たらイラク側から「そのような秘密文書は存在しない」と拒否されたとか、あります。
しかし秘密文書問題ではイラク側が12月になって譲歩する姿勢を示したことでU
NSCOMバトラー委員長自らが1日に「イラク側が協力する用意があることに満足
している」「(この状況が続けば)2、3週間後には、イラクが査察への全面的な協
力を復活したと国連事務総長に報告できるだろう」と述べていたりしています。
ところが12月9日に突然バトラー委員長は「バース党本部への査察拒否は重大」
と発言し始めます。同日にアメリカのNBCテレビは、バース党本部には長距離ミサ
イル用の部品を隠していて、さらにUNSCOMが設置した監視カメラに細工した疑
いがあると報じていますが、これはアメリカ側の情報のリークであると思われます。
その後緊張は一気にエスカレートします。
イラクのバース党高官は「党事務所は保護されており、党員かイラク国民以外の立
ち入りは許されない。事務所は政治活動をしており、兵器には何の関係もない」こと
を「だれが立ち入りを認められるのかは私の判断で決まる」として、今後も査察を受
け入れないとの姿勢を強調したのが10日。
しかしこのバース党本部査察以外では問題は起きていないので、実に奇妙な緊張激
化の道をたどることになります。
オルブライト国務長官が記者会見で、バース党事務所に対する査察を拒否した問題
について、「イラクが(国連との合意に)従わない場合、警告なしで外交手段は終了
する」と述べ、無警告で攻撃することを示したのが11日。
UNSCOMが、今回の一連の抜き打ち査察要因40人をイラクから出国したこと
を明らかにしたのが13日。その中には、バース党本部ビルへの立ち入りを拒否され
た査察チームも含まれます。しかしこのチームはもともと15日には出国予定でした
ので、1日程度繰り上げただけ。
バトラー委員長がニューヨークの国連本部でアナン事務総長に査察の実施状況と、
イラクの査察への協力姿勢について見解を表明した報告書を提出したのが15日。し
かしその内容は直ちには公表されませんでした。
しかし報道各紙はその内容を次々に伝えています。概ね「査察再開時に約束した全
面的な協力が得られなかった」といったものだったとしています。報告書は同日に安
保理に出された段階で公表されました。
アナン事務総長はこの報告書に対して
UNSCOMの要員ほぼ全員が退避を始めたのが16日。報告書提出と同時に撤収
を開始し始めていて、アメリカによる攻撃を前にした退避行動であることが明らかと
なります。これについてバトラー委員長は「アメリカからの要求に沿ったもの」との
説明をしています。
人道援助担当のスタッフも撤収を開始しました。
フランスとロシアはバトラー報告に関連して国連安保理開催を要求しています。両
国とも武力による解決は望まないとし、16日に開かれた安保理非公式協議で、ロシ
アのラブロフ国連大使はバトラー委員長が安保理との協議を経ずにUNSCOM査察
官らをイラクから退避させたことを厳しく批判しています。
CNN、CBSテレビなどアメリカの報道機関は16日、アメリカがイラクに対し
て数日間の限定的な攻撃を行う軍事計画を検討していると伝えています。「ラマダン
と重なると米国とイスラム諸国との関係にとって好ましくないため、クリントン大統
領が数日間の攻撃にとどめるよう指示している」ということが初めて出てきたのもこ
のころのニュースからです。
イラク攻撃間近との観測を受けて、有事の際のドル買いでドルが上がるとともに、
原油価格も急騰。「16日のロンドン国際石油取引所(IPE)の原油先物相場は、
イラク攻撃が実行された場合イラク産原油輸出が停止するとの思惑で、北海原油代表
油種ブレント2月きりは、 1バレル11ドル台を回復し、 前日終値(10.59ド
ル)比0.79ドル高の11.38ドルで終了した。」というのは何を意味するか。
ちなみに北海油田とはイギリスの油田。これまでは供給過剰で原油価格は低迷を続け
ていましたから、これで莫大な利益がイギリスに転がり込むことに。
YAMASAKI (SDI00872)
*514 SDI00872 山崎 久隆
中東>報道に見るイラク危機 爆撃初日1/2
(13) 99/01/12 10:47 454へのコメント コメント数:1
爆撃初日、17日の報道です。
大量になりますので、私のコメント部分と分けます。
12/17 07:16 時事通信 ◎米英軍がイラク攻撃=大量破壊兵器関連施設が目標−「砂漠
12/17 07:45 朝日新聞 ◇米軍がイラクに相当な規模の攻撃を開始◇
12/17 07:58 共同経済 ◎NY株式市況=APDJ 業績懸念映して小反落
12/17 07:58 時事通信 ◎責任はフセイン大統領に=英政府
12/17 08:02 時事通信 ◎現時点では対イラク軍事攻撃を支持できない=共和党有力者
12/17 08:09 共同通信 米英、イラクに武力行使 国連査察拒否で報復攻撃
12/17 08:29 時事通信 ◎イラクに対し冷淡=アラブ諸国
12/17 08:30 毎日新聞 <イラク攻撃>英国軍も参加 作戦名は「砂漠の狐」 英首相
12/17 08:34 共同通信 武力行使以外に選択なし 英首相が声明
12/17 08:34 共同通信 湾岸以来の大規模攻撃も 戦闘機使い兵器施設破壊か
12/17 08:35 共同通信 くすぶる「弾劾隠し」疑念 下院表決直前のイラク攻撃
12/17 08:42 共同通信 イラクをめぐる主な動き
12/17 09:00 共同経済 ◎ドル相場は軟化の見込み 市場の関心が弱材料に戻り
12/17 09:12 時事通信 ◎攻撃主体は航空機と巡航ミサイル=ステルス機など増援兵力
12/17 09:13 時事通信 ○強力かつ持続的な攻撃を命令=ラマダンまでに終了−米大統
12/17 09:16 毎日新聞 <イラク攻撃>目的は大量破壊兵器の使用阻止 米大統領演説
12/17 09:26 時事通信 ◎イラク攻撃は国連憲章違反=作戦の即時停止を要求−ロシア
12/17 09:34 時事通信 ◎米英の攻撃、やむを得ない=森幹事長
12/17 09:40 時事通信 ◎とどろくごう音、鳴り響く空襲警報=バグダッド市民、経済
12/17 09:46 時事通信 ◎イラクの態度に遺憾表明=仏
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