今週の『週刊金曜日』第245号(1998.11.27)の「自我作古」(筑紫哲
也)に、先週号に続いて沖縄県知事選の話が載っています。今週号は、知事選直後(
11月17日)に掲載された朝日新聞の「天声人語」への批判です。
http://www.jca.ax.apc.org/kinyobi/
自我作古 第171回 筑紫哲也
「言えた義理か」をめぐる考察ひとつ
======================
私(丸山)はこの「天声人語」を読んで笑ってしまいました。筑紫氏も批判してい
ますが、例えば以下のような文があります。
======================
(前略)
対する大田氏は「いくばくかの財政支援によって魂まで売ってしまうのか。この世に
は、お金に代えられない大事なものがある」と説いた。
それはその通りだけれど、では「若者たちの失業」はどうなるのか。懸念するなら
、行政の責任者として具体的な施策を示さなければなるまい。たとえばその点で、大
田氏は説得力に欠けた。いま、人びとは「貧しいが平和」よりは「豊かで平和」を望
んでいる。そうした気持ちを、きちんと読めなかった。「うまく作戦に使われた」な
どと言えた義理か。と批判は、そこにある。
(後略)
======================
「貧しいが平和」と「豊かで平和」を選べといったら、例外なく後者を選ぶでしょ
うね。これは、「……が……」と「……で……」という接続助詞の使い方を見ても明
らかです。「高いが美味い」と「安くて美味い」だったら、よっぽどの理由(たとえ
ば、見栄を張りたいとか、金が余ってしょうがないとか)がない限り、後者を選びま
す。もし二者択一の設問をするならば、「貧しいが平和」と「豊かだが基地のある生
活」とでもしないといけません。(もちろん、「豊かだが基地のある生活」はあり得
ないと私は考えますが、設問の論理としては成り立ちます)こんなこともわからず「
大新聞」のコラムを書いているのですから、笑ってしまいます。
ことばの問題はさておき、この「天声人語」子の問題は、日本にある米軍基地の7
5%を押しつけられ、本島の20%が基地に占められていても、基地の県内移設によ
って「豊かで平和」な沖縄が可能だと考えていると思われるところですね。「若者た
ちの失業」に代表される「沖縄の貧しさ」は日本政府の一貫した政策によるもの。沖
縄が自立した経済を発展させ「豊かに」なったら、基地を押しつけることができなく
なるからです。先週号(第244号)の『週刊金曜日』で新崎盛暉さんが次のように
書いています。「……全国平均の二倍という失業率は、復帰後一貫して変わらない経
済構造上の問題である。三期十二年に及んだ西銘自民党県政もこの問題を克服するこ
とはできなかった。……」新しい防衛庁長官がまたまた「基地と振興策は同時並行で
なければならない」と言ったようですが、まさにこれが、「経済構造上の問題」の根
源です。基地があるから「貧しい」、基地をなくさない限り「豊か」にはなり得ない
のです。
======================
さて、私は読んでいませんが、知事選直後の毎日新聞の社説は、「沖縄は基地を選
んだ」と書いたそうです。先日(11月21日)の98反戦反核東京集会で、「基地
・軍隊を許さない行動する女たちの会」の源啓美さんは、「選んだのではなく、選ば
されたのだ。なぜ、沖縄が選ぶ(選ばされる)立場に置かれているのか?そこを考え
て欲しい」と訴えました。
しかし、朝日・毎日と情けないね。
======================
沖縄から新崎盛暉さん(一坪反戦地主会代表世話人)をお呼びして、12月1日(
火)に「沖縄県知事選挙報告」集会が開かれます。知事選の模様を話していただくと
ともに、本土の反基地運動への沖縄からの率直な呼びかけをしていただけると思いま
す。ぜひご参加下さい。
■12月1日(火)
沖縄県知事選挙報告集会
18:30〜、700円
江戸東京博物館・会議室(両国駅北口すぐ)
講師:新崎盛暉
主催:沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック(030-910-4140)
参考:
・『週刊金曜日』第240号(1998.10.23)
11・15 沖縄知事選
選挙で問われる沖縄の進路・日本の安保(新崎盛暉)
・『週刊金曜日』第244号(1998.11.20)
選挙 沖縄・稲嶺新知事と日本政府のツケ(新崎盛暉)
==================================================================
*************************************************************
MARUYAMA K. kaymaru@jca.ax.apc.org
2GO GREEN
http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/2GG_JCANET.html
3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月