Mime-Version: 1.0
Date: Tue, 29 Dec 1998 13:44:58 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: Ryuji Urata <yufukiri@fat.coara.or.jp>
Subject: [keystone 960] 本土での米軍実弾砲撃演習:米兵の外出は「公務」に関して
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 960
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

大分県湯布院町の浦田ともうします。

大分県日出生台では来る2月に、米海兵隊の本土演習が強行されようとしています。
本土での米軍実弾砲撃演習は、すでに本土移転地5カ所のうち4カ所で行われていま
すが
日出生台では今度が初めてで、これで本土5カ所の移転演習の一巡目が完結すること
になります。

ところで、この本土での米軍演習では、9月の北海道矢臼別での演習と、11月の宮城
県王城寺原での
演習の際に、防衛施設局は、米海兵隊の外出は「すべて公務」と発表しました。

この「公務」ということについて、「調査報告・沖縄の米軍基地被害」(新日本出版
社)を調べてみると、
 

> 公務中米兵の犯罪・事故
>
> 軍事裁判は一度もなし
>
>  問題は公務中の事件、事故である。「公務外」の方は一応、第一次裁判権が日本にあ
>って有罪、
> 無罪が決められる。講和発効以来、95年12月までに在日米軍が日本で起こした公務中の
>事件、
> 事故は約44,514件、死者は509人である(表7参照)。
>  大部分は交通事故で、ほかに米軍演習中の事故などもふくまれる。公務中の事件や事
>故の責任を
> 追及する場合の第一次裁判権はアメリカが優先する。少なくとも死者509にかんする米
>軍の
> 軍事裁判がひらかれて、故意や過失責任の有無が裁かれるのは当然のことだと思われる
>。
> しかし、法務省が「軍事裁判を受けたのはゼロ。懲戒処分は99名となっている」(1995
>年10月
> 16日参議院予算委)と答弁しているように、これまでただの一人も刑事責任は“追及さ
>れて
> いないのである。軍隊の行動にかかわる米兵の事故や犯罪については刑罰を課さないと
>いう米軍の
> 「特権」を如実にしめしたものである。
>
> 捜査もできず迷宮入り
>
>  調査団の質問にたいして、沖縄県警は「(日本の)警察は、米軍の公務中の事件の捜
>査を
> すすめることはできない。米側は捜査協力にまったく応じないし、それがどう処理され
>たのか
> 報告もしてこない」と答えた。そして県警は、軍用トラック、自家用車による交通事故
>でも、
> 公務外という前提で処理をすすめるが、その途中で、米側からその者は公務に就いてい
>たという
> 結論だけを書いた一片の「公務証明書」が送られてくる。その時点で艘査を打ち切らざ
>るをえない」
> ということを率直に認めていた。また「(県警が)公務外だと判断していても、「公務
>証明書」が
> でてくると捜査も起訴することもできない。公務の中身については軍務ということを理
>由に
> いっさいいわない」とのべた。
>  このことは、日本の警察が、たとえばスピード違反、無免許、酒気帯ぴ運転、道路交
>通法違反の
> 取り締まりをおこなっている場合でも、それが「公務中」ということになれば、検挙は
>おろか
> 説諭する権限もないということである。
> (中略)
>  こうした事実がしめしているように、米側は「公務中」を盾に捜査への協力をしない
>、
> 裁判権も譲らないというのが実態である。日本政府は、「日米安保があるから」「なん
>らかの
> 補償さえすればいい」という態度をとりつづけてきた。

とありました。

それで、これについて、最近防衛施設局に質問状
(全文はhttp://www.coara.or.jp/~yufukiri/localnet/lonets.html)
を出したら、
以下の様な返事がきました。

> 21)札幌防衛施設局は、米海兵隊員の外出は「公務」と発表しましたが、
>   福岡防衛施設局でも、今回の米海兵隊員らの外出は「公務」との認識ですか?
>
> 施設局回答:矢臼別演習場における米軍の実弾射撃訓練展開から撤収までの間が
> 公務であることはもちろんであるが、同訓練期間中、米軍人が団体行動等により、
> その地域の文化、歴史等を学ぶために、あるいは食事等をするための外出についても
> 米軍は「公務」として取り扱っていると承知している。
>
> 補足:不法行為があったときにもそれが「公務」と言えるのかどうかについては、
> あらためて調べて返事をする。 
>
> 23)福岡防衛施設局としては、「公務中」と「公務外」とで、具体的にどのような
> 違いが出てくると認識していますか?
>
> 施設局回答:質問の主旨が不明であるが、米軍が勤務管理上、「公務中」と「公務外」
> とでどのような取り扱いをしているかについては承知していない。
 

上記22番に「補足」とありますが、これは返事をした福岡防衛施設局広報担当者が
「でも、これが公務かと言われるような不法行為がもし起きた場合には、
その場合は違うんではないでしょうか」とあいまいなことをいうので、
確認をするように言ったところ、数日後にきた返事が以下です。
 

> 海兵隊の外出(公務)
>
> 第一次裁判権所属について説明すれば次の通りです。
>
> 1、在日米軍の構成員、まはた軍属の犯す罪が地位協定(17条3項A2)において、
> 米側が第一次の裁判権を有する罪として、あげられている公務執行中の不作為から
> 生ずる罪にあたるか否かについては同協定の定める手続きに従い、個々の具体的に
> 判断されるものである。
>
> 2、ここでいう「公務執行中の」とは「公務執行中の過程における」という意味であり
>、
> 公務に従事している時間中にその場所で行われたものであっても、その公務と関係のな
>い
> 個人的な行為はいわゆる公務執行中の「犯罪」にはあたらない。
>
> 3、そのため、米軍人の外出が公務として位置づけられているからといって、当該外出
>行動の
> 際に生じた犯罪が直ちに米側が第一次の裁判権を有する犯罪となるわけではなく、あく
>まで
> 個々の具体的事例に則して判断されるものである。

2、3を読むと「公務」中に起きた犯罪であっても、「その公務と関係のない個人的
な行為は
いわゆる公務執行中の「犯罪」にはあたらない」となってます。

最近は、この「公務」と「公務外」の使い分けはどのように行われているのでしょう
か。

この件について、関連情報をお持ちの方は、ご教示いただけますと幸いです。

どうぞ、よろしくお願いします。


 

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    浦田龍次(うらたりゅうじ) Ryuji Urata
    〒879-51大分県大分郡湯布院町川上1525-12
       〔e-mail〕 yufukiri@fat.coara.or.jp
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