At Tue, 29 Dec 1998 13:44:58 +0900
浦田さん wrote:
> >
> > 2、ここでいう「公務執行中の」とは「公務執行中の過程における」という意味であり
> >、
> > 公務に従事している時間中にその場所で行われたものであっても、その公務と関係のな
> >い
> > 個人的な行為はいわゆる公務執行中の「犯罪」にはあたらない。
> >
> > 3、そのため、米軍人の外出が公務として位置づけられているからといって、当該外出
> >行動の
> > 際に生じた犯罪が直ちに米側が第一次の裁判権を有する犯罪となるわけではなく、あく
> >まで
> > 個々の具体的事例に則して判断されるものである。
>
> 2、3を読むと「公務」中に起きた犯罪であっても、「その公務と関係のない個人的
> な行為は
> いわゆる公務執行中の「犯罪」にはあたらない」となってます。
>
> 最近は、この「公務」と「公務外」の使い分けはどのように行われているのでしょう
> か。
>
> この件について、関連情報をお持ちの方は、ご教示いただけますと幸いです。
>
> どうぞ、よろしくお願いします。
>
浦田さんのお尋ねは、「公務」かどうかという定義よりも、要するに裁判権の
問題だと思います。防衛施設庁は米軍に有利なように解釈しているようですが、
これについては明確な基準は設けていないはずです。ご参考までに、以下のよう
な専門家の見解を転載します。本間氏は現在駿河大学教授。地位協定問題の日本
の第一人者。
根本的な解決は、地位協定の改定以外に考えられませんが、現在でもせめて日
米合同委員会議事録くらいは公表して欲しいところです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『在日米軍地位協定概論−地方自治体との関連で−』p140-141
(本間浩 著、93年神奈川県渉外部基地対策課)
日米両国それぞれの法令上罪となる行為のうち、次の罪を米軍構成員・
軍属が犯した場合には、米軍当局が第1次裁判権を有する。
イ もっぱら米軍の財産若しくは安全のみに対する罪、または、もっ
ぱら米軍の構成員・軍属・それらの家族の身体若しくは財産のみに
対する罪。
ロ 公務執行中の作為または不作為(第17条第3項(a))。
上の基準上問題となるのは、ロの「公務執行中」の法的意味である。
合意議事録によれば、米軍構成員・軍属が起訴された場合に、その起訴
の理由とされる罪が公務執行中の作為又は不作為から生じたものである
旨を記載した証明書をその指揮官または指揮官に代わるべき者が発行す
れば、反証のないかぎり、刑事手続のいかなる段階においても、その事
実が「公務執行中」のものという十分な証拠資料となる、と規定される。
実際の取扱いとしては、日米両国政府間合意により、被害者の所属部隊
の指揮官から犯罪発生管轄の検事正に提出されることになっている。制
度上、公務執行中か否かについて日米両当局の判断が異なるときは、日
米合同委員会で審議し、決定することにはなっている。
なお、日米合同委員会の合意事項によれば、この「公務執行中」とい
う用語のなかの「公務」とは、「法令、規則、上官の命令または軍習慣
によって、要求されまたは権限づけられるすべての任務若しくは役務」
である、と定義づけられている(「第17条に関し」第6)。
しかし、実際には、米軍指揮官のこの権限は、被疑者を日本側裁判権
の下におかせないという目的で乱用されかねない。「公務執行中」の概
念およびその基準は抽象的または不明確である。そのため、1974年7月
10日沖縄の伊江島で勤務時間外の米軍構成員が日本人青年を狙撃した事
件について日米両国政府間で争われたように、「公務執行中」か否か、
についてしばしば争いが生じる。また、指揮官の発行する証明書が反証
のないかぎり十分な証拠資料となるという点について、合意議事録では、
刑事訴訟法第318条に規定される「証拠の証明力は裁判官の自由な判断
に委ねる」という原則を害しない、とされ、証明書提出による推定原則
の成立が否定されてはいる。しかしこのことはわが国裁判官の関わる過
程においてのみ意味を生ずるのであって、その他の刑事手続過程(例え
ば、捜査段階)では微妙な影響を生ずるおそれがある。
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Masahiko Aoki
青木雅彦
btree@pop11.odn.ne.jp
メールアドレスが変わりました
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